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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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ほどほど

 
 クリティカル率上昇は、思ったより使えるスキルだ。
 魔法にもクリティカルが発生するというのは大きい。
 三十パーセントも上昇させたら、一回の戦闘中に何度も発生するだろう。
 それだけ戦闘時間が短くなる。

 問題点はある。
 クリティカル率上昇は、ボーナススキルなので、取得するにはボーナスポイントを使う。
 利用できるかどうかは、経験値系スキルや複数ジョブ、デュランダルなどとの兼ね合いだ。
 クリティカル率三十パーセント上昇を常時セットするようなことは、とても無理だし、そこまでの効用もないだろう。

 また、クリティカル率上昇はそもそもクリティカル発生がないと無駄なので、クリティカル発生のスキルを持つ博徒とセットで運用しなければならない。
 探索者、英雄、魔法使い、僧侶に加えて博徒を常時使用するとなると結構大変だ。
 本当ならフォースジョブまでにして必要経験値二十分の一を早くつけたかったのに。
 必要経験値二十分の一は諦めるか。

 それとも英雄をはずすか。
 しかしクリティカルで攻撃力が上がっても英雄をはずして基本攻撃力が下がったのでは本末転倒だ。
 ジョブの持つ効果はパーティー全体に効くから、効果の大きい英雄ははずしにくいということもある。

 いっそ探索者をはずすか。
 インテリジェンスカードをチェックされたときには僧侶にでも転職したことにするか、アイテムボックスを使わないのならチェックのときだけ探索者になることもできる。
 アイテムボックスとパーティー編成は、ロクサーヌかセリーを探索者にすればいい。
 アイテムボックスの大きさはレベル依存だから、使えるようにするまでが面倒だが。

 まあそこまですることもないか。
 探索者をはずすとボーナスポイントが少し減ってしまうし。
 無理にフォースジョブまでにして必要経験値二十分の一をつけても、今度はクリティカル率上昇にボーナスポイントを振る余裕がなくなってしまう。
 クリティカル率上昇を使わないのなら、博徒をつける意味はあまり大きくない。

 クリティカル発生だけでは、発生率はごく小さい。
 竜騎士のベスタもそれほどクリティカルは出していないようだし、博徒も一緒なんだろう。

 むしろ、この際だからシックススジョブまで取得することにして、探索者、英雄、魔法使い、僧侶、博徒を基本セットとして運用するのがいいか。
 これなら、料理人や錬金術師をつけたい場合でも対応できる。
 デュランダルを使うときに戦士と博徒の同時運用でクリティカルが出せる。

 いや。戦士ではなく剣士でいってみるべきだろう。
 戦士のラッシュと剣士のスラッシュは、大体同じようなスキルだ。
 剣士のスキルだからスラッシュは剣専用かもしれないが、どうせ使う武器はデュランダルだし。

 戦士をつけるときにはデュランダルを出して経験値系のスキルが軽くなっているので、戦士はここしばらくレベルの上がり具合が悪い。
 派生職が発生するLv30を目指して剣士を鍛えていく方がいいだろう。
 シックススジョブまであれば、その他の職にも手が回る。

 キャラクター再設定でシックススジョブまで取得した。
 フィフスジョブは博徒のまま、シックススジョブに剣士をつける。
 デュランダルを出すとき頼ることになる剣士は早めに鍛えた方がいい。
 クリティカル率上昇は、三十パーセント上昇ははずしてクリティカル率上昇だけをつけた。

 クリティカル率上昇はボーナスポイントを消費するので常に設定できるわけではない。
 欲張ってつけて、はずしたときと戦闘の難易度が大きく変わるのは好ましいことではないだろう。
 セリーから発生率の差を突っ込まれるかもしれないし。
 クリティカルは発生に運の要素が大きく絡んでくるので、あまり頼ることにはならないと思うが。

 クリティカル率上昇の次はクリティカル率十パーセント上昇、その次はクリティカル率十五パーセント上昇だから、クリティカル率上昇だけだと五パーセントの上昇だろう。
 多くもないが、少なくもない。
 1ポイントくらいならたいていは捻出できるので、これでやってみるのがいいだろう。

 とりあえずクリティカル率上昇でやってみる。
 探索を行いながら、出てきた魔物の団体を倒した。

 魔物に撃ち込む魔法の数は、減ったり減らなかったりというところか。
 五パーセントだとすると二十分の一。
 こんなものなんだろう。

 地味だ。
 地味だが、役に立つ。
 戦闘時間が短くなるのはありがたい。
 ありがたいが、地味だ。

 一発だけ減ったり減らなかったりでは、わざわざ数えたりしなければ分からないだろう。
 実感できるほどの効果はない。
 かといって、実感できるほどの効果があった場合には運悪く発動しなかったとき困ったことになりかねない。
 それもまた困る。

