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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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マヨネーズ

 
 クーラタルの十二階層で、滋養丸がアイテムボックス一列をいっぱいにするまでサラセニアを狩った。
 俺だけでなく、いざというときのためにセリーにも十個持たせる。

 ミリアもちゃんと薬草採取士Lv1を獲得した。
 附子を拾ったからだろう。
 リーフと同様、附子も薬草にあたるようだ。

 サラセニアは、戦闘をこなしていくと案外たいしたことはなかった。
 草なので攻撃力は大きくないらしい。
 デュランダルを出したときに直接戦ってみるが、楽勝だ。

「うおお。危ねえ」

 などと思っていたら、消化液をかけてきやがった。
 てっ辺のつぼを傾けて、上からこぼされた。
 かからないようにギリギリで飛びのく。

「こんな攻撃パターンもあるんですね」

 ロクサーヌがのんびりとのたまうが、こっちは必死だ。
 デュランダルを叩き込み、なんとか屠った。

「セリー、コラーゲンコーラルって水生の魔物だと思うか」
「そうだと思います」

 サラセニアは危険なので、ベイルの八階層に移動する。
 コラーゲンコーラルが水生の魔物であることにセリーの賛同を得た。

「対水生強化というスキル技があるわけじゃないよな」
「それは聞いたことがありません」
「ミリアも知らないそうです」

 となるとやはり対水生強化はパッシブスキルか。

「ミリアは何階層まで入ったことがある?」
「一階層だけだそうです」
「それでは八階層は大変かもしれないが、水生の魔物だ。海女ならばなんとかなるだろう」

 試しに八階層で戦ってみる。
 最初に現れたコラーゲンコーラルLv8を倒すのに魔法三発かかった。
 ボーナスポイントを知力上昇に振って、魔法二発で半数を倒せるように調整する。

 魔法二発で生き残ったコラーゲンコーラルにミリアをけしかけた。
 鋼鉄の槍、シミター、素手で倒させる。
 ミリアは剣士も僧侶も持っていない。

 槍を使った攻撃では、ミリアは簡単にコラーゲンコーラルを倒した。
 剣で攻撃しているときには反撃を喰らってしまう。

 さすがにロクサーヌほどの動きではないようだ。
 よかった。
 あれが標準なら泣くところだ。
 ミリアは素手で攻撃しているときにもやはり攻撃を受けた。

「大丈夫か」
「××××××××××」
「はい」

 メッキをして、手当てを二回行う。
 ミリアはもう一度だけ攻撃を浴び、コラーゲンコーラルを倒した。
 パーティージョブ設定で確認すると、剣士Lv1と僧侶Lv1を獲得している。

「魔物の攻撃はどうだ?」
「大丈夫だそうです」
「水生じゃない魔物でもいけそうか」
「はい」

 ミリアが元気よく返事をした。
 結構やる気だ。
 ありがたい。

 クーラタルの八階層に移動してニードルウッドLv8とも一度戦わせる。
 剣でやらせたこともあり、魔物の攻撃は受けた。
 やはりメッキをかけなおして手当てする。

「どうだ?」
「コラーゲンコーラルよりは大変だけど戦えると言っています」
「大丈夫そうだな。この後は、九、十、十一階層で一発ずつ魔物の攻撃を受けながら一撃では死なないことを確認しつつ順に上がっていくのと、一気に十二階層へ行って後ろで見学させるのと、どっちがいいだろうか」

 どちらにするか自分でも迷うところなので、三人に諮った。

 一発ずつ殴られるのは、安全性は高い。
 欠点としては、攻撃を受けることそのものがデメリットだ。
 ミリアも痛いのは嫌だろう。
 一つ下の階層で様子を見ているとはいっても百パーセント安全ではない。
 試しに殴られたら死んでしまいましたではしゃれにならない。

