入界手続き
――と言う訳で、受け付けを移動させられました。
なんてシステムちっく~!
銀行や役所と遜色ないですね。
「で? アンタが移界希望者かい?」
「はい! 宜しくお願いします、お…ねい様」
ふぅ、あぶない!
同じ轍は踏まんぞ、前のツートン頭はノリが良くて冗談で済んだが、今回はきっと駄目な御仁だ。
頭の所々にキラッと光る髪が見える妙齢の女性に禁句を吐いてオジャンにしたくはないしな!
「…ふんっ。まあ良いだろう。 それじゃ、さっさとこの申し込み用紙に記入しな」
「あ、はい」
そこはかとなくバレてそうだが、見逃してもらったっぽい?
そいや、ここだと考えてる事も筒抜けな感じだし、余計な事は考えない様に注意しないとな。
ま、先ずは書く物書いちゃうか!
えっと、なになに?
――――――
【移界・入界申請書】
<名>※希望に沿えない場合有り。
→『ソウ』
<性>
→『男』
<姿>※希望に沿えない場合有り。
→『ちょいイケ』
<技>※裏面参照 ※希望に沿えない場合有り。
→『言語理解』
→『知識継承』
→『身体能力(大)』
→『魔力感知』
→『適応力(大)』
※希望に沿えない場合でも不満に思わず、また希望する世界は魔物蔓延る世界です。
新たな生を謳歌出来ない場合でも当方責任は負いません。
精神の弱い方は大人しく地獄で鍛え直して下さい。
等、私は以上に同意すると誓います。
○同意
不同意
――――――
…こんなもんかな?
大部分が希望に沿えないになってるのが気になるが、そんな物だと思えば問題ないだろう。
むしろ、選べるだけ御の字ってもんだしな!
しかし、裏面参照って言うのは世知辛いものを感じた。
コスト削減なのかな?
それとも個々人で違うみたいなハイテク(?)仕様とか?
余白も目立ってたし、個々人の違いが有力だな。
ちなみに、俺は三十個程あった!
能力説明はスゲー簡潔だったけど…
言語理解
読み書き出来る。
たったこれだけなんよ?
しかも、大中小選ぶのも基準が判んないし、とりあえず大みたいな感じで選んだし。
「書けたかい?」
「あ、はい」
「…ふぅん…ま、頑張んな」
「はい?」
渡した用紙を確認したお…ねい様は気になる言い方をして、用紙にデカデカと承認印を捺した。
その瞬間、俺の意識は途切れたとさ。