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刺客、御庭番
作:麗蘭



六、第二の百人斬り


御庭番衆には五隊、およそ二十と数人の人材を五人ずつ分け、任務を遂行する。
また各隊には隊長、及び副隊長が一人ずつ在席し、隊の指揮を取るのだ。
しかし、頭と副頭、視察人一名だけは、どの隊にも属さず、独断で任務に向かう。
隠密職のため、総員は少く頼りなさげだが、その一人一人の実力は皆御上が認めたほどのもの。
主な任務は御上の身辺警護、城下の見回りや罪人の確保。
そして白柳をはじめとする辻斬りの調査と捕獲。
普段は愉快な彼らだが、今回の任務は彼らを緊迫させるものとなった。


御庭番衆恒例、毎朝の朝礼で、陽水は何故か今朝は機嫌を損ねていた。
「最近、白柳の動きが少なくなってきた。
しかし、今度は無名の辻斬りが死傷者を続出させている。
どうやら、それがここ数日で江戸をはじめとして八、九十の人間を殺めているようだ」
辺りが急にざわつく。
「今回の御上からの命は、その辻斬りの捕獲だ。
心してかかれ!!」
「はっ!!」
この時はまだ、誰も知る由もなかった。
この後、どんな驚愕事実が彼らを待ち受けているかを。
この時はまだ。――ただ一人を除いては。






陽水は手始めに、犯行の集中している現場付近に、調査視察人を送り込んだ。
そして、深夜の江戸の夜警人数を増やし、警戒を強めた。
また昼間は他事件と両立させ、調査を進めた。
そして、辺りが静まり帰った深夜―――…



先ほどまで賑わいを見せていた遊郭も華を散らし、江戸を出歩くものもなくなった。
「一番隊、二番隊は当時の現状調査を。三番隊は夜警を頼む」
「は!!」
「四番隊は…」
いつにも増して御庭番衆は忙しく動き回る。
陽水に続き、佐木桷が指示をする。
「もし目的の辻斬りを発見したら、直ぐ様各隊及び頭、副頭に報告しろ。
聞き付けた隊は、一番隊は江戸城側から、他隊はその対象側四方から突っ込め。いいな」
「御意」
声を揃えて御庭番衆たちは“是”と答えると、一瞬にして自分の持ち場へと散って行った。
残った陽水と佐木桷も、少し遅れて自らも漆黒の闇へと別々に姿を消したのであった。



その際、二人は足を走らせながら呟いた。
「「…第二の百人斬り、か……」」







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