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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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Never give up


 目覚めると、ロクサーヌを抱き枕にしていた。
 足を絡ませ、両手をロクサーヌの背中に回している。
 朝起きたとき両側に美女というのが楽しみだったのに。
 そうそう巧くはいかないらしい。

 寝ている間の動きまでは制御できないのでしょうがない。
 完全に両手両足でロクサーヌにしがみついていた。

 ロクサーヌの背中の毛が恋しかったのだろうか。
 セリーだと小さすぎて抱き枕として不足だったのだろうか。
 やっぱり単純に胸の弾力か。

 正面から抱きついているので、豊かな弾力が思う存分味わえる。
 ちょっと力を込めて抱きしめてみた。
 しっとりとしなやかに、かつ弾けるような反発力が返ってくる。
 これはたまらん。

「んっ」

 しばらく楽しんでいると、ロクサーヌがキスをしてきた。
 やっべ。
 起きていたらしい。
 何をしていたか、すっかりばれている。

「おはようございます、ご主人様」
「お、おはよう」

 小声で挨拶をかわす。

「あ。おはようございます」

 セリーも目覚めていたようだ。
 後ろから声がした。
 やましさのある腕をロクサーヌからはずし、セリーを抱き寄せる。

「セリーもおはよう」

 そう言って、唇を重ねた。
 セリーの口づけはまだぎこちない。
 控えめで動きも硬い。
 これはこれで萌えるものもあるのだが。

 正直、積極的に応じてくれるロクサーヌの方が、とは思うが、比較はタブーだろう。
 そのうち慣れてくれるはずだ。

 しかし、着替える途中でロクサーヌの唇を求めてしまったのは仕方がない。
 ロクサーヌは自ら舌を絡めてくれる。
 舌を絡ませあい、唇を蠢かせあい、口を吸いあった。

 可愛がってくれるのはよかったとロクサーヌも言っていたので、このくらいは問題ないだろう。
 色魔はつけていないので、精力増強のスキルのせいではない。


加賀道夫 男 17歳
探索者Lv33 英雄Lv30 魔法使いLv32 僧侶Lv31 錬金術師Lv17
装備 ワンド 革の帽子 皮の鎧 皮のグローブ 革の靴

ロクサーヌ ♀ 16歳
獣戦士Lv19
装備 シミター 木の盾 皮の帽子 皮のジャケット 皮のグローブ 皮の靴

セリー ♀ 16歳
村人Lv3
装備 棍棒 皮の帽子 皮のジャケット 皮のミトン サンダルブーツ


 準備を整え、確認する。
 ジョブが増えてくると、つけたいジョブも増える。

 パーティー編成に必要だから、探索者ははずせない。
 効果の大きい英雄と、魔法使いももちろんはずせない。
 万が一のことを考えれば僧侶もはずせないだろう。
 となると、錬金術師、料理人、色魔を全部はつけられない。

 他の人はジョブを一つしか持てないのだから、贅沢な悩みだ。
 やはり人間の欲望には限りがないらしい。

 ちなみに、探索者をはずすとパーティーは自然解散になってしまうようだ。
 アイテムボックスは料理人でも使えるから、探索者は誰か他のパーティーメンバーに任せるという選択肢はありかもしれない。

「準備できました」
「では行くぞ」

 セリーの報告を受けて迷宮にワープする。
 朝だがベイルの迷宮の二階層へ。

「ご主人様、ここは?」
「ベイルの迷宮の二階層だ。セリーにとってのパーティー初戦だしな」

 いつものクーラタル迷宮七階層でないことはにおいで分かるのだろう。
 いぶかしがるロクサーヌに軽く説明した。

「なるほど。分かりました」
「まずはセリーの戦いぶりが見たい。魔物を魔法で弱らせるから、残った魔物をセリーが攻撃してくれ」
「は、はい」
「ロクサーヌは魔物の正面を取ってやれ」
「かしこまりました」

