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王子様と改造人間 quinze







 翌日、今日をあわせてチーム申請の期間は二日に迫っていた。




「でもさぁ、このまま行けば俺らとあいつだけが残って、結果的に組むことになるんじゃね?」
 自分のクラスのベランダの桟に寄りかかりながらアウイがあくびをしていった。
「あまいわねっ!」
 ソプラノ声が飛んできて、アウイは振り向く。
「よぉ、で何があまいって?」
 アウイがそういうと
「あんたみたいな短絡的考えしてる馬鹿がいるっていってんの」
 その言葉とは裏腹に、ヤナはにっこりとほほえんだ。
「そりゃ、残ってる誰かと適当に組めばいいやって思ってる奴らもいるのは知ってるけど・・・・・・」
 アウイはメーベルを思い出しながらいった。
「確かにそういう人もいるけど、そうじゃない人もいるから私は心配していってあげてるんだけど・・・・・・」
「はぁ? そうじゃない人って・・・・・・」
 アウイが困ったように聞くと、ヤナは深い溜め息をつく。
 そんな光景を横目に
「つまり、余った中の奴らと適当に組むんじゃなく、その中の誰かと組みたいってことだ」
 ハイゼが空を見ながらいった。
「さすがハイゼ君、アウィとは違うわ。って、ことなのよ、アウィ」
 ヤナが感心しながらいって、アウイに顔を向ける。
「・・・・・・つまり、なんだ? いまだに俺らと組みたいってか?」
 呆れるようにアウイがいって
「そのとおり」
 ヤナが腕組みをしていった。
「よくもまぁ、こりないというか・・・・・・」
「まぁねぇ・・・・・・、女子はともかく、男子も男子で・・・・・・まったく。あんたらといれば、女の子が話しかけてくれるーだとか、もてるとか変なこと考えてるんでしょうけど、ちゃんと真面目にチーム申請考えなさいって話よね」
 ヤナが呆れていうと
「あのさー、そういうやつらが近くにいるかもしれないのに、よくもまぁそうどうどうといえるな」
 アウイが苦笑い。
「別にー。ていうか、もとはといえばアウィたちがいつまでもチーム登録しないで思わせぶりなことしてるのがいけないと思うんだけど?」
 ヤナが片眉を吊り上げていって
「わざとしてるわけじゃねぇって・・・・・・」
 アウイが肩をがっくりと落としていって
「とりあえずさっさと無理やりにでも組んじゃいなさいよね」
 そういってひらりと身を翻し
「忠告どうも」
 アウイがそういうと、ヤナは振り返ることなく
「どういたしまして」














 それから少しして
「さてと、そろそろ殴りこみに行きますか?」
 アウイがニカッと笑い
「そうするか」
 ハイゼが無表情でいった。














 二組について教室に入ると
「残念でした」
 入るなりドゥエインの声が飛んでくる。
 クラス内を見回し目標がいないことを確認した二人は
「どこいった?」
 まずハイゼが訊ねた。
「さっき、お得意のレーダー探知機が働いて、二人を感知するとかっこよくベランダから飛んで逃げました」
 お手上げといわんばかりにドゥエインがいうと
「なんじゃそりゃ?」
 アウイが首を傾げる。
「そういりゃ、あいつ俺がこの前会ったときも俺が来ることわかってたな・・・・・・」
 ハイゼが遠くを見るような目をしていって
「んー、まぁ、なんつーか、あんまいいたくないけど、あいつスアとの適合者なわけじゃん? 少し離れた場所に人がいるとか、なんかわかるらしいん、だよね」
「つまり、それが誰かも、か?」
 アウイが目を丸くすると
「んー、全部が全部わかるわけじゃないらしいけど、俺やリムはもう感覚的に覚えたっていってた。なんか周りのスアの配置が一人一人違うらしくて、俺らのはもう覚えちゃったらしい。お前らもそんなとこだろ?」
 ドゥエインの解説に
「厄介だな、ったく」
 アウイが悪態をつく。
「・・・・・・ほんとにな」
 ハイゼが頭をかく。


 そんな三人のもとに
「おーい、アウィ」
 教室の端のほうで固まっていた男子が手を振って呼ぶ声が飛んでくる。
 アウイはそれに
「おうっ」
 手を振り返し、
「悪い、ちょっと行ってくる」
「あぁ」
 アウイは申し訳なさそうな顔を向けその男子たちのほうへ向かった。


