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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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巫女

 
 翌日、朝食の後でボーデの城にワープした。
 アルバとひもろぎのイアリングはちゃんとはずしている。
 聖槍もアイテムボックスの中だ。
 冒険者向きでない装備は駄目だし、豪華な装備を着けることもない。

「団長らは奥にいます」

 ロビーに出ると受付の騎士団員が手で指し示した。
 相変わらず勝手に行けということらしい。
 奥に進み、執務室のドアをノックする。

「入れ」
「ミチオです」
「おお。ミチオ殿か。よく来られた。ゴスラーもおっつけ参るだろう」
「はい」

 中に入った。
 公爵が一人で執務机のイスに座っている。
 今日はゴスラーはいないらしい。
 緩衝役のゴスラーがいないのは嫌なのだが。

「ゴスラーが来る前にこちらの用件もすませておこう。一度ミチオ殿のパーティーを招いて食事をしたいと考えておるが、いかがか」

 あちゃ。
 そういえば公爵はロクサーヌに目をつけていた。
 まだ諦めてなかったのか。

「あー」
「ゴスラーが褒めていたパーティーメンバーにも会ってみたいしな」

 あちゃあ。
 完全にロックオンされているようだ。
 もう逃げられないじゃないですか、やだー。
 阿茶の局も茶阿の局も徳川家康の側室だが、ロクサーヌを差し出すわけにはいかない。

「食事の作法など分かりませんが」
「作法など謁見の場でなければ問題にならぬ」

 逆にいえば謁見の場では問題と。

「パーティーメンバーは奴隷ですが」
「かまわぬ。当家でも奴隷は抱えておるしな」

 問題にならないのか。
 公爵と奴隷が一緒に食事をしていいのだろうか。
 当の公爵がいいと言うのだからしょうがないが。

「さようですか」
「ミチオ殿にはいろいろと世話になっておる。パーティーメンバーを招いて食事するくらいは当然のことだろう」
「はあ」

 正論といえば正論だ。
 断りにくい。
 助けて、ゴスラえもん。

「今宵の夕餉などはいかがか」

 早すぎだろう。
 相変わらずせっかちだ。

「準備などもあるので」
「そのまま普段着で来てもらえば問題ない。何の準備もいらぬ」
「そうは申しましても」
「では、明日、は会食の予定があるので無理だが、明後日ではどうじゃ」

 二日延ばすことに成功した。
 先送りだ。
 先送りしていいことがあるかどうかは分からないが。
 悪くなることはないだろう。

 ポックリ逝くとか。
 公爵も迷宮に入るので可能性はある。
 俺の方が危なそうだ。

「ええっと」
「いや、明後日ではカシアの予定がどうだったか。確か伯爵夫人との会食が。それは三日後だったか。うむ。明後日なら問題ない」

 公爵がつぶやく。
 カシアも食事に参加するのか。
 こっちは五人だから向こうも公爵一人ということはないのだろう。
 夫婦でもてなすものかもしれない。

 カシアと一緒に食事するのなら断ることはない。
 むしろ一緒に食事したい。
 食事するくらいなら問題はないし、なんとかなるはずだ。
 正妻の前でロクサーヌを求めたりはしないだろう。

「それほどまでに誘われるのであれば」
「受けてくれるか」
「失礼します」

 食事の誘いを受けると、ドアが開いてゴスラーが入ってきた。
 遅いよ。
 公爵の無理難題は聞いた後だ。

「ゴスラー。ミチオ殿が食事の招待を受けてくださった。明後日の夕方じゃ」
「……お忘れですか。明後日は私が帝都に参ります」
「おお。そうだった。余としたことが。三日後ではカシアに予定があるし、その次は余の都合が悪いし。ミチオ殿、やはり今日の夕食では」

 公爵の無理難題は終わってなかった。
 明後日はゴスラーに用があるらしい。
 ゴスラーも食事に参加するようだ。
 いてくれた方がいい。

「それなら何日か後でも」
「しかし」
「私の予定の方をなんとかしましょう。向こうには無理を言いますが、明日でも大丈夫でしょう。私は明日帝都に参ります。ミチオ殿との食事は明後日で問題ありません」

 ゴスラーが妥協する。
 今回もゴスラーに試練が与えられたようだ。
 やはり苦労人だ。
 君はいい友人だったが、君の甥っ子がいけないのだよ。

「そうか。悪いな」

 軽いな、公爵。

「申し訳なく」

 一応俺も頭を下げておこう。
 俺は全然悪くないと思うが。

「いえいえ。ミチオ殿はお気になさらず。たいした用件でもありませんので」
「ではミチオ殿、明後日の夕食ということで頼む」
「分かりました」
「それではミチオ殿、あちらの席へ」
「はい」

