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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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オークション

 
「で、でかいな」

 立ち上がったベスタという女性は、俺よりもかなり背が高かった。
 二メートルあるんじゃないだろうか。
 メーター越え、だと……。

 そして胸も大きい。
 服の中にスイカが入っていると言われても納得してしまうでかさだ。
 メーター越え……だと……。

 待て。あわてるな。
 大きく感じるのは身体が大きいからだ。
 全体が大きければ、パーツも大きい。
 それだけのことだ。

 比率で考えれば、セリーとそう変わらないのではないだろうか。
 なにしろ身長に差がありすぎる。
 セリーの二倍くらいあるのではないか。
 さすがにそこまではないか。

 しかし身長が二倍近くあるのなら、胸の大きさが二倍あったとしても不思議はない。
 単に二倍だ。
 長さが二倍だと、面積では四倍ということになる。
 体積だと八倍だ。

 八倍……。

「よろしくお願いします」

 八倍が頭を下げた。
 いや、待て。
 八倍は上下に動いただけだ。

 ベスタの顔はセリーより少しは大きいだろうが、倍もあるはずはない。
 身長から考えればむしろ小さいといえる。
 背が高いといろいろ変わってくるところもあるのだろう。

 ベスタの手足は細長く、モデル体型だ。
 単純に倍というわけではない。

 ベスタの肌は淡く色づいた小麦色である。
 髪は赤く、ショートカットにしている。
 目も髪の毛と同じで赤い。
 虹彩の大きい美しい瞳だ。

 ベスタが頭を上げると、俺よりも頭一つ分以上背が高かった。
 胸元がちょうど目の前にくる。
 ちょっと目のやり場が。
 スイカップとはこのことか。

「彼女はベスタと申します竜人族の女性です。ちょうど十五歳になり、販売できる年齢になりましたので、連れてまいりました」

 奴隷商人が横にやってきた。
 オークションに出せるのは十五歳からなのか。
 別にそれ以下の年齢の奴隷がほしいわけではないが。

「竜人族なら迷宮に入っても大丈夫そうか」
「もちろんでございます。特別に鍛えることはしておりませんが、戦闘能力はうちでも一番でございます」
「大丈夫だと思います」

 ベスタが立ったままで告げる。
 村人Lv2だし、鍛えていないというのはそのとおりなんだろう。
 竜騎士Lv1みたいな、とりあえずこのジョブにしましたみたいなものよりも気持ちがいい。

「迷宮に入ったことは」
「ありませんが、近くに出た魔物を倒していました。あまり痛くなかったので問題ないと思います」

 スローラビットはLv1でもかなりの攻撃力だったが。
 まあ本人が戦えると言っているのだから大丈夫か。

「竜人族ということで欠点もございます。夜遅くの活動は得意ではありません。深夜の戦闘はお避けください。食事にも注意事項がございます」
「食べられないものでもあるのか」
「好き嫌いは特にありません。どんな食事でも大丈夫です。ただ竜人族は十日に一度くらいボレーを食べる必要があるらしいです」

 上に質問を投げかけると、上から答えが落ちてきた。
 物理的に上から。
 上から目線ではない。

「ボレーはオイスターシェルが残すアイテムです。オイスターシェルを倒すか、ギルドで買う必要がございます。竜人族の、とりわけ女性は、ボレーを食べませんと体が弱くなってしまいます」

 奴隷商人が補足する。
 欠点もきちんと説明してくるあたり、いい業者なんだろう。

「それくらいなら問題はないか」
「彼女は性奴隷の処女。もちろんそちらの方もお楽しみいただけます。十五歳ですので初年度奴隷となります。いかがでございましょう」

 顔は美人で、迷宮に入ることも嫌っていない。
 性格も穏やかそうだ。
 ベスタはこちらの要求をすべて満たしているといえる。

「悪くはないな」

 むしろほしい。
 手に入れたい。
 これだけの美人でこれだけの胸だしな。

 ただし食いついて足元を見られるのは困る。
 どうせ入札なので関係ないだろうか。
 あるいは最低入札価格を引き上げることができるかもしれない。

「さようでございましょうとも」
「ありがとうございます」

 ベスタが礼を述べた。
 お辞儀をするのはいいが、他の客にも言っているのかと思うと釈然としないな。
 客全員にお客さんだけよと言っているキャバ嬢みたいだ。

「落札できるかどうかは値段次第だ。他の客に媚は売るなよ」

 納得いかないので一矢報いてやった。
 奴隷商人が苦笑いしている。

「ええっと。きっと大丈夫だと思います」

 大丈夫なものか。

「他の客には、迷宮には入りたくないとでも言っておけ」

 次の客が入ってきたので、言い残して立ち去る。
 そんなことを言われても困るだろうが。

 他の部屋も回ってみた。
 やはり女性の奴隷の方が圧倒的に多い。
 オークションに出すだけあって、美人ぞろいだ。

 それでも、ベスタとその前の部屋のお嬢様っぽい美人は頭一つ抜けていた。
 戦闘もということになれば一択だな。
 そんなことを考えながら次の部屋に入る。

 この部屋は客でいっぱいだ。
 そんなにいい奴隷なんだろうか。
 前の方に進んだ。

「やはり参加されておりましたか」

 前に出ると、知った男が声をかけてくる。
 ベイルの奴隷商人のアランだ。

「そちらもな」
「今回私どもは魔法使いを出します。パーティーの戦力充実には一番のジョブです。絶対の自信を持ってお勧めできます」
「魔法使いか」

 そういえば受付のところでおっさんが叫んでいた。
 オークションともなると魔法使いが出品されるのか。
 確かに魔法使いなら一番のジョブではあるのだろう。
 魔法使いはパーティーに必要だとセリーも言っていた。

 まあうちには俺がいるが。
 二人になれば殲滅力は二倍だ。
 ほしいことはほしいかもしれない。

 男でなければ。

 アランの横の方に客に囲まれて男が立っている。
 ジョブは魔法使いだ。
 あれがアランの連れてきた奴隷だろう。
 実際には男ではなく♂だが。

 男かよ。

「オークション開催寸前になって、あるところから急に売りに出されました」
「魔法使いを売りに出すとは、大変だな」
「最近になって急に傾き始めました。まあ元々嫌われておりましたところですのでしょうがありません。どうやら借金を返済するめどがつかなかったようです」

 バラダム家かよ。
 アランは、奴隷商人は仕入れのための地盤が大切だと言っていた。
 ロクサーヌとバラダム家の女は昔からの知り合いだ。
 ロクサーヌを仕入れたアランならバラダム家から仕入れができても不思議はない。

 ただし、魔法使いの男に苗字はない。
 バラダム家の人間ではないようだ。
 遠縁の子どもでも魔法使いにしたのだろうか。

「おかげで目玉が手に入ってよかっただろう」
「さすがに魔法使いが出品されることはあまりありません。ミチオ様もいかがでございましょう。あそこにいる男がその魔法使いです」

 オークションに魔法使いが出ることは少ないのか。
 貴族や金持ちの子どもしか魔法使いにはなれないという話だしな。
 男なのがもったいない。

 落札して女性の魔法使いを持っている人と交換という手も考えられるが、持っている人を俺は知らない。
 無理に魔法使いを二人そろえることはないだろう。

「高くならなければな」
「そうですね。今回は百万ナール以上の値がついてもおかしくないと考えております」

 アランが胸を張った。
 そのくらいはしてもおかしくないのだろう。
 適当にごまかして、部屋を出る。

「おまえら白金貨の準備はいいか」

 一回りして戻ってくると、おっさんはまだどなっていた。
 なるほど。
 あれは自分は絶対に降りるつもりがないと客全員に宣言しているのか。
 それで競われなければめっけものと。

 効果があるかどうかは知らない。
 その程度で逃げるようなやつは最初から相手にならないかもしれない。
 白金貨二枚は出ないと自分で言っているようなものだし。

「抽選の結果で順番が決まりました。まもなくオークションを始めます。二階の会場へ移動してください」

 誰かが案内した。
 そろそろ始まるのか。
 二階に移動する。

 会場の扉にパピルスが張ってあった。
 順番が書いてあるらしい。
 俺は文字が読めないから分からないが。
 ロクサーヌからまじめに習っておけばよかった。

「ようし。魔法使いが出てくるのは最後の方だな。おまえら全員それまでに金を使っておけよ」

 おっさんがまだ叫んでいる。
 アランが出品するのは最後の方らしい。
 どうせ俺には関係ない。

 会場に入った。
 適当にイスに座る。
 イスは、満杯とはいわないが、八割がたは埋まった。
 結構な客数が来ているようだ。

「本日はご来場いただき、ありがとうございます。それでは、ただいまより奴隷商人ギルド主催のオークションを始めさせていただきます。出品の順番は先ほど厳正なる抽選を行い決定いたしました。最初の出品者はどうぞ」

 司会の男が左端に立ってオークションをスタートさせる。
 ステージの上に二人の男が出てきた。
 竜人族の男だ。

「よろしくお願いします」
「竜人族のオス、十五歳が出品対象となります。最低入札価格は十万ナールからです。それではどうぞ」

 奴隷商人が頭を下げると、入札が始まった。

「二十二万」

 誰かが入札する。
 いきなり二十二万か。
 最初は最低入札価格で入札し、上げるのは入札単位の十倍までじゃなかったのかよ。
 オークションに慣れた仲買人だけのマナーだったんだろうか。

「二十三万」
「二十五万」
「二十六万」

 入札はしかし、誰もとがめることなく進んだ。

「二十七万」
「二十八万」
「三十万」
「三十一万」

 なにごともなかったかのようにオークションが進む。

「三十二万」
「三十三万」

 やがて入札するのは二人だけになった。
 最初に入札した男と、もう一人の男だ。

「三十五万」
「三十六万」
「三十七万」
「三十八万」

 二人が一万ナールずつ競っていく。
 すると、もう一人の男の後ろに列ができ始めた。
 あれは何をしているのだろう。

 近づいてみると、並んだ人たちは男の前にお金を置いている。
 銀貨が男の前に積まれていった。
 結構な数だ。

「あんなマナー違反野郎に負けるなよ」

 誰かがそう声をかけて金を置く。
 マナー違反を懲らしめるためのカンパなのか。
 さすがに金貨はないが、銀貨でも百人が一人一枚出せば一万ナールになる。
 相手には脅威だろう。

 マナー違反をするとこんな目にあうんだ。
 俺も銀貨一枚を置いてイスに戻った。

「三十九万」
「ぐっ。さ、三十九万五千」
「この価格帯での入札単位は一万ナールからとなります。それ以下の引き上げはできません」

 最初に入札した男が苦し紛れに挙げた数字を司会の男が拒絶する。
 マナー違反は受付自体はされるが、ルール違反だと拒まれるらしい。
 入札単位のルールも知らなかったところを見ると、最初に入札した男はオークションの初心者なんだろう。

「分かった」
「三十九万、現在の価格は三十九万です。他にありませんか……ありませんね……それでは、三十九万ナールでの落札とさせていただきます。出品者と落札者は奥の部屋へ移動してください」

 落札した男は銀貨を拾い集めてから席を立って移動した。
 カンパはいいが大変は大変だ。

「竜騎士なら四十万も悪くはないが、魔法使いにも取っておきたいしな」

 誰かがつぶやくのが耳に入る。
 特に相場より高いということはなかったらしい。
 Lv1だけどな。

 そして、魔法使いが後に控えているからなるべくお金は使いたくないと。
 当然そうなるだろう。

 第一希望の前に第二希望が出品されても、入札は躊躇せざるをえない。
 だから順番は厳正な抽選で決まるのか。
 俺としてはベスタは早めに出てくれる方がありがたいわけだ。

 祈りが通じたのか、ベスタは三人めの出品者だった。
 ベスタと奴隷商人がステージの上に現れる。

 魔法使いよりもお嬢様よりも前だ。
 戦闘奴隷がほしいなら魔法使いが、美人がほしいならお嬢様が控えている。
 かなりいい順番といっていいだろう。

「次の出品は、竜人族のメス、十五歳です。最低入札価格は二十万ナールからです。それではどうぞ」
「二十万」

 スタートと同時に入札した。
 こういうのは勢いが大切だ。

「二十一万」
「三十一万」

 入札単位は一万ナール。
 その十倍の十万ナールまでは上げられる。
 だから十万ナール上げる。

「三十二万」
「四十二万」
「四十三万」
「私の入札金額は五十三万です」

 その後も十万ずつあげていった。
 何があっても降りないという不退転の決意を示す必要がある。
 白金貨も持っているから、このくらいの金額ではびくともしない。

「ご……」
「五十四万」
「六十四万」

 一人降りたようだ。
 それでも無視して十万ナール上げる。

「六十四万、現在の価格は六十四万です」
「……」

 五十四万で入札した男がちらりと俺の方を見た。
 俺はポーカーフェイスを保つ。

「他にありませんか……ありませんね……それでは、六十四万ナールでの落札とさせていただきます。出品者と落札者は奥の部屋へ移動してください」

 結局五十四万の男は競ってこなかった。
 軟弱者め。
 十万ナールずつ上げる作戦が功を奏したようだ。
 ベスタの落札に成功した。
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