僕たちが恋する理由。(20/83)縦書き表示RDF



 評価をいただいて感謝感謝とPCに向かって合掌させていただきました。
 かわいらしい文や言葉、絵文字なんかをただいま必死で勉強中です。
 いつかきっと!絵文字マスターに!!(ウソ
僕たちが恋する理由。
作:美月みゅん



☆19☆ 芽生える想い



 土曜の午後は日差しもやわらかく、空気が澄んでいた。
 冷たい風が頬をなでていく。
 人通りの少ない道を自転車で走りながら、少しだけ家から遠い町内へ向かう。
 
 電話したほうがよかったかな。
 家族がいたりして迷惑かも・・・・・・。
 それよりも、勉強の邪魔とか言われたらどうしよう。
 やっぱり電話しようか・・・・・・。
 でも、電話で断られたらどうしよう。
 あ〜っもうっ!なんでこんな事になっちゃったんだろう。
 全部、誤解なのにっ!
 言い訳くらいさせろってのよっ!

 でも・・・・・・。

 堂々巡りだった。
 昨日の夜も同じ事でほとんど眠れなかった。
 少しだけ重たい目は緊張からかだんだん冴えてくる。
 
 T字路を曲がるとレンガの塀がずっと続いている。
 自転車を降りて呼吸を整えながら自転車をひいて歩く。
 塀の格子から見える庭はきれいに整備されていて家主のこだわりが感じられた。
 
 ウチじゃ考えられない庭だな。

 自転車を通りにはみ出さないように止め、緑川という表札のかかる門を抜けてその奥にある大きな白いドアの前に立つ。

 本当、大きな家・・・・・・。
 こんなとこに住んでるなんて知らなかった・・・・・・。
 おぼっちゃんなんだ。

 ドアの脇にあるチャイムを押す。
 昨日、何度も押したチャイムは少しだけ知り合いのような気がする。

 ―――チリリン。

 鈴の様なチャイム音がドアの向こう側から聞こえる。
 不思議と緊張感が薄れた。
 
 留守かも。
 昨日も誰もいなかったし、出かけてるのかな。
 旅行とか。
 
 勝手に留守の理由をいくつか出して、あと1回だけ押して誰も出なかったら帰ろうと決める。
 指がもう一度とチャイムに触れる。
 その時。

 ―――ガチャッカチッ。

 チャイムが鳴る前に中から鍵を開ける音がする。
 それと同時に心臓が跳ね上がる。
 心拍数急上昇。
 出てしまった指はひっこめられずにその場所でカタカタと震え始める。

