挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

62/96

第12節 調査員探索依頼と思わぬ再会

研究員と護衛に当たった冒険者が期日になっても帰ってこないとの捜索依頼を受けたカムイ・・・。
その冒険者とはなんと・・・・。

10/12 誤字・脱字、文章表現の変更
キタリアン辺境伯領ルズヴィーク。
そこから更に東にある、ビゴという村の近くに設営された野営地にカムイは来ていた。

ヴューベルでは依頼がないため、他街のギルドを依頼を探して転々とする日々が続いていた。
今回の依頼は、朝一番の依頼掲示に間に合わなかった依頼として、偶然カムイが受領したものだ。

===依頼カード=====================================
対象  :Dランク以上
内容  :調査員探索
報酬  :銀貨5枚
追加報酬:なし
依頼期間:なし
特記事項:ビゴ村 野営地
依頼主 :自然科学研究所 ハゴス
==============================================

野営地には研究所の職員だろうか、忙しく作業をしていた。

「すいません。こちらにハゴスさんはいらっしゃいますか?」
「ハゴスさん。お客様ですよ!」

大きな声でハゴスを呼ぶ。

すると、テントの中から白衣を着た中年の男性が出てきた。
白衣を着ているが、ボタンは留めていない。

「私がハゴスですが?」
「ルズヴィークの冒険者ギルドから来ましたカムイといいます」

自己紹介をすると手を差し出す。

「今朝依頼を出したばかりというのに、流石に早いですね」

差し出された手を握り握手をしたあと、ハゴスは今までいたテント中にカムイを招き入れる。
大き目のテントの中は、研究機材やレポートの山が置かれた、さながら簡易研究室のようになっていた。

早速、依頼の内容を確認する。

ハゴスたちは、王都にある自然科学研究所の水質調査グループの1つで、領主であるキタリアン辺境伯から要請があったとして水質調査にやってきていた。
村人たちの話によると、1週間ほど前から2つあるうちの1つの川が紫色に濁り、魚の死骸が浮いたりや腐臭がするようになったとのことだった。
これまでこのような事態になったことはなく、もう1つの水源である川も心配なため原因調査と対策を行うために来ているのだそうだ。

依頼は、3日前に中流の水質サンプルを採取に行った研究員1人と護衛に雇っているCランク冒険者が予定の期日になっても戻ってこないため、事件か事故にあったのではないかと心配してギルドに探索の依頼をしてきたようだ。
冒険者はもう1人野営地にいたが、彼を捜索に行かせると野営地を守る人間がいなくなるため出来なかった。

「Cランク冒険者も一緒なんですか?」
「えぇ、数は少ないですが魔物も出ますので、調査の間護衛を頼んでいるんですよ」

確かに、数は多くないがここの来る途中でも20~30台の魔物は確認している。
Cランク冒険者も一緒に帰ってこないとなると、心配でギルドに依頼してくるのも頷ける。

「状況は判りました。その帰ってこない研究者とCランク冒険者の名前を教えて貰えますか?」
「はい。研究者はアガシンといいます。Cランク冒険者は黒狼隊のフィリックさんといいます」

どこかで聞いたような名前に思わず聞き返すカムイ。

「は?すいません。もう一度冒険者の名前お願いします」
「黒狼隊のフィリックさんです」

 △▼△▼△▼△▼△▼△

フィリックは、王都で自然科学研究所の護衛を受けていた。
この辺りは、以前パーティの依頼でも来たことがあり、どんな魔物が出るのかも知っていた。
期間拘束があるものの、条件も悪くなかったため依頼を受けたのだ。

「サンプルはこのへんでいいでしょう」
「じゃぁ戻りましょうか。日も傾きかけてきましたし」

2人は、サンプル採取の間、近くにあった洞穴を拠点としていた。
そこは、魔物に襲われたり、雨や雪などを凌ぐための避難所にしてるところだ。

サンプルを採取している間も、遠くで魔物が吼える声が聞こえていたが段々近づいてきているようで、その数も1匹や2匹ではないようだった。

「段々近づいてきていませんか?」
「大丈夫ですよ、アガシンさん。イエローベアーは元々臆病で、こちらから手を出さなければ襲ってきませんから」

フィリックは、アガシンを安心させるように声をかけるが、周辺の異変は肌で感じ取っていた。

(何かがおかしい・・・)

