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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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詭道

「全体攻撃魔法も受けたし、もう一つ上の階層でもやれそうか?」
「は、はい。大丈夫です。もっとがんばって少しでも早くお役に立てるようにならなければなりません」

 ルティナが立ち直りも早く上の階層に進むことを了承した。
 結構回復力はあるようだ。
 なかなかにたくましい。

「時間もまだいいよな」
「はい。正午まではまだあるかと」

 ロクサーヌに確認したところ、時間も問題ない。
 今日はルティナの買い物をする必要もあるが、昼は暑い。
 多少なりとも涼しくなった夕方でいいだろう。

 あるいは、みんながそう考えると夕方は店が混むだろうか。
 炎天下で出歩く人の少ない昼間に済ませておくべきか。

「買い物は夕方でいいか。それとも先に済ませておくか?」
「そうですね。早く服を着替えさせて、迷宮でみっちり戦闘させるのがいいでしょう」

 ロクサーヌに諮るとスパルタンな答えが。
 魔物を素手で倒させたりすることはロクサーヌにも他の奴隷にも全員等しくやらせてきた。
 ルティナにもやらせることは、ロクサーヌも分かっているのだろう。
 鉄は熱いうちに打てということか。

 問題は、買い物を終わらせられるのかということだな。
 むしろ日が傾き始めてから行った方がいいのではないだろうか。
 俺の待ち時間的に。

 まあたまには思いっきり買い物をさせてもいい。
 時間がなくなったらなくなったときだ。

「一応二十六階層をちょこっとだけ見学させて、買い物に行くか」
「分かりました」
「二十六階層へ行ったら、魔物の多いところでいい」
「はい」

 二十六階層に移動する。
 ケープカープの説明は、セリーがルティナに行った。
 やはりケープカープでよかったようだ。
 セリーに説明を投げる必要はなかったな。

 二十六階層でケープカープを中心とした魔物と何度か戦う。
 俺が使うのは雷魔法が中心だ。
 一度受けたので魔物の全体攻撃魔法を誘発する必要はない。
 雷魔法でさっさとおとなしくなってもらうのがいいだろう。

 麻痺で動けなくなった魔物を次々と仕留めた。
 魔物を雷魔法で倒していく。
 あ。やべ。
 ルティナが魔法を使わなかったとき、二十六階層でも魔物を倒すのに必要な雷魔法の数は変わっていなかった。

 変わらないのか。
 これで二十三、二十四、二十五、二十六と変わらなかったことになる。
 さすがにそれはない。

 二十四階層と二十五階層は遊び人につけた知力大上昇のおかげ。
 二十六階層でも変わらなかったのは、ルティナの魔法使いLv11と俺の勇者Lv11のおかげか。
 Lv11もあると多少は効果も出る。

 ちなみにルティナの魔法使いと俺の勇者のレベルは同じだ。
 必要経験値減少にも多少ボーナスポイントを振っているので、勇者は魔法使いよりその分レベルが上がりにくいと考えていいだろう。

 勇者は英雄と比べてもかなり上がりにくいと思う。
 いろいろ優秀なジョブなのでしょうがない。
 それでもLv30くらいまではスムーズに上がるだろう。

「今回はこのくらいにしておくか」

 運のいいことに、魔法の回数が変わらなくてもセリーは何も言ってこなかった。
 これ幸いと、とっとと引き上げることにする。
 ルティナも、ケープカープを十分に観察しただろう。

 ワープと念じて、家に帰った。
 リビングに出ると、戦闘の緊張を解き、深呼吸する。

「わたくしでも多少はお役に立てるでしょうか?」

 ルティナは、緊張したまま、尋ねていた。
 俺ではなくロクサーヌに。

「大丈夫です。十分にやれるでしょう」
「はい。ありがとうございます」
「一緒にがんばりましょう」

 ロクサーヌがうまくルティナを誘導している。
 誘導というよりは本当にそう考えているのだろう。
 ロクサーヌは誰でも戦えると思っているふしがあるしな。

「このパーティーには秘密にしなければならないことが多いようです。ロクサーヌ姉様やセリー姉様のおっしゃるとおり、うかつなことは言えません。わたくしも気をつけます」

 ルティナは気を引き締めていた。
 ロクサーヌとセリーは何を言ったのだろうか。
 注意してくれるにこしたことはないが。


 軽い休憩を取った後、買い物に出かける。
 暑いので陽射しの中はなるべく歩きたくない。
 どうすべきか。
 迷宮にワープして外へ出るという手もあるが、入場料を払っていないので、あまりやりたくない。

