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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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ダメージ軽減

 
「竜騎士はすべての竜人族にとって憧れのジョブです。私もいずれは竜騎士になってご主人様やパーティーに貢献できればと思います」
「まあベスタは今竜騎士だけどな」

 なるべくさらっと言ってみる。

「え?」
「ではこのまま竜騎士でいってみるか」
「ええっと。竜騎士になるには、何年も修行をして、ギルド神殿で認められなければなりません。私はあまり戦ったこともありませんが」
「そこは大丈夫だ。左手を出してみろ」

 ベスタに左手を出させた。
 フィフスジョブの錬金術師、は今メッキを使っているから、フォースジョブの僧侶を騎士と替える。
 インテリジェンスカード操作と念じた。
 ベスタの左手からインテリジェンスカードが出てくる。

「え?」
「見てみろ」

 論より証拠。
 俺のインテリジェンスカードも見ていたし、ベスタはブラヒム語が読めるだろう。
 ベスタが自分のインテリジェンスカードを見た。

「本当に……竜騎士になっています」
「ちゃんとなってるだろ」
「ええっと。竜騎士……。ええっと。インテリジェンスカード……。ええっと。インテリジェンスカードを扱えるのはご主人様のジョブで……」
「大丈夫です、ベスタ。ご主人様ですから」

 ロクサーヌがベスタを落ち着かせる。
 迷宮で取り乱されても困るか。

「むしろ竜騎士になれたのはベスタの素質のおかげではないかな」

 しかし適当に混乱させておけばそのうち慣れるだろう。

「いえ。そんな」
「それはともかく、次は十階層に移動する」
「毒のテストですか?」
「そうだ」

 次は十階層に移動した。
 ロクサーヌも何のために十階層に行くのかはちゃんと分かっているらしい。

「ではニートアントですね。こっちです」

 ロクサーヌの案内でニートアントを狩り、毒針を集める。
 ベスタは見学に専念させた。
 毒針を十個集めた後は、十八階層に戻って見学させる。

「竜騎士になったようですので、私も戦えます」
「えらいな。まあすぐにも戦ってもらう。もうしばらく待て」
「かしこまりました」

 ベスタは竜騎士Lv1だしな。
 あまり早く戦いに送り出すのもよくないだろう。
 かといっていつまでも見学というわけにはいかない。
 その辺の見極めが難しい。

 早朝の狩を終えるまでに、ベスタは竜騎士Lv5までランクアップした。
 レベルが低いとレベルアップも早い。
 これくらいが頃合いだろうか。
 朝食を取ってから、クーラタルの七階層に赴く。

 ちなみに、朝食を作っている最中にベスタがセリーに「ご主人様はご主人様というジョブなのでしょうか」と小声で尋ねているのはばっちり聞こえた。
 セリーもさぞ返答に困ったことだろう。
 肯定も否定もしなかったようだが。

「今からは様子を見ながら、ベスタにも戦ってもらう。無理をする必要はない。厳しいようだったら正直に言え」
「はい」
「最初は怖いだろうが、魔物の攻撃をわざと受けてみろ。迷宮で戦う以上、攻撃を絶対に喰らわないということはありえない。魔物から受けるダメージを確認しながら、少しずつ階層を上がっていく」
「はい。大丈夫だと思います」

 竜騎士にはダメージ軽減のスキルがあるから、七階層からくらいで大丈夫だろう。
 ハルバー一階層のチープシープの攻撃はなんともなかったようだし。
 思い切ってハルバーの十階層からでもいいが、ニートアントは毒持ちなので、最初としてはややハードルが高い。
 クーラタル七階層のスローラビットあたりが適当だ。

「では行くぞ」
「あの。武器はこのままでよろしいのでしょうか」

 あ、そうか。
 竜騎士になったから二刀流が使えるんだった。
 デュランダルを二本持たせたらとてつもない戦力になるな。
 二本出せないから無理だが。

 セリーあたりがそういう提案をしてきてもいいと思うが、何も言ってこないところを見ると、主人が所有する最強の武器をほいほいと奴隷に使わせるようなことはないのだろう。
 デュランダルを出すと経験値的にもおいしくない。

「しばらくはそのままで。様子を見てまた考える」
「分かりました」

 両手剣と大盾が装備できるのも二刀流スキルのおかげなんだろうか。
 大盾はまだ必要ないと思っていたが、意外に早く必要になるかもしれない。
 様子を見て、盾が必要なさそうなら両手剣二本。
 盾が必要そうなら大盾を探すか。

