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王子様と改造人間 dix

 ハイゼは本をぱたんと閉じ
「お前って、どういう奴ならチームくんでもいいんだっけ」
 天井を仰ぎながら言った。
「んー、そりゃやっぱ弱くて俺達が助けなきゃいけないような足引っ張るやつじゃない、
おれたちなみかそれ以上の強い奴?」
 お風呂上りのアウイは、髪をタオルで乾かしながら言う。
「そうそういないな」
「いねぇよなぁ」
 二人がそんなことをしみじみといっていると
「おいっ、アウィッ、ハイゼいるかー?」
 部屋のドアがノックされた。
 その声にアウイとハイゼは顔を見合わせ
「入れよっ」
 アウイは少し大きめな声で言った。








「よぉ」
 そう言って入ってきたのは、今日二人が話していた二組の男友達であった。
「何のようだよ? ドゥエイン」
 アウイがそう聞くと、ドゥエインは断りもいれずアウイのベットに座り
「遊びにきただけだって」
 伸びをして言う。
「ひまな奴」
 アウイが呆れて言うと
「お互い様だろ。それより、おまえら本気でチーム登録やばいんじゃねぇか?」
 ドゥエインのその一言に
「・・・・・・だって組みたいと思う奴いねぇんだもん」
 アウイががっかりしたように言う。
「おまえらどういうやつがいいわけ?」
「えー、とりあえず俺ら以上か俺らなみに強いやつ?」
「ハイゼは?」
「・・・・・・それで協調性があって俺らとうまく連携できそうな奴」
 二人のその言い分を聞いて
「そりゃお高い理想だことで」
 ドゥエインはほとほと呆れていた。
「お前らぐらいに強い奴か・・・・・・」
 ドゥエインのその一言にアウイははっとし
「あっ、一人いた」
 今さっき思い出したように言う。
「誰だよ?」
 ドゥエインが訊ね
「あいつっ、メーベルだよっ!」
 アウイがまるで難問が解けたときのように言う。
「まぁ、お前らぐらいに強いわな、あいつは」
 ドゥエインがうなづくように言うと
「そりゃあの能力だし」
 アウイも同意する。
 ドゥエインはちょっと上をみて考えてから
「いっそのこと、メーベルと組んじゃえば?」
 その一言に部屋はしんと静まり返る。













「考えたことなかった、女と組むなんて」
 静寂を破ったのはアウイだった。
「いいじゃん、別に。あいつ顔そんな悪くねぇし」
「そう言う問題?」
「だって組むなら可愛いほうがいいじゃん。そりゃ、お前らにしちゃ物たりねぇかも
知れないけど」
「おまえ、俺らのことどう思ってんだ?」
「・・・・・・よっぽど可愛いか美人じゃねぇと女は相手にしないやつら?」
「ぶっ殺すぞ」
 アウイが睨みをきかせると
「だって現にアウィはマドンナと仲いいじゃん」
「マドンナ、あぁ、ヤナね。だってヤナとは気が合うし。でもなぁ、この頃あいつ
冷たいんだよ」
「振ったからだろ」
 ドゥエインがそう言うと
「はぁ? なんだそりゃ?」
 アウイは心底驚いていった。
「だって、チーム登録断ったんだろ? あいつ女の中じゃそこそこ強いのに。
振ったも同然だろ、皆たぶん本人すらそう思ってんじゃね」
「断るに決まってんだろ。いざって時は任務優先しなくちゃいけないし。俺らのレベルの
実習に合わせてけがされちゃたまったもんじゃない」
「おまえ、何でヤナと付きあわねぇの?」
「べつにどうでもいいだろっ! 今は彼女とか作りたくねぇんだよ」
「ふーん、・・・・・・ハイゼは彼女いねぇの?」
 ドゥエインは、今まで黙って二人のやり取りを聞いていたハイゼにいきなり聞いた。
「いない」
 ハイゼ即答。
「そういや、お前ってどんなタイプが好きなの?」
「あ、それ俺も知りてぇ」
 興味津々な二人に
「別に」
 あっさりというハイゼ。
「もしかして・・・・・・女に興味ねぇとか」
 ドゥエインが言って
「まじかよっ、じゃあ同室の俺危険じゃん」
 アウイがドゥエインの腕をつかんで言うと
「そういや、このごろ新しい銃手に入れたんだよ。まだ威力試してないから今試そうかな」
 ハイゼが真顔で言う。
 静かな怒気を放つハイゼに二人は
「すいませんでした」
 素直に謝った。











 翌日。
「誰かこのクラスでチーム申請まだの奴いないか?」
 ある男子生徒が自分以外のクラスにいき、
「だれかチーム登録まだの子知らない?」
 ある女子生徒が女友達に焦りながら訊ね
「誰でもいいから組みませんかー?」
 そんな声が学内のあちこちで飛び回る。





「俺らもそろそろ焦んなきゃな・・・・・・」
 アウイがまた自分のクラスのベランダで腕組みをしながら言って
「だな」
 ハイゼは青空を見ながら言った。
「もういっそのこと、マジであいつと組むか?」
 アウイが冗談交じりで言ったその一言に
「いいぜ、俺は別に」
 あっさりとハイゼは言った。
 しばしの沈黙。
「えっと、今何つった?」
 アウイが恐る恐る聞いて
「いいぜ、俺は別に」
 一字一句たがえずハイゼが復唱する。
「あいつと三人でチーム組んでも本当にいいのか?」
「だから、そう言ってんだろ。お前が嫌じゃなきゃ俺はいい」
「俺は、お前があいつと組むの嫌なんだと思ってたぞ」
 アウイは正直に告白すると
「俺はお前が嫌なんだと思ってた」
 ハイゼがアウイを方に顔を向けて言った。
「だって、昨日ドゥエインがあいつと組んじゃえばって言ったとき、話に食いついて
こなかったじゃねぇか」
 少し荒々しげにアウイが言って
「お前だってそんなの考えたことなかったっていってたろ」
 ハイゼも少しイライラしてるかのように言う。
「いつからだ? 俺は本当に昨日その話しが出てから考えてたんだけど」
 アウイが落ち着きを取り戻しながら言うと
「俺は、多分あいつと負けた後ぐらいから考えてたと思う」
 ハイゼは自分でもよく分からないというような返答をした。
「早く言ってくれればよかったのに」
「わりぃ。でもさ、お前前々からなるべく女とは組みたくないって言ってたろ?
今までお前は女友達の誘い断ってんのに今更悪い気がしたんだよ」
 ハイゼが小さな声で言って
「んな心配すんなよなっ! それに俺が断ってたのはほんとに組みたくなかったからだ。
そりゃ理由はいろいろあったけど。それより、今まで男女問わず断った中で組みたいと
思った奴いたか?」
「いない」
「だろ? 俺もだ。でも今回は違う。俺も組んでもいいって思えるし、お前もそう
思ってる。じゃあ、何の問題もないよな?」
 アウイがニカッと笑って
「そういうことになるな」
 ハイゼも不敵な笑みを浮かべた。
「じゃあ、行くぞっ!」
 アウイが走り出しながら行って、その後をハイゼはやれやれと肩をすくめてついていくのであった。

















 俺があいつとチームを組もうとすぐにアウィに切り出せなかったのは、俺のこの
まだなんとも言えなかったあいつへの感情をアウィに悟られたくなかったからだ。
ただの物珍しさや新鮮さだけではなかったあの感情を・・・・・・。

 






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