挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
異世界で自由奔放に生きてみました~最強冒険者と呼ばれた男の波乱万丈転生譚~ 作者:西園寺☆桜

第1章 ルロワ村編

21/96

第19節 何処に埋まってるか判らないから地雷である

昨日の謝罪のため、朝早くからカムイの鍛錬を見つめる黒狼隊のメンバー。
強くなるためのきっかけをカムイに求めるのですが、そこには思いもよらぬ地雷が。
はたして地雷を踏むのは・・・。
カムイは、いつもと同じ時間に目を覚ました。
しかし、昨日の1件が尾を引いているのか、気分は優れなかった。
それでも、いつもの日課を行うための準備をする。
ふと気が付くと、窓の外から実体化はしてないがリーアだろう。こちらを覗いているのが判った。
実体化してないので目が合ったかどうかは判らないが、カムイに見つかったと感じたのかそのままどこかに行ってしまった。
リエーリアのもとにでも戻ったのだろう。

まずは、いつもは柔軟後に始める精神統一で心を落ち着かせる。
精神が集中できてなければ、同じ鍛錬をしてを身に付かず、最悪怪我の原因にもなるからだ。
それほど、昨日の1件はカムイにとって心穏やかにとはいかないものだった。

そうしている内に、昨日と同じように遠めから見つめる視線に気が付いた。
しかし、今日はリエーリアだけではなく黒狼隊のメンバー全員がいるようだ。

その後も暫く、精神統一をしていたが心が落ち着いてきたので、黒狼隊のメンバーに声を掛ける。

「そんなところから見られてると気が散るので、邪魔しないのなら近くで見てもらって構いませんよ」

そう言っていつも通り柔軟を始める。
黒狼隊のメンバーもどうするか顔を見合わせていたが、カムイからそう離れていない倒木まで近づいてきて座って見る事にしたようだ。

いつもよりギャラリーは増えたが、構わず淡々と柔軟を行っていく。
そのうち、カムイもいつもの様に集中していく。

十分時間を掛けて柔軟を行ったあと、座禅で精神統一を行いながら“気“のコントロールを行っていく。
昨日、リエーリアが感じたカムイを覆うオーラを全員が感じたようで、驚きの表情を見せる。

(リエーリア、あれはなに!?魔素(マソ)は感じされないんだけど!)
(シッ!私にも判らないのよ!)

そう言って、ナタリーの質問を遮る。

そのあと、突技、打技、蹴技、受技の型をいつものようにゆっくり時間を掛け行っていく。
その緩やかながら力強さを感じさせる動作に、初体験の黒狼隊のメンバーは戸惑いを見せる。
彼らの言う鍛錬は、実践に合わせて速く動く、力強く素早く武器を振るうとのが常識だったからだ。

(エバンス、カムイが何をやっているのか判るか?)

カップスの問いに、エバンスはただ首を振るだけだった。
Lvが一番高く剣技に優れたエバンスが判らないものを他のメンバーが判るはずもなかったが、昨日のリエーリア同様カムイの一挙手一投足に目が離せなくなっていた。

約2時間の鍛錬もようやく終わりを迎え、汗を拭きながら黒狼隊のメンバーに声を掛ける。

「申し訳ありません。お待たせしました」
「いや、鍛錬の邪魔をしたようで、こちらこそ申し訳ない」

そういってエバンスが頭を下げる。

「別に見られて困るようなものでもありませんので。それよりもこんな朝早く皆さんお揃いでどうしました?」

カムイとしては、昨日の1件のことだろうとは思っていたが、一応聞いてみた。
するとエバンス以下全員が起立をして一定に頭を下げてきた。

「まずは、昨日の謝罪を受け取って欲しい。俺との模擬戦を反故にしたうえに、フィリック戦で手心を加えて講師役をお願いしたこと。これらは、冒険者として不適切な行為だった。この通り申し訳なかった!」
「「「「申し訳ない(ありませんでした)」」」」

カムイもまさか全員が頭を下げるとは思ってなかったようで、困惑した表情を見せる。
黒狼隊のメンバーが誰も頭を下げたまま動こうとしないので、『はぁ~』とため息を吐く。

