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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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 夕食にはミリア特製のトロの煮つけととんかつを食べる。
 トロはどうせミリアがたくさん食べたがるだろうからと、俺はとんかつを揚げた。
 少し暑いが、そこは我慢だ。
 てんぷらほど長時間揚げ続けるわけではない。

「これがトロか。さすがに旨いな」

 ミリアが煮つけたトロは、口に入れるとほぐれるようにとろけた。
 柔らかい。
 脂がのっていて、コクがある。
 濃厚で、しつこくない味わいだ。

 こってりしているのは、味つけのせいもあるのだろう。
 一切れほど切り取り、すぐにロクサーヌに回した。

「美味しいですね」
「これはすごいです」

 ロクサーヌとセリーもとっとと皿を回す。
 次にとんかつを食べた。
 ソースはないので、とんかつはレモン果汁でさっぱりといただく。
 と思っていたら、トロの煮汁が意外に合った。

 試しにつけてみて正解だ。
 ちょっと味噌カツ風。
 味噌ではないが。
 魚醤を使っていたから近いものはあるかもしれない。

「ミリア、煮汁だけもらっていいか」
「はい、です」
「私ももらっていいですか?」

 ミリアの抱えている皿から煮汁をもらうと、ロクサーヌも興味を示した。
 B級グルメといえばB級グルメだから薦めはしなかったのだが。
 セリーはレモンの搾り汁のみでいいらしい。

「へえ。私も煮汁をもらっていいですか」
「トロも食べる、です」

 ベスタが煮汁をもらおうとすると、ミリアが皿ごと差し出す。
 俺には勧めないのに。

「はい。ありがとうございます」
「お姉ちゃん、です」

 先輩としてちゃんと面倒は見るということか。
 確かに、俺には勧めるまでもない。
 俺は遠慮するような立場ではないし。

 トロの煮つけの煮汁ととんかつの組み合わせは新しい発見だった。
 いつかまたやろう。

 翌日、朝食の後で帝都の服屋に赴く。

「いらっしゃいませ。注文いただいた品も出来上がっております」

 すぐに出迎えた男性店員に案内されて、服を受け取った。
 真っ白な絹の上掛けだ。
 ちなみに、セリーの服も皆と同じ値段である。
 ベスタの分も特別料金は請求されなかったので、しょうがないだろう。

「セリー、その服は現地で着替えればいいのか?」
「はい。それでいいと思います」
「神官ギルドで着替えてから、行くことになると思います」

 男性店員がアドバイスをくれる。
 神官ギルドに行くわけでないことは、さすがの男性店員も分からなかったようだ。
 この場でセリーに尋ねたのはちょっと不用意だったか。

 それ以前に、仲間のうち四人が巫女を目指すパーティーというのもどうなんだろう。
 全員が巫女になれるわけではないから、修行だけは全員にさせてみるということもおかしくはないか。

「分かった」
「またのご利用をお待ちしております」

 服は四人がおのおのリュックサックに入れ、店を出た。
 帝都の冒険者ギルドから、ハーフェンに飛ぶ。
 朝市が開かれているとミリアがうるさそうなので、釣りをやっていた辺りの林に出た。

「ミリア、滝のある場所が分かるか?」
「こっち、です」

 ミリアが自信満々に歩き出す。
 意外にはっきりと知っているらしい。
 魚のいる場所に関する情報に漏れはないということか。
 分からなければ行ったことのある冒険者を探してフィールドウォークで連れて行ってもらうことも考えていたが、必要なさそうだ。

「では行ってみるか」
「そうですね」
「は、はい」
「経験しているのはセリーだけだから、教えてくれると助かる」

 セリーを促して、後をついていった。

「行く、です」
「楽しみです」

 ミリアの先導で進む。
 滝の辺りには魔物が出るということなので、デュランダルも用意した。
 全員でミリアについていく。

 林の中の道を進んだ。
 やがて道は細くなり、けもの道となる。
 ギルドが使わなくなればわざわざ滝へ行く人間もいないだろうから、仕方がない。

 林は深くなって森となるが、進んだ。
 けもの道どころか道らしい道がなくなるが、進む。
 デュランダルが草刈鎌になってしまったが、進む。
 道なき道を進む。

 俺たちの前に道はない。
 俺たちの後ろに道ができるほどやわな森でもない。
 ああ、自然よ。

 ミリアよ。
 本当に滝のある場所を知っているのか。
 知っているとしたら何故知っている。
 釣りをしながらこんなところまでは絶対にこないだろう。

 問いただしたいのはやまやまだが、信頼していないととられるのも困るので、黙ってついていった。
 他の三人も文句を言わずに歩いている。
 やはり滝に行ったことのある冒険者を探すべきだったろうか。