 ゴスラーに促されて、客用のソファーに座った。
 ゴスラーも対面に座る。

「実はペルマスクの鏡のことなのですが、領内ではやはり入手が難しいのか、贈り物として相当の好評を得ております。また領内の特産品であるタルエムの枠で飾るため、領外からの評価も上々です」
「それはよかった」
「売ってくれないかという話もいくつかきております。当家としてはあくまで贈答用と考えているのですが、断るのが難しい相手もおりまして」

 そんな相手がいるのか。
 公爵家といえど大変らしい。
 まあ無下にはしにくい手合いというのはどこにでもいるのだろう。

「なるほど」
「販売を行うとなれば、数も増えますし、確かな仕入れルートを確保しなければなりません。緊急に入手したい場合も出てくるでしょう。そこで相談なのですが、当家でも独自に冒険者を用意してペルマスクまで行けるようにしたいと考えております。冒険者を何人かそろえれば、おそらくはペルマスクまで行くことも可能でしょう」
「できるだろうな」

 ゴスラーも律儀だ。
 俺に黙ってやっても分からないだろうに。
 筋は通しておこうということか。

「返事は今すぐでなくても結構です。許可してくださるかどうか、明後日参られたときにでもお教えください」
「明後日でいいのか」
「ミチオ殿には世話になっておきながら申し訳ないと思っています。明後日はパーティーメンバーにも持たせて何枚でもペルマスクの鏡をお持ちください。すべて引き取らせていただきます」

 俺から鏡を買うのはそれで最後ということか。
 公爵家が自分たちで調達できるようになれば、俺は邪魔でしかない。
 わざわざ高い金を出して俺から買う必要はない。

 公爵家としても体面がある。
 本格的に鏡を扱うとなれば、どこの馬の骨とも分からない冒険者から仕入れている、では話にならない。
 俺の方もいちいち呼び出されたのでは困るし。

 鏡の行商も終わりか。
 別にそれで困るわけでもなし。
 かまわないといえばかまわないだろう。

 話を聞き、ボーデの城を辞した。
 家に帰って、セリーに少し鍛冶をさせる。
 ロクサーヌは洗濯、ミリアは朝食の後片づけ、ベスタは掃除中だ。

「ロクサーヌ、家事は大変じゃないか」

 洗濯物を干すロクサーヌに尋ねた。
 この問題は今はっきりさせておいた方がいい。

「いえ、大丈夫です」
「俺たちが迷宮に入っている間に家事をやってくれる人を雇うことも考えているが」

 人を雇うといっても、要は奴隷を増やすということになる。
 家事をやってくれる美人の奴隷だ。
 綺麗なメイドを雇えるならそうしてもいい。
 それはロクサーヌも分かっているだろう。

 これからもどんどん奴隷を増やすなら、金を稼ぐ手立てはたくさんあった方がいい。
 公爵のところに鏡を売れなくなるなら、他を考える必要がある。
 あるいは今までどおり続けさせてくれとゴスラーに頼み込むこともできる。

 奴隷をあまり増やさないなら、鏡の仕事はなくなってもいい。
 迷宮からの収益も増えてきているので、問題はない。
 ここのところはギルドでアイテムを売却するとき三割アップと併せて金貨が手に入ることもある。
 白金貨も手つかずで残っているし。

「いいえ。本当に大丈夫です。分担すれば手間ではありません」
「そうか」
「ご主人様に迷惑をかけるようなことはいたしません。私たちですべてきっちりとこなします」

 思いっきり拒絶されてしまった。
 ロクサーヌにそのつもりはないということだ。
 際限なく奴隷を増やすことは駄目らしい。
 俺としても、無理にというほどではない。

 パーティーメンバーは六人まで。
 ここまではロクサーヌにもいやはないはずだ。
 残る枠はあと一つか。
 慎重に使うべきだろう。

「セリーはどう思う」
「現状で困っていないのですから、人を雇う必要はないでしょう」

 冷徹に反論されてしまった。
 つまり困っているのなら雇ってもよいと。

「ミリアはどうだ。迷宮に入っている間に食事を作ってくれる人を雇えば、美味しい魚料理が」
「私が作る、です」

 ミリアにも拒否された。
 魚をえさにしても駄目とは。

「ベスタは?」
「雇わなくても大丈夫だと思います」

 こいつはこういうやつだ。
 全員が反対なら、それを押し切ってまでというつもりはない。
 これからは俺が指を使ってホコリが残っているかどうかチェックするのか。

 そして、ロクサーヌさん、掃除ができてませんわよ、と。
 掃除ができないなら新しいお手伝いさんをと。
 そうやって奴隷を増やしていくのか。
 胸が熱くなるな。

 洗濯と掃除が終わるのを待って、迷宮に入る。

「ロクサーヌのジョブを巫女にしようと思う。ロクサーヌのことだから心配はしていないが、最初は少し慎重に動いてくれ」

 迷宮に入るとすぐ、ロクサーヌのジョブを巫女に変更した。
 ミリアの暗殺者はLv29だ。
 Lv30になってからと思っていたが、そうもいっていられない。
 最後のチャンスかもしれないし、ペルマスクには行っておくべきだろう。

