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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第10節 30年振りの再会

30年振りに再会する兄弟。
弟の姿を見て兄は何を思うのか・・・・。

10/9 誤字・脱字、文章表現の一部を修正
ヘイマエの冒険者ギルドにローブを着込みフードを深く被った冒険者が現れた。
その冒険者は、受付に向かう。

「カムイという冒険者宛に指名依頼が来ていませんか?」
「少々お待ちください・・・あ、ありました」
「私がカムイです。手続きをお願いしたいのですが?」
「ギルドリングをお見せ頂けますか?」

カムイは、ギルドリングがはめられている左手を出す。

「確かに。では依頼完了後にこれにサインを頂いて再度提出下さい」

受付嬢は、依頼カードをカムイに渡す。
通常の依頼カードは、白紙に書かれているが指名依頼は黄紙に書かれていた。

===依頼カード=====================================
対象  :Dランク カムイ
内容  :遺体収容作業案内
報酬  :白金貨5枚
追加報酬:なし
依頼期間:なし
特記事項:なし
依頼主 :カニック・アレクサニン伯爵
==============================================

カムイは、依頼カードの報酬額を見て唖然とする。

(白金貨5枚って・・・・口止めも含んでるのかな・・・)

カウンターでいつものようにミックスジュースを注文する。
ミックスジュースが出てくる間、隣にいる冒険者に小声で囁く。

「俺になにか用か?」
「ピメンテル様が用意が出来たら屋敷に来て欲しいと」
「判ったと伝えろ」

出来上がったミックスジュースを受取り、依頼ボードに向かう。
カウンターでカムイの隣にいた男は既にいない。

特に一緒に受けられそうな依頼も見当たらない。
カムイは残ったミックスジュースを一気に飲み干し、アレクサニン伯爵邸に向かうのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

アレクサニン伯爵邸では、ほぼ出発の準備が整っていた。
騎士総勢150名が、軽装備に身を包み整列していた。
軽装備を着用するように勧めたのはカムイだ。
足場も悪く、魔物も出る森の中を行軍する。
遺体の掘り出しや輸送に重装備では作業にならないからだ。
ピメンテルも軽装備を着てカムイが来るのを待っていた。

「遅れましたか?」
「いや、時間前だし問題ありませんよ」

すると、カムイを待っていたかのように屋敷から軽装備に身を包んだ伯爵が出てきた。
まさかとは思ったが、カムイが伯爵の格好について聞く。

「伯爵、その格好は一体?」
「私も同行するからに決まっている」

カムイはピメンテルを見るが、首を横に振って困惑の表情を見せる。
恐らくピメンテルも止めたのだろうが、聞き入れて貰えなかったようだ。

「何があっても責任は持てませんよ?」
「判っている。それに魔獣はカムイが何とかするのだろう?」

そう言われてはカムイは苦笑いするしかない。
カムイは話を変える。

「ピメンテルさん、密偵は何名連れてきてます?」
「20名だ」
「その半数で、崖の上を調べさせて下さい。俺の予想では崖の上で襲撃されて、落ちたのではないかと思ってます」
「では、帝国側が襲ったのではないかと?」

カムイはそれに頷く。

「証拠を残すようなことはしてないとは思いますが、念のためどんな些細なことでもいいので隈無く探すようにしてください」

ピメンテルは伯爵を見る。

「カムイの言うとおりにしろ」
「判りました」

ピメンテルは一礼してその場を離れる。
既に、大体の位置は教えてあるので、何かの痕跡は残っているだろう。

暫くして、ピメンテルが戻ってきた。

「準備は整いました」
「うむ、では出発しよう」

アレクサニン伯爵一行は、魔獣の森を目指して移動を開始した。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ある屋敷の一室で、執事と思われる男から今回の件の報告を受けている人物がいた。

「なんだと!もう一度言ってみろ!」
「はっ!カニック・アレクサニン伯爵の弟君のご遺体が見つかったとのことです」
「そんなバカな、アレ(・・)は処分したと帝国から連絡があったのだろう?」
「はい。確かに連絡はありました」
「30年も経ってよもや私に繋がるような証拠は残ってないとは思うが・・・」
「如何いたしましょうか」
「反帝国のメンバーに対する監視を強化しろ。それに帝国側にも再度確認を入れろ」
「畏まりました」

執事が出て行ったあとその男は呟く。

「ようやくここまできたのだ・・・誰であろうと邪魔はさせん!」

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイたちは魔獣の森の中を遺体のある場所に向けて行軍していた。
騎士たちは無言でカムイの後に付いて来る。
伯爵も普段から鍛錬は怠っていないのだろう。
もう60になろうかという歳らしいが、しっかりした足取りで付いて来る。
途中、魔物が襲ってくるが、100人を超える騎士の集団に敵う訳もなく屠られている。
また、行軍や遺体収容に邪魔になる木々は切り倒していった。
そのため、遺体のある場所には、前回来た時より時間がかかっていた。