「冒険者ギルドに出て雑貨屋を先に回るか、商人ギルドに移動して服屋に行くか?」
「そうですね。服屋に行けばいいでしょう」

 ロクサーヌに聞いても、商人ギルドからすぐに行ける服屋を先にということだった。
 というか、陽射しが柔らかくなる夕方まで買い物する気なのではないだろうか。
 ルティナに戦闘させようと言ったのはロクサーヌなのに。

 商人ギルドにワープして、服屋に移動する。
 この世界、店に入ってもクーラーはない。
 それでも日陰があるだけましだ。
 ずいぶん涼しい感じがした。

「服は、上下三着くらいはとりあえず必要だろう。それから、ルティナ以外のみんなにも上下一着ずつ買っておこう」
「ありがとうございます」

 全員が頭を下げる。
 ルティナだけの買い物というのも、不満の元だ。
 入ってきたばかりで必要なのは分かるとしても。
 みんなに一着ずつ買っておけば問題は起こりにくい。

 ルティナも頭を下げているが、元伯爵令嬢がクーラタルの洋品店では格下げかもしれない。
 帝都の服屋で仕立てるくらいでないと。
 帝都の服屋には後日赴くが、仕立てるのがあれとかあれとかいうのはどうなんだろう。
 ロクサーヌたちとは違って反感を持たれる可能性もあるな。

「好きなのを選べ」

 せめて服屋では自由に選ばせた。
 ロクサーヌを中心にしてみんなで選んでいく。

「出来合いのものですが、新品です。だから皆さん、いい服を着ておられたのですね。奴隷になったらもういい服は着られないかもと思っていましたが。あまりひどい服では諸侯会議でなめられてしまいます。これなら大丈夫かもしれません」

 ルティナもまずまず満足しているようだ。
 クーラタルの洋品店でもいいらしい。
 諸侯会議とか、まだ考えているのね。

「ご主人様には、こんなのはどうでしょう」

 ロクサーヌが俺にも服を持ってくる。
 みんなと言ったので、俺のも一着選んでくれたようだ。

「悪いな。ロクサーヌの見立てなら問題ないだろう。これにしよう」
「ありがとうございます。私のはすぐに選びますね」

 それなりに時間はかかっていたと思うが、ロクサーヌは俺や他の人の服だけを選んでいたらしい。

「時間は気にせず、ゆっくり選べ」

 別にどうしても迷宮に行かなければならないということもない。
 ロクサーヌには好きなだけじっくりと買い物をさせた。
 元々行けるかどうか微妙だと思っていたし。

「ロクサーヌ姉様のそのボトムには、こちらの色の方が合うと思います」
「やはりそうですか」
「そちらの色の方がつぶしは利くでしょうが」

 ルティナもいろいろアドバイスを送っている。
 伯爵令嬢だけにセンスがしっかりしているのだろうか。
 俺にはさっぱり分からん。

「これは少し子供っぽくないでしょうか」
「いえ。可愛らしいと思います」
「そうですか」

 セリーもアドバイスを求めていたから、確かなんだろう。

「ミリア姉様にはその色がお似合いになられるでしょう」
「お姉ちゃん、です」

 これはお姉ちゃんと呼べではなくミリア姉様と呼ばれたことがうれしいようだ。
 ミリアもミリア姉様になるのか。
 ルティナに合格判定をもらったミリアは、ロクサーヌの最終チェックを受け、服を俺のところに持ってきた。

「よかったな」
「はい、です」

 やはりミリア姉様と呼ばれて満足らしい。

「私のはどうでしょう?」
「ベスタ姉様は上背がおありになるのですから、もっとシックな色合いのものも十分着こなせると思います。お嫌でなければですが」
「大丈夫だと思います」

 ベスタもルティナのアドバイスを受けている。

「ではこれでいいか」
「ありがとうございます」

 結局、服を選び終わったのはやや日が傾き始めたころだった。
 微妙といえば微妙な時間だ。
 思ったよりは遅くない。

 軽く迷宮に入るくらいの時間はまだある。
 ロクサーヌもきっちり配慮したのだろうか。
 戦闘が待っているだけに。
 その後、雑貨屋などに寄ってから帰る。

「向こうの部屋で買ってきた服に着替えてくれ。今度は見学でなく迷宮で少し戦ってもらう。ちゃんと対応できているようだし、問題ないだろう」
「分かりました」
「早めに頼む」

