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異世界迷宮で奴隷ハーレムを 作者:蘇我捨恥
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体験

 
 ルークに話を聞いた後、ペルマスクの冒険者ギルドに戻った。
 三人は俺が到着するとすぐにやってくる。
 鏡も一人一枚持っていた。

 セリーの顔がニコニコしている。
 ネックレスはちゃんと売れたようだ。

「お帰り。うまくいったようだな」

 それ以上は何も聞かず、ザビルの迷宮を経由して家に帰る。
 物置部屋に鏡を置くとセリーが説明してきた。

「ペルマスクではまず親方の奥さんと一緒に元参事委員会代表の奥方様のところへうかがいました。かなり瀟洒な豪邸でした」
「すごかったですね」
「大きい、です」
「そんな豪邸に住んでいるならと金貨四十枚と言ったのですが、残念ながらそこまでは無理でした。親方の奥さんの紹介ならということで、金貨三十八枚で手を打ってきています」

 元々金貨三十五枚の予定だったものを三十八枚まで出させるとは。
 さすがはセリーだ。
 おまけに親方の奥さんにも恩を売ってくるあたり、抜け目がない。

「素晴らしい」
「親方の奥さんと仲のよい人には約束どおり金貨二十五枚で売りました。やはりよいものだと喜んでいただけましたし、親方の奥さんの方には少し大きさがと伝えたので、こちらの方もばっちりです」

 仲がよくても、自分が持っているものより少し小さいコハクのネックレスで喜ぶのか。
 いろいろ複雑なようだ。

「すごいな。さすがセリーだ」
「ありがとうございます」

 セリーから金貨六十三枚と銀貨二十枚を受け取る。
 銀貨はタルエムの小箱の代価だ。
 こちらも容赦なく売りつけてきたらしい。

 これでがっぽりと儲かってしまった。
 もう白魔結晶に期待する必要はない。


「と、思ったらこうなるのか」

 翌日、午前中の狩を終えて昼に休息を取ったとき、リュックサックを見てつぶやいた。
 好事魔多し。
 いや。別に悪いことではないが。
 悪いことはこれから起こるかもしれないから、調子に乗ってはいけないということだな。

「えっと。何でしょう」
「見るか?」

 白くなった魔結晶を取り出して、ロクサーヌに見せる。
 白魔結晶だ。
 ついに完成した。

「すごいです。さすがご主人様です」
「初めて見ました」
「さすが、です」

 もちろん、ないよりはあった方がいいのでありがたい。
 これでオークションにどんな大物が出てきても安泰だろう。

「ギルドへは夕方売りに行くのがいいだろう」
「えっと。はい」

 ロクサーヌが首をかしげる。
 確かに三人には理屈が通じていないが。
 セリーも不審な目で見るのはやめていただきたい。

 夕方、クーラタルの探索者ギルドへ売りに行った。
 クーラタルの探索者ギルドが一番でかいので、その中に紛れる作戦だ。
 時間も人が最も多い夕方に売る。

 白魔結晶と黄魔結晶、その他集めたアイテムをこれでもかとトレーに載せた。
 昼間売るはずだったものに加え、アイテムボックスに入れてある滋養丸や強壮丸も載せる。
 白魔結晶と黄魔結晶を一緒に売るのは、三割アップ対策だ。
 ギルドでの売却には三割アップが効く。

 この世界には金貨百枚の価値を有する白金貨というものがある。
 見たことはないが。
 白魔結晶は百万ナールだから、白金貨一枚だ。
 白魔結晶を売れば、多分白金貨一枚が出てくるのではないだろうか。

 白魔結晶と何かを売って三割アップを効かせた場合、本来なら白金貨一枚のところを白金貨一枚と金貨三十枚が返ってくることになる。
 さすがにギルドの職員もこれは変だと思うのではないだろうか。

 白魔結晶と黄魔結晶を売れば、白金貨一枚に金貨十枚のところを白金貨一枚に金貨四十三枚ということになる。
 これならまだなんとかなるだろう。
 その他のアイテムもたっぷり提供することは、目くらましとして少なからず有効なはずだ。

 カウンターの前で待つ。
 受付の女性が、トレーにお金を載せて戻ってきた。
 不審がっている様子はないか。

 白金貨も一枚ある。
 見た目だけだと銀貨みたいだ。
 金貨の方が目立っている。
 まあ大きさも違うし、普通の銀貨でないことはすぐに分かる。

 これが白金貨か。
 いきなり大金持ちになった気分だ。
 実際なったわけだし。

 白金貨と金貨をそそくさとアイテムボックスに入れる。
 残りの銀貨と銅貨はリュックサックに押し込み、急いで探索者ギルドから立ち去った。
 冒険者ギルドまであたふたと足早に移動する。
 大金を持ちなれていないせいで挙動不審になってしまった。