 ほどほどでちょうどいい感じだ。
 ほどほどがいい。ほどほどが。
 何事もやりすぎはよくない。
 ほどほどが一番だ。

 MPを結構使ったので、デュランダルを出す。
 シックススジョブまでつけるようになってから、デュランダルを出す間隔は短くなった。
 それまでつけていたMP回復速度三倍は地味に役立っていたらしい。
 あれもこれもとはいかないので、しょうがない。

 現れたハットバットにスラッシュを喰らわせる。
 魔物の動きを見ながら、突っ込んできたところに剣を合わせ、スラッシュで弾いた。
 飛ばされた蝙蝠が空中で体勢を整えようとしたところに再度スラッシュを叩き込む。

 基本的にやはりスラッシュでもラッシュでも使用感に大差はないようだ。
 今までと同様に戦える。
 次のハットバットの突撃を避け、魔物が戻ろうとしたところをスラッシュで斬った。

 お。今のはクリティカルだ。
 デュランダルが空中の蝙蝠を力強く弾き飛ばした。
 ハットバットが大きくぐらつく。

 スラッシュにもクリティカルが乗るらしい。
 まあ魔法にも乗るくらいだからな。
 クリティカル発生は、そのスキルを持つ者が行うすべての攻撃に対して発生するかどうかのサイコロを振るのだろう。

「やった、です」

 ミリアが小さく叫んだ。
 ミリアが相手をしていたハットバットが地面に落ちる。
 クリティカルに対しての言葉ではなく、石化だったようだ。

 ロクサーヌがラブシュラブ、ミリアとベスタがもう一匹のハットバットに対していたので、誰も俺のクリティカルに気づいていない。
 セリーも、デュランダルに詠唱中断があることは分かっているので、俺が相手をしていない魔物の方を監視していた。
 ハットバットに注意を戻し、姿勢を整えた蝙蝠にスラッシュをぶつける。
 魔物が地に落ち、煙と化した。

 続いてロクサーヌが相手をしていたラブシュラブに斬りかかる。
 横から叩きつけるだけなので楽勝だ。
 最後に、石化したハットバットが残った。

「あー。これはどうすんだ?」

 ハットバットも倒さないといけないが、小さい。
 しかも地面に落ちているので、斬りにくい。
 魔法で倒すべきだろうか。

「大変そうですね」

 ロクサーヌも首をかしげている。
 デュランダルを逆手で持ち、杖を使って地面を掘り起こすときのように真上から突いてみた。
 MPが回復した感じがある。
 これでいいのか。

「いけそうだ。ミリアのおかげだな。さすがミリアだ」
「はい、です」

 ミリアを笑顔で安心させ、スラッシュと念じて突いた。
 途中からはめんどくさくなったので、スラッシュ抜きで突く。
 リズミカルにハットバットを叩いた。
 土木工事の現場みたいな感じだ。

 あ。今の一撃は深く入った。
 クリティカルだろう。
 今度はみんな見ているが、誰も気づかない。
 そんなものか。

 石化したハットバットを何度も突いていると、突き抜けて地面を叩いた。
 倒せたようだ。
 ハットバットが煙になる。


 その後、夕方まで探索を続けた。
 エプロンができあがってくる日なので、探索は少し早めに終える。
 帝都でエプロンを受け取ってから、家に帰った。
 今日からは、料理を手伝ってもらうときベスタもエプロン着用だ。

「ベスタはパン粉を作ってもらえるか」
「パン粉ですか?」
「作り方は誰かに聞いてくれ」
「分かりました」

 エプロンを着けたベスタに指示を出す。
 エプロンが覆う胸元はしっとりとしてまろやかだ。
 膨らみが大きいとエプロンも映える。
 暴力的な迫力は緩和され、桃源郷のような和らいだ雰囲気が生み出されていた。

 艶やかな柔らかさ、優しいしなやかさが全身から匂いたっている。
 ただし、大柄なだけにフリルはちょっと大味には感じる。
 何ごともほどほどが一番だ。

 パン粉の方は、ロクサーヌもうなずいているし大丈夫だろう。
 仕事を与えた後、風呂場に行って風呂を入れる。
 途中でMP回復のために降りてきたとき、すでにパン粉はできていた。
 ベスタは誰かの手伝いで野菜を切っている。

