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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第3章 冒険者 揺籃編

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第9節 過去からのバースデープレゼント

前節、鉱山を探す際にキラッと光ったものが気になったカムイ。
再度ルタイ山地にやってきたカムイが見つけたものとは・・・・。

10/8 誤字・脱字、文章表現の変更をしました。
カムイは、再度ルタイ山地にきていた。
クリスタル鋼の鉱山を探す際に、魔獣の森で光った物がどうしても気になったからだ。

「この辺りで光が見えたんだよなぁ」

あのときは鉱山を見つけるの先だったために、朧げながらにしか光った位置が判らなかった。
なので、再度同じ時間同じ位置でを狙ってロープでぶら下がっている。

チカチカ!

「光った!よし!大体の位置は掴めた」

ロープをよじ登り後片付けをしたあと、魔獣の森に向かう。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

魔獣の森は、木が鬱蒼と生い茂り360度どこを見ても木しかなく、特徴のない似たような風景が続いている。
また、足場が悪くまっすぐ進めないためなかなか目的地に進むことが出来ないでいた。

目的地についたのは、森に入ってから1時間ほど経過していた。

そこには、何台かの馬車の残骸があり、何十年と放置されていたのか、苔やキノコ類が蔓延(はびこ)っていた。
馬車は、壊れたというより破壊されたといった表現のほうが正しいくらい無残なものだった。
カムイが見た光の正体は、破壊された馬車の中にある割れた鏡の一部が光に反射したもののようだ。

また、馬車の周りにはかなりの数の鎧を着たままの人骨や剣、盾が散乱し、燕尾服やメイド服だろうか使用人らしき人骨も散乱していた。
そう考えると、かなり身分の高い人が乗っていた馬車であることは間違いなさそうだ。

「でも、なぜこんな森に?」

カムイは、図書館で得た情報を記憶の底から思い返すが、マップがあることから元々地理に関する情報は集めていなかった。

(今度行ったときに、地理の情報も読むか・・・・)

20mほど東に行けばルタイ山地の断崖が聳え立ち、マップではこの上も森のように見える。

暫く辺りを探索してみると、断崖の一部に穴のように窪んでいる部分があった。
覗き込んでみると、大事そうに木箱を抱え丸くなった白骨死体があった。
大きさからいって、まだ10代前半といったところか。
両足にはヒビが入っており、明らかに骨折の跡らしかった。

(上の森で迷って誤って下に落ちた・・・・?。でもなんで・・・・)

胸ポケットには、手帳のようなものが入っていた。

それは、日記のようだった。
虫食い状態だったが、なんとか読める部分だけを読んでみると、どうやら姉の誕生日に合わせ留学先のトツイ帝国から一時帰国するところだったらしい。
大事に抱えていたのは、その姉への送り物だったようだ。
悪いと思いつつ木箱を開けてみると、そこにはお手製なのだろう女性の形をモチーフにしたワイン差しとグラスが割れずに入っていた。
手帳の持ち主の名前を探すと、裏表紙にリュック・アレクサニンと書かれていた。

(アレクサニン伯爵家と縁の者か)

このまま放置しても良かったのだが、偶然が重なりこの遺体を見つけたこともあり、ちゃんと弔ってもらったほうがいいだろうと思い取りあえず報告にだけは行くことにした。

ただ、相手は伯爵である。
一介の冒険者風情に会ってもらえるかどうか不安が残る。
そのため、先ほど見つけた盾を埋もれている死体から剥ぎ取り持っていくことにした。

(これでダメなら、縁が無かったと諦めよう)

カムイは、ヘイマエに戻るのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、今、王都のアレクサニン伯爵邸の一室にいる。


ヘイマエの伯爵邸に行ったところ、伯爵は王都に出かけているとのことだった。

カムイは、王都に移動しアレクサニン伯爵邸へと向かった。
門番に、リュック・アレクサニン様の行方について話したいことがあるから取り次いで欲しいとお願いしたが、若い門番は『リュック・アレクサニンって誰だ?』と言って取り合ってもらえなかった。

(何十年も前の話だし、皆知らないんだろうな・・・・)

そう思いつつも、暫く食い下がっていると隊長らしき人物が出てきた。

「なにを騒いでおる!」
「はっ!隊長!この冒険者がリュック・アレクサニンなる人物について話があると言ってしつこいので追い返そうとしているところであります」
「おい、今誰と言った!」
「リュック・アレクサニンです!」
「ばかもん!そのお方は30年前に行方知らずになった伯爵の弟君の名前だ!」
「えっ!?」

若い門番を叱りつけたあと、カムイに向き直る。

「冒険者殿。貴殿の名前は?」
「カムイです」
「カムイ殿、本当にリュック様のことを知っているのであれば、伯爵様に報告しなければならん。ただ、証言だけでは信用してもらえない可能性が大きい。なにか証拠になるようなものはないか?」
「これではダメでしょうか?」

馬車の側に落ちていた盾を袋から取り出す。

「裏に持ち主の名前が書いてあります」

隊長は、裏の名前を見て驚く。

「すまんが、今から伯爵様に取り次いでくるから、暫く待っていてくれ」
「判りました」

隊長は、駆け足に屋敷内に入っていった。
若い門番は、なにが起きているのか訳もわからず、立ち尽くしていた。

5分ほどして、隊長が戻ってきた。

「伯爵様がお会いになるそうだ。一緒に付いて来てくれ」

カムイは、隊長について屋敷の中に入っていく。

「しかし、あの盾だけでよく信用しましたね」
「その盾にあった名前は、俺の兄の名前だったからな」

カムイは、その偶然に驚いた。
そして、応接室に通された。

「伯爵は、今、接客中でな。もう暫くかかかるかもしれないが、ここで待っていていてくれ」
「判りました」

座って待っていると、メイドがお茶とお茶うけのお菓子を置いていった。

20分くらいたった頃だった。
初老に手が届こうかと言った感じの紳士が執事らしき人物と一緒に入ってきた。

「待たせたね。カニック・アレクサニンだ」

カムイは、ソファから立ち上がり挨拶をする。

「ヴューベルで冒険者をやっていますカムイです」
「ヴューベル?また随分遠いところから来たんだな。まぁ、座りなさい」

そう言って、自分もカムイの正面に座る。

「ピメンテル。彼にお茶のお替りを」
「あ、出来ましたら。ジュースにして頂けると・・・」

恥ずかしそうに、カムイが答えるのをみて笑いながらピメンテルにジュースを用意させる。

「さっそく、話を聞きたいところだんだが、もう一人どうしても一緒に話を聞いて欲しい人物が来るのでな。それまで待って貰えるだろうか」
「構いません」

おそらく、リュックの姉に当たる人物を呼びに行かせているのだろう。
すると廊下から、靴音を響かせながら走ってくる音が聞こえ来ると同時に、勢い良く扉が開かれ伯爵より少し年上だろうか中年の女性が駆け込んできた。

「リュックの手がかりが見つかったって本当?」

入ってくるなり大きな声で伯爵に詰め寄る。

「姉上、客人の前ですよ。もう少し落ち着いて「これが落ち着いていられますか!」」

そして、カムイを見るなりソファに座ることもせず、テーブル越しに捲くし立てるように質問をしてくる。

「リュックはどこなの?生きているの?」
「姉上、だから落ち着いて下さい。それでは彼も話したくても話せませんよ」

再度、伯爵に注意され、ようやく自分がしていることに気が付く。

「そ、そうね・・・ごめんなさい」

そう言って、ソファに腰を下ろす。

「突然で驚いたろう?彼女は、私とリュックの姉でルルデス。今はマルティロシン伯爵に嫁いでいるからルルデス・マルティロシン伯爵夫人かな」
「ヴューベルで冒険者をやっていますカムイです」
「ルルデス・マルティロシンよ。さっきは取り乱してごめんねさいね」
「いえ」
「じゃ、さっそくだが君が知っていることを話してくれ」

カムイは、ルタイ山地での出来事を話す。

・クリスタル鋼を採掘に来た際、偶然魔獣の森から壊れた馬車が反射する光を見つけたこと。
・光が気になり森に入ると壊れた馬車や白骨化した遺体が散乱しているのを見つけたこと。
・そして周辺を探索したところ、ルタイ山地の断崖の下の窪みに大事そうに木箱を抱え両足が骨折していた白骨死体があったこと。
・悪いと思いつつ、身元を調べるため胸ポケットにあった手帳を読んだこと。
・手帳の裏表紙にリュック・アレクサニンと署名があったこと。
・これも何かの縁と思い、せめてちゃんとした弔いをして欲しく今日伺ったこと。

そして、遺品となる木箱と手帳を机に置いていく。

カムイの説明を2人は黙って聞いていた。
最初は随分取り乱していたルルデスも、涙を流していたが取り乱すようなことはなかった。
そして、静かにカムイに話しかける。

「そうですか、やはりあの子は亡くなっていましたか・・・」
「姉上・・・」
「あの子が行方不明になったと聞いてから、もしやと思い続けてきましたが・・・。カムイと言いましたね」
「はい」
「この通り礼を申し上げます。よくぞあの子を見つけて下さいました」
「私からもこの通りだ」
「お顔をお上げ下さい。ただ偶然が重なっただけですので」
「それでもです。あなたがその光に興味を持ち森に入ったこと、周囲を探索し弟の亡骸を見つけてくれたこと、弔いをして欲しいと願ったこと、そのどれもが欠けていればこうやって弟と巡り合うことはなかったでしょう。本当にありがとう」

ルルデスは、再度カムイに頭を下げる。

「伯爵、後はお任せしても大丈夫ですね」
「はい。姉上。リュックをはじめ亡くなった全員の亡骸を必ず見つけ弔います」
「お願いします。この手帳と箱は暫く預かってもいいかしら?」
「これは元々リュック様のものですから」
「そうだったわね。伯爵、後で屋敷のほうに届けて頂戴」
「判りました。姉上」

