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強いのは僕ではなく僕の龍たちです 作者:七面鳥の丸焼き
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騒ぎを鎮めました

『おじさん。これよりいい包丁ってもうないの?』
「それよりいい包丁なんてこの店にはねぇよ!」

包丁を選んでいるラグが店主のおじさんと言い合いをしている
どうやらこの金物屋さんにはラグのお眼鏡にかなう包丁はないらしい
どれもいい包丁だと思うんだけど何がダメなんだろう?

『研ぎが甘い。切れ味が悪い。できることなら刃渡りがもう少しほしい』

見ただけでそこまでわかるのか…
そこまで来たら作ったほうが早くないか?

「それはもう作ったほうがはえぇぞ。いい鍛冶師紹介してやるからそこいきな。俺もお前さんの包丁が気になってきた」

ほら、思った通り

『…それならこの包丁を買います。あと研ぎ石も追加で』
「いいのか?うちとしては売れていいんだがその包丁は気に入らねぇんだろ?」
『作るとしたら高くなりそうだし。だったらこの包丁を研いで使ったほうが安く済む』

それはどうなの?
僕らのことでもあるし作ってもいいんだよ?

「まあ、お前さんがそれでいいならいいが。包丁と研ぎ石、その他含めて金貨3枚だな」
『ちょっと高いんじゃない?いかにも売れ残りって感じの鍋を買うんだから少しまけてよ』
「仕方ねぇな。ま、確かに売れ残ってた鍋を買ってもらうわけだしな。金貨2枚と銀貨80でどうだ?」
『うん。それで。辰人、いい?』

言いも何も元の金額で買う気満々だったし
まさか値切るとは思ってなかったよ
おじさんにお金を渡し買ったものをラグが収納していく
収納し終わりお店を出ていつもの飯処に向かった

「よかったの?作ってもよかったんだよ?」
『本当に高くなるから今はこれでいい。これでもちゃんとおいしい料理作るから大丈夫!』

心配してるのはそこじゃないんだけどな
などと話し合っていると目的地に到着
おばちゃんに促されて席に着いた

「いらっしゃいませ!ご注文はいかがいたしましょう?」

席に着くと女の子が注文を取りに来た
初めて見る子だ
バイトかな?

「今日のお勧めは何ですか?」
「今日はジャイアントボアのお肉で作ったハンバーグがお勧めですね!今日手に入ったお肉なのでとてもおいしいですよ!」

ジャイアントボア?
ボアっていうくらいだから蛇なのかな?
ちょっと気になるな

「じゃあそれを5人前お願いします」
「ご、5人前ですか!?あ、そちらの子たちにですね。すみません!すぐにお持ちいたします!」

ありゃ、僕だけで頼んだのは失敗だったか

「お待たせしました。ジャイアントボアのハンバーグです!こちらのタレをかけてお召し上がりください!」

で、でかい…
普通のハンバーグの1.5倍はあるぞ

「い、いただきます」
『いただく』
『いただきます!』

まずナイフで一口サイズに切って口に運ぶ
おぉ、ほどけるほどける!
そして中から肉汁がドバっと出てくる!
なにこれうますぎ!
肉汁が飲めるってどうよ!口からあふれそう!
肉も新鮮だからなのか臭みはなくタレにマッチしていてとてもうまい!

『これは…うまい!うまいぞ辰人!』

うん。わかったからモグモグしながら喋らない
行儀が悪いよ?
口周りも汚れているし…
いつものかっこいい顔が台無しです

「口に物入れてる時に喋らない。それとまた口周り汚れてるよ?ほら、拭いてあげるからこっち向いて」
『う、うむ…すまん』

くぅ…しょぼんとするレイが本当にかわいい
しかもしょぼんとしながら口はもぐもぐさせている
かわいすぎて怒るに怒れない

『もくもく…ごくん。はぐ…もくもく』

ラグはレイと正反対に行儀がいい
口が汚れるとすぐに拭くし、口に含んでいる間はしゃべらない

「ラグ、おいしい?」
『ごくん。…うん!おいしいよ!』

それはよかった
僕が1皿食べ終わるのと同時にレイたちが2皿食べ終わった
食べるスピード早くないかな?