 ボーナスポイントを調整して、Lv2の魔物の半数を魔法一発で倒せる威力まで知力上昇につぎ込む。
 生き残った魔物にセリーをけしかけた。

 セリーが棍棒をスイングする。
 グリーンキャタピラーLv2のどてっぱらにヒット。
 結構衝撃は与えてそうだ。

 魔物の怒りの反撃をロクサーヌが軽くいなした。
 まさに朝飯前の回避だ。
 その隙を突いてセリーが棍棒を叩き込む。

 なかなかいい連携だ。
 魔物はそのままセリーが倒した。

「うーん。駄目か」

 すぐにジョブを見てみるが、鍛冶師は獲得していない。
 棍棒で倒すという条件ではなかったのか。
 あるいは村人Lv5が必要か。

「何か駄目だったでしょうか?」
「あ。いやいや。セリーが駄目ということじゃない。次はこの槍で頼む」

 しまった。失言だった。
 駄目はないだろう。

 続いて、銅の槍、銅の剣、素手で倒させたが、何もジョブを獲得しない。
 もっとも、剣士と僧侶はおそらく村人Lv5が条件だ。
 この辺りは村人のレベルアップ待ちである。

「あぅ」

 素手で戦うときはさすがに時間もかかり、セリーが魔物の攻撃を受けた。
 俺も素手のときは何度か攻撃を喰らったし、しょうがない。
 魔物に正面から対峙しているロクサーヌの方は以下略だが。

「魔物の攻撃はどうだ。問題ないレベルか?」

 手当てとメッキをしながら、セリーに問いかける。

「こ、これは回復魔法ですか?」
「そうだ」
「やはり複数のジョブが……。あ、いえ。この程度の攻撃なら、一、二回でやられることはないと思います」

 魔物と戦いながらセリーが答えた。
 攻撃を受けても割と冷静のようだ。
 回復魔法を受けたと分かるほどのダメージを負ったということではあるが。
 もう少し上に行っても大丈夫だろう。

 次に俺が棍棒を使って倒してみる。
 棍棒で魔物を倒して俺が何かジョブを得たら、槌で魔物を倒すのは鍛冶師の条件ではないということだ。
 グリーンキャタピラーLv2の頭上に棍棒を振り下ろした。

「あんまり巧くいかないな」
「もっと遠心力を利用して振り回すようにした方がいいです」

 慣れないせいか、槌は剣よりも使いにくい。
 重心が先の方にあるので、重さを利用して叩きつける感じか。
 それぞれの武器にはそれぞれの特性があるようだ。

 なんとか倒して、ジョブを見てみる。
 緊張の一瞬。
 しかし、何も新規のジョブはなかった。
 槍で倒してみたが同じ。

「何故私までやるのでしょう?」
「いやまあものは試しだ」

 ロクサーヌにも槍と槌で試してもらったが、新しいジョブはなかった。
 ワンドで倒したときも何もなかったし、そうそう全部の武器にジョブが対応しているのではないのだろう。
 あるいは条件が足りていないのか。
 いずれにしても、現時点では鍛冶師を含めて何もジョブを得られなかった。

「慣れないと使いにくいですね。振り回すのに力がいると思います。私には剣の方がいいですね」

 棍棒で魔物を倒したロクサーヌがコメントする。
 槌はやはりセリー専用のようだ。
 槍の方は使えそうだが、前衛が魔物と対峙しているところを後ろから突く形になるので、ロクサーヌに使わせる武器ではない。
 ロクサーヌは前衛として置くべきだろう。

 一通り試したので、クーラタルの迷宮に移動して上の階層へ上がっていく。
 ベイル迷宮三階層のコボルトではセリーのテストにならない。

 上の階層へ行っても、セリーはきっちり魔物と戦った。
 セリーは小さくて可愛いが、戦っているとなかなか貫禄がある。
 ロクサーヌほどではなくとも、俺と同じくらいには戦えるか。

 落語家の世界では、自分よりちょっと巧いなと思ったやつの落語は自分よりもうんと上、自分と同じくらいだなと思ったやつの落語は自分よりもちょっと上、自分よりちょっと下だと思ったやつの落語が自分と同じレベルだという。
 それを考えると、セリーは俺よりも戦えるのかもしれない。

「あうっ」

 五階層で三匹を相手にしているときには、セリーも魔物の攻撃を喰らった。
 俺も三匹が相手のときにはよく喰らう。

「大丈夫か」
「大丈夫です。前は八階層で戦っていたこともあるので、五階層くらいなら問題ないはずです」

 すぐに手当てとメッキをかけて尋ねると、セリーが気丈に答える。

「いや。装備もパーティーの戦力も環境も違っているのだから、ゼロベースで考えた方がいい。魔物の攻撃がきついようなら、そう言え」
「ありがとうございます。ですが、まだ大丈夫です」