「ありがとう。ちゃんとできてるな」
「はい。こっちももう終わります」

 いろいろと便利に働いているようだ。

「ベスタはゆで卵を作れるか?」
「ゆで卵くらいなら大丈夫です」
「じゃあ一個作ってくれ。固めで頼む」
「分かりました」

 ベスタに追加の依頼を出した。

「ロクサーヌ、迷宮でいつものように頼めるか」
「はい」

 俺はロクサーヌと一緒に迷宮に行く。
 MPを回復して帰ったとき、ベスタは卵を煮ていた。

「お。やってるな。そのお湯を使って、野菜をゆがかせてくれ」

 軽く野菜をゆがいてから、風呂の残りを入れる。

「ご主人様、ゆで卵です」

 入れ終わったときには、卵も茹で上がっていた。

「ありがとう。じゃあこいつを搾ってくれ」
「はい」

 レモンを搾ってもらう。
 ゆがいた野菜をみじん切りにして、マヨネーズ、つぶしたゆで卵、レモン果汁と併せ、塩コショウを振れば、タルタルソースのできあがりだ。
 ミリアにカットしてもらった尾頭付きにパン粉をつけて揚げ、タルタルソースを載せる。
 魚はミリアに切ってもらった方がいいだろう。

「おいしい、です」
「これはすごいです。こんな料理は初めて食べました」

 ミリアは当然として、ベスタにも好評のようだ。
 よかった。
 油ものが大丈夫なら、明日はとんかつでもいってみるか。

 食事の後は、全員で風呂に入る。
 まずは四人を石鹸で洗い流した。
 四人になったので全員の身体を俺が洗うのは時間効率が悪いような気がするが、権利を放棄するつもりはない。
 一日の楽しみではないか。

 目的と手段を混同してはいけない。
 生きるために身体を洗うのではなく、身体を洗うために生きるのだ。
 このひとときが人生の喜び。
 このひとときこそが人生だ。

 たっぷりと時間をかけ、全員を清め上げた。
 我が生涯に一片の悔いなし。

 俺の体も全員で洗ってもらってから、風呂桶に入る。
 全員で入ると少し狭いが、問題はない。

「少しゆるめのお湯にしたけどちょうどよかったな」
「はい。気持ちいいです」

 狭いからかロクサーヌがべったりとくっついてきた。
 お湯の中でなめらかな肌に接する。
 問題ない。
 何の問題もない。

「ミリアも、気持ちいいな」
「はい、です」

 ミリアは、例によって俺の足元の方で浮かんでいた。
 ベスタもその隣でお湯につかっている。
 あれ?
 浮かんでね?

 何かが浮かんでいるような気がしたが、気にしてはいけない。
 横にいるセリーのことが気がかりだ。
 何ごともほどほどが一番。
 ほどほどが一番である。

 風呂上りにもう一度エプロンを着せた。
 二着作ったエプロンの絹の方だ。
 ベスタが着ると、山の頂とふもととの標高差が。
 距離の開いた防衛ラインが俺を誘う。

 こ、これは罠だ。
 鳥もちのように俺を捕らえて放さない罠だ。
 しかし罠と分かっていても、人生には行かねばならぬときがある。

 いつ行くか。
 今でしょ。

 無防備なその隙間から手を差し込んだ。
 エプロンとはこのようにして使うものだろう。
 さらさらとしなやかなサテン地の布としっとりなめらかなベスタの肌が俺の手をはさみ込む。

 たおやかな球状の肉塊がソフトに俺の指を受け止めた。
 柔らかく、まろやかだ。

 力を入れなくても指が埋まっていく。
 豊かな軟物質の間に。
 愛と悦楽の間に。

 指の間から果肉があふれた。
 しっとりと俺の手に喜びを与えながら、指の間からにじみ出ていく。
 そしてあふれ出した果肉が優しく指に絡みつく。
 素晴らしい。

 ほどほどが一番だと言ったな。あれは嘘だ。
 とがってこそ人生。
 とがってこその喜びだ。

 二三にては死ぬともあらじ、一にてを。
(by清少納言)

 また一つ人生の真理に達してしまった俺だが、翌日からの探索も普通に行った。
 クリティカル率上昇は、多分五パーセントアップの一段階めで止めておく。
 ボーナスポイントがあまっているなら振りたいスキルもいろいろあるしな。
+注意+
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