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異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第2章 冒険者 黎明編

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第9節 (それぞれの)勇往邁進

自分でも驚きの3日連続投稿です。

ノップス商会は新たな商売を。
黒狼隊も王都での再活動に向けて。
カムイは、冒険者としての腕を磨くため。
とそれぞれ新たな目標に向かって進みだそうとしていることから勇往邁進というタイトルにしました。
翌日、ノップス商会は予定通り王都に向かうことになり、王都側である北門に集合集まって出発の準備を行っていた。
幸い、エバンスは普段から鍛えていることもあり、大きな怪我もなく護衛の準備などをメンバーに指示していた。

当然カムイは見送りにきており、各人と挨拶を交わす。

「ノップスさん、短い間でしたがお世話になりました」
「なぁ~に、こちらこそ道中セフィールたちの相手をしてもらって悪かったな。お陰で随分楽ができたし、子供たちも喜んでたよ」
「それは良かった。」
「それにこれから長い付き合いにもなりそうだからな」
「そうですね。2週間程したら1度様子を伺いに行きます。そのとき色々話しましょう」
「判った」

そう言って、ノップスと握手を交わす。


道中随分と打ち解けた従業員たちと言葉や握手をしながらエリィを探す。
エリィは、木陰でセフィールたち子供たちの相手をしていた。

「いたいた、エリィさん」
「あらカムイ。何か用?」
「一応ご挨拶と思いまして」
「律儀ねぇ。どうせすぐまた王都で合うのに」
「髪の調子はどうですか?」
「いいわよ。私の髪質は元々硬いから、もう1、2回は必要かもしれないけど、セフィールはすっかりうちの商会の天使様になってるわ」
「それは良かった。しかし、客寄せパンダに使うようで申し訳ありません」
「客寄せパンダ?」
「あぁ、物を売るためにワザと注目を浴びるように宣伝広告になってもらう人のことを比喩した言葉です」
「パンダというのが何か判らないけど、悪い意味で注目を浴びる訳ではないから構わないわ」
「ただ、できるだけ身分の高いご婦人の目に留まる様にして頂けると・・・」
「その辺りも心得てるわ。場合によっては贔屓にして頂いている伯爵婦人に直に売り込んでもいいしね」
「頼りにしてます」
「任せて頂戴」
「では、今度は王都で」
「王都でね」

こういう時には、ノップスよりエリィのほうが強かで頼りに思えるのは気のせいだろうか。
エリィと話しをしたあと、子度たちにも『時々王都に行くからその時また遊ぼう』『本当?』『約束だよ!』といってその場を離れた。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

最後に黒狼隊のところに行く。
出発の準備はほとんど終わっているようだ。

「怪我の具合はどうですか」
「おぉ、カムイか。わざわざ見送りにきたのか」
「当然ですよ。お世話になりましたから」
「なぁに、こっちもカムイには色々教わることが多かったし、世話になったのは俺らのほうかもしれないな」

そう言ってお互い苦笑いを浮かべる。
それから一転真剣な表情になってカムイが聞く。

「護衛が終わったあとどうするつもりですか?」

戦闘の途中でエバンスが言った、負けた時の影響について気にしていた。

「一応、みんなで話しをして、暫くは様子を見ながらこのまま王都で活動することにしたよ」
「そうですか・・・・」
「真剣勝負の結果だ。お前が気にすることはない」

確かに、これ以降については黒狼隊の問題でカムイにできることはない。
少し話題が暗くなったので、気分を変えるつもりでカムイが口を開く。

「皆さんへの餞別はなにがいいか一晩考えたんですが・・・」
「気を使うな。金や物なら受け取らんぞ」

というエバンスに対し、カムイは首を振りながら

「これまで、何度か闘い方へのアドバイスを求められましたので、俺の気がついた範囲でよければそれを餞別変わりにしたいのですが、いかがでしょう?」
「それは助かる」

思いがけない話に、エバンスたちは気色ばむ。
これまで何度かカムイにお願いはしていたが、その都度理由を付けられては断られていたからだ。
カムイは『あくまで俺の私見ですので』と前置きを置いたうえで、一人一人順番にアドバイスしていく。
ただ、あくまでカムは実践の経験はほとんど無い。
が、それに勝るとも劣らないMMORPG、VRMMOで培ってきた経験、知識には自信がある。
あとは、少しのだけの格闘知識とオタク知識をフル活用で、アドバイスをするつもりだ。