 家に帰ると、ルティナを隣の部屋に行かせた。
 今日は見学だと最初は言ったが、いいだろう。
 特に怖気づくとかびびって戦えない様子とかはなかったし。

「ありがとうございます」
「お姉ちゃん、です」

 ルティナがミリアから服を受け取って、隣の部屋に移動する。
 雑貨屋を後回しにしたので、ルティナにはリュックサックがなかった。
 ルティナの服は、セリーとミリアとベスタが分けて持ち帰っている。
 ロクサーヌは俺の服を運んだ。

「時間もないのですから、この場で着替えさせればよかったのでは」

 そのロクサーヌが恐ろしいことを告げてくる。
 なるほど。
 その手があったか。

「そうだったな。まあ今はいいだろう」

 その発想はなかった。
 一つ屋根の下で暮らしているのだから、そのくらいのことはあっていいかもしれない。

 ロクサーヌにはなんでもないことらしい。
 抵抗がないのか。
 あるいは、奴隷だからルティナにも当然俺が手を出すと思っているのか。

 そもそも、時間がないのは誰のせいかと。
 このためにわざと時間をかけたのだろうか。
 ないな。

「お待たせしました」
「おおっ。よく似合ってるな」
「ありがとうございます」

 ルティナが戻ってきた。
 パンツルックのルティナも美しい。
 美少女というのは何を着てもいいものだ。

 身体のラインがすっきりとして映えている。
 太ももからふくらはぎにかけて、すらりとした脚がしなやかに曲線を描いていた。
 細すぎず太すぎず、繊細でソフトな脚線美が形作られている。
 モデルみたいだ。

 クーラタルの迷宮では、まず七階層で戦った。
 ロクサーヌに探してもらったスローラビットはバーンボール一発で沈む。
 一撃か。
 その後、八階層、九階層、十階層で試すが、十階層の魔物は一発を耐えた。

 倒せるのはLv9までのようだ。
 勇者や遊び人やルティナの加入で、かなり威力が上がっただろう。
 逃げ出したエスケープゴートLv10は、もちろんきっちり仕留めておいた。

「ルティナにも戦わせようと思うが、十階層で大丈夫だろうか」
「十階層の魔物ごとき、何の問題もありません」

 ロクサーヌに確認すると、安心の回答が帰ってくる。
 ぶれないな。
 英雄や勇者や遊び人をはずせば、もう一階層か二階層下で戦わせることもできなくはないが。
 魔道士の魔法でなく魔法使いの魔法を使えばもっと下に行ける。

 ボーナスポイントを知力上昇に振って魔法の威力を上げることはできるが、マイナスの調整はできないんだよな。
 あまり下に行くとクーラタルの迷宮には混むという問題もあるし。
 魔法使いのルティナがいるから、俺たちのパーティーが魔法を使って戦っていることを知られても今や何の問題もないとはいえ。

 後ろで観戦でもされればともかく、火魔法の残光を見かけた程度なら、ルティナが撃っていると勝手に判断するだろう。
 ルティナ加入の素晴らしいメリットだ。
 ルティナは気づいてないかもしれない。

「ルティナがいるから万が一誰かに魔法を使っているところを見られたとしても安心だが、別に下の階層でなくてもいいか」
「そうですね」
「ルティナのおかげだな」

 ことのついでに自信喪失気味のルティナも褒めておいた。
 ルティナはやや微妙な顔をしている。
 戦力として認められているわけじゃないからだろうか。
 いるだけでいいのに。

「魔法使いギルドにも加入していませんし、わずか半日足らずで魔法が使えるようになったことは、あの男には知られない方がいいかと思いますが」

 ルティナが思案げにセリーに質した。
 こっちの担当はセリーなのか。

「ギルドのことは、そのとおりです。半日で使えるようになったことは、たまたまと解釈してくれる可能性も」
「わたくしとパーティーを組んだ者が迷宮に入ることをほとんどしていないことは知っているはずですので」
「それならまずいでしょうね」

 なるほど。
 そんなところから不審を抱かれる恐れもあるのか。
 公爵の手の者が見なければ大丈夫だが。

 セリーもルティナも、情報漏えいについて一応心配してくれるらしい。
 セリーは何か言ってルティナを脅したみたいだし。
 ルティナも、迷宮のことはほとんど何も知らなかったのに、妙なところで目ざといな。

「注意しておこう。よく気づいたな」
「政治とはすべて駆け引き。駆け引きの諦は情報にあります。情報に鼻が利かなければ、諸侯会議ではやっていけません」
「そ、そうか」
「権謀術数こそが貴族の生きる道です」

 孫子の兵法みたいだな。
 兵は詭道なりという感じだろうか。
 諸侯会議はだましあいなんだろうか。
 ルティナは意外に恐ろしいようだ。
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