そう言うと、立ち上がり部屋を出て行こうとするが、振り返りカムイに声をかける。

「今回の件、本当に礼を言います。何か困ったことがあればいつでも尋ねてらっしゃい」
「ありがとうございます」

カムイは立ち上がりお礼を述べると、ルルデスは頷いて部屋を出て行った。

「強い女性(ヒト)ですね」

カムイがそう呟くと、

「あぁ。昔から変わってない」

伯爵がそれに同意するのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ルルデスが出て行ったあと、伯爵が報酬の話を切り出そうとする。

「今回の報酬の件なんだが「その前に裏の話を教えてくれませんか?」・・・」

カムイの口調も普段通りの口調に戻っている。

「裏の話とは?」
「とぼけても無駄ですよ。さっきはご婦人の手前言いませんでしたが、馬車や護衛の遺体に明らかに魔物とは違う剣や矢の跡が無数ありました。あきらかに誰かに襲撃された跡です。誰に襲撃されたか見当はついているんじゃないですか?」
「なぜそう思う」
「なぜ?では聞きますが、そこのピメンテルさんでしたっけ?それ以外に6人も見張りを付けるのは何故です?隙あらば亡き者にしようととでも思いましたか?」

ピメンテルを含め見張り全員が驚く。

「はぁ~、後のカーテン裏とドアの外にいる者は鍛えなおしたほうがいいですよ。指摘されただけで動揺するようでは二流ですよ」
「その通りだな」

カムイの指摘にピメンテルが呆れたように答える。

カムイは袋から1通の封書を取り出す。

「その箱が二重底になってて中に入ってたものです。敵はこれが目的だったんじゃないですか」
「読んだのか!?」
「読みましたよ。ただ暗号文みたいでしたので何が書いてあるか判りませんでしたが」

そう言って肩をすぼめる。

「これ以上踏み込むと後戻りできなくなるぞ?」
「どこの誰だか判らない者に狙われるのはゴメンですよ。それに誰か判らないと仕返しもできやしない」
「ククク、そりゃそうだ」
「ピメンテル!」
「伯爵様、どうやらこの男は敵に回さない方がいいタイプの人間のようです」
「味方になるかも判りませんけどね」

カムイはそう言ってニヤッと笑うのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「それで報酬の件でしたか・・・今回のは貸し(・・)でいいですよ。そのかわり」
「その代わり?」
「遺体の回収に同行させて欲しいんですよ」
「遺体の?カムイになんのメリットがある?」

確かに、遺体を回収するだけなら場所さえ教えれば伯爵家が人を派遣すれば済むはずだ。

「俺の狙いは別のところにあります」
魔獣か(・・・)?」

ピメンテルがカムイの目的を言い当てる。

「魔獣?どういうことだピメンテル」
「リュック様の遺体があるのは、魔獣の森と言われる場所の中にあります。そこに大勢の人間が立ち入れば魔獣が姿を現すと言っているのですよ。そして、カムイはそれを討伐する気でいます」
「さすが、頭目と言ったところですね。でもそれでは50点です・・・・」

カムイがニヤニヤしながら、伯爵とピメンテルを見ている。
伯爵は、カムイがなにを考えているのか判っていない。
しかし、ピメンテルは暫く考えて驚いた表情でカムイを見る。

「まさか!」
「どうしたピメンテル。何か判ったのか?」

(なんてことを考える小僧だ・・・・やはり敵に回すべきではないな)

「今回の遺体回収を餌にするつもりか?」
「餌?」
「今回の遺体回収の件は、必ず敵方にも話として伝わるはずです。カムイはその敵の出方を見るつもりのようです」
「・・・・・」

伯爵は声も無い。

「さすがですね。俺の説明の手間が省けて助かりますよ。まぁ、餌に喰いつくかどうか判りませんから、それに関してはお任せすることになると思いますが・・・・。俺にはそうですね・・・第一発見者として道案内役で指名依頼をギルドに出してもらいましょうか」
「なぜ、ギルドを通す必要がある?」
「あぁ。すいません。それは俺の個人的な理由です。ウチのギルドのお姉さん方に働け、働けと催促されるもんですから」

カムイはギルドリングを見せながら言う。

「確かにこれだけの頭脳、技能があれば、Dランクはサボリすぎだな」
「酷いなぁ。サボってはいないんですよ?それよりもやることが多い(・・・・・・・)だけなんで」
「ははははは。面白いヤツだ。分かったギルドには手配しておこう。ピメンテル」
「はい。明日朝一番に手配するように致します」

伯爵は笑いながらギルドへの手配を了承する。

「で、そろそろ教えて貰えませんか?帝国と繋がっているであろう人物を」
見つけたのは、30年前に行方不明になったアレクサニン伯爵の弟の遺体。
どうも政治的な匂いがプンプンしてきます。
ただ、残念ながら2章では本件についてはあまり出てきません。
(3章以降かなぁ・・・・)

あと、あまり誕生日について触れられてませんね、本文・・・・^^;


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。

設定資料集のようにしたくてブログ始めました。
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