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ペンギンのスカイダイブ
作:岡崎やすはる


 
 
 
 
 
 俺は今日も公園のベンチに座って昼飯を食べていた。意外と人が少ないというのと、この人が居るからだ。
 
「なに私の顔見て? おかず何か欲しい?」
「いえいえ、大丈夫っす」
「そう」
 
 ふわりと俺を包み込むような笑顔。俺と同じ大学に通う、冬香さんとゆう人だ。
 
 俺はそろそろ、告白したいと考えている。俺の隣に座る、この人に。
 
「そのコンビニ弁当美味しい?」
「まぁまぁっすね」
 
 さて、冬香さんとの会話は頭を使う。突拍子もないことを言うからだ。
 
 例えば
 
「世界中のネコがワンって鳴くようになったらどう思う?」
 
 とか
 
「空が突然緑色になったらどうなるのかな?」
 
 とか。毎回毎回俺はこの会話で頭を使うのが楽しみになってきている。何が言いたいのかはわからないが。
 
「……ねぇねぇ」
「なんすか?」
 
 ふと空を見上げ、冬香さんは口を開く。
 
「ペンギンがスカイダイビングしたら上手く空を泳ぐのかな?」
「……ペンギンが」
「上手くいくと思う?」
「…………」
 
 とりあえず真面目に答える。
 
「無理じゃないっすかね」
「じゃあ訊いてみようか」
「は?」
「あれ」
 
 ピンと伸ばした指で空を指差す冬香さん。その先には、何か黒い物体。
 段々大きくなると何かがわかった。ペンギンだ。
 ペンギンがパラシュートを一人で操り、とうとう俺たちの目の前にズザァっと着地したではないか。俺があんぐりとしていると、ペンギンはパラシュートを外しながら口を開いた。
 
「冬香さん、やっぱりペンギンは海の生き物。空では上手く泳げません」
「やっぱり? はい、ありがとう」
「いえいえ」
 
 実験のお礼なのか、生魚を冬香さんから数匹受け取り小脇に抱えると、ペンギンはペタペタと音を立てながら去っていった。途中で一匹食べているのが見えた。
 
「じゃあ次はねぇ」
「…………」
 
 こんな展開初めてだ。おそらく人類史上初めてだ。しかし戸惑う()にも冬香さんは喋る。
 
「チーターが郵便屋さんとかしたらどうかなぁ?」
「ち、チーターが?」
「足速いじゃん」
「無理でしょ、怖いっすよ」
「じゃあ訊いてみようか」
「え? う、うわぁぁっ!?」
 
 ダダダダダダダダダ!! と物凄い音を立てて真正面からチーターが走り寄ってきた。勢い余って俺に少しぶつかると、これは失礼しました、と頭を下げられ、思わず俺も頭を下げた。
 
「冬香さん、確かに僕らは足は速いですがポストに足が届きません。くわえてジャンプでもすれば届くかもしれませんが、よだれがついてしまいます」
「そう、わざわざありがとう」
「いえ」
 
 そしてでかい生肉をポイとチーターへ投げた。チーターは走って腹が減っていたのか、その場で食べ始めた。その肉どこから取り出したんすか?
 
「つまり私が言いたいのはね」
「は?」
 
 まとめなんて初めてだ、何が言いたいんだろう?
 
「適材適所からずれると、魅力も意味が無くなっちゃうって事なの」
「は、はぁ」
 
 ずれ方が尋常じゃないっすよ。
 
「だからね、君とはずっとこの公園でお弁当を食べながらお喋りをするだけの関係でいたいんだ」
「……え?」
「じゃ、ご馳走様でした! また明日ね〜」
 
 それだけ言うと、冬香さんは手を振りながらどこかへ去っていった。フリーズしている俺に生肉を貪り終えたチーターが話す。
 
「これはふられてしまいましたな」
「適材適所って……」
「冬香さんにとってのあなたの適所は、この公園のベンチなんでしょう」
「……マジかよ」
「まぁまぁ、長い人生こんな事もあります。あなたの隣が適所だとゆう方は他におられるはずですから、その方を探しましょうよ」
「はぁ……。……ところで、チーターさんは適所にどうやって帰るんすか?」
「…………」
「…………」
 
 適材適所、俺は誰の隣が適所なんだろう……居場所を失くしたチーターさんと、長い間途方に暮れていた……。
 
 
 
 
 


 
 
 お読み頂きありがとうございました。初投稿故、誤字脱字の指摘から酷評までお待ちしています。この若輩者にご指導頂けたら幸いです。……なんか文が硬いですね。すいません。
 それでは、重ねてお礼申し上げます。ありがとうございました。
 
 













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