「誰も来てないな」
「はい。大丈夫ですね」

 冒険者ギルドに入ると、すぐに外の様子をうかがって誰かつけてきていないか確認する。
 我ながら嫌になるくらい小心だ。
 一応、誰も尾行はしてきていないみたいだった。

「では買い物してから帰るか」

 他人のアイテムボックスから中身を盗む魔法やスキルは知られていない。
 ここまでくれば問題はないだろう。
 買い物をしてから帰る。

「ご主人様、ルーク氏から伝言が残っています。芋虫のモンスターカードを落札したようです」

 家に帰ると、ルークからの伝言が残っていた。
 ロクサーヌがメモを読む。
 芋虫のモンスターカードか。
 これで身代わりのミサンガの予備ができる。

 翌朝、鏡を一枚売り、朝食を取ってから商人ギルドに赴いた。
 ロクサーヌたちには洗濯や後片づけを頼んでいる。
 最近は朝食も作っていないので少し心苦しい。
 洗濯や後片づけに使う水は俺が用意しているが。

 仲買人のルークを呼び出し、会議室に入った。

「昨日、芋虫のモンスターカードを落札した後、コボルトのモンスターカードも五千ナールで落札できました」

 ルークがモンスターカードを二枚出してくる。
 鑑定してみたが、確かに芋虫とコボルトのモンスターカードで間違いない。

「それは上々」
「こちらの方がコボルトのモンスターカードです。休日が間近なので、出品が少し増えてきているかもしれません」
「そうなのか?」

 休日に遊ぶ金でも用意するのだろうか。
 いや。お金を作ってオークションに備えるのか。
 くそっ。
 ライバルが増えた。

「借金の返済などは、季節の末締めが多いので」

 江戸時代には盆と大晦日にツケを清算したという話と一緒か。
 この世界に月末締めはないから、季節の末で清算すると。

「なるほど。こっちが芋虫だな」

 声を出して確認しながら、モンスターカードをアイテムボックスに入れた。
 どうせ鑑定で分かるから俺には関係ないが。
 一応慎重に扱っている振りはする。
 鑑定が使えない人は慎重に受け取るだろう。

 モンスターカードの代価と手数料七百ナールも支払った。
 同じものを連続で頼むと足元を見られるようだし、今回はコボルトのモンスターカードの追加注文はしないでおく。
 芋虫のモンスターカードも、オークションでハーレムが充実するかもしれないので、注文は取り消さずにおいた。

「季節の末に借金を返すということで、資金繰りに困っているバラダム家も動いているようです。聖槍は本日これからの出品になります」
「今日出るのか」
「聖槍が出品されるという話は、コボルトのモンスターカードの注文を出している客に確実に届くように、わざと広められたのでしょう。どうやら、向こうにも入札の意思があるようです」

 MP吸収を聖槍につけてみるつもりがありと。

「出品される聖槍って見ることはできるか?」
「いや……。不可能ではございませんが」

 ルークが口ごもった。

「何か問題が?」
「ここだけの話ですが、よろしいですか」
「分かった」
「バラダム家は聖槍を最初仲買人のところに持ち込んだそうです。ただ、買取価格が安すぎると直接出品に切り替えました。そのため、仲買人仲間では、コボルトのモンスターカードの注文を出しているところ以外には誰も入札しないように申し合わせております」

 ルークが暴露する。
 入札するのは一人だけと。
 当然その人物が安値で落札することになる。

 仲買人もえげつないことをするもんだ。
 怒らせるとろくなことにはならないということだな。
 あるいは、ルークから俺に対する警告なのかもしれない。
 勝手なことをすればこうなりますよという。

「では、最初の最低入札価格での落札になると」
「おそらくはそうなります。あるいは、最低入札価格が高すぎれば流されるかもしれません」

 預託金が没収されるのか。
 聖槍に興味はあるが、やめておいた方がよさそうだ。
 仲買人に敵対すると恐ろしいことになりかねない。
 MP吸収のついた武器がほしい客との競争になれば落札価格が跳ね上がるかもしれないし。

「入札をするつもりはない。見てみたかっただけだ」

 否定してルークを安心させてやる。

 しかし買取を拒んだ話がでっち上げだったらどうするんだろう。
 どうしてもほしい品があったら、買取を断られたと言いふらして入札拒否してもらえば安く手に入れられる。
 仲買人以外の人物が出品した場合限定だが。