「食べるの早くない?」
『今まではもっと早かったぞ?辰人と食事するようになってからしっかりと噛むようになったしな』
『僕もそうだね』

これでも遅くしているだと!?
もしかして合わせてもらってる?

「僕の食べるスピードに合わせてくれてるの?」
『そういうわけではないが、自然と遅くなっていた』
『辰人と一緒に食べるともっとおいしくなるからね!それで勝手に遅くなったんじゃないかな?』

なるほど
みんなで一緒に食べるとおいしいもんね
食べ終わったあと団欒していると

ガシャン!!

と皿が落ちて割れる音がした
音のしたほうを見ると、先ほど僕たちに料理を持ってきてくれた女の子がテーブルに座っている男に手を掴まれていた

「おうねーちゃん。ちょいと酌してくれよ。お礼にいいことしてやるぜ?」
「ここはそういうお店ではありません。そういうのをお求めなら他へ行ってください」
「なんだぁ?この店は客にそういう態度をとる店なのか?客は神様だろうが!?」

こっちの世界でもそれあるんだ
うーん、どうしたものか…

『どうした辰人?』
「うん?いや、あれ。助けたほうがいいかな?と思って」
『助けたいのか?』
「まあね。このお店おいしくて結構気に入ってるから助けてあげたいんだ」
『ならば吾輩が行こう。あのような奴らすぐに片が付く。辰人は女子おなごと一緒にいろ』

すっごく頼もしいけどその笑顔はだめだ
殺りそうな顔をしている

「えっと、やりすぎないでね?」
『吾輩を誰だと思ってる?安心しろ、殺しはしない』

殺し『は』ね…
はぁ…ご愁傷様です
あ、手を掴んでいた男が女の子に殴り掛かってる!
それにいち早く気付いたレイがいつの間にか女の子と男の間に入り迫ってくる腕を払いのけた

『おっと、女子おなごに手を挙げるとはいただけないな』
「な、なんだてめぇ!邪魔すんじゃねぇよ!」

男はもう一度殴りかかろうとするがレイが今度は手を片手で止め、そのまま男を持ち上げた
そして店の扉を開けて外に放り投げた

『この店は辰人が気に入っているのでな。壊してしまってはいけない』

え、そういう理由だったの?
てっきりほかのお客さんに迷惑だからと思ってた
そう考えながら掴まれていた女の子に近づいた
女の子は僕が近づくとびくっと肩を震わせた

「安心して。僕たちは君を助けたドラゴンの仲間だよ。大丈夫?」
「は、はい…。あ、あの、ありがとう…ございます」
「気にしなくていいよ。見てられなかっただけだから。それじゃ、レイがやりすぎてないか見てこないと。ラグ、彼女をお願い」
『任せて!辰人にはもう魔法かけてるから安心してね!』

それはありがたい
女の子をラグに任せて僕はお店を出た
すぐ前で男が伸びていて踏みかけた

『辰人か。待っていろと言ったのに』
「ごめん。レイが負けるとは思ってないけどやっぱり心配できちゃった」
『吾輩が人間ごときに負けるわけがないだろう?…それに吾輩に勝てるのは貴様だけだ』
「え?最後なんて言ったの?」

最後の方声が小さくて聞き取れなかったんだよね
なんて言ったんだろう
レイは顔を少し赤くしてお店の中に飛んで行ってしまった

お店に戻るとおばちゃんからお礼を言われた
助けた女の子はおばちゃんの娘さんだという
あの男が自警団に連れて行かれる時少し聴取されたけど特にお咎めはなかった
お礼として明日一食タダでいいって
やったね!
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