 やがて森の向こう側が少し開けた。

「××××××××××」
「川があるようです」

 広くはないが、小川というほど狭くはない川が流れている。
 滝があるのだから普通は川があるはずだ。
 ミリアは川の音でも頼りにしたのだろうか。

「川だ、川」
「川、です」
「この川の上流に滝があるようですね」
「じゃあ行ってみるか」

 その後は、川岸の多少歩きやすいところを進んだ。
 川がある以上滝もあるのだろうし、足取りも軽い。
 川を覗き込むミリアを置き気味にして進む。

 なんかいるな。
 と思ったら、ハチだ。
 グラスビーだ。
 森の向こうにグラスビーがいた。

 黄色と黒の警戒色なので森の中、遠くからでもよく分かる。
 グラスビーLv1が俺たちの方に向かってきた。

 ここのグラスビーは積極的に人を襲うようだ。
 ハーフェンからは結構歩いたから近くに迷宮があるのか。
 それとも通り道になっているのか。

「来ます」
「大丈夫だ」

 ロクサーヌを抑え、一歩前に出る。
 草刈鎌と化していたデュランダルで迎え撃った。
 斬りつけるとハチが落ちる。
 一撃だ。

「さすがご主人様です」
「グラスビーが出るようです。ギルドが滝を放棄したのはそのためでしょう」

 セリーの言うとおり、グラスビーのせいで修行場を放棄したのだろう。
 巫女の修行をするのは若くてレベルの低い人が多いはずだ。
 危険なことはさせられない。
 修行中に死人でも出たら大問題だ。

 さらに進んでいくと、川の上流に滝があった。
 さらさらと水の流れ落ちる音がする。
 大瀑布というほどではないが、結構な大きさの滝だ。

 幅十メートル以上にわたって流れ落ちていた。
 段差も三メートル近くある。
 水の量もそれなりだ。

「結構大きな滝だな」
「そうですね」

 ロクサーヌがうなずいた。

「神官ギルドが使っていたくらいですから」

 確かにセリーの言うとおりか。
 小さい滝ではギルドの修行場としては使いにくいだろう。

「すごい、です」
「立派な滝だと思います」

 この大きさならベスタも問題ない。

「では、そこの滝の裏側ででも着替えてくれ」
「えっと。はい」
「誰も見てはいないだろう。俺は周りの様子を見てくる」

 四人を送り出して、俺は周囲を見回った。
 着替えを見ていたいのはやまやまだが。
 別に家でならいつでも見られる。
 誰かが警戒をしていなければならない。

 デュランダルを持って周囲を巡回した。
 森の中の滝は涼しい。
 ここまで歩いてきたので暑かったが、滝近くはちょうどいいくらいだ。
 ひんやりした空気が漂っている。

 逆に夏でよかった。
 ジョブを得るためとはいえ、寒行はやりたくない。
 寒かったらえらい目にあうところだった。

 滝の周囲を歩いてグラスビーを片づける。
 何匹かはいた。
 大量に出てくるわけではないが、通り道か何かになっているようだ。
 警戒は必要だろう。

 何匹か片づけると、ロクサーヌたちが滝の裏側から出てくる。
 白装束だ。
 四人がおそろいの白い服を着ていた。

 着物のようにきっちりしているわけではないので、妙に艶かしい。
 下着の上に一枚羽織っただけだし。
 ロクサーヌやベスタなどは胸のあわせめにたるみが。
 美味しそうだ。

 腕や肩のところは少し肌が透けている。
 ワイシャツからブラのラインが見える女子高生みたいな感じ。
 ブラはないのでラインも見えないが。
 下につけているのはかぼちゃパンツくらいだろう。

 思わず飛びかかりたくなってしまうが、ここに来た目的を考えるとそうもいかない。
 我慢だ。我慢。

「滝行というのは、滝に入って頭から打たれればいいのか?」
「はい。そうすることによって邪念を打ち破り、神との合一をなす修行だそうです。神との合一によって、聖なる力を得、仲間の傷を癒すスキルを獲得します」

