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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第2章 冒険者 黎明編

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幕間 知らぬは本人ばかりなり

初めての幕間です。
如何にしてスフライドが盗賊を退治するのかお手並み拝見です。
まぁ、実際の作戦の立案は、スフライドではないんですがね・・・^^;
スフライドは、牛歩亭を出てからなるべく平静を装いながら、屋敷への帰路を急いでいた。

(カムイの言うことが本当なら、男爵様の責任は免れないぞ・・・。なんとしても秘密裏に処理しなければ!)

そう思うと、自然に足も速くなる。

その間に、先ほどの密偵がカムイに渡された地図を元に確認した結果をスフライドに伝えていた。

「彼のいう通り、盗賊のアジトに間違いありませんでした」
「そうか」

密偵からカムイが書いた地図を受け取りながら指示を出す。

「カスミ。悪いが見つからぬよう監視をしてくれ」
「判りました」
「何か動きがあれば連絡を」

カスミと呼ばれた密偵は、頷くと闇の中に消えていった。


屋敷に到着すると、門番への挨拶もそこそこに出迎えた近衛隊員に男爵の居場所を確認する。

「今、男爵様はどちらに?」
「執務室に居られるかと」
「判った。それと、コロバルト殿を探して至急執務室に来てもらうよう伝えてくれ」
「了解しました」

敬礼して下がろうとした隊員に追加で指示を出す。

「あぁ、それから、騎士団の面々はまだ残っているか?」
「まだ、控え室にいると思いますが・・・」
「なら、男爵様から通達事項があるので、まだ帰宅しないよう伝えてくれ」
「了解しました」

団員を見送ったあとスフライドは、急いで執務室に向かう。

トントン!

「男爵様、スフライドです」
「入れ」
「失礼します」

執務室に入るなり、厳しい顔をしたスフライドを見て男爵が用件を聞く。

「どうした。何かあったのか」
「はっ!実は・・・」

説明を行おうと思ったところに、『トントン!』とドアを叩く音がした。

「誰だ」
「コロバルトでございます。スフライド様から至急執務室に来るようにと仰せつかりましたので参りました」

その言葉に、スフライドは頷く。

「入れ」
「失礼致します。お呼びとお聞きしましたが?」

「これからお話する内容は、当家に取って一大事になり兼ねないと思い、コロバルト殿にも来て頂きました」
「話せ」
「実は・・・・」


スフライドは、カムイから聞いた内容をそのまま伝えた。

「何だと!それは本当か!」

それを聞いた男爵は顔を真っ赤にして大声を上げる。
コロバルトも信じられないといった顔をしている。

「すでにカスミに裏を取らせましたが、盗賊団がいるのは間違いがないようです」
「なんてことだ・・・」

男爵は、力なく『ドカッ』と椅子に腰を落とす。

「それで、当のカムイはなんと言っていた」
「はい。『このことについはまだ誰にも話していないため、できれば男爵様のほうで秘密裏に処理して欲しい』と」

誰にも話をしていないと聞いて、少しホッとする。

「ただ」
「ただ?」
「『知らなかったとはいえ、無断で西の森に入ったことについては不問にして欲しい』そうです」

(本当に知らなかったかどうかは怪しいものだが・・・)

「それについては判った。これだけの情報との引き換えだ、不問どころか褒美を出したいところだ」
「そうしますと、彼の意に反することになりますが・・・」
「判っておる」
「しかし、困りましたな。秘密裏に処理と言われましても、誰が盗賊と繋がっているのかが判らなければ、盗賊を捕まえたとしても騎士団内部から敵対勢力に情報を売られる可能性がありますが・・・」
「内通者と盗賊を一網打尽にする必要があるということだな」

それが情報を外に漏らさない方法であることは、誰もが判っていた。

「それについてですが、私に1つ案が御座います」

 △▼△▼△▼△▼△▼△

男爵から通達があると言われ、訓練所に集められた第一から第三分隊の騎士団の面々は、なんの通達だろうかとザワついていた。
そんな中、男爵がスフライドを伴って入ってきた。

「気をつけ~敬礼」

第一分隊長の号令のもと、騎士団全員が男爵に敬礼する。

「遅くなって申し訳ない。楽にしてくれ」
「休め!」
「今日集まって貰ったのは、現在行っている西の森の定期巡回についてである」

男爵は、周囲を見渡しながら情報を伝える振りをしながら、怪しい動きをする者がいないか確認する。

「当初より効率化のために分隊毎に区割りを決め巡回を行ってきたが、最近効率化の名目の元、危機感が希薄になっているのではないかと感じている」

この言葉に、騎士団の団員達がざわめくが、それを男爵が手で制止続ける。

「もちろん、諸君達が手を抜いていると思ってはいない。しかし、何事もそうだが長らく同じことを続けていると、慣れというものに対し知らず知らずの内に重要なことを見落とすといったことは一般社会でも多々あり、諸君らにも少なからず経験はあるだろう。私はそれに対し危機感を抱いていた。そこで、明日からの定期巡回は巡回場所をローテーションしてもらおうと思っている。もちろん今回だけではなく、定期的にローテーションは行う予定だ。ローテーション先については、明日の巡回前に各隊長に連絡する。通達事項は以上だ。質問はあるか?」

男爵の話を聞いて、多少のザワつきはあったものの意図としては理解して貰えたようだ。
そのとき、第二分隊長からが挙手をする。

「男爵様、質問よろしいでしょうか」
「構わん。言ってみろ」
「男爵様の言わんとされることは理解しましたが、そうすると不慣れな場所を巡回するために時間が掛かり、効率化という点からかけ離れると思われますがその点は如何お思いでしょうか?」

