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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第1章 ルロワ村編

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第3節 迷子の冒険者

ルロワ村人たちとの対面です。
どうなりますか・・・。
「ちょっとは落ちついたか?」

カムイは子供たちが逃げているうちに落としたであろう水筒を拾い、渡しながら声を掛ける。
子供たちも、魔物が倒され危険が去ったと理解したのか、安心した表情で差し出された水筒を受け取り、口に運んで一息ついた感じだ。
ただ、今度はカムイの風貌を見て警戒するような態度を取って来た。
特に妹のほうは、兄の背中に隠れて出てこようとしない。
まぁ、こんな怪しげな風貌じゃ仕方ないかと苦笑する。

「俺はカムイ。駆け出しだけど冒険者だ」

冒険者と聞いて少しは安心したのか子供たちは、兄はライ、妹はアイナと名乗りお礼を言ってきた。

「助けてくれてありがとう」

二人には、たまたま近くを歩いていたら声が聞こえてきただけだから、助けたことは気にする必要はないと言っておいた。
ただ、相手は子供だが、少しでも情報は欲しいところ。
色々話しが聞きたいと声を掛けようとしたが、『そろそろ、父さんたちが心配するから俺たち村に帰らないと・・・』とのこと。
そう言われるとこれ以上の足止めは難しいが、カムイとしてもせっかくの情報収集の機会を逃す訳にもいかない。
そこで1つのお願いをしてみる。

「俺も村に連れてってもらえないか」

ライは、最初は難色を示すような顔をしたが助けてもらったこともあり、『村に入るには父さんたちに相談が必要だから、それまで村の外で待ってくれるなら・・・』と結局は村まで付いて行くことについては同意してくれた。

(これでも、少しはこの世界のことが判るかも)

そう思いつつ、子供たちの後をついて行こうとしたが、不意にライから疑問の声を掛けられた。

「でも、カムイ兄ちゃん、なんでこんなところにいたの?」
「なんでって?」

ライが言うには、この辺りは首都から離れた辺境であり強い魔物もいないため、冒険者なんかほとんど来ないのだとか。
だから、駆け出しとはいえなんでこんなところにいたのかが不思議だと。
カムイは、森に転移してきたと言っても理解して貰えないだろうなと思い適当に誤魔化すことにした。

「・・・もり・・ご・・・」
「えっ?なに?」
「始めての森に迷子になってた・・・」

そういって、頬をポリポリと指で掻いた。で、暫くの間が空いたあと、

「ギャハハハハハハ!」
「フフフフフ」

と、ライとアイナに大笑いされてしまうのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

今、ライとアイナに手を引かれながら村に向かって歩いている。
最初は、異様な風貌なカムイに対し警戒していた様子があったが、『迷子』発言から一転、道が判らない可愛そうな人的な扱いになっていた。
まぁ、避けられるよりはいいかと苦笑しながらも、二人にこの世界のことを聞いた。

ライたちが住んでいるのはルロワ村。
ルロワ村は、ベギール王国(首都セリュルブ)のロトクルイド男爵領に属している。
ロトクルイド男爵領の中心地はヴューベル。ただし、途中ベトンを経由する必要がある。
それぞれの町は、ルロワを村とすると、ベトンは町、ヴューベルは市といった規模のようだ。
ベギール王国は、北にランダ王国、南にランス共和国、東をトツイ帝国、西(海峡を挟んで)ニグイランド公国があるらしい。

子供たちも、これ以上の詳細は知らないようだった。なにせ、ライですらベトンに行ったのは2回くらいしかないらしい
ただ、『カムイ兄ちゃん何も知らないんだな。迷子になるといい、良くそれで冒険者になろうと思ったな』とツッコまれた時はさすがに笑うしかなかった。

そんな話をしていると村についたのか、入り口辺りで数人の村人が集まっているのが見えた。
ライとアイナの帰りが遅いので心配で集まってたようだ。

「父さん、母さん!」

そう言って、ライとアイナは両親らしき村人に駆けていった。
そしてなにやら話をしているが、その間チラチラこちらを見ているので、帰りが遅くなった理由とか、魔物に襲われていたのをカムイに助けられたこととかを話しているのだろう。

そのうち、ライと話をしていた一人の男性がカムイのそばに寄って頭を下げてきた。

「ライとアイナの父でルークという。二人を魔物から助けて頂いたとか。ありがとう」
「いえ、偶然近くを通りかかっただけで、運が良かっただけです。あ、申し送れましたカムイと言います」
「聞いたところ、森で迷子になってたとか」
「えぇ、色々込み入った事情がありまして・・・(ライのヤツそこまで話したのか、恥ずかしいじゃねぇか)」
「その・・・よければ話を聞かせて貰えないだろうか」
「そのつもりでしたので、構いません」
「では、付いてきてもらえるだろうか」

カムイは、ルークのあとについて村に入っていった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カムイは、集会所のようなところに座っていた。
周りには主だったであろう村人たちが集まっていた。
その中心にいた初老の老人が口を開くことで話が始まった。