馬車は破壊されたまま、遺体も白骨化し土から剥き出しになっているもの、半分埋まっているものとかの惨状をみて声が出ないようだが、それでもうろたえる者は誰もいなかった。

「黙祷!」

伯爵の声に合わせて、全員が1分間の黙祷を行う。

黙祷が終ると、早速遺体の回収作業に取り掛かる。
ルルデスに全員を必ず弔うと言ったが、それには数日かかるだろうと思われた。

カムイは、伯爵とピメンテル、遺体を収容する木箱を持った騎士たちをリュックの遺体を見つけた穴へと案内する。
そこには、カムイが残してきたままの状態で白骨が丸くなっていた。

3人は改めて拝み、冥福を祈った。
伯爵は、遺体に声をかける。

「30年も待たせて悪かったな・・・」

カムイが遺体を見つけたときには気が付かなかったが、首にはロケットがかかっていた。
伯爵は、それをを丁寧に外し、ロケットの中を開ける。
その中には、ルルデス、伯爵、そしてリュックだと思われる3人が仲良く寄り添っている絵がはめられていた。

「これは、留学する際に弟に贈ったものでな・・・・」

伯爵は、そこで言葉を詰まらせた。
その背中は泣いているようにも見えた。
だが、いつまでもこうしている訳にはいかないため、控えている騎士たちに収容のための木箱を持ってこさせる。
リュックの遺体だけは、自らが納める気のようだ。
白骨化した遺体を丁寧に木箱に納めていく。

グワアアアアァァァァァァ!

その時、森の静けさを打ち破り、森の空気を振るわせる咆哮があった。

(気づかれたか)

その時だった、マップ上に赤いマーカーが見え隠れするようになってきた。
カムイが感じる気配も、これまでの魔物より大物であることを示していた。

「申し訳ありませんが、出番が来たようなので暫くここを離れます。後はよろしくお願いします」

カムイは言うが早いか、森の奥に向かって走り出した。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

森の奥では、魔獣と呼ばれる存在が静かに横たわり眠っていた。

先日も、森の中を小さな気配が入ってきたが、森を荒らす風でも無かったため放っていた。
それは、カムイがリュックの遺体を見つけに来たときのことだ。

だが、今回は100人を越える人間が自分のテリトリーに踏み入り、魔物を狩り、木々をなぎ倒していく。
挙句には、土を掘り起こし何かを持ち出そうとしている。

魔獣はゆっくり起き上がり『ここは、俺の土地だ!ここにあるものは全て俺の物だ!勝手に持っていくことは許さん!』とばかりに吼える。

ガヲォォォォォィ~!!

その巨体を揺すり、人の気配が集まっている方向目指し歩を進めるのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「ピメンテル、付いていってやれ」
「畏まりました」

初めから申し合わせていたのだろう。
ピメンテル他数人がカムイの後を追うように付いてくる。

(全力ではないが、このスピードについてくるとは、精鋭でも揃えたか・・・)
(クッ!この足場でなんというスピードだ。付いていくのがやっととは・・・)

それぞれの思いは異なるが、確実に魔獣との距離を詰める。

魔獣のほうも何かを感じ取ったのか、遺体現場から一定の距離で様子を伺っているようだった。

5分ほど疾走したところで、遠めからでも魔獣の姿が確認できるようになる。

「レイドモンスター!?」

思わす、口に出すカムイ。

そこにいたのは、体長5mはあろうかというDランクレイドモンスターだった。

======================================
 名前:フンババ
 種族:Dランクレイド/動物

 Lv:29

 体力:36,000 魔力:2000

 スキル:フレイム Lv10
     ポイズン Lv10

======================================

目の前にいるのは紛れもないフンババだった。
顔はライオンであり、身体は野牛でライオンの顔の頭部には野牛の角が生えていた。
前後の足にはハゲタカの爪、尾は蛇になっており、触れると恐怖に陥るというオーラを纏っていた。
まさに、伝承に伝えられる姿そのままだった。

(フンババって、神話に出てくる森の番人じゃなかったか?)

ただ、なんであれ遺骨の回収を邪魔される訳にはいかない。

「このまま大人しく引いてくれるってことはないよな・・・・」

グワァァァァァァ!

フンババは、カムイたちを威嚇するように咆哮する。

(もうやる気満々だな・・・)

「ここからは俺の領分だ。手を出すなよ!」

姿こそ見せていないが、ピメンテル他密偵に『手出し無用』と釘を刺すのだった。
アレクサニン伯爵は、白骨化した弟との対面を果たしました。

一方、魔獣と思っていたのは、実はレイドモンスター。
しかも、メソポタミア神話にも出てくるフンババでした。
カムイはどう戦うのでしょうか・・・・?


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のようにしたくてブログ始めました。
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