 セリーからやり方を教えてもらう。
 神秘主義的な説明は、どうでもいい。

「見本を見せてもらえるか」
「は、はい。私は巫女にはなれませんでしたが」
「大丈夫だ。やり方だけ見せてもらえればいい」
「ええっと。あの。そうだ、滝の上に一人立って、見張っていました」

 セリーを送り出そうとするが、踏ん切りがつかないようだ。
 大丈夫なのに。

「では、私が見てきます」

 ロクサーヌが移動すると、セリーも覚悟したのか滝つぼに入った。
 水に濡れた白装束が肌に張りつく。
 思ったとおり白い薄手の絹はよく透けて。
 おおっ。

 いや、いかん。
 目的を忘れてはいけない。
 俺も服を脱いだ。
 これは目的のためだ。

 セリーが滝に打たれる。
 頭から白い水しぶきを弾き飛ばし、水流に耐えた。
 水温の方は、この季節なら問題ないだろう。

 ロクサーヌとベスタはセリーと周囲の状況とを交互に確認して注意を払っている。
 俺もセリーばかり見ず、周囲に警戒を払った。
 どうせ滝の中ではよく見えないし。

「魚、です」

 若干一名は違うところを注視しているようだ。
 やがて、セリーが滝から出てきた。
 水を滴らせている。
 水に濡れた白装束が肌に張りついて。

 いかんいかん。
 目的を忘れるな。

「こんな感じです」
「そうか。次は俺が行ってみよう。ベスタ、剣を渡しておく。魔物が出たら頼む」

 デュランダルをベスタに渡して後を頼む。
 なるべく女性陣は見ないようにして、滝つぼに入った。
 目的が第一だ。
 邪念にとらわれてはいけない。

 滝つぼは深いところでも一メートルくらいか。
 もっと深いところもあるかもしれないが、浅瀬を選んで滝の下に入る。
 結構流れは強い。
 水がかかった。

 これは大変だ。
 水を浴びると、勢いで揺らいでしまう。
 水流に持っていかれないよう、体の軸を滝と平行にした。
 姿勢を正し、垂直に立つ。

 頭の上から水を受けた。
 水が落ちる。
 水が落ちる水が落ちる。
 水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる水が落ちる。

 なんも考えられねえ。
 頭の上に水が落ちた。
 頭の中は水が落ちるでいっぱいだ。
 それ以外のことは入り込むゆとりもない。

 しばらく耐え、滝からはずれた。
 ジョブ設定でジョブを見てみる。


神官 Lv1
効果 MP小上昇 知力微上昇
スキル 全体手当て


 これか。
 神官のジョブを得ていた。

 滝に打たれることは確かに修行だ。
 何も考えられなくなる。
 精神統一するのにふさわしい修行方法だろう。
 神官や巫女のジョブを得るには精神の一統を果たす必要があるらしい。

 神官の効果とスキルはセリーの巫女と一緒だ。
 神官と巫女は同じジョブなんだろう。
 男なら神官、女性は巫女という名称になるようだ。

「どうでしたか?」
「これが滝行か。確かにすさまじいな。セリーも巫女のジョブを得たようだ」
「本当ですか?」
「嘘を言ってどうする」

 必ずしも嘘ではない。
 セリーが巫女のジョブを得ていることは事実だ。
 今得たのではないというだけで。

「ありがとうございます」

 セリーも喜んでいるみたいだからいいだろう。

「では、上へ行ってロクサーヌと交代してくれるか」
「分かりました」

 セリーを見送る。
 背中に張りついた白装束が艶かしい。
 もう俺の目的は達した。
 じっくり見ることができる。

「ミリアとベスタは滝行だ。やり方は分かっただろう」
「大丈夫だと思います」
「はい、です」

 ミリアは首をかしげていたが、滝を指差すとうなずいて滝に入った。
 ベスタは俺にデュランダルを渡し、滝に入る。
 紐で閉じただけの上着に覆われたスイカの存在感がすごい。
 ロクサーヌも滝の上から降りてきた。

「ロクサーヌも滝行な」
「はい。分かりました」

 降りてくるときに胸元が激しく揺れていた。
 薄着のせいか揺れがすさまじい。
 破壊力もすさまじい。
 滝よりもすさまじいくらいだ。
+注意+
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