「ようこそいらしたお客人。ここはルロワという小さな農村じゃ。儂は村長を務めるラナップという」
「カムイです」

どう対応したらいいか判らず、軽く会釈をする程度に頭を下げる。

「カムイ殿と申すか。まずは子供たちを魔物から救って頂いて礼を言う」

村長に合わせ隣に座っていたルークも一緒に頭を下げる。

「ルークさんにも言いましたが、二人を助けたのはまったくの偶然ですので、そこまで気を使って頂かなくても結構です。あと、呼ばれ慣れてないので敬称(殿)は勘弁して下さい。カムイと呼んで頂ければ問題ありませんので」

カムイは、そういって相好を崩す。

「では、カムイと呼ばせて貰おう。さっそくじゃが、ルークから聞いた話では森に居たのには何か事情があるとか。子供たちからは初めての森で迷子になっていたと聞いたが」
「迷子になっていたのは事実なんですが・・・・」

カムイはここで一瞬言い淀むが、意を決して言葉を続けた。

「おそらくですが、俺はこの世界(・・・・)の人間ではありません」

カムイの発言に村人たちがザワつく。
『なにを言っているんだ』『気でも触れているのか』と。
中には、意怪しげな視線を送ってくる村人までいた。

「静まりなさい!」

村長がその喧騒を制する。

「カムイよ。お主が嘘を言っているとは思わぬが俄かに信じられぬ。そう思う理由を聞いても良いか」
「ライたちから聞きましたが、この国はベギール王国と言うそうですね。」
「その通りじゃ」
「ですが、俺がいた世界ではそのような国は存在しません(・・・・・・)。ベギール王国だけではありません。ランダ王国、ランス共和国、トツイ帝国、ニグイランド公国と接しているようですが、そのいずれの国も存在しないのです」

カムイは、はっきりと言った。『知らない』ではなく『存在しない』と。
そういうと、いっそうザワめきが大きくなる。
カムイは、続けて話をする。

「逆に、皆さんはニホンという国をご存じでしょうか?」

村人からは、『知らない』『聞いたことがない』といった声が聞こえてきた。

「そのニホンが、俺が生まれ育った国なのです」

カムイは、なぜ森に居たのかを含めこれまでの経緯を話し始めた。

幼い頃に両親を事故で無くしたこと。
それからは、祖父と二人暮らしだったこと。
その祖父も昨年他界したため、独り立ちを決意したこと。

ここまでは、リアル(・・・)に事実だった。
これ以降は、子供たちと村に向かう間に考えていた内容だったが、淡々と説明をする。

祖父が亡くなった後で判ったことだが、昔は結構有名な冒険者だったらしいこと。
遺品には、色々な武具や道具があり、中には見慣れないマジックアイテム(魔道具)まであったこと。
その1つに触れた途端身体が光に包まれ気が付いたらあの森にいたこと。
情報が欲しくて人里を探して森を徘徊してたら、偶然子供たちが魔物に襲われていたので助けたこと。

「さっき、『おそらく』といったのは、俺自身も状況がよく呑み込めてないのが本音だからです。触れたマジックアイテム(魔道具)が転移系のもので、長年放置されていたため暴走したんじゃないかというのが俺の推測ですが、はっきりした理由は俺にも判りません」

話が終わることには、集会場は静まり返っていた。
カムイは、村人たちの反応を静かに見守った。
そんな中、村長が静かに口を開く。

「あまりにも突拍子もないことで素直に信じられることではないのぅ」
「話をしている俺でさえ信じられませんので、仕方がないことだとは思いますが、俺にはこれ以上の説明のしようがありませんので・・・」

集まった村人たちも困惑の雰囲気が漂っているのが判る。

「カムイが嘘をついているようには見えんが、違う世界の人間かどうかについての真偽は我等には判断ができん。どうしたものか・・・」

集まった村人も押し黙って沈黙が続く。

このままでは、悪戯に時間ばかりが過ぎていくと判断したカムイは、『明日には出ていくので今晩一晩だけ、納屋でもいいので寝泊りができる場所を提供してもらえないか』とお願いしてみた。

その提案に、『そのくらいではあればいいんじゃないか』『見知らぬ者を村に留めるのはどうか』といった声が上がり、またザワつきはじめた。そんな中、一人の村人が声を上げた。ライとアイナの父ルークだった。

「子供たちを助けてもらった恩人を、そんなところに寝泊りさせることはできない。大したもてなしはできないが、それでも家に来てほしい。」

と頭を下げてきた。
俺は一瞬驚いた。そんな提案をされるとは思っていなかった。

「見も知らぬ俺でもいいんですか?」
「それでも、子供たちの恩人であることには変わりがない。それに・・・・」

ルークは少し間をおいて、

「カムイをそんな扱いにしたら、俺がサティに怒られる・・・」

そう言うと、一瞬の静けさのあと村人たちからドッと笑いが起こった。
サティとは、どうやらルークの奥さんらしい。
『確かに』『サティは怒ると怖え~からな』『相変わらず尻にしかれてんな』とか言われているようだ。

場が一気に和んだところで、村長が決定を下す。

「では、カムイはルークのところに任せるとしよう。カムイも1日と言わず暫く滞在するといい」

その決定に対して、村人からは誰も異論は出なかったのだった。
暫くは、ルロワ村での滞在記になります。

お読み頂きありがとう御座います。
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