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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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ハーフ

「こっちにいますね」

 三十階層へ上がると、ロクサーヌが誘導した。
 近くにいるらしい。
 ついていくと、ハーフハーブが二匹とモロクタウルス一匹の団体がいた。

 三匹か。
 三十階層の初戦だから、ロクサーヌは魔物の数の少ないところを選んだはずだ。
 三十階層ともなると三匹でも少ない方の団体になるらしい。

 そういえば三十二階層からは出てくる魔物が最大で六匹になる。
 やはりどこかには壁があるだろう。
 三十七階層まで簡単に上がれるとは思わない。

 魔物に対して雷魔法二発とファイヤーストームをお見舞いする。
 三匹の動きが止まった。
 今回はまとめて全部麻痺したようだ。
 こういうこともある。

 ハーフハーブは火魔法が弱点で、モロクタウルスは火魔法に耐性がある。
 モロクタウルスは水魔法が弱点で、ハーフハーブは水魔法にも耐性がある。
 三十階層でも雷魔法に頼ることになるが、今回はそれが功を奏した。

 それにしてもハーフハーブは耐性のある属性が多すぎだろう。
 土魔法と風魔法と水魔法に耐性がある。
 半分くらいにしとけという話だよな。

 ハーフハーブは、ヒトの腰くらいまでの高さがある草だ。
 名前から考えて何かの薬草の魔物なんだろう。
 ハーフというのは、人の半分くらいの大きさだからだろうか。
 草としては十分に大きいと思うが。

 固まっているところにロクサーヌたちが駆け寄る。
 途中一匹のハーフハーブの麻痺が解けたが、二度めの三連打で再び麻痺した。
 動けなくなったハーフハーブをロクサーヌとベスタが攻撃する。

 ミリアはハーフハーブの横を駆け抜けた。
 モロクタウルスを狙うのだろう。
 ファイヤーストームを使っているからミリアがモロクタウルスを狙うのは正しい。

 セリーもハーフハーブの横を抜けるが、少し行ったところで立ち止まり、後ろから槍を突き入れた。
 詠唱中断のスキルがついた槍でキャンセルさせる役目があるから、セリーの行動も正解だ。
 ベスタは攻撃しながら少しずつ後ろに回る。

 ハーフハーブの正面にはロクサーヌが立ち、散々に突きかかった。
 もっとも、麻痺している魔物は睡眠にかからないのではないかと思う。
 今までかかったような例はない。

 眠っても麻痺していて体が動かず、判別できないだけかもしれないが。
 攻撃を受けて目覚めても麻痺していたら動けないだろうし。
 しかしそれ以前に植物の魔物が眠るのだろうか。

「やった、です」

 もう一度三連打を浴びせた頃、モロクタウルスがミリアによって石化させられた。
 同時にハーフハーブの麻痺が解けて、動き出す。
 すぐにロクサーヌの攻撃が入り、葉が垂れ下がった。

 睡眠だ。
 ハーフハーブもちゃんと睡眠の状態異常になるらしい。
 まあ魔物だしな。
 そもそも魔物が本来眠るのかという話だ。

「サンダーストーム」

 警告を発して、三連打を放つ。
 ハーフハーブが睡眠から覚めても、すでにロクサーヌが正面に立ち、セリーとベスタが囲んでいるので問題はない。
 しかもそのまま麻痺した。

 雷魔法だから起こされたと同時に麻痺したのか。
 それとも一発めの雷魔法で目覚め二発めの雷魔法で麻痺したのか。
 いずれにしてもご苦労なことだ。

「やった、です」

 最初から麻痺したままのハーフハーブをミリアが石化させた。
 次の魔法で魔物を始末する。
 三匹がすべて倒れた。

 ハーフハーブが煙となって消える。
 残ったのは細長い茎だ。
 鑑定してみると、麻黄というらしい。
 これがハーフハーブのドロップか。

「麻黄ですね」

 ベスタがアイテムを拾い上げると、セリーが教えてくれた。
 セリーは麻黄を知っているようだ。

「麻黄というのか」
「ある程度経験を積んだ薬草採取士なら、麻黄から万能薬である万能丸を作れます」

 万能薬は、HPとMPを回復し、簡単なものなら怪我や病気を治し、状態異常も治せるかもしれないという万能の薬だ。
 ぶっちゃけすごい薬である。
 状態異常については、治るかもしれない、だ。
 絶対に治るわけではない。

 だからといって馬鹿にしてはいけない。
 より上位の魔物によって引き起こされる状態異常はより強力なものになる。
 低階層に出てくる魔物が引き起こす毒は毒消し丸によって百パーセント治療可能だが、より上位の魔物が引き起こす毒は毒消し丸を飲んでも解除に失敗することがあるという。
 失敗したときのことを考えれば、HPの回復もできる万能薬は使い勝手がいい。
 上位の万能薬になれば、ほとんど失敗することなく状態異常を解除できるらしいし。