 十二階層で見学させれば、むざむざ攻撃を受けることはないが安全性はギャンブルになる。
 後ろにいるといっても、迷宮で一緒にいる以上絶対はない。
 流れ弾が飛んでくる危険性を否定はできないだろう。
 十二階層で見学させた方が成長は少し早いかもしれない。

「一階層ずつ試した方がいいと思います。攻撃を受けることなどたいしたことではありません。魔物に対峙すればその可能性は常にあるのです」

 考えられるメリットとデメリットを説明すると、ロクサーヌが答えた。
 ロクサーヌの場合、本当に可能性に留まるところが怖い。

「安全を考慮すれば順に上がっていった方が断然いいでしょう。わざと攻撃を受けるくらいは仕方がありません」

 セリーの判断は相変わらずすっきりしている。
 ミリアもそれで割り切ってくれればいいが。

「××××××××××」
「××××××××××」
「ミリアも、お姉ちゃんのいうとおりだと言っています」

 それはロクサーヌが無理やり言わせたのではないのかと。
 まあミリアがいいと言うのならいいか。
 ロクサーヌが説得したので順に上がっていくことにする。

 クーラタルの九階層に移動し、その後も一階層ずつ上がっていった。
 一匹だけ残して他の魔物を殲滅し、残ったところでミリアに攻撃させる。
 ミリアが攻撃を受けたら魔物はすぐにとどめをさした。
 剣士や僧侶は取得済みなので、最後までやらせる必要はない。

「大丈夫か」
「大丈夫」

 手当てをしながら声をかけると答えが返ってくる。
 大丈夫という言葉まで覚えてしまったようだ。
 ミリアはグリーンキャタピラーLv11の攻撃までをしのぎきった。

「十二階層では魔物が強くなる。いけそうか」
「××××××××××」
「大丈夫」

 ロクサーヌが訳すとやはり勝気な答えが返ってくる。
 ミリアはなかなか性根がすわっていそうだ。
 迷宮で戦ってもらうのだからその方がいい。

 迷宮のあるこの世界ではこれくらいが当然なんだろうか。
 いや、選ぶときに迷宮で戦うことを条件にしたからか。
 やる気のなさそうな美人を選んでいたら、こうはいかなかったに違いない。
 ミリアはパーティーメンバーとしてもあたりだと考えていいだろう。

「では、ハルバーの十二階層に移動する。ハルバーの十二階層が今の俺たちの狩場だ。十二階層ではわざと攻撃を受けることはない。無理をする必要もない。徐々に慣れてくれればいい。当面は後ろから槍を突き入れて戦え。しばらくはセリーが前、ミリアが後ろのポジションだ」

 一階層ずつ上がっていく間にミリアも海女Lv3になった。
 一撃でやられないなら十二階層でも大丈夫だろう。

 ハルバーの十二階層に移動する。
 以後は普通に狩を行った。
 ミリアは後ろにおいて様子を見る。
 さすがに後衛に控えさせれば何の問題もないか。

 風魔法四発で倒せるので、戦う時間はあまり長くない。
 遠距離攻撃もまばらに来る程度なので、ロクサーヌが全部押さえてくれる。

 朝の間に、ミリアは海女Lv5まで成長した。
 元々のレベルが低いだけあってレベルアップが早い。
 これならすぐに前に出してもよくなるだろう。

 狩を終え、クーラタルの冒険者ギルドに出る。
 朝食の買い物をした。

 魚屋ではどうなるかと思ったが、ミリアはあっさりスルーする。
 魚、魚と駄々をこねることはないようだ。
 十日に一度という要求はどこまで有効なんだろうか。

「あの魚はあまり活きがよくないそうです」

 疑問に思っていると、ロクサーヌが小声で教えてくれた。
 なるほど。
 日の出前の時間に仕入れることは多分ない。
 店頭に置いてある魚は昨日以前に仕入れたものなのか。
 魚に関しては厳しいようだ。