「大盾を二つという装備もありなんだろうか」
「はい。稀にはそういう人もいるそうです。ただあまりいないようです。攻撃の手数が少なくなりますので」

 大盾二つもありといえばありなのか。
 超守備力特化型だ。
 回復が間に合わないほどダメージが多いときにはそういう選択肢もありか。

「ロクサーヌ、スローラビットで数が少ないところに案内してくれるか」
「はい」

 ロクサーヌの案内で進む。
 魔物が出てくると、見事にスローラビット一匹だ。
 ファイヤーボールを一発だけ当てて、待ち受けた。
 ベスタが前に出る。

 スローラビットが近づき、ベスタに体当たりした。
 ベスタは盾を横にそらして、わき腹で受ける。
 攻撃を受けたのを見届け、再びファイヤーボールでとどめを刺した。

「どうだ」
「ええっと。はい。大丈夫だと思います」

 ベスタが首をひねっている。

「痛かったか?」
「いえ。それが全然衝撃がなくて。さっき戦ったチープシープと同じくらい軽い攻撃でした。すみません。盾かどこかに引っかかったのかもしれません」
「盾には当たっていないように見えたが」
「はい。盾には触れていませんでした」

 ロクサーヌも盾では受けていないと証言する。
 ロクサーヌがいうのなら確実だ。
 一階層から七階層に上がったとはいえ、ジョブが村人から竜騎士になって、ダメージ軽減のスキルもある。
 そんなものなんだろう。

「なんにせよ、衝撃が少ないというのはいいことだ」
「はい」

 メッキをかけているので、元々ダメージは少ないはずだしな。

「七階層では問題ないと判断すべきか。それとももう一度受けてみるか?」
「大丈夫だと思います」

 ベスタの了承を得て、ハルバーの迷宮に移動する。

「といっても、次は毒針を投げるだけの簡単なお仕事だ」

 ベスタに毒針を持たせた。
 ハルバーの一階層で毒を使わせる。
 一階層だと一匹しか出てこないので面倒だが、しょうがない。

 毒を使って倒すのは一発で倒せるかどうかぎりぎりの魔法を使って生き残った相手だ。
 半分の確率で倒せるとして、十階層で三、四匹の団体に全体攻撃魔法を使えば一匹くらいは残る。
 だから本当は十階層の方が楽なのだが、贅沢はいえない。
 十階層でニートアント相手にまた鬼ごっこをするのもな。

「毒針ですか」
「魔法に耐えた魔物が出てきたら使え。ロクサーヌも頼むな」
「はい」

 ハルバーの一階層でチープシープ相手に一撃で倒せるぎりぎりの魔法を使った。
 魔法に耐えた魔物がいたので、待ち受ける。
 正面でロクサーヌが相手をし、ベスタは横から毒針を投げつけた。

「毒、です」

 ミリアが教えてくれる。
 これは俺にも分かった。
 毒を受ければ色が変わるといわれても、黒いニートアントの場合に薄暗い迷宮内では区別がつかなかったが、白い羊なら分かる。
 色が青白い感じに変わっていた。

 あれが毒なのか。
 毒々しいというよりは病的な感じだな。
 毒を与えるわけじゃなくて毒を受けたわけだから当然か。

 チープシープはすぐに倒れる。
 ジョブを得るための試練はこれで終了だ。
 後は、少しずつ階層を上げていきながら様子を見ればいい。

「次は十一階層へ行って、ミノ相手に攻撃を受けてみるか。無理をする必要はない。駄目そうだったら、そう言え」
「大丈夫だと思います」

 十一階層に移動した。
 十階層のニートアントは毒持ちなので避ける。
 十階層のエスケープゴートでもいいが、七階層で問題がないのだから、十一階層でいいだろう。

 ロクサーヌがミノ一匹のところに案内する。
 ベスタが魔物の攻撃を受けた。
 ミノをすぐに二発めの魔法で粉砕する。

「どうだ」
「はい。全然大丈夫です。今回はちゃんと攻撃が当たりました。ミノとは迷宮の外で戦ったことがあります。ただ、そのときの衝撃とそんなに違わないような気もしますが」

 今回はメッキなしでいかせてみたが、問題はないようだ。

「迷宮の外にいるミノと十一階層のミノでは結構違うと思いますが、大丈夫ですか」

 セリーが口を挟んできた。
 迷宮の外のLv1の魔物と十一階層のLv11の魔物では攻撃力も異なる。
 レベルも上がっているし、ダメージ軽減の効果もあるので、こんなもんだとは思うが。