「まず、カップスさんは体重を理想は7kgですが最低でも5kgは落としたほうがいいです。ただし、筋力は維持したままで。大変だとは思いますが、それだけで随分動きが変わると思います。あとこれは好みの部類になりますが、今使っている斧系の武器より鈍器系の武器にすることをお勧めします。鈍器系の武器のほうが攻撃判定範囲(攻撃とみなされる範囲)が広いのでヘイト(敵視量)を稼げるはずなので固定しやすいはずです」

「エバンスさんについては、何も言うことがないと思ってたんですが・・・。昨日模擬戦の相手をしてから考えが変わりました。2刀、双剣にするべきです。ロングソード×ショートソード、もしくはショートソード×ショートソード。このほうが爆発的に火力が増え、それによる殲滅力が向上するでしょうから戦闘が楽になると思います」

「フィリック、お前は突っ込みどころが多すぎる。1からエバンスさんに鍛えなおしてもらえ。カップスさんとエバンスさんへのアドバイスは、お前の実力の底上げが前提だと思え」

カムイの言葉を聞いて、三者三様に言われた意味を考え始めた。

「次にナタリー。ナタリーは、まず自分がパーティの中で一番最後まで残ることを考えろ。この前みたいに仲間を守ることも大事だが、ナタリーはこのパーティの唯一のヒーラー(回復職)だということを忘れずに。Lvが上がっていけば上位回復魔法やリザレクション(蘇生)を覚えることもできるだろうから、まずは自分が最後まで残ることを心がけろ。ナタリーが倒れたら誰も支援できないし助けられないということを自覚するように。あとこれを渡しておこう」

そう言って、ナタリーと王都見学した際に買っておいた守護の腕輪を渡す。

「これは、この前王都で買ったものじゃないですか」
「元々ナタリーに渡すつもりで買ったものだ。効果としては無いよりマシといった程度だが、常時付けておくといい」
「でも、こんな高価なもの」
「この前の賞金首の余りを譲って貰った範囲内だから気にするな」

さらに何か言おうとしたナタリーにリエーリアが『ありがたく受け取っておきなさい』というと『ありがとうございます』といって思いっきり頭を下げられた。

「最後にリエーリアさんですが、突きの速さと正確性を上げることをお勧めします。特にレイピアのような突きを重視した剣は威力より手数で勝負ということも判りますが、それでも急所を1撃で貫く正確さがあればもっと戦闘が楽になるはずです。更に言うと止めを差しに行った後若干左サイドに隙ができます。カバーする意味でも短剣が使えれば理想ですね。あとは、攻撃を避ける際バックステップに頼りすぎるきらいがあります。もっとサイドステップも使って予測されないよう工夫してみて下さい。それと、リエーリアさんにはこれを」

これも王都で買っておいた妖精の首飾りだ。

「今つけている首飾り。盗賊退治の際少し欠けていたようですね。十分効果が発揮されてないみたいでしたので、その代わりに着けてもらえると。といってもこれも気休め程度ですが」

リエーリアは驚いた。カムイのその洞察力に。
首飾りが欠けているということを誰にも話をしていなかったにも係わらず、カムイは見抜かれていたことを。

ただ、カムイは別の心配をしていた。

(こ、これで、今日は地雷は踏んでないよな・・・)

が、次のリエーリアの一言で冷たいものが背中を流れる。

「ナタリーと王都でデートしたときに買ったものね。いくらリターンの登録だけどはいえお姉さん誘って貰えなかったはショックだったわ~。まぁ、どうせ私のはついでなんだろうけど・・・・・」

(えぇぇぇぇ~~~~~そっち??)

「うふふふ、嘘よ。ありがとう大事に使わせてもらうわ」
「わははははは」
「フフフフフフ」

どうやらカムイは、リエーリアにからかわれていたのだと知って、黒狼隊のメンバーに笑われるのだった。
ただ、アドバイスの内容については真剣に受け止めてくれたようだ。

和やかな雰囲気の中別れようとしたところに、不機嫌な顔をしたリーアがカムイの目の前に羽をパタつかせながら下りてくる。

「どうしたリーア?」
「どうした?どうしたじゃないわよ!何か忘れてない?」

カムイは考える素振りを見せる。

「・・・これといってなにも?」
「うがぁぁぁぁぁ!なにもですって!リエーリアにもナタリーにもあって一番忘れちゃいけない私へのお土産がないのはどういうことよ!お・み・や・げ!」
「お土産?誰にも買ってきてないだろう?」
「リエーリアやナタリーには装備品プレゼントしてたじゃない!」
「あれは、お土産とは違うんだけどなぁ~」
「それでも!私だってカムイの役に立ったじゃない。だったらお土産の1つくらいよこしなさいよ!」
「え~~~、だってリーアって食っちゃ寝、食っちゃ寝してただけじゃん」
「なんですって~~~~!ナタリーが怪我したときなんか大活躍したじゃない!」