 心配する本当の理由は、探索者Lv10から村人Lv3にレベルダウンしているからだ。
 ジョブを変えたことはまだ伝えていない。
 問題の先送りでしかないとはいえ。
 時間が経ちセリーが少しは俺に信頼感を持ってくれるようになったら、ジョブの変更もすんなり受け入れてくれるのではないだろうか。

「大丈夫でしょう」

 一応、ロクサーヌの意見も聞こうと顔を見ると、力強くうなづかれた。
 遠慮していえないこともあるかもしれないが、とりあえず大丈夫そうだ。

 六階層に移動する。
 色魔をテストするため、六階層ではシックススジョブをつけた。
 いきなりメッキなしというのも怖い。

「昨日の話の続きだが、色魔のスキルって、どんなやつか分かるか」
「セリー、知っています?」

 いつもいつもセリーだけに尋ねるのはまずいかとロクサーヌに話を振ってみるも、あっさりと丸投げされた。
 何故私に訊くのかといわんばかりの表情で。
 次からは全部セリーに質問してやる。

「私にも分かりません。あまりおおっぴらにできるジョブでもないので、話が伝わってきません」

 まあそうなんだろう。
 色魔のジョブに就きましたと胸張って親兄弟に言えることではない。
 獲得条件のこともあるし。


色魔 Lv1
効果 精神中上昇 知力小上昇 MP小上昇
スキル 精力増強 禁欲攻撃


 思うに、精力増強はパッシブスキル、禁欲攻撃はアクティブスキルか。
 恐れていたが、色魔をつけても見境なくやりたくなるということはなかった。
 もちろんロクサーヌを見ればいろいろと揉んでみたくはなるが。
 それはいつものことだ。

 常時発情していたらジョブ色魔の人は生きていけないだろう。
 牢屋の中くらいでしか。
 だから多分大丈夫だ。

 まあ実際に座敷牢ででも暮らしているのかもしれないが。
 街中でジョブ色魔という人間を見たことはない。
 それくらいおおっぴらにできるジョブではないのだ。

 禁欲攻撃をテストしてみる。
 デュランダルを出し、ロクサーヌが見つけたミノLv6に挑んだ。
 禁欲攻撃と念じて魔物に斬りつける。
 ひょろひょろとした頼りない攻撃がミノLv6に当たった。

 なんだ、これ?

 弱い。
 見るからに弱い。
 情けないほどの手ぬるい攻撃だ。

 禁欲攻撃はアクティブスキルではないのかもしれない、と思ったが、ここまで弱いと、むしろスキルの結果こんなひょろい攻撃になったと考えるべきか。
 禁欲攻撃だけに威力が禁欲的なんだろうか。
 やかましいわ。

 もう一度、今度は普通に斬りつけてみる。
 魔物は倒れなかった。
 六階層ではデュランダル二回で倒せるのに。

 普通なら二回で倒せるのに倒せなかったということは、最初の攻撃は失敗したのではない、ということだ。
 禁欲攻撃のスキルが発動した結果、普通よりも弱い攻撃になったのだろう。
 威力を大きくするスキルなら六階層の魔物を一撃で倒せるかもしれないとわざわざ色魔のテストは六階層まで控えたのに、とんだ茶番だ。

 あるいは何か条件があるのか。
 生け贄か生け捕りにでもするときに使うスキルなのか。
 もう一度禁欲攻撃を試してみるも、さっきと同様、下手をすればさっきよりも情けない攻撃にしかならない。
 当面はもう封印するしかないだろう。

 次に普通にデュランダルで斬りつけ、ミノを屠った。
 魔物が倒れ、煙となって消える。
 皮が残った。

「そういえば、セリーは皮を拾ったことがあるか」

 皮を見てふと思いついたので訊いてみる。

「ありません。私が入っていた迷宮では、ミノは上の方に出てくる魔物だったので」

 おっと。これは当たりか。
 毒消し丸の原料になるリーフを拾うと、毒消し丸を作る薬草採取士のジョブを得た。
 装備品を作る鍛冶師のジョブを得るには装備品の原料である皮を拾えばいいのかもしれない。