 ガチャ。

 ドアがスローモーションで動く。
 思わず目をつむって下を向く。

 「どうしたの?」

 迷いなく投げられた質問は外にいるのがあたしだとわかっていた。
 その声を聞くだけで胸の奥がキュッとする。 
 
 「・・・・・・」

 言葉が出ない。
 昨日の夜、散々練習したあたしの脳内応答集にはみあたらなかった。
 まさかいきなり本人登場とは・・・・・・。

 「ずっと黙ってるつもり?」
 
 ため息と一緒に聞こえる緑川君の言葉はチクチクと体中に刺さってくる。

 「ご、ごめんっ。突然で・・・・・・話をしたくて」

 白いコートの裾をにぎり、情けなくモジモジとしていた。

 「電話でもいいと思うけど」

 「電話はイヤ」

 そう言って顔をあげると表情のない緑川君がいた。
 ジーンズに白いシャツを簡単に着ているだけなのにとても似合っていた。
 
 「寒いから、入ったら?」
 
 「い、いいの?」

 「少しならね・・・・・・」

 意地悪な言い方をしてドアを大きく開ける。
 ドアの起こした風にのってツンと柑橘系の香りがした。

 いい匂い。
 なんだろ、この匂い。

 あたしはクンクンと鼻を動かして開けられたドアの中へ入った。

 玄関は吹き抜けになっていて二階への階段が螺旋状にある。
 飾ってある絵や花瓶はどれもあたしの家ではお目にかかれない物ばかりだった。
 
 「すごい・・・・・・」

 思わず驚きが言葉になってしまった。
 
 「親の趣味、おもしろくもないよ」

 ハッとして玄関を一段あがった足を止める。

 「家族の人は今日・・・・・・」

 「親は仕事忙しいからね、ほとんどいないよ」

 察知したのか緑川君は何気なく言った。

 「そ、そうなんだ」

 少しだけホッとして緑川君を目で探すと、もう階段を上がりはじめていた。
 あたしは慌てて小走りについていく。

 場違い。
 あたし、浮いてる・・・・・・絶対、浮いてる。

 不審者のように挙動不審になっている自分が情けない。

 「ここで待ってて」
 
 通された部屋はきれいに片づけられて落ち着いた色で統一されていた。

 「あ、うん」

 「適当に座って、飲み物持ってくる」

 サラリと言うと緑川君は部屋を出て行った。

 あたしの部屋の2倍はあるかな・・・・・・。

 ざっと見渡して思う。

 ベッドに机。
 ソファーにおしゃれなガラスのテーブル。
 ふかふかのセンターラグに無造作に置かれた雑誌。

 無駄のない部屋だな〜・・・・・・。
 机の上なんかピッカピカだよ。
 あたしの机とは大違いだな。

 あまりに整えられていてあたしは座ることができなかった。

 「なに見てるの?」

 突然、声をかけられて飛び上がる。
 部屋にコーヒーの香りが広がる。

 「座っててって言ったのに、おもしろいものでもある?」

 温かそうなコーヒーを二つ運びながら冷ややかに笑う。

 いつまで・・・・・・。

 「いつまで・・・・・・そうやって意地悪ばっかり言ってるの?」

 ふと胸につまったものが、もう限界ととびだした。

 コーヒーをテーブルに置く手が一瞬止まる、そしてすぐにゆっくり動き出すと緑川君はソファーにではなくソファーを背に座った。
 
 「座れば?」

 あたしはテーブルを境目に緑川君と向かい合うように立っていた。

 ここまできたら逃げられない。
 伝えたいことを伝えないと。 
 聞きたいことは聞かないと。

 玄関で脱いだコートを抱える腕に力をいれる。
 テーブルの分だけ緑川君は遠い。
 
 自分から動かなきゃ変わらない・・・・・・。

 あたしは一人分のスペースをあけて緑川君の隣に座った。
 それが当然といわんばかりに、まさにふんぞり返る状態。

 「なに?この微妙なスペース、一応警戒してる?」

 意地悪で冷たい緑川君は鼻で笑う。
 やっぱり、この程度だよねとでも言いたそうに。

 「いいのっ!これで精一杯っ!」

 思わず声が大きくなる。

 「がんばるくらいならやめたらいいよ」

 横目でチラッとあたしを見てコーヒーのカップを口に運んでいく。

 「もーっ!うるさいっ!」

 もう聞きたくないっ。
 こんな嫌味ばっかりな言葉もそんな緑川君も大っ嫌い。

 「これで精一杯っ!でもいいじゃないっ、あたしはそうしたいんだから。緑川君みたいに何でもできないし、良くわからないことばっかりだし、もうどうしていいかわかんないしっ!でも、それでもっ、あたしはこうしたかったんだもんっ」

 一気にまくしたてる。
 
 「・・・・・・」

 驚いているのか呆れているのか言葉が出ないようだった。
 呆れられても、嫌われても、もうあたしの中の何かが悲鳴をあげていて出てくる言葉をとめられない。

 「あたし・・・・・・好きとかつきあうとか、どういう事なのか全然わかんないけど、昨日は眠れなくて、それでっ、それでっ、あたしは・・・・・・熊田君に優ちゃんの話を相談っていうか、話してるだけなのにっ、あたしよくわかんなくて、み、緑川君だっていっつも田巻さんと話してるのになんであたしだけってっ、もうわかんないよっ!でもっ・・・・・・でも、こんなの嫌だよっ!だって、あたしは・・・・・・あたしは・・・・・・・」

 もう頭の中はめちゃくちゃだ。
 言いたいことの半分も言えてない。
 もう少し、もう少しで何かが言えそう。
 あたしは何が言いたいの?
 もう言って!
 言っちゃってよっ!