そういってカムイの頭をポカポカ叩く。
黒狼隊のメンバーはニヤニヤしながら、2人のやり取りを見ている。

「判った、判ったって。ちゃんと買ってきてあるから」
「あるなら初めから出しなさいよ、もう。カムイならそうだろうと思ってたわ!」

そういってカムイが無限袋から鳥篭を取り出す。

「・・・なによ、それ・・・」
「リーアが勝手にどっかいかないように鳥『ドカッ!』」

全部言い終わらないうちに、リーアの蹴りがカムイの顔面を捉える。

「殺す、殺す、殺してやる~~~~!」
「悪かったって冗談だよ、冗談。本当はこっちだって」

そう言って、袋にいっぱいのお菓子の詰め合わせを取り出す。
それを見たリーアは、『そうよ、これよこれ!』といってカムイから袋を掻っ攫うように引ったくり、袋の重さにフラフラしながらも一生懸命馬車に運ぶリーアを見て、みんなで大笑いするのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

ノップス商会を見送ったあと、カムイはギルドに向かっていた。

その間、やはり昨日の模擬戦が聞いたのだろう、一昨日のように見た目でカムイを恐れるような住民は減っていた。
それどころか『あんた強いんだな~』『たまにはウチの店にも来ておくれよ』とか友好的な声を掛けてくる住民もいた。

(思ってた以上に案外早く馴染めるかも)

そんな風に感じながらギルドの入り口をくぐる。

まず、カムイは素材の買取受付に向かう。

「すいません。素材の買取をお願いしたいのですが」

少し奥から2mを超えるオーク族の男が出てきた。
オークと言っても魔物のオークとは異なり、どのくらい昔か判らないがちゃんと人として進化した人種だ。当然ゲームで見慣れている人種だけに見かけだけで驚くようなことはない。

「お、誰かと思えば今を時めく新人様じゃねーか」
「カムイと言います。今後何かとお世話になると思いますのでよろしくお願いします」
「買取受付をやっているワッハーブだ。見たとおりオーク族だ。で、買い取って欲しい素材はどれだ?」
「これなんですが・・・」

そういって無限袋から、ルロワ村で退治した二十数匹分のウィークウルフの素材と、護衛の途中で退治したオークと、ゴブリンの素材だ。

「どれどれ・・・」

手際よく素材を確認していくワッハーブ。

「新人の割には、丁寧に剥ぎ取りしてるな」
「祖父に散々仕込まれましたから」
「そうか。しめて・・・・銅貨148枚ってところだが、どうする?」
「それでお願いします」
「判った。ちょっと待ってろ」

そういって奥に戻って銅貨の入った袋を持ってきた。

「ほれ、確認しな」
「ギルドですから、信用してます」

そう言って袋を無限袋にしまう。

「またなんかあったときには頼むわ」
「こちらこそ」

そう言いながら手を挙げてその場を離れる。

(しかし、俺を見ても驚かねぇし、あの落ち着きようは新人とは思えんな)

それが、ワッハーブのカムイに対する第一印象だった。


次に向かったのはギルド受付だ。

「こんにちは、カレリーナさん」

シータは接客中だったため、空いていたカレリーナの窓口に行く。

「あら、カムイくんいらっしゃい。昨日は大活躍だった見たいね。今日は街中がその話で持ちきりよ」
「俺としては、早めに顔を覚えて貰えたようで、そっちのほうが嬉しいですね」

いつまでも、魔族に似た冒険者とか言われて敬遠されるほうが辛かったので、そっちのほうが本当に有難かった。

「ところで、今日はどんな用?今の時間からクエストって訳でもないんでしょう?」
「実は、ここに着いてからノップスさんの好意で同じ白銀亭という宿に泊めてもらってたんですが、さすがにそこに泊まるだけの稼ぎはないので、どこかいい宿を紹介して貰えないかと・・・」
「なるほどね・・・。なら牛歩亭ね。値段も手頃だしご飯も美味しいから。夜はレストランもやっているから、私やシータも時々お世話になるのよ」
「そうですか。ご飯が美味しいというのは魅力的ですね」
「場所は、ギルドを出て右手に進めば看板が見えると思うわ。私からの紹介といえば今晩の夕飯はサービスして貰えるかもよ」
「ありがとうございます。さっそく行ってみます」