 結託するような狭い世界だ。
 嘘だとばれたらえらいことになる。
 インチキをするような仲買人はいないのか。

「さようでございますか。オークションの会場へ入れば、もちろん実物を見ることはできます。会場に入ると参加費が発生しますが、一度でも入札に参加すれば払う必要はございません。聖槍の入札に参加しないというのであれば案内してもよろしゅうございますが、入ってみますか」
「入れるのか?」
「はい」
「では頼めるか」

 会場に行ってみることになった。
 休日のオークションの前に、一度雰囲気を感じておくのもいいだろう。

「聖槍の出品は、あと二、三十分後になるかと思います」

 まだ少し時間があるらしい。
 一度家に帰り、ロクサーヌに少し遅くなると伝えた。
 商人ギルドにとんぼ返りする。
 ワープがあるので移動時間はほんの数秒だ。

 階段を登り、商人ギルドの二階に上がった。
 二階にある大会議室。
 オークションはここで行われるらしい。

「ここか」
「どうぞ」

 ルークに導かれて中に入る。
 大会議室はかなり広い部屋だった。
 正面にステージがあり、その前にイスが並べられている。
 ちょっとした小劇場みたいな感じだ。

 ルークの隣に座る。
 広いだけに客はまばらだ。
 二、三十人もいるだろうか。
 満席になれば数百人は入れるに違いない。

「それでは、オークションを開始します。本日最初の出品は、豚のモンスターカードになります。ギルドで確認を済ませております」

 やがて男がステージの左端に立った。
 別の男が入ってきて、ステージ中央にあるテーブルの上にカードを置く。
 豚のモンスターカードだ。
 彼が出品者に違いない。

「安ければ落札するつもりです。どうぞ入札してみてください。入札しませんと参加費がかかってしまいますので」

 ルークが耳打ちした。

「最低入札価格は、千ナールです」
「千」

 ステージ左端の男が案内すると、すぐに誰かが声を上げる。

「千百」
「千二百」
「千三百」

 一万ナール未満なので入札の単位は百ナールだ。

「最初の出品ですので、上げ幅は百ナールずつにして、多くの者が参加できるようにします」
「なるほど」
「千四百」
「千五百」

 オークションが進んでいく。

「千六百」

 思い切って声を上げた。

「千七百」

 続いてルークが声を出す。
 おまえがかぶせるのかよ。

 すぐに係の者が走りよってきて、俺とルークに紙切れを渡した。
 パピルスだ。
 何か書いてある。

「これは?」
「会場を出るときにこれを渡せば、入札に参加した証明になり参加費を払わなくてよくなります」

 なるほど。
 入札に参加した証明書か。

 落札価格はその後も百ナールずつ上がっていった。
 二千五百をすぎると、スピードが落ちる。

「二千八百、現在の価格は二千八百です。他にありませんか」
「二千九百」
「三千」
「さすがに、少し高くなりました」

 オークションの推移を見て、ルークがつぶやいた。

「三千百」

 もう一度誰かが声を上げるが、その後は誰も続かない。

「三千百、現在の価格は三千百です。他にありませんか……ありませんね……それでは、三千百ナールでの落札とさせていただきます。出品者と落札者は、奥の部屋へ行きモンスターカードの確認と商品の受け渡しを行ってください」

 落札者が決まったようだ。
 ステージに立っていた出品者がモンスターカードを持って袖に引っ込み、落札者も正面右の扉から奥に入っていった。

「これがオークションか」

 地球のそれと特に変わりはない。
 まあ目的が同じなら、同じような形に落ち着くのだろう。

「次の出品は、珊瑚のモンスターカードになります。もちろん、ギルドで確認を済ませております。最低入札価格は千ナールからです」

 次の出品者が現れ、モンスターカードをテーブルに置く。
 またしても千ナールから百ずつ価格が上げられ、ようやく決着がついた。
 それが何度か繰り返される。

「そろそろ会場にいる参加者全員が一度は入札に参加したでしょう。ここからは本気の勝負になります」

 ルークがささやきかけてきた。
 入札単位の十倍まではオーケーだから、この価格帯だと千ナールまで大丈夫ということになる。
 千ナール上げる人はいなかったが、数百ナール上げる人は出た。

「それでは次の出品です。次の出品は聖槍になります。装備品につき、ギルド側では確認を行っておりませんのでお気をつけください」

 いよいよ聖槍か。
 司会者の紹介で出品者が登場する。
 出品者に苗字はなかった。

 バラダム家の人物が持ってきたわけではないらしい。
 誰か代わりの者が出品したのだろう。
 使用人か執事だろうか。
 出品者が聖槍をテーブルの上に置く。


聖槍 槍
スキル 空き 空き 空き 空き 空き


「おおっ」

 思わず声が出てしまった。
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