「まあ大丈夫だろう」
「どちらもあまり痛くなかったので、そんなに違いません」

 あまり痛くなかったのか。
 もっと上でも余裕そうだな。

「痛くなかったって」
「うーん。私も迷宮の外の魔物の攻撃を受けたのはだいぶ前でしたので」

 セリーは助けを求めるようにロクサーヌを見るが、ロクサーヌが首をひねる。
 助言を求める相手を間違っている。
 ロクサーヌの場合、迷宮の外で魔物の攻撃を受けた事実があるということの方が驚きだ。

「では、次は十三階層のピッグホッグだ」

 十二階層のグラスビーは毒持ちなのでパス。
 十三階層でピッグホッグを試させた。

「ええっと。さっきのミノとほとんど変わらないような。まだまだ余裕です」

 今回はメッキをかけていたから、そんなに違いはないだろう。
 「ピッグホッグなのに」とかつぶやいているセリーは放っておこう。
 十二階層より上で初めて出てくる魔物は低階層の魔物より強いが、メッキで相殺される。
 メッキをかけるとダメージが減ることは、魔物にメッキをかけるテストで確認済みだ。

「次は十四階層のサラセニアか。あるいは余裕がありそうなら十六階層でクラムシェルを相手にしてみるか」
「十六階層で大丈夫だと思います」

 本当に余裕があるみたいだな。
 十六階層へ飛ぶ。
 十五階層のビッチバタフライは、麻痺があるので避けた。

「ロクサーヌ、十六階層のボス部屋の位置は分かるか」
「はい。確かこっちですね」
「ではボス部屋まで頼む。近くにクラムシェルがいたら案内してくれ」

 ロクサーヌに案内を依頼する。
 見た目たいして変化のない洞窟の中なのによく覚えているもんだ。
 においで分かるのかもしれないが。

「途中クラムシェルとビッチバタフライが群れでいますね。クラムシェルは複数です」
「数が多いのは危険だな」
「クラムシェルしかいないのは反対側になりますし、多分複数ですね。右にいくと、やはりクラムシェルとビッチバタフライが群れでいますが、おそらくクラムシェルは単体です」
「そっちでいいだろう」

 わざと攻撃を受けるなら相手は一匹がいい。
 一回だけ攻撃を受けるつもりが連発を喰らって思わぬピンチにということも考えられる。
 単体攻撃魔法で一匹ずつ片づけるのも面倒だし。
 それに十六階層とはいえ戦闘を長引かせるのもよくない。

 ロクサーヌの案内にしたがって進んでいくと、クラムシェルが一匹にビッチバタフライ二匹の団体が出た。
 ブリーズストームで攻撃する。
 ビッチバタフライの弱点である風属性魔法で攻撃すれば、クラムシェル一匹が残ることになる。
 さすがロクサーヌはよく分かってる。

「私も前に行った方がよろしいでしょうか」
「いや。ビッチバタフライが倒れるまで待て」
「分かりました」

 ベスタを抑え、風魔法を放つ。
 やる気があるのはいい傾向だろう。
 ロクサーヌ、セリーとミリアが魔物と対峙した。

 蝶が落ちると、今度は全員でクラムシェルを囲む。
 俺もサンドボールに切り替えて攻撃した。

 ベスタは、ロクサーヌと場所を替わり、正面から挑んでいく。
 ベスタが鋼鉄の剣で貝殻を叩いて魔物を挑発した。
 クラムシェルの貝殻がかすかに動く。
 貝殻を開けてくるな。

「水と挟み攻撃は受けなくていいぞ」

 予め言っておけばよかった。
 クラムシェルの貝殻が開いた場合、中から水を撃ってくる攻撃と貝殻で挟み込んでくる攻撃とがある。
 どちらも通常の体当たりより面倒だから、わざと受けることはないだろう。

「挟み込んできます」

 ロクサーヌにはやはり分かるのか。
 初動に違いがあるようには見えないのだが。
 クラムシェルは貝殻を大きく開け、ロクサーヌが言ったとおり挟み込もうとしてきた。
 飛びつくようにしてベスタに襲いかかる。

 ベスタが盾で弾いた。
 すげ。
 文字どおり弾き飛ばしたな。

 飛ばされた貝が再度近づき、お返しに体当たり攻撃をしてくる。
 ベスタが盾をずらしてわざと受けた。
 まずはサンドボールを撃ち込んで魔物にとどめを刺す。
 続いてベスタにメッキをかけなおし、手当てと念じた。

「二階層上がりましたが、大丈夫ですね。あ。回復はいいです」

 回復をベスタが止める。
 一回でいいのか。

「もういらないのか」

 ダメージ軽減のスキル効果は相当大きいに違いない。
 これなら十八階層でも大丈夫そうだ。
+注意+
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