表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

同期のケツを狙う弁護士

作者: 豚肉

同期のケツを狙う弁護士


ひたすら丸いそれが、全体の動きに合わせ規則的に上下しながら、虎ノ門を照らす春の陽射しの中を、躍動している。

それの、背後に歩んだ男は、自分の数歩先にあるそれを注視した。

本能が、獲物を欲す獣が如く彼の全身を”そのもの”の方へと、吸い寄せていく。

ケツだ。

スーツを纏った小太りの男のケツだ。

大人の男の物にしては、非常に軟そうな、焼きたてふたごパンのような、見つめるだけで目にやさしささえ感じさせる。

天文学的に見ても非常に珍しい規模の、巨大なケツ。その上、形状は黄金比に値するようであり、

それを、背後の男の両眼に備わった高性能ケツレーダーは、見逃さなかった。

視界に入った瞬間、瞬時にケツの体積や、円周率などのデータを計算した結果、理想的なケツだという事実が発見された。

滅多にない美ケツとの遭遇。

早速、男は自身の脳内にある仮想ヴィジョンの中で、デカいケツをわが物にすることにした。

ケツを包む包装を力いっぱい乱暴に引き割くと、黒紫のスーツがはち切れる裂音と共に、雪のように白いケツの表面が白日に晒された。

時にビクビクと、時にぷるぷると、肉は震える。

そのケツの美性を視覚で確かめながら、男は遂に右手に右房を、左手に左房を、手に入れた。

そのまま、激しく揉みしだく。激しく揉みしだく。

デカケツの顔面の左曲りの恒心から微かな喘ぎが漏れ出したものの、ケツを揉む男の、関心の全てはケツであり、ケツが付属する人格、本体には一切構わない様子だ。

人が羨む端正な顔面を、汚い虎ノ門に埋め、深く息と共に臭気を吸い込んだ瞬間、全身に電流を感覚すると同時に、ケツ揉み男は、法悦に達する。


現実に復帰した瞬間、デカいケツがこちらを向き、

「…山岡ぁ!?山岡ナリか!!!!」

お、おう。

山岡は、全身全霊を掛け平静を装って、デカケツの呼びかけに対し、応答した。

あろうことに、デカケツは司法研修所同期の唐澤であった。

五反田に事務所を構えた筈の唐澤が何故ここにいるのだ。あいつ、こんなにいいケツしてたっけ?

山岡は、内心に複雑な感情を抱え混乱しながらも、久々の再会に際する唐澤の問いかけに答え続けた。

しかし、これは思わぬ幸運だ。

同期であれば、唐突にケツを揉んでも不自然ではない。

現実に揉むことは叶わないと、予測されたケツはもはや、当職のモノだ。

彼の数えるほどしかない友人の一人に偶然再会し、犬のように歓喜する唐澤の側で、これから至るケツの楽園を想像した山岡には、興奮を隠すことが困難だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 引き込まれる文章力の作者が居ると思った一瞬でした。
[良い点] これ以上ワシの息子をいじめんでくれ…… [気になる点] 無能だろうと大切な息子なんじゃ! [一言] またまたぁ~そんな事言っちゃってぇ~(スコスコスコスコ)
[良い点] 性交を重視した短編と思わせといて、実は掘った相手が同僚であったというオチは捻りが効いていて素晴らしい [気になる点] 完成度が高すぎる。無料で読めていいものではない。 [一言] これからの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