「ミリアにも何か作ってもらうか」
「××××××××××」
「××××××××××」
「肉を焼くと言っています。私も一緒に作るので、大丈夫でしょう」

 本当に魚料理一辺倒ということはないらしい。
 ロクサーヌが一緒なら大丈夫だろう。

「では、私がスープを作ります」
「そのスープの中に、卵を入れられるか」
「卵ですか? はい、大丈夫です」

 セリーがスープ当番のようだ。
 卵やパン、他の食材を買って家に帰った。
 俺は朝食ではなく別のものを作る。

 まずは卵の黄身を取って、酢と混ぜた。
 混ぜるのに使う泡だて器は針金を曲げて作った自作の品だ。
 卵黄と酢が混じったところに、オリーブオイルを加える。
 混ぜながら少しずつ加えてやればいいので、分量は間違えようがない。

 後はとろりと固くなるまでかき混ぜた。
 かき混ぜる。
 一心不乱にかき混ぜる。
 マヨネーズの完成だ。

「じゃあ、これな」

 残った卵白をセリーに渡した。

「卵白は分かりますが、それは何ですか」
「調味料だ。ミリア、明後日の夕方は魚にしよう。魚、かける、美味しい、オーケー?」
「お、お、お、お」

 料理中のミリアが目を見開いて俺を見る。
 ロクサーヌが訳さなくてもすでに魚は分かるみたいだ。

「がんばって迷宮に入ってくれるみたいだからな。ご褒美だ」
「××××××××××」
「おいしい、です」

 まだ食べてないっての。

「ご褒美だ。ごほうび」
「ご褒美、です」

 ミリアに復唱させた。
 ご褒美の真の意味については、今夜じっくりと教えよう。
 たっぷりと教えよう。
 マヨネーズはふたをして置いておく。

「すぐに食べるとおなかを壊すことがあるので、手は出さないようにな」

 一応注意した。
 生卵にはサルモネラ菌がいることがある。
 俺もこっちに来てからは生卵は食べないようにしていた。
 酢と油でいっぱいのマヨネーズの中では、一日おけば死滅するらしい。

 ミリアは、魚料理でなくても普通に作れるようだ。
 ちゃんと美味しかった。

 朝食の後も狩を続け、夕方には帝都に赴く。
 服屋でネグリジェを選ばせた。
 ここのネグリジェは薄手で透けるタイプの服だ。
 さすがに昨日買うわけにはいかなかった。

 すでに一晩をともにしたし、今日なら問題ないだろう。
 ミリアがロクサーヌやセリーと一緒になって服を選ぶ。
 三人でがやがやと何かを言いあった。

 普通に時間がかかっている。
 失敗した。
 魚料理のある日にすべきだった。
 魚を食べる日ならすぐに選び終えたに違いない。

「帝宮の侍女が着るような服を売ってるか」

 仕方ないので、待っている間に店員に話しかける。
 女性店員でなく男性店員に聞くのがポイントだ。
 ミリアだけメイド服がない。

「もちろんお作りいたします。布地を選んでいただき、完成には十日ほどお時間をいただきます」
「そうか」

 ちゃんとできるらしい。
 結構使われるものなんだろうか。

「こちらにおいでいただけますか。普通の布地ですと三千ナール。絹と混ぜた布地を使いますと六千ナール。こちらの総絹仕立ての布地を使いますと、一万ナールでございます。こちらですととても柔らかく、最高の手触り、肌触りをお約束できます」

 店員が布地を置いてある場所に俺を導いた。
 出してきた絹の布を触る。
 すべすべして非常に柔らかい。
 この布地で作った服をロクサーヌやセリーやミリアに着せて抱きついたら。

 くそっ。
 この店員は明らかに使用目的が分かってやがる。
 男性店員に聞いたのが間違いだ。

「今回作るのは一着だけだ。普通の布地で頼めるか」

 しかし、ミリアにだけよい服を作るわけにはいかない。
 三千ナールの布地で依頼する。
 ベイルの奴隷商人から買ったメイド服は四千ナールだ。
 転売のマージンを差し引けば、普通の布地で同じくらいの品質だろう。