「判りました。確かに謝罪は受け取りました。ですからもう頭を上げてください」

いつまでも頭を下げられたままでは、こちらがあまりにも落ち着かない。
そう言って、全員の頭を上げさせる。

「すまない。それとこれを」

エバンスは、懐から女神マイアの短剣を取り出しカムイの前に差し出す。

「本来は、俺と模擬戦をやることが前提でフィリックの依頼報酬としたんだが、その前提がなくなった以上はこれは元々カムイのものでしかないのでな」

そう言われてはカムイも受け取らない訳にはいかない。
エバンスから女神マイアの短剣を受け取り、無限袋にしまう。

「はぁ~、これでやっと少しは肩の荷が軽くなった」

どうやら昨晩から、どうやってカムイに謝罪するかを皆で相談していたようだ。
そこで、カムイが毎朝鍛錬をしているというのをリエーリアから聞き、そこで謝罪をと考えたそうだ。

「本当に済まなかったな。うちのバカな弟のせいで不快な思いをさせちまって」

先ほどとはちがって、いつもの様子で謝罪をする。エバンスの後ろではフィリックが申し訳なさそうに縮こまっている。

「もう忘れましたよ」

そう言って笑うと、黒狼隊のメンバーもほっとした表情を作るのだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「カムイ、ちょっといいか」
「なんでしょう?」

黒狼隊のメンバーと少し雑談をしたあと、もう用はないと帰ろうとしたカムイにエバンスが申し訳なさそうに声を掛ける。

「その、なんだ・・・」

しかも、なぜか歯切れが悪い。
カムイが『?』と思っていると、意を決したように言葉を続ける。

「昨日、フィリックと手合わせをした感想が聞きたい。なんでもいい、感じたことをそのまま教えて欲しい。この通りだ」

そういって、エバンスは頭を下げてくる。

「今朝の鍛錬を見ても、カムイは俺たちと違うと感じた。なにがどう違うのかといわれると説明はできないんだが・・・。それでも、やはり根本的なところで何かが違うんじゃないかと思ってな。その違いが分かればフィリック、いや俺たちも変れるんじゃないかと」

エバンスは真剣だった。一回り近く年下の相手に教えを乞うために躊躇いもなく頭を下げる。
他の黒狼隊のメンバーも同様に頭を下げている。

(この人たちには、頭を下げられてばっかりだな)

カムイは日ごろから五常(仁、義、礼、智、信)を大切にしている。
中でも『”礼”には”信”を持って応えるべし』と常に思っている。
エバンスたちの行動は、カムイにとっては十分に”礼”に相当すると思った。
ならば”信”を持って応える必要があると。

「負けました」

言い方は半ば呆れたように聞こえたようだったが『俺の教えられる範囲で良ければ』そういって笑顔で答えるカムイだった。

 △▼△▼△▼△▼△▼△

「さて、なにからどう教えればいいのか・・・。そうですね・・・まず、普段皆さんは今朝見て頂いた柔軟体操ってどう思っています?」
そう問われたエバンスやリエーリアたちは口々に『準備運動くらいにか思っていない』と予想した通りの回答が返ってきた。
その中で、カムイはある指摘をする。

「フィリック、お前もか?」
「あ、あぁ」
「嘘だな。どうせ、実践が準備運動とか言ってクエスト前とかに準備運動とかやったことないだろう?」
「な!?」

メンバーがツッコミを入れる前に即カムイが嘘を見破る。
理由は適当にいったのだが、どうやら本当にそんなことを言っているようで『なぜそこまで判る?』という思いがメンバー全員に広がる。
そんなことはスルーして話を進める。

「準備運動という回答だけでは30点ですね」
「どうしてだね?」
「それだと、毎日する答えにならないからね?」

カップスが疑問を投げてきたが、リエーリアがそれに答える。

「その通りです。ではここで皆さんに1つ実験をしましょう」

カップスに盾と武器を装備した状態で、魔物に対峙した時の構えを取ってもらう。
予想した通り、カップスは右利きなので左腕の持った盾を全面に構え右腕にアックスを持つ。左足を前に出し右足を少し引いた形に、移動や踏ん張りが効きやすいように構える。

「では攻撃しますので防いでみてください」

そう言われてカップスは更にグッと腰を落として構える。
それに対しカムイが取った行動は、踏ん張っているカップスの左足を自分の右足で引っ掛け、自分側に思いっきり引いただけだった。

「うっ!」

カップスは、思いっきり股裂きを仕掛けられた形となり我慢しきれずにバランスを崩し尻餅をつく。
そして、気が付けば首筋に模擬刀が突き付けられていた。
その様子をメンバーは呆気に取られて見ていた。