 ワープの消費MPは、移動人数なのか搬送重量なのか扉を開けている時間なのかによって、増加する。
 前回ペルマスクへ行ったときにはミリアが増えて大変だった。
 ベスタがいる今回はおそらくもっと切迫した事態になる。

 レベルは上に行くほど上がりにくくなっているので、前回と今回でそれほど上がっていないはずだ。
 俺のMP量は多分そんなに増えていない。
 その増えていないMP量でベスタまで運ぶことになる。

 できることからやっておくべきだろう。
 とりあえずできることとしては、ロクサーヌのジョブを巫女にすることがある。
 巫女の効果にはMP小上昇がある。
 効果はパーティーメンバーにも及ぶから、俺のMPが少しは増える。

 他のメンバーも巫女にしたいくらいだが、全員を巫女Lv1にするとパーティーが弱体化してしまう。
 ジョブ効果の効力はレベル依存で上がっていくから、ワープするときだけ低いレベルでつけてもしょうがない。
 今ロクサーヌのジョブを巫女Lv1にしておければ、一日二日でLv20以上まですぐに上がるだろう。

 後は、遊び人の効果をMP中上昇に設定するのもありだ。
 それで俺自身のMPもちゃんと増える。
 設定するのは行く直前でいい。
 問題になるのは、鏡を持ち帰るため途中の迷宮で回復できない帰りだ。

「巫女ですか。ありがとうございます」

 ロクサーヌは巫女にやる気を出している。
 いいことだろう。
 俺に錬金術師のジョブをつけたし、ロクサーヌにメッキをかけた。
 巫女は取得したばかりでLv1なので、何かあってはいけない。

「一応、全体手当ての呪文を教えておく」
「はい」
「あやまちあらば安らけく、巫女のはふりまじないの」
「えっと。あやまちあらば安らけく、巫女の祝の呪いの」

 神官も巫女もスキルは同じだから、スキル呪文も同じだろう。
 詠唱省略をはずして念ずれば全体手当てのスキル呪文は頭に浮かんでくる。
 それをロクサーヌに教えた。

 ロクサーヌの頭にも同様に浮かんでくるはずだが。
 そこはブラヒム語を何故か自在に使いこなせる俺の出番だ。

「戦闘中に使うのは難しいかもしれないが」
「そうですね。回避しながらでは難しいかもしれません。試してみます」

 俺なんかは走りながら念じるだけでも困難を感じるからな。
 ただ、魔物を前にしてもラッシュやオーバーホエルミングは使える。
 スキルによって使いやすさに多少の違いはあるのかもしれない。
 使えるかどうかは試してもらうしかないだろう。

 シザーリザード二匹が現れた。
 最初は慎重にと言ったのをちゃんと聞いてもらえたらしい。
 四人が走り出す。

「最初だからミリアとベスタで相手を頼む」
「いえ、大丈夫です」

 断られた。
 ロクサーヌが先頭で突っ込んでいく。

「ええっと」
「ベスタはそっちを頼みます」
「分かりました」

 前衛陣は俺よりロクサーヌの支配下にあるようだ。
 ロクサーヌとベスタがシザーリザードの正面に立った。
 ミリアは横から硬直のエストックを打ち込んでいく。

「あやまちあらば……」

 ロクサーヌがスキル呪文を途中まで口にした。
 そこへシザーリザードがはさみを振り下ろす。
 ロクサーヌは呪文を中断し、魔物の攻撃を避けた。
 回避しながらの詠唱はやはり難しいらしい。

「安らけくです」
「ありがとう、セリー。あやまちあらば安らけく、巫女の祝の呪いの」

 分からなかったのか。
 攻撃を回避するために中断したのではないらしい。
 ロクサーヌがスキル呪文を口にする。
 シザーリザードの次の攻撃を軽くかわしながら。

「やった、です」

 ロクサーヌの前のシザーリザードが石化した。
 残った一匹を全員で囲み、始末する。

「魔物相手に戦っているときでも全体手当てが使えそうです。少なくとも一匹が相手なら問題ありません」
「それは何よりだ」
「巫女のジョブを得るときに滝行をしました。それもよかったのでしょう」

 セリーが口をはさんできた。
 なるほど。
 巫女のジョブを持っているということは、ある程度精神統一ができるということだ。
 うまくできている。

「魔物の攻撃全体を一つの流れとして捉えれば、何匹を相手にしていても大丈夫かもしれません」

 さすがにそれは無理だと思うが。
 少なくとも普通の人には。
 ロクサーヌは変な能力に目覚めてしまったのかもしれない。
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