 逆にいうと、同じだとすると千ナールも上乗せしてんのか。
 結構とりやがったな。
 いまさらいいが。

 ミリアがネグリジェを選び終えた。
 髪の毛の色に近い青色のを着るようだ。

「それでは、採寸させていただきます」
「彼女だ。頼めるか」
「かしこまりました」

 ミリアを女性店員に引き渡す。

「ベイルの商館で一緒に買った服があるだろう。ミリアだけないからな。あれと同じようなものを作る」

 ミリアの体のサイズが測られるのを見ながら、ロクサーヌに説明した。
 ミリアだけ特別と思われてもまずい。

「そうですね。確かにミリアだけありません」

 ロクサーヌが返事をする。
 大丈夫そうか。
 俺はひそかに安堵の息を漏らした。
 ハーレムというのもそれなりに気を使うことが多そうだ。

「ありがとうございます、です」

 採寸されていたミリアがロクサーヌから話を聞いて頭を下げる。
 きっと服よりも魚の方が喜ぶに違いない。
 というか、メイド服が嬉しいのかという問題はあるよな。

「お支払いはいかがなされますか。一括で先払いでも、半額は受け取るときでも結構でございます」
「一括で払おう。これも一緒にな」

 仕立てるときは半分を受け取り時に支払ってもいいのか。
 それなら一着だけを仕立てても三割引が効きそうな気がする。
 今回はネグリジェも一緒に買うのでどうせ三割引きが効く。
 メイド服のお金も一括で先払いした。


「服を仕立てる場合には先払いするものだと祖父から聞いたことがあります。さすがです」

 夕食のとき、セリーがその対応を評価してくれた。

「そうなのか?」
「一括で先払いすることは、店を信頼しているというサインになります」
「なるほど。そういうものか」

 金だけ取って逃げる怪しげな商人もいるのかもしれない。
 帝都の一等地に店を構えてそれはなさそうだが。
 逆に、探索者や冒険者なら取りに行く前に死んでしまう可能性もある。
 先払いするのは絶対にそうはならないという自信の表明か。

「さすがはご主人様です。××××××××××」
「ミ、ミリアは、魚以外の魚介類は好きか」

 ロクサーヌの訳を聞いてミリアが尊敬の表情を向けてくるので話をそらした。
 どういう翻訳をしたのだろうか。
 ロクサーヌを教育係にするのは間違っているような気がしないでもない。
 ちなみに、ミリアは夕食もちゃんと炒め物を作っている。

「魚の方が好きだそうです」
「そうか」
「エビとカニは漁で獲れたときに食べたことがあるそうです」

 この世界にエビとカニはありと。
 俺は見たことがない。
 もっと海の近くでないと売っていないのだろう。

「貝とかはどうだ」
「貝の嫌いな人はいないと思いますが」
「そうなのか?」

 ロクサーヌが訳している間に、セリーに尋ねる。

「えっと。普通の貝は食べられません。ですから、食べられる貝は迷宮で魔物が残す食材だけになります」
「そ、そうだな」

 そうなのか。
 初めて聞いた。
 貝も売っているところは見たことがない。

「食材となる貝は非常に美味です。ただし、残る貝は小さいので値が張ってしまいます。普通の人が食べるのは休日か何か特別の日くらいでしょう」

 休日というのは、九十日の季節と季節の間に入る休みのことだろう。
 特別な日に食べる特別な食材ということか。

「ミリアは食べたことがないそうです。私も蛤しか食べたことはありません。あれは美味しかったです」

 ロクサーヌもハマグリしか食べたことがないと。
 ひょっとして旨いのだろうか。

「ハマグリか。魚屋に売っているだろうか」
「あの、すみません。そんなつもりで言ったのではありません」
「いや、分かっている」
「ミリアも、魚が食べられれば十分と言っています」

 ミリアの場合はそうだろう。
 それは本心からに違いない。
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