男爵とスフライドは、内心撒き餌に喰いついたと思った。

「確かに、最初は不慣れな場所を巡回するために時間が掛かるかもしれないが、慣れるのに何日も掛かる訳ではあるまい?いつどんな時どんな場所でも魔物から街や市民を守るために君たちは日ごろから訓練しているはずではないのかね?」
「それは・・・・」

男爵は、ワザと魔物にしか触れず盗賊という言葉を使わなかった。
ちょっとしたことで、警戒されると困るからだ。

「それとも何かね。君たち第二分隊は慣れた場所でなければ、訓練の成果は出せないとでも言うのかね?」

更に、第二分隊の自尊心を刺激する。

「いえ、決してそんなことはありません!」

第二分隊長も慌てて、それを否定する。

「ならば何も問題あるまい?他に質問がある者はいるかね?」

もう一度一同を見回し、質問があるか問う男爵。

「無ければ、明日からよろしく頼む」

そう言ってその場を去ろうとする男爵に第一分隊長の号令が掛かる。

「気をつけ~敬礼」

そして、騎士団の隊員は解散しおのおの帰路に就く。
浮かない顔の1人の団員を残して・・・。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

第一近衛隊、第二近衛隊が屋敷に最小限の人員だけ残し、アジトから100m程離れた場所に集合していた。
はじめから散会していると、どこからやってくるか判らない内通者に見つかる可能性を考慮し、アジト付近にはカスミだけを配置しネズミが掛かるのを待っていた。
今日は全員、音の出る重装備ではなく軽装備を着込んでいる。

待つこと2時間、ようやくネズミが掛かったとの知らせが入る。

「良いか。盗賊は証拠が残らないよう全員切り捨てろ」

全員が頷く。
隊員には盗賊退治としか言っておらず、内通者がいることは伏せていた。
当然それが第二分隊長であることも。

「ただ、今日は、全員軽装備であることを忘れるな。人数も技量こちらが上だ。決して無理だけはしないように。では、手はず通りに散会」

スフライドの号令で近衛隊全員が所定の場所に散会していく。
スフライド自身もカスミの潜んでいる近くに場所を移す。

どうやら、洞窟内では言い争いともとれる声が外まで漏れてくるが、今となっては内容に興味はない。

他の隊員に手で合図を送りながら、範囲網を狭めていく。

そしてスフライドの号令の元、カモフラージュしている木の枝や板を蹴破ってアジトに踏み込む。

「大人しくしろ、抵抗するなら切り捨てる」

いきなりの近衛隊の襲撃に洞窟内はパニックになる。
こういうときは攻め方が有利であり、瞬く間に次々と盗賊は切り捨てられていく。投降しようとしてきた者もいたが容赦なき切り捨てられた。
内通者はというと、やはり第二分隊隊長だった。
近衛隊が突入した際に逃げようとして盗賊に切られたのか、それとも近衛隊の誰かが切ったのか判らなかったが、死体となって見つかった。

全ての死体は、裏側の入り口から少し離れた場所に穴を掘って集めたあと、盗賊の装備品や洞窟内にあった金貨70枚以外のもの全て、一切の証拠が残らないように一緒に穴に放りこみ火を放った。
死体が灰になったのを確認した上で、土を被せてすべての証拠が残ってないか再度洞窟内を確認する徹底振りだ。

最後にスフライドが近衛隊隊員に厳命する。

「今日起こったことは一切の他言を禁じる。今、屋敷で警護しているメンバーにもだ。もし誰かに喋ったことが判明した場合は、そこに埋まっている連中と同じ運命になると肝に銘じておけ」

全員がどうなることが予想できたのだろう無言で頷く。

「では戻ろうか」

自分が進言した作戦で、うまく事が運び意気揚々と引き上げるスフライドだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

屋敷では、一足速くカスミが男爵とコロバルトに作戦が上手く言ったこと、内通者はやはり第二分隊隊長であったことを報告していた。

「判った。ご苦労だった。下がってよいぞ」

男爵は、『ふぅ~』と一息はいて椅子に深々ともたれ掛かる。

「しかし、対処が早くてようございましたな」
「まったくだ」

目と鼻の先に盗賊のアジトがあったなどと知れ渡った日には、男爵家がどうなっていたか考えたくもなかった。

「しかし、今回の作戦お前はどうみる?」

これは、作戦の内容云々ではなく『スフライドが考えたものだと思うか?』と聞いているのだ。

「おそらく彼の発案ではないかと」
「お前もそう思うか・・・」

今回の作戦シナリオが余りにも出来すぎていて、2人はスフライドの考えではないなと疑っていた。

「しかし、彼も今回の件には関わりたくなさそうですので、スフライド殿の手柄ということにしておくのが良いかと」
「そうだな。ただ、次があった時にボロが出なきゃいいがな」
「その時はそのときで」
「ハッハッハッハッハ」
「フフフフフフ」

老練な2人の笑い声が執務室の響くのだった。
とりあえずは、スフライドが提案した作戦で無事討伐は完了です。
ただ作戦を考えたのはスフライドではなく、カムイであることが老練な2人には判ってたようです。
よもやそれがバレているとは思っていない誰かさんでした。

夏休みが本日で終了のため、来週からはまた週2回の更新になると思いますのでご了承下さい。

お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。
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