ヴァンパイアハンター日誌 ― 新人ハンターとヴァンパイア ― (14/19)PDFで表示縦書き表示RDF


ヴァンパイアハンター日誌 ― 新人ハンターとヴァンパイア ― 
作:金城 ユウ



レイとアルセクト



「くそったれ!」
 作戦前に、予備弾倉を抱えた秋穂が、「予想外の事態は、いつでも起こりえるわよ。前回の教訓」等と言っていたが、現実になると厄介だ。
 バックアップの俺たちと、秋穂が同時に奇襲を受けた。しかも、ベテランのはずのハンター二人が負傷したのだから始末に負えない。
「秋穂。応答してくれ」
 しかし、通信端末からはノイズが聞こえるだけだ。
「チッ」
 舌打ちをすると、秋穂のいるエリアに向かい走り出した。




 間に合った。ビルの上から秋穂の姿が見えた。黒装束を着た男と対峙している。
 ビルから飛び降りようとした時、足元にナイフが刺さった
「手出しは、無用に願えないか。あのハンターの実力を見たい」
 声の方向に振り向く。そこには、ロマンスグレーの紳士が立っていた。そして、赤い瞳。その顔にも見覚えがあった。
「アルセクトか……」
「ヤツはやりすぎたのでな。始末しにきたのだが…… 先にハンターと接触したらしいな。あのハンターに任せようと思うのだが、どうかね?それとも、あのハンターが傷つくのは見ていられないかね?レイ=ブラッド君」
 アルセクトからは、俺の瞳が金色に変わるのが見えただろう。
「わざわざ、そんなことを言う為に、俺の邪魔をしたのか?」
「ふむ、あのハンターは、美月に似ているな。彼女も黄金律の身体なのかね?」
「黙れ!アルセクト、俺はお前と話している暇は無い」
 アルセクトは、手のひらを上に向けて肩をすくめた。
「君が、美月の時と同じ過ちを繰り返すなら、止めるつもりは無いがね。あの程度のヴァンパイアにやられるようなら、どのみち長くはないよ。彼女の為を思うなら、一人でやらせてみてはどうかね?」
 俺は、銀のナイフを抜いて、切っ先を向ける。
「黙れ!美月の事は言うな!俺は同じ過ちは起こさない!守って見せる!」
 アルセクトが、憐れむような目を向ける。
「変わらぬな。だが、美月のことは、200年前のことだ…… 悔やんだとて、どうにもならん。それに、彼女は美月ではない。そして、ハンターだ。自分の命すら守れないようでは、話にならん。黄金律の身体ならなおさらな」
 俺とアルセクトは、そのまま睨み合う。
「安心しろ。私も、美月に似た…… いや、瓜二つの人間を見殺しにするのは忍びない。危ないと思ったら手を貸そう。だが、その時はハンターを辞めさせたほうがいいな」
「わかった。しばらく見守ろう、次は止めるな。今度はお前を倒してでも行く」
 アルセクトが微笑を浮かべた。


今回も、読んでいただきありがとうございました。

今回は、内容の割りにキーワードが出てきました。
『黄金律の身体』『美月』
まあ、今は忘れていても別に問題ないのですけどね。このキーワードを入れるためだけに、レイ視点の話が割り込みました(笑

さて、次回は援護を失ってなおワーウルフを撃退した秋穂。孤立無援のままヴァンパイアとの戦闘に突入します。
秋穂に残された武器は、『知恵と勇気』(笑
では次回お会いしましょう。たぶんそんなに時間は掛からないと思います。











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう