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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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竜騎士

 
「えらいな。なかなかの戦いぶりだ」
「ありがとうございます」

 ベスタの戦いぶりはなかなか堂に入ったものだった。
 大柄だからそう見えただけかもしれないが。
 両手剣を片手で振り回されたら相手としては怖い。

 まあ迷宮の外ではあるが魔物と戦ったことはあるらしいしな。
 魔物が跋扈する世界だと異なるものがあるのだろう。
 ひ弱な日本人とは違う。

「次に魔物が残ったら、今度はこの槍で倒せ」
「槍ですか?」
「いろんな武器を使ってみるテストだ」
「はい」

 ベスタに聖槍を渡した。
 というか、無理に押しつけた。

 ロクサーヌも俺も戦士Lv30になったとき自動的に騎士のジョブを獲得している。
 騎士のジョブを得るには、槍で魔物を倒す必要があるのではないかと思う。
 騎士を目指す戦士も槍の訓練を受けるらしいし。

 ベスタが、鋼鉄の剣に加え、木の盾も戻してくる。
 槍は両手で持つようだ。
 さすがに片手では扱いにくいか。

 魔法に耐えたチープシープに、ベスタが挑んでいった。
 大柄なベスタが聖槍を振り回す。
 すごいな。
 ほんとに頭の上で回してるよ。

 三国志に出てくる英傑みたいだ。
 確かに、あんなのが出てきたら、げぇっ関羽、と叫んでしまいそうだ。

 ベスタが魔物に駆け寄り、聖槍を振り下ろした。
 チープシープが叩き潰される。
 一撃か。
 まあたまたまだろうが。

 ただし、槍でとどめを刺したのにジョブは増えていない。
 騎士はもちろんだが、竜騎士も駄目なのか。

「すごいな。次は素手で戦ってみろ」
「素手ですか」
「ちょっと大変かもしれないが」
「大丈夫だと思います」

 ドロップアイテムと聖槍を受け取って、ベスタを次の闘いに送り出した。
 ベスタが素手でチープシープに挑む。
 ベスタが殴り、チープシープがお返しに体当たりした。
 さすがにノーダメージとはいかなかったか。

 メッキをかけなおし、手当てとも念じる。
 どれくらい回復すればいいか分からないので、とりあえず一回だけ。
 ベスタは次の体当たりは避け、羊の横っ腹に拳をお見舞いした。
 魔物が再びタックルをかますが、ベスタはこれも避ける。

 ベスタとチープシープだと、女の子が犬とじゃれあっているようにも見えるな。
 ベスタが羊の頭を殴った。
 ありゃ。じゃれあっているのではない。
 犬ならペット虐待だ。

 魔物が体勢を立て直し、再びベスタに突撃する。
 ベスタは、攻撃を受けながらもカウンターパンチを繰り出した。
 チープシープがよろけ、横倒しになる。

 やはり素手だと激闘だ。
 見ている分には楽だが、実際に戦っているベスタは大変だろう。

「よくやった。一応回復しておくから、十分だと思ったら手を上げろ」
「いえ。かすった程度ですので、大丈夫だと思います」

 あれ。俺の見間違いか?
 チープシープが頭から突撃したと思ったが。

「まあいいのならいいが」
「それよりも回復魔法までお使いになれるのですね。すごいです」

 素手で魔物を倒して僧侶のジョブを取得したから、今はベスタにもできる。
 とりあえずメッキだけかけなおしておく。

 これで素手までは終わった。
 残る武器としては槌があるが、槌が関係するのは鍛冶師くらいか。
 俺もそれらしいジョブは得ていないし。
 鍛冶師はドワーフの種族固有ジョブだから、ベスタは取得できない。

「竜騎士になるのに必要な条件って分かるか」
「竜騎士は、竜人族の中でもひときわ勇敢な、一人で魔物に向かっていった者だけが得られるジョブとされています」
「種族固有ジョブのことはあまりよく分かりません。昨日図書館でジョブに関する本も読んできたのですが」

 ベスタとセリーが答える。
 セリーはジョブの情報も集めてきてくれたのか。
 えらい。

「種族固有ジョブまではしょうがない」
「すみません」
「何か面白いことでも書いてあったか」
「はい。聞いたことのない名前のジョブがありました。確か博徒というそうです」

 そんなジョブがあるのか。
 見たことはないな。
 どうやってなるのだろう。
 普通にバクチだろうか。

 口にくわえた楊枝で魔物を刺し殺すとか。
 どちらかというとそれでなれるのは竜騎士の方か。
 竜人族の種族固有ジョブだから俺にはなれないしな。
 あっしには関わりのねぇこって。

 あるいは金毘羅参りでも行くのか。
 死んじゃうだろう。
 イベント的に。
 馬鹿は死ななきゃなおらない。

「博徒か」
「ご存知なのですか? 博徒なんて、言葉としても初めて知りましたが」
「そうなのか。ベスタは知ってるか」
「知りません」

 ベスタも知らないのか。
 博徒と翻訳されているだけで、普通には知られていない単語のようだ。

「裏稼業を歩く人たちの隠語みたいなもんかな」
「なるほど。確かに、盗賊の項目の余白に書いてありました。盗賊と関係があるジョブなのかもしれません」
「それはただの落書きなんじゃないのか」

 余白に書いてあることなんか信用できるのだろうか。
 誰かが勝手に書いただけでは。

「分かりません。『このジョブに関して真に驚くべき取得方法を私は発見したが、この余白はそれを書くには狭すぎる』と書かれていました」

 フェルマーかよ。
 ちゃんと書いとけよな。
 後が大変なんだから。

「それは、ひょっとしたら大丈夫かもしれん」
「ただよく分からないのは、賞金稼ぎにも関係するようなことが書いてあったことです。本当にいたずら書きかもしれません」
「あー。いや。そうでもないかも」

 賞金稼ぎというのは分かる。
 賞金稼ぎのスキル、生死不問だ。
 対象を指定するところやその名称から見て、生死不問は魔物を一撃で屠るスキルではないだろうか。
 いまだ成功したことはないが。

 おそらくなんらかの確率で成功するスキルなのだろう。
 倒せるか倒せないかはギャンブルということになる。
 ギャンブルであれば、博徒の世界だ。
 生死不問を成功させることが博徒のジョブを取得する条件ということは、大いに考えられる。

「お分かりになるのですか」
「いや。まだ分からないが。とにかくいい情報を聞いた。ありがとう」
「いえ」

 生死不問には成功していない。
 成功する確率がレベルに関係しているというのは十分にありうる考えだ。
 何の制約も制限も条件もなくどんな魔物でもばかばか倒せたら、生死不問は最強のスキルになってしまう。

 博徒は、取得するのが結構大変なジョブなのだろう。
 まず賞金稼ぎのジョブを得るのに戦士Lv30まで鍛えなくてはならない。
 その後、生死不問を成功させるまで賞金稼ぎのレベルを上げる。
 盗賊のレベルも上げる必要があるのかもしれない。

 戦士と賞金稼ぎに加えて盗賊のレベルも上げる。
 一般に知られていないのも納得だ。

 ただ、盗賊と賞金稼ぎには親和性がある。
 盗賊が足を洗って賞金稼ぎとして活躍する。
 賞金稼ぎが道を踏み外して盗賊に堕ちる。
 どちらもありそうだ。

 これまでにも博徒となる条件を満たした人はそれなりにいただろう。
 盗賊を鍛えたことをおおっぴらにはできないだろうし、図書館の蔵書の片隅にひっそり書いてあるのも納得か。
 とりあえず目指しては見よう。
 取得するのが難しいからといって、使えるジョブかどうかは分からないが。

 それよりも今は竜騎士だ。
 一人で立ち向かうということだから、最初から一人で魔物を倒すのが竜騎士のジョブを取得する条件だろうか。
 俺はデュランダルを出す。

「ベスタ、じゃあ次はこの剣を使って最初から一人で戦ってみるか」
「はい」

 デュランダルを使えば、一撃か悪くても二撃で終わる。
 最初から一人で戦っても安全だろう。

「えっと。それは、いつもご主人様が使っておられる剣ですよね」
「そうだ」
「私でも使ったことがないのに」

 ロクサーヌが小さな声でつぶやいた。
 めんどくせえ。

「いや。両手剣だし」
「両手剣だからといって私でもまったく使えないわけではないです」
「で、ではロクサーヌが使ってみるか」
「よろしいのですか」

 よろしいのですかもくそもあるかと言いたい。
 しかしロクサーヌは目をキラキラさせて覗き込んでくる。
 しょうがない。

「順番に実験してみるべきだろう」
「はい」

 ロクサーヌが大喜びでデュランダルを受け取った。
 大事そうに抱える。
 喜んでくれたみたいだし、いいか。

 ロクサーヌがゆっくりと剣を抜いた。
 そのまま先頭で進みだす。

「よし。それではその剣で倒してみろ」

 チープシープにロクサーヌをけしかけた。
 ロクサーヌが魔物に駆け寄り、デュランダルを振り下ろす。
 羊はもちろん一撃で倒れた。

「すごいです。私でも一撃で倒せました。こんなにすごい武器を持っておられるなんて、さすがはご主人様です」

 ロクサーヌがドロップアイテムとデュランダルを渡してくる。
 あえてはいわないがむしろロクサーヌなら余裕だと思うぞ。
 騎士Lv20なんだし。

「次は、セリーもいってみるか」
「はい」
「こっちですね」

 セリーにデュランダルを渡すと、ロクサーヌが先導した。
 やはり全員やることになるのか。
 ひょっとして竜騎士以外の何かのジョブの条件になっている可能性がなくもないから、無駄ではない、と思いたい。
 それらしいジョブは俺も持っていないから、多分無駄だが。

 現れた魔物をセリーが斬り裂く。
 途中で騎士に転職したロクサーヌよりレベル高いし、鍛冶師は腕力中上昇の効果を持っているくらいだから、物理攻撃力が高いだろう。
 一撃なのは当然だ。

「すごい剣ですね。それで、これで何かのジョブになれるのでしょうか」
「いや。なれないだろうな」
「そうですか。とはいえ、素晴らしい剣をお持ちのようです」

 さすがはセリーだ。
 何のためにこういう作業をさせているのか分かっているらしい。

「ミリアもいってみるか」
「はい、です」

 ミリアも当然一振りで倒した。

「どうだった」
「すごい、です」

 ミリアが耳を立て、興味深げに見つめながらデュランダルを返しにくる。
 剣の品評会みたいになってきているな。
 俺が魔物を倒せていたのはデュランダルの性能のおかげだったということが白日の下にさらされてしまったわけだ。
 まだだ。まだ分からん。

「ベスタも行ってみろ」
「かしこまりました」

 村人Lv5のベスタまでが魔物を一撃で倒した。
 もはや疑問の余地はない。
 デュランダルのおかげか。

 しかし明白にはなってしまったが、ベスタは竜騎士のジョブを獲得した。
 一撃で倒すことが条件ではなくて、最初から一人で倒すのが条件だろう。
 一撃で倒せというのは竜人族に酷すぎる。


竜騎士 Lv1
効果 体力中上昇 体力小上昇 体力微上昇
スキル 二刀流 クリティカル発生 ダメージ軽減


 なにやら効果にすごい偏りがあるような気がするが。
 ありなんだ、それ。
 さすがは中二感溢るるかっけージョブ。

 スキルの方も、結構すごそうだ。
 二刀流というスキルがある以上、普通の人が剣を二本持っても駄目なのかもしれない。
 それにクリティカル発生というスキルもあるのか。

 俺のボーナススキルにクリティカル率上昇がある。
 今まで、クリティカル率上昇をつけたときでもクリティカルが発生したという実感はなかった。
 ひょっとして、クリティカル発生がないと、単にクリティカル率だけを上昇させても駄目なんじゃないだろうか。

 クリティカル率上昇は竜人族以外には死にスキルなのか。
 いや。クリティカル発生を持つジョブが他にもあると信じたい。

「ダメージ軽減というのはどういうスキルだ」

 大体分かるが。

「私ですか? 聞いたことはありませんが」
「セリーは?」
「物理ダメージ軽減と魔法ダメージ軽減のスキルならあります。ただのダメージ軽減というスキルは知りません」

 ベスタもセリーも知らないようだ。
 パッシブスキルなのか。
 常時発動型で常にダメージを軽減するのだろうか。
 さすが中二感溢るるかっけージョブだ。

「ダメージ軽減と言ってみろ。なんともならないか」
「ダメージ軽減? ……なりませんが」

 ベスタのジョブを竜騎士Lv1に設定して言わせてみても、何も起こらないらしい。
 やはりパッシブスキルなんだろう。
 アクティブスキルなら知られていなければおかしいしな。

「竜騎士というのは、どういうジョブだ」
「竜人族の中でも正義感に溢れ、主君や仲間を守る盾となるジョブです」

 なるほど。竜騎士の騎士とはナイトのことなのか。

「竜騎士は守備に秀でたジョブです。竜騎士がいるとパーティーの安定度が増すとされています」

 セリーも追加で説明した。
 体力上昇は守備力が強くなるのだろう。
 それが三つも並ぶのだ。
 竜騎士というのは守備特化のジョブなのか。

 ジョブの効果はパーティー全体に効いてくる。
 竜騎士がいれば打たれ強くなるに違いない。
 ダメージ軽減が本人だけに効果があるのかパーティー全体に効果があるのかは分からないが。

 どうせこのパーティーは俺の魔法がメインで戦うのだから、守備特化のジョブというのもいいかもしれない。
 このまま竜騎士をベスタのジョブにしてみよう。
+注意+
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