お礼を言ってギルドを出る。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

カレリーナの言った通り、ギルドを出て50mくらいのところに牛歩亭の看板が見えた。
1階はレストランで、2階、3階が宿泊施設のようだ。

宿屋のフロントらしきカウンターに向かう。

「こんにちは」

すると奥から、恰幅のいいいかにも女将さんと呼べそうな女性が出てきた。

「おやまぁ、ひょっとして今朝から噂になってる新人冒険者さんかい?」
「カムイと言います。ギルドのカレリーナさんから宿はここがいいと紹介されたもので、空いてますか?」
「空いてるよ。どのくらい予定しているんだい?」
「暫くはここヴューベルで活動する予定なので、1ヶ月単位で更新したいんですが可能ですか?」
「問題ないよ。逆にそんな風に予定が立ってるほうがこっちとしては有難いからね。で、料金なんだけど、前払い制で1泊銅貨20枚、朝夕付きで銅貨30枚、夕のみなら銅貨26枚だけどどうするね?」
「そうですね、カレリーナさんから食事も美味しいと聞いてますから朝夕付きでお願いします」
「そうかい。なら1か月分で銅貨900枚になるがいいかい」

そう言われて、カムイは無限袋から銅貨900枚の入った袋を取り出す。

(欲しい金額だけこうやって取り出せるのも便利だよな無限袋)

「はい。確認してください」

とは言っても枚数が多いのでそれなりに時間がかかるので『あとで確認しておくよ』と言われた。
カレリーナからの紹介ってものあるのだろう。少しは信用されているみたいだ。

「おっと、そういや自己紹介がまだだったね。ここの女将をやってるカミアだよ。よろしくね。あとは、あんた、あんた」

そう言って奥から亭主を呼ぶ。

「これがウチの旦那兼料理長のザヒリさね。ほら、今朝から噂になってる新人冒険者のカムイさんだよ。1ヶ月ウチに泊まることになったから」
「おぉそうかい。ザヒリだ。よろしくな」
「なんでもカレリーナからの紹介でウチに来てくれたみたいだから、夜はサービスしとくれよ」
「なら、奮発しないとな」

2、3会話をしたあと、ザヒリは仕込みがあるといって厨房に戻っていった。

「そうそう、部屋は2階と3階があるが、どっちがいい」
「じゃ、3階でお願いします」
「判ったよ。ほらこれが鍵だよ。出かける前とかにはフロントに預けて行っておくれ。もし、誰もいないようならここの穴に入れとくれ」

一応、ギルドに防犯用の仕掛けを組んで貰って従業員しか開かない仕組みになってるらしい。

「どうする、もう部屋に行くかい?」
「そうですね、今日はもう夕飯までゆっくりしようと思ってます。」
「判った。ユスフィ、ユスフィ~」
「はーい。お母さん、なぁに・・・」

この宿の娘だろうか、カムイと同年代の少女が奥から出てきた。
出てきたとたん、カムイに気がつきはしゃぎだした。

「カムイさん?カムイさんでしょ?え?ウチに泊まってくれるの?やったー!会いたかったんだよね~。噂になってたし」
「これこれ、お客様になんてこと言うんだい、この娘は。すいませんね。ウチの娘のユスフィです」
「ユスフィ。カムイさんを3階の部屋に案内しておくれ」
「はーい。こっちよカムイさん」

そう言って、一人だけ先に走って上りだす。

「まったく、お客を置いて先に行くのがあるかい。騒がしくて申し訳ないね」
「いいえ気にしなくて大丈夫ですよ。それと俺のことはカムイと呼び捨てにしてもらって構いませんよ」

女将さんは、一応お客だからと遠慮していたが、カムイが『娘さんと同じ年くらいですし、息子ができたと思って貰えれば。それに俺のほうが気恥ずかしいです』といってカムイと呼んでもらえることになった。

階段の上からは、ユスフィの呼ぶ声が聞こえる。

「カムイさん、早く早く!」
「今行く!」

ここから、カムイの本格的な冒険者としての第一歩が始まろうとしていた。
ヴューベルでの新たな活動拠点を確保したカムイ。
次節から本格的な冒険者としての活動が始まります。(ここまで長かった・・・><)


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