「では拾ってくれ」
「はい」

 ちょっとびびってロクサーヌの表情をうかがってしまった。
 何故私には聞かないのかと怒っているかと思って。
 特に変化はないようだ。
 別にわざわざ尋ねなくても、今まで散々拾ってもらっていたか。

 ドロップアイテムは全部俺のアイテムボックスにしまっている。
 主人と奴隷の両方がアイテムボックスを使える場合、主人のアイテムボックスを使うことが普通のようだ。
 リュックサックならともかく、数えていなければアイテムボックスではごまかすことができなくもない。
 セリーが自分のアイテムボックスを使おうとすれば探索者でないことがばれてしまうが、今のところは問題ない。

 皮を受け取ってから、デュランダルをしまい、パーティージョブ設定でセリーのジョブを見てみる。
 残念。
 皮を拾うことが鍛冶師の条件ではなかったようだ。
 皮を拾うぐらいでなれるなら、才能もくそもないか。

「皮は売らずに集めておいて、後で装備品を作ってもらった方がいいか」
「えっと。すみません。私が鍛冶師であれば」

 何気なく放った一言に、セリーが謝ってきた。
 いやいや。そういう意味ではないというか。
 そういう意味なんだけど。

 あまりうかつなことは言えない。
 人の上に立つというのも制約が多いようだ。

「そういえば、探索者Lv10以外で鍛冶師になった人は、どうやって鍛冶師になったんだ」

 話をごまかしてみる。

「エレーヌの神殿です」
「エレーヌ?」
「エレーヌの神殿は、ギルド神殿のように特定のジョブに就くわけではなく、神託によってなんらかのジョブに就任させてくれる神殿です。本人に最も適性のあるジョブに就けるとされています」

 ロクサーヌが説明してくれた。
 一般にこの世界では、ジョブを変更するにはギルド神殿で各ギルドを構成するジョブに就任する必要がある。
 商人ギルドで商人になったり、探索者ギルドで探索者になったり。
 それ以外に、ランダムで変更してくれる神殿もあるということか。

「なるほど。ありがとな」

 いや。ランダムではなくて、効果の大きいジョブに就けてくれるのかもしれない。
 問題は、すでに獲得済みのジョブに変更できるだけなのか、取得していないジョブを獲得できるのか、ということだ。
 普通のギルド神殿では獲得していないジョブに就くことは無理らしいから、エレーヌの神殿でも同様ではないだろうか。

「初代皇帝が英雄のジョブに就任したのも、エレーヌの神殿です」
「うーん。初代皇帝って、盗賊を退治したエピソードとか、あるか?」
「はい。初代皇帝の初陣が襲ってきた盗賊を撃退することだったそうです」

 セリーと会話する。
 ビンゴか。

 英雄のジョブ取得条件は盗賊を退治することだ。
 ただしひょっとしたら、単に盗賊を撃退するだけでなく初陣である必要があるのかもしれない。
 俺の場合も初陣だった。
 盗賊退治だけで英雄になれるのなら、もっとありふれたジョブになっているだろう。

 魔物が跋扈するこの世界で鍛えておいて盗賊に襲われるまでは戦闘を経験しないということはほとんどないだろうし、鍛えていないなら盗賊に立ち向かったところで返り討ちにあうだけだ。
 英雄がレアなジョブである理由はそんなところにあるのではないだろうか。

 初陣で盗賊を撃退した初代皇帝はそのときに英雄のジョブを得た。
 であるならば、エレーヌの神殿で英雄にジョブチェンジしたとき、エレーヌの神殿は初代皇帝に英雄のジョブを獲得させたのではなく、持っていたジョブに変更しただけだ。
 鍛冶師のジョブを持っていないセリーをエレーヌの神殿に連れて行っても、鍛冶師のジョブを獲得したりはしない公算が大きいだろう。

「セリーは鍛冶師になれたら嬉しいか」
「い、いいえ」
「そうなの?」

 なりたかったんじゃないのか。

 セリーは下を向いてしまった。
 そして、言葉をなんとかひねり出したかのようにひっそりとつぶやく。

「もう諦めましたから」

 諦めんなよ。諦めんなよ、おまえ。
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