 という話は、すべて以前にセリー先生から講義を受けていた。
 その万能薬が作れるのか。
 万能丸は一番下位の万能薬だが。

 ジョブに薬草採取士をつける。
 ベスタから受け取った麻黄を手のひらに載せたまま、生薬生成と念じた。
 手のひらの麻黄が丸薬二つになる。

 万能丸だ。
 二つできるようだ。
 ある程度経験を積んだと言うから失敗する可能性も考えたが、薬草採取士Lv6でもなんとかなるらしい。

 あるいは、薬草採取士Lv5以上で万能丸が作れる、というところだろうか。
 失敗したときのことを考えてばれないようにこっそり生薬生成を行ったのだが、もっと堂々とやってもよかった。
 まあしょうがない。

「これが万能丸か」
「作ることがおできになられるのですね」
「さすがご主人様です」

 ロクサーヌがちゃっかりと褒めてくれる。
 おそらく、より上位の万能薬を作るには薬草採取士のレベルがもっと必要になるだろう。
 薬草採取士のレベルも上げておいた方がいいか。
 万能丸で薬草採取士Lv5以上なら、次はLv10かLv15辺りが必要だろう。

 効率を考えれば、次の素材アイテムを手に入れた後に薬草採取士を必要なレベルまで育てるのが無駄がないが、それだとロクサーヌたちにいいところを見せられない。
 できなかったものが一日二日でできるようになると、何故かとセリーに突っ込まれる危険もある。
 Lv50までとなるとさすがに大変だが、Lv10やLv20ならすぐだ。
 しばらく薬草採取士を育てておけばいいだろう。

 ただし、セブンスジョブまで拡張するのはどうか。
 ジョブを育てようというのにボーナスポイントをセブンスジョブに費やすのは痛い。
 魔法使いをはずして薬草採取士をつけるのがいいのではないだろうか。

 ボス戦ではすでに魔法使いなしでやっているのだから、通常の魔物戦でできないはずはない。
 それに、クーラタル二十九階層や三十階層の魔物の組み合わせでは魔法使いが使う魔法属性はあまり活躍できない。
 どちらも魔道士や遊び人の雷魔法が中心になる。
 それなら魔法使いをはずす手もあるだろう。

「では二十九階層に戻るか。少し魔法の構成を変えるから、注意してくれ」
「変えるのですか?」
「ちょっとな。階層によって向き不向きがあるし」

 案の定セリーが食いついてくるが、適当にごまかした。
 二十九階層に移動し、魔道士遊び人の魔法二撃体制で戦ってみる。
 戦闘時間が少し延びるが、十分か。
 延びれば延びた分だけミリアの石化が出るし、雷魔法主体で戦うので麻痺もある。

 ボス戦のときに薬草採取士をはずして博徒につけ替え、状況に応じて料理人をつけたりするのが面倒といえば面倒だが、そのくらいはしょうがないだろう。
 今までとあまり変わっていないし。
 薬草採取士をつけているので三十階層で麻黄が残ったときにすぐ万能丸を作れる。
 アイテムボックス領域の節約になる。

 と思ったが、三度めのボス戦で酪が残った。
 そういえばレア食材があったか。
 まあ迷宮から出るときに探索者をつければいいだろう。

「はい、です」

 酪は、ナイーブオリーブのドロップアイテムであるオリーブオイルと同じように、薄皮で包まれた液体だった。
 牛人が残す謎の液体。

「というか、牛乳?」
「酪ですね。飲むと牛乳よりコクがあって断然美味しいそうです。ただ、貴重なアイテムですし、そのまま飲む人は多くはいません。スープなどに入れると非常に美味しい料理ができるとされています」

 セリーが教えてくれる。
 ロースも残す牛人が残した液体だから牛乳かと思ったが、どっちかというと調味料か。
 ホワイトシチューみたいなのを作るのかもしれない。
 ミリアから受け取り、薄皮が破れないよう慎重にアイテムボックスに入れた。

 ボスタウルスはもう一つ、ザブトンを残すらしい。
 ただし、今日の狩では残らなかった。
 モロクタウルスを一日狩って三角バラが残らないことも多い。
 しょうがないのだろう。

「今日はこのくらいにしておくか」
「まだ少し早いようですが」
「また公爵に呼ばれているからな」
「そういえばそんな話をしていました」 

 ザブトンは残らなかったが、少し早めに打ち切る。
 その代わり酪は結構残った。
 アイテムボックスに何個もある。
 料理人のおかげだろう。

「泊まりで祝勝会などという話は聞いたことがありません。大丈夫でしょうか」

 セリーが懸念を表明してくる。
 何かの罠という可能性があるのだろうか。
 確かに公爵の口ぶりはとってつけたようなものではあった。
 元々セリーは祝勝会なんかはないと言っていたし。