「さ、急ぎましょう。魔物もそうですが、日が暮れるほうが心配ですから」

アガシンと一緒に後片付けを急ぐ。

サンプル採取は今日までで、明日の朝一番で野営地に戻る予定だ。

片付けも終わり避難所に戻ろうとしたが、気が付くと川の対岸の林からイエローベアーがこちらを見ている。
中には、低く唸りながら2人のほうに歩みよりだしている。

(まずいな・・・・)

「アガシンさん、ゆっくり後退するように避難所に向かってください。けっして背中を見せないように」
「は、はい・・・・」

2人は、ゆっくり後退しながら避難所のほうに向かう。
熊は、後姿を見せると襲いかかってくる習性があるからだ。

そうしている間にもイエローベアーがどんどん林から出てくる。

======================================
 名前:イエローベアー
 種族:魔物/動物

 Lv:25
======================================

(おかしい!イエローベアーは(つが)い以外では群れないはずなのに・・・この数は・・・)

避難所の入り口が見えたところで、アガシンに向かって叫ぶ!

「全力で走って!中に早く!」

フィりックは、剣を抜いて半身でイエローベアーを見ながら後退する。
既にイエローベアーは川を渡り2人に向かって走ってくる。

ガァアァァ!

そのうちフィりックも全力で避難所に向けて走り出す。
すでにアガシンは、中に入っており手招きをしながら、いつでも戸が閉められる体勢でいる。
転がるようにフィリックが避難所に入ると、アガシンは急いで戸を閉め(かんぬき)をかける。

「大丈夫ですか、フィリックさん!」
「ハァハァハァ、大丈夫です」

フィリックは、起き上がりながら答える。
入り口の小窓を開け外を伺うと、多数のイエローベアーが入り口の前をうろついており、どのイエローベアーも目が血走り興奮状態だ。
中にはイエローベアー同士で争いをしているのさえいた。

「こんなことは初めてだ。普通じゃない」

小窓を閉めながら、フィリックが呟く。

「ひょっとすると、今回の水質汚染と何か関係があるんでしょうか?」
「判りません。関係はアガシンさんたちの領分なんで、俺にはなんとも・・・」
「しかし困りましたね。明日になって静かになってくれればいいんですが・・・」

しかし、その願望も空しく翌朝も入り口の外には10頭近くのイエローベアーがうろついており、出るに出れない状況に陥るのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

(確かこのへんだよな)

カムイは、ハゴスから聞いたフィリックとアガシンが使っているであろう避難所を目指していた。

避難所が近づくにつれイエローベアーを見かけるようになり、そのどれもが目が血走り興奮状態だった。
カムイを見つけると襲ってくるものまでいたが、元々イエローベアー自体のLvは高くないため全て返り討ちにされる。

(イエローベアーから襲ってくるとは・・・)

カムイも図書館で調べた情報で、イエローベアーは臆病であると書いてあったのを記憶していたが、それと比べるとかなり凶暴化していた。

(とりあえず急ぐか)

足早に教えられた避難所を探すカムイ。


暫く進むと避難所はすぐに判った。

入り口を10頭ほどのイエローベアーに囲まれていた。
中には子熊までいた。

2頭死んでいるのを見て、カムイは感心する。
確か、フィリックと分かれたときにはLv18だったと記憶していた。

(へぇ~この状況で2頭も倒すなんて少しは腕を上げたか)

「さて、入り口のイエローベアーが邪魔だな」

念のため、バフ(強化魔法)はかけておく。

(スタンス、イベージョン、アキュラ)