「お前も行けば?」
 ハイゼはドゥエインにそういう。
「いいよ別に、つーかちょうどよかった。ハイゼお前メーべが借りてる本しらねぇか? 探してるらしいんだけど」
 それにハイゼは少し驚き
「それって・・・・・・」
「その様子じゃ、やっぱ持ってるみたいだな。もしかしたらお前が持ってるかもしれないからこっそり聞いといてくれって頼まれてたんだよ」
 ドゥエインが微苦笑する。
「でも、あいつ本とか読むんだな・・・・・・、なんか意外」
 ハイゼが視線を落としながらそういった。
「そうか? まぁまぁ呼んでるぞあいつ。ぶっちゃけリムと仲いいのそういうこともあるからだしな、お互い読書好きで。てことはいいとして、その本早く図書館なりに返してやれよ」
「へぇ・・・・・・、まぁ俺がいった意外は違うんだけど」
 ハイゼが聞き取れるか聞き取れないかの声でいうと
「ん? なんかいった?」
 ドゥエインが聞き返す。
「いや、なんでもない」
 ハイゼはそういって教室を出る。
「あれ、待たなくていいの、相棒?」
 ドゥエインが少し驚きながら訊ね
「あぁ、本人いないんだし。ひまならちょっと五組つきあえよ」
 ハイゼはそっけなくいった。ドゥエインは笑顔で
「よろこんで」
 そうして二人は五組に向かった。














 



 そして二人はやってきた。ハイゼの先を歩いていたドゥエインが、教室内をちらりと見てハイゼを制止させる。
「いるぜ・・・・・・、リムとやっこさん」
 苦笑い気味のドゥエインに
「なんで逃げない? 気づいてないのか?」
「いいや、気づいてるよ。思いっきり睨まれた。なんか立て込み中みたいだな。・・・・・・あっ、終わったみたい、出てくるぞ」
 ドゥエインのいったとおり、ハイゼたちのいる入り口とは反対の入り口からメーベルが出てきた。その後ろにリムがついてくる。
 メーベルはハイゼたちに振り向くことはなかったが、リムにハイゼたちを指差して見せてとっととハイゼたちとは反対のほうに歩き出した。
 ハイゼは追いかけようとして、リムのところまで来て止めた。何故ならメーベルが向かった先は女子トイレだったからだ。
「あらら、いいとこに逃げ込んだな。さすがにあそこまでは追いかけらんないからな」
 ハイゼに追いついたドゥエインがいった。
「・・・・・・、多分待ってても戻ってこないと、思う」
 リムが申し訳なさそうにいって
「だろうな」
 ハイゼも同意する。
「もしかして、私に用だったり、した?」
 リムが気まずそうにいって
「あぁ、多分」
 そういってドゥエインはハイゼをちらりと見る。
「あいつとちゃんと話がしたくて、あんたを頼りにここ来たんだけど」
 ハイゼがそういうと
「だよね、やっぱり。そのことなんだけど、もう協力できなそう。さっきメーベルに、もう呼んでもなにしても絶対そのことじゃもう会わないっていわれちゃった。明後日まで・・・・・・」
 リムはうつむいていった。
「せっかくの頼みの綱が・・・・・・、メーべに手打たれちゃったな」
 ドゥエインが笑っていって
「巻き込んで悪かったな」
 ハイゼがリムに軽く謝った。
「いいよ、全然私は。ごめんね、何もできなくて」
 リムがそういうと
「リムは全然悪くねぇって」
 ドゥエインがリムにいう。そしてハイゼのほうを向いて
「でも、これからどうすんだ?」
 ドゥエインが訊ねた。
「こうなったら、追いかけっこだな」
 ハイゼが肩をすくめてそういうと
「いいねぇ、追いかけっこ」
 ハイゼでもドゥエインでもリムでもない声が飛んでくる。
「とことん追いかけてやろうじゃねぇか」
 声の主はにやりと笑い、拳を鳴らす。
「アウィ、いつからいたんだ?」
 ドゥエインが聞くと
「んー、リムが協力できなそうっていってるとこぐらいからかな?」
「じゃあ、行くか」
 ハイゼが不敵にほほえみ
「あいよ」
 そういって二人は探し始めた。







 どこへいくともなく駆け出した二人を見送りながら
「ねぇ、手伝わなくていいの?」
 リムがぼそりといって
「そっちこそ」
 ドゥエインがリムを見下ろす。
「・・・・・・、だって多分ドゥエインも思ってるだろうけどさ、無理じゃない?」
「あぁ、まったくもって、あいつら無謀だな」

















 

 その日結局何の進展もなく二人はくたくたになりながら部屋に戻った。
「ハイゼ、見つけたか?」
 ベットに寄りかかるようにしてアウイがいって
「何度かな、すぐ逃げられたけど」
 ハイゼがベットに腰を下ろしていう。
「俺も・・・・・・。あいつさぁ、絶対俺ら馬鹿にしてると思わねぇ? あともう少しってとこで能力使って軽々逃げやがって」
 アウイが悔しそうにいうと
「馬鹿にしてるか、確かに・・・・・・。どっちかっていうと、俺たちから絶対逃げ切れる自信があるって感じだけど」
 ハイゼが上着を脱ぎ捨てる。
「あー、ったく、どうすりゃいいんだよ?」
 アウイがうなり、ハイゼは枕横の本に目を落とす。そしてぼそりと
「さて、どうしたもんかね?」















 夜中、アウイが静かな寝息を立てて寝ているころ、ハイゼは本を片手に見つめていた。
「でも、意外だよな。物語なんて・・・・・・」
 ぼそりとつぶやく。
 そして本を枕元におくと、目を閉じ静かに深い眠りに落ちていった。








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