 かといって行かないわけにもいかない。
 断るにも理由が難しい。
 今回だけならなんとでもなるが、罠にはめるつもりなら次にまた誘えばいい。
 一切の関係を絶つならともかく、今後の誘いを全部断り続けることはできないだろう。

 カシアやゴスラーとは良好な関係を築いていきたい。
 公爵は別にして。

「俺たちを殺すのなら料理に毒でも入れておけば前回でもできたはずだしな。まあ大丈夫だろう」

 公爵のところには今まで何回も出向いて問題は起きていない。
 少なくとも致命的なものは。
 だから大丈夫なはずだ。
 細かい迷惑は受けてきているような気もするが、ゴスラーがいれば最悪のケースは避けられる。

 公爵のところへ行くために早めに狩を終えた。
 クーラタルの迷宮から家に帰る。
 そして寝室に直行する。
 泊りがけで出かけるということは、そういうことだ。

 さすがに公爵に借りた部屋でハッスルするわけにはいかないだろう。
 どんな部屋が用意されているか分からないし。
 男女別々の部屋が準備されている可能性もある。

 そういえば、ロクサーヌたちのベッドとか用意されてなかったらどうしよう。
 やっべ。
 奴隷だと知っているのだからその可能性はあるよな。
 客人だから最低限のものは用意するだろうか。

 そのときはそのときで連れて帰ってくればいいか。
 まあなんとでもなるだろう。
 今日のところはさらりと一回戦で流し、準備を整えてからボーデに向かった。

「団長は執務室です」

 ロビーに出ると、受付の騎士団員が告げる。
 そっけない。
 なんかいつもと同じ対応だ。
 いつもこの対応はどうよ、というのは別にして。

 祝勝会を行うような雰囲気ではない。
 あるいは、祝勝会の準備で忙しいから勝手に行けということなんだろうか。
 いつもこんな感じで勝手に入っていくのだが。

「入れ」

 執務室に進んでノックをすると、ゴスラーの声がした。
 中に入る。

「ミチオです」
「おお。ミチオ殿。よく参られた」

 当然のように公爵もいた。

「お待ちしておりました」
「それでは、ゴスラー。セ二号作戦を発動する」
「え? は?」

 俺を出迎えたゴスラーが困惑している。
 なんだ、セ二号作戦ってのは。
 ゴスラーも知らないらしい。
 ちゃんと打ち合わせしとけよ。

「セ二号作戦だ」
「まさか?」
「今夜決行する」
「は、はい」

 作戦自体はゴスラーも知っているのか。
 今日行うとは思わなかっただけで。

「悪いな、ミチオ殿。緊急事態だ」
「はあ」

 緊急事態なんだろうか。
 俺が来るまでいつもと変わらなかったみたいだが。
 ゴスラーの様子を見ても。

「すみません。非常召集をかけなければいけません。私は失礼します」

 そのゴスラーは、あわてて執務室を出て行った。
 非常召集とか。
 どうなってんだ?

「では食事に行こうか」
「あー。緊急事態なら」
「いやいや。かまわぬ。まだ時間はある」

 まだあわてるような時間じゃないらしい。
 緊急事態なのに。
 大丈夫なんだろうか。

 もっとも、俺たちが来てから非常召集で集めた戦力を俺たちに向かって使ってくるような間抜けなことにはならないと思う。
 ならないよね?
 そのつもりなら先に準備しておくだろう。

「よろしいので?」
「事態は追って説明する。ついてきてくれ」

 公爵が部屋を出る。
 ロクサーヌやセリーを見るが、彼女らも分からないと首をかしげた。
 そりゃ分かるわけないか。
 ゴスラーでさえ分からなかったのに。

 仕方がないので公爵についていく。
 不安はあるが、俺たちを罠にはめるつもりならここまであからさまなことはしないだろう。
 説明も向こうでしてくれるみたいだし。

 公爵はいつもの食事会の部屋に進んだ。
 夕食は普通に取るのか。

「ようこそいらっしゃいませ。お待ちしておりました」

 部屋には着飾ったカシアもいる。
 公爵夫人だと普段着かもしれないが。
 着飾ったカシアは美しい。
 着飾らないカシアも美しいに違いない。

 食事もすでに用意されている。
 部屋には他にも何人かいた。

「すまんが、ゴスラーは緊急の用件で来れなくなった。余とミチオ殿らは会議室で食事を取る。七人分の食事だけ移動させるようにしてくれ」

 公爵がカシアに伝える。

「え? あ……はい」

 カシアは、少しの間驚いていたが、すぐに回復した。
 部屋にいた使用人に指示を出し始める。

 そういえばゴスラーも回復は早かった。
 公爵と一緒にいると鍛えられるに違いない。
 朝令暮改も多いのだろう。
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