カムイに注意が向くようゆっくり歩いて近づく。
イエローベアーもカムイに気が付いたようで、唸り声を上げながら襲い掛かってきた。
だが、難なくイエローベアーの横を擦り抜けていく。
擦り抜けたあとには、声を上げまもなく首を刎ねられ崩れ落ちるイエローベアーの死体だけが残る。
普通のイエローベアーであれば一目散に逃げるところだが、逃げずになおカムイに向かってくる。
子熊以外は首を刎ね、子熊だけはサンプルとして持ち帰るつもりなので、血を流さないよう回し蹴りで首の骨を折った。

討ち漏らしがないことを確認し、避難所に声をかける。

「アガシンさん、フィリック、無事ですか?」

小窓からフィリックが覗いているのが判った。

「カムイ!?」

閂の外れる音がして、避難所の中からフィリックが出てくる。

「ご存知の方ですか?」

フィリックに続いてアガシンと思われる人物も出てくる。

2人にカムイが派遣された経緯を説明する。

「そうですか。ハゴス主任の依頼ですか。随分心配をかけたようですね」
「でも、無事でなによりです。すぐに移動したいのですが、大丈夫ですか?」
「そうですね。今荷物を持ってきます」

アガシンは、避難所の中に戻っていく。

「しかし、やるじゃないか。あの状況下で2匹も倒し、クライアントまで守るとは少しは腕を上げたようだな」

確かにLvも上がっている。

======================================
 名前:フィリック(男)
 年齢:17歳
 種族:獣人
 クラス:ファイター
 職業:冒険者
 状態:健康

 Lv:25 
======================================

「なにがだ?」

カムイが何を言っているのか判らず、フィリックは不思議そうな顔をする。

「あの2匹はお前が倒したんじゃないのか?」

最初に倒れていた2匹を指差す。

「あぁ、あれは共倒れだ。俺がやったわけじゃない」
「なに・・・・?するとなにか。お前は1匹も倒すことなく避難所に逃げ込んだと?」
「そうだ」

返答を聞くや否やフィリックの頭にチョップを落とす。

「いってー!何すんだよ!」
「ちょっとでも感心した俺が馬鹿だったよ!俺の思いを返しやがれ!」
「知らね~よそんなの!何なんだよ一体」
「用意ができました・・・・?何かったんですか?」
「知らね~よ。カムイに聞いてくれ!」

結局、2人とも納得の行かないまま野営地に向かったのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「本当ですか?それは?」
「関連性があるかは判りませんが、イエローベアーが普通の状態ではなかったことは確かです。念のため、1頭サンプルとして持って帰ってきましたので、調査してみてください」
「助かります」

そう言ってテントの前に大の字で置かれた子熊を見る。

その横には同じように大の字になって息を切らしているフィリックがいた。


遡ること3時間前のこと。

「バカヤロー!なんで俺がこいつを運ばなきゃいけないんだ!お前が仕留めたんだからお前が持てよ!」
「俺の仕事はお前らを探して野営所に連れて帰ることだ」
「お前の仕事は?」
「・・・・水質調査の支援と護衛・・・・」
「だろ?だったらこのサンプルを持って帰るのはどっちの仕事だ?」
「クッ・・・・!!」
「それとも、あっちの親の・・「わ、判ったよ!持てばいいんだろ、持てば!」」
「最初からそう言え」


大の字になっているフィリックの側に行って声をかける。

「情けないなぁ~。殆ど俺が運んでやったってのに。たかだか5~60kgを持って1km歩いただけでこれだ。体力なさすぎだ」
「お、お前・・・ハァハァ・・・が・・・異常なんだよ・・・ハァハァ」

最初はフィリックに運ばせていたが、野営地に着くのに何時になるか判らないような常態だったため、残り1km以外はカムイが運んできた。

「後はお前の仕事だから俺は帰るわ。ま、頑張れ」

フィリックにそう声をかけ、野営地を後にするカムいだった。
研究員と一緒にいたのは、なんと弄られキャラになりつつあるフィリックでした。

カムイが最後(原因究明)まで手伝うかと思いきや、そこまでお人よしではなかったですね。


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のようにしたくてブログ始めました。
http://adventure00story.blog.fc2.com/
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