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王子様と改造人間 onze
 





 アウイが走り出し自分のクラスから出たところで
「あっ」
 アウイと、アウイにもう少しでぶつかりそうになったそのものは同時に言った。
「よぉ、ヤナ」
 アウイが笑顔で言うと
「そんなに急いでどこいくの?」
 ヤナが首を傾げる。
「えっと・・・・・・」
 アウイが言いよどんでいると
「ちゃんと説明してやれよ」
 アウイの背後でハイゼが言った。
「ハイゼ・・・・・・」
 アウイが思いもかけないその言葉にびっくりしていると
「じゃあ、俺先に二組行ってるから」
 そう行ってハイゼはすたすたと二人から去ってしまった。
 二人は唖然としていたものの
「あのさ、ここじゃなんだし、どこか違うとこで話したいんだけど・・・・・・」
 アウイが頭をかきながら言って
「分かった、屋上に行こう」
 ヤナが花が開いたような笑顔で返した。










 二組についたハイゼは、昨日と違い人の数が平生に戻ったクラスを見回していた。
「ハイゼくーん、もしかしてわ・た・しに用?」
 ハイゼの後ろからそんな女をまねたつくり声がして、ハイゼは呆れながら振り向くことなく
「あぁ、そうだよ」
 肩を落とした。
「だよなー、お前俺以外に二組に友だちいないだろうし」
 ドゥエインがからかうように言って
「悪かったな」
 ハイゼがやっとドゥエインの方に向き直った。
「で、何のよう?」
「あいつ、まだクラスに戻ってねぇのか?」
「あいつ? あぁ、あいつね。今日も来ないんじゃねぇの。昨日の今日だし、
居づらいだろ」
「そうだよな・・・・・・」
「今はチーム申請前である意味自由登校だし、授業やらねぇ限りこねぇよ、あいつは」
 ドゥエインがそう言うと
「あいつ、授業ちゃんと出てるのか?」
 ハイゼが少し感心して言うと
「あぁ、あいつ結構真面目だぜ。一昨年や去年もリムとかにノート借りたりしてー」
「今何つった?」
 ハイゼがドゥエインの言葉を遮って聞くと
「あいつ結構真面目だぜ?」
「その後っ!」
「一昨年や去年仕事で抜けたとこはリムとかに借りたりして補ってたなと」
 ドゥエインがおずおずというと
「それだっ!」
「何が?」
 わけが分からないというようにドゥエインが訊ね
「そのあいつの友だちだよっ、昨日だってあいつの居場所教えてくれたくらいだし、
もしかしたら・・・・・・」
「リム? 確かにあいつならメーべの居場所くらい知ってそうだけど。てか、昨日
会ったの?」
「あぁ。それより、メーべってあいつのあだ名?」
「そうだよ、ベルって呼ぶとあいつ絶対怒んだもん」
「お前って、あいつとそんな仲いいの?」
「普通だろ、まぁ去年も同じクラスだしな。それに俺はどっちかって言うとリム目当てで
仲良くなったんだけど」
 それを聞いたハイゼが
「お前ってああいう子がタイプなの?」
 少し驚いて聞いて
「そりゃ、細目だけど、性格いいし話してて楽しいからなぁ。ある意味女版アウィって
かんじで俺は好き」
「俺は、細すぎて折れるイメージがあるけど」
 ハイゼがぼそりつぶやいた。
「細いにこしたとねーだろ。おまえにゃあいつのよさなんてわかんねーよ。おまえ
みたいに・・・・・・」
 ドゥエインがじっとハイゼを見た。
「俺みたいになんだよ?」
 ハイゼが左目を吊り上げて言って、ドゥエインは口を尖らせて
「結局お前はどんなのがタイプなの?」
「・・・・・・」












 一方、屋上ではアウイとヤナが屋上の真ん中で空を見ながら
「あのさ」
 アウイが頭をかきながらそう切り出し
「うん」
 ヤナが背中で腕を組みながらあいづちをうつ。
「俺とハイゼ、メーベルと組むことにしたから」
 アウイがヤナのほうを見てはっきりとそう言うと
「そっかぁ」
 ヤナは空を見ながら言った。
「おどろかねぇの?」
 逆にヤナの反応に驚いたアウイが言って
「そりゃあ、びっくりだけど。あたしはアウィが負けたときのほうがショック
だったよ」
 ヤナは少し困った笑顔で言う。
「なるほどね」
「いつから? いつから組むことになったの?」
 その質問にアウイは目を逸らし
「いや、実はまだこれからなんだけどね」
「はい?」
「ハイゼとそう決めたのはいいけど、本人の了解を得てないって言うか、なんというか」
「なにそれっ!」
「だからこれからあいつに会いに行くとこで・・・・・・」
「断られたらどうすんのよっ」
 ヤナが呆れて言うと
「俺とハイゼでどうにかして絶対入れるっ!」
「ハイゼ君がどうにかするかなぁ」
 ヤナがポツリ言って
「・・・・・・」
 アウイは取り繕ったような笑顔だけで何も返さなかった。










「なぁなぁ、どういうのがタイプなんだよ。けちけちしないで教えろよ」
「・・・・・・」
「やっぱり知的美人系?」
「・・・・・・別にどうでもいいだろ」
 ハイゼが呆れて言うと
「それって女なんてどうでもいいってことか?」
「だから、なんでそうなる・・・・・・」
「じゃあ、細いかぽっちゃりかっていったら?」
 ドゥエインの質問にハイゼはもう仕方がないとばかりに肩を落とし
「自分よりよっぽど太くなきゃいいんじゃねぇ」
 ぶっきらぼうに言った。
「背は? 性格は?」
「俺より高くなくて、自己主張激しくない奴?」
 はき捨てるようにハイゼが言って、それを聞いたドゥエインが
「なんか・・・・・・」
 そこまで言って口をつぐむ。
「なんかなんだよ?」
 ハイゼが左目を吊り上げて先を促すと
「一応メーべ仮合格だなっ。お前より太すぎず、背は低く、自己主張・・・・・・
はまぁ目をつぶるとして」
「おい・・・・・・」
 ハイゼが心底呆れると
「そういやなんでそんなにあいつに会いたいんだよ?」
 ドゥエインが今更ながら不思議そうに訊ね
「それは・・・・・・」
 ハイゼが言いかけた丁度そのとき
「おーい、お待たせ」
 少し遠くからアウイの声が飛んできた。
 二人は小走りで来るアウイを自分たちのところに来るまで黙って見ていた。
「あいついるのか?」
 来るなりアウイがそう言うと 
「いない、だからリムってこのクラス行くぞ」
「はぁ? ・・・・・・あぁ、そういうことね」
アウイはわけが分からないというような顔で言うと、しばらくして同意した。
 二人のやり取りを傍目で聞いていたドゥエインが
「いまので通じんの? さすが名コンビ」
 素直に感心し
「まぁな」
 アウイがニカッと笑うと
「おまえらほんとにできてんじゃねぇの?」
 ドゥエインが冗談を言う。
「で、クラスどこ?」
 ハイゼが無視して言うと
「確か五、六じゃなかったっけな」
 アウイがさらりと返す。
「おい、無視すんなよー」
 ドゥエインがいじけると
「じゃあ案内しろ」
 ハイゼのエメラルドグリーンのような瞳がきらりと光る。
「わかったよ」
 ドゥエインはやれやれと肩をすくめ
「ま、俺も逢いたかったとこだしいいけどね」
 ぺろりと舌を出した。



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