「すいません。大丈夫でしたか」

カムイは、カップスに手を差し出し引き起こす。
カップスも一瞬の出来事で信じられないようだった。

「見てもらったとおり、普段から身体を柔軟にしておくことで例えば今の場合、不意の攻撃に対しても少なくても敵に隙を与える機会を減らすことができます」

そういって、思いっきり股裂きした状態でも敵を正面から見据える構えを実演する。

「あと、一番重要なのは身体を柔軟にしておくことで色々な部位の可動域を広げることができ、怪我を減らすことでできます。例えば」

カムイは両手を真横に広げてそのまま腕を伸ばしたまま背中の後ろに両手の甲を合わせる。
その肩の柔軟さに黒狼隊のメンバーが驚愕の表情を見せる。

「10年もやってれば、このくらいは簡単にできます」
「10年・・・・ちょっと待て、10年ということはカムイは5歳の時からこれをやっているのか」
「まだ筋肉とか骨が固まっていない子供のほうが柔軟性はあるんです。そのときから継続していれば自然にこのくらいはできるようになります。逆に大人になって筋肉が付いてある程度骨格が形成されたりしてから始めるほうがよっぽど大変なんです」

そして、とりあえずメンバーの今の柔軟度を見てみることにし、アドバイスすることにした。

「では、各人でちょっと同じようにやって見て下さい」

そう言われて黒狼隊のメンバーも同じように両手を広げ出す。

「エバンスさんと、カップスさんは40度くらいですか。まぁ常人並みはあるようですね」

とりあえず、2人は普通と言われてホッとする。

「フィリックは、20度超えた程度ですか。話にならないですね」

フィリックは、悔しそうだが実際にそこまでしか広がらずグゥの音も出ない。

「リエーリアさんは、お、60度くらい広がるとはさすがですね。エルフは身体が柔らかいんですかね?」

リエーリアは褒められてちょっと嬉しそうだ。

「ナタリーは、30~40度といったところですか」

ここで、カムイはナタリーのローブの胸のあたりがキツそうに見えたので、実力が出し切れていないと思い声を掛けた。

「ナタリー、胸のあたりがキツそうですがインナー着てるなら胸のボタン外してもかまないですよ?ちゃんと現状把握しないとアドバイスできませんから」

この一言に、リエーリアが反応し顔が険しくなりだした。

(((あ、これはまずい。カムイのやつ地雷踏んだかも!)))

エバンス、カップス、フィリックはゆっくりリエーリアから距離を取り始める。
言葉を掛けられた当のナタリーは、顔を真っ赤にして首をフルフルと振って大丈夫と意思表示をしたのだが、隣から凄い棘のある言葉が飛んできた。

「あら、私にはそんなこと言ってくれなかったわよね。カムイ」
「え?」

声のしたリエーリアのほうを見る。
顔は笑っているように見えたが、目は完全に笑ってない。背中に冷たいものが流れる。
ナタリーのためを思って言った言葉だったのに、カムイにはなぜリエーリアが怒っているのか判らない。

(なにかまずいこと言ったか俺?)

「私には必要ない言葉ってことかしら?」
「え?え?」

ますます混乱するカムイ。
エバンスたちにどういうことか聞こうと見るも、すでに3人とも離れた場所に避難していてこちを見て手を合わせている。

「どうせ、私の胸はナタリーほど大きくないわよ」
「え~~~~~~~~~?」

バチン!

「そういうことで、リエーリアさん以外はちゃんと日々柔軟をやったほうがいいと思います。特にフィリックは、時間を見つけては継続していかないといずれ大怪我するから」

右の頬に紅葉の手形を付けたカムイが柔軟に関してはそう〆た。


その他も色々聞きたそうだったが、そこまでカムイもお人好しではない。

身体から発せられたオーラ()について聞かれたが、これは習得は無理だと言って説明することを放棄した。
おそらく説明しても、魔素(マソ)との区別ができず理解してもらえないだろうというのが理由だ。
ひょっとすると、エルフのリエーリアならとも思ったが、カムイ自身も説明が面倒だったので『無理』『理解できないから』の一点張りで押し通した。

「とりあえず、柔軟だけでも鍛えるだけで動きが見違えるようになりますから、まずはそこから始めてください」

そういって、黒狼隊のメンバーと別れるのだった。
一応、柔軟性の重要性を教えてもらった黒狼隊のメンバー。
ちょっとはマシになればいいのですが。
最後は定番のエルフの胸の大きさに関する地雷を踏んだのはカムイでした。

しかし、笑いを盛り込むの(話を作るのも)難しいですね^^;


お読み頂きありがとう御座います。
誤字脱字等ご指摘があればよろしくお願いします。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