 水の中を必死でもがいているような感じがする。
 ゴールはあと少し。
 あと・・・・・・少し。
 
 「あたしは・・・・・・」

 緑川君の目にあたしが写っている。
 もうそこまで何かが押し寄せていた。

 「・・・・・・会いたかったの」

 さっきまでの押し出すような乱暴な言い方とは違い自然と流れでるようにでた言葉と一緒に視界がぼやけて何かが落ちた。

 会いたかった。
 
 言った自分が驚いた。
 まさに告白。
 本人、目の前で熱烈に告白っ!?
 ど、ど、どうしよう・・・・・・。

 目の前には呆然とした緑川君が身動ぎひとつしないで見つめている。

 でも・・・・・・そうなんだ。
 会いたかった。
 これは嘘じゃない。
 そうだ、それだけなんだ。
 いろいろな事を考えて、考えすぎて眠れなかったけど。
 ただ、それだけ。
 あたしは緑川君に会いたかったんだ。

 「な、何っ、泣いてるんだよっ」

 やっと状況がわかったのか慌てた緑川君があたしの肩をつかむ。
 昨日つかまれた場所が鈍く痛む。

 「泣くなよ、泣かないでよ澤田さん」

 落ちてくるものが涙で、自分が泣いているのにその時気がついた。

 「やっ、ごめんなさい、どうしちゃったんだろ。やだっ、バカだよね」

 緑川君の手があたしの手を握る。
 がんばって笑顔をつくってみた。
 それでも涙はとまらない。
 つないだ手が温かい。

 「肩、痛むの?」

 「大丈夫、本当に大丈夫」

 目の前で心配そうに覗き込んでいる緑川君は優しくていつもの緑川君だった。

 緑川君、緑川君、緑川君。
 何度も何度も名前を繰り返す。
 
 つないだ手を離すまいと強く握る。

 「澤田さん・・・・・・?」

 自分で自分の行動が把握できなくなっていた。
 湧き上がる衝動を止める事ができなかった。

 「え・・・・・・」

 小さな驚きの声が聞こえたときにはもうあたしは緑川君の首に腕をまわし、抱きついていた。

 「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

 まるで子供みたいに繰り返していた。

 「なんであやまるの?」

 「あたしが、バカだから」

 「だよね、澤田さんはバカだよね、でも僕もバカだから一緒だ」

 緑川君は背中をなでるようにあたしをなだめる。

 「一緒なわけない、熊田君の事も・・・・・・」

 「澤田さんがそういう事に疎いのは知ってるのに、面白くなくて・・・・・・止まらない自分にイラついてあんなこと・・・・・・肩、痛かったよね」

 ごめん、と小さく呟くように言ってあたしの肩に顔をうずめてきた。

 「もう、近づかなきゃよかったのに・・・・・・」

 耳元で消えそうなくらい小さく言う。
 
 「そしたら僕は・・・・・・」

 あきらめられたのに。と小さく笑う。

 あきらめないで。
 おいていかないで。
 
 捨てられた子犬みたいに必死に首を振る。
 
 「大っ嫌い・・・・・・意地悪ばっかり、大っ嫌い」
 
 さっきとは正反対の言葉があたしの口からでる。
 背中にまわされた手が髪をなでる。

 「だめ、好きだって言ってよ」

 「やだ・・・・・・言わ・・・・・・な、い」

 体温が重なり合って気持ちがよかった。
 腕から伝わる体温と背中に感じる体温は昨日の睡眠不足からか、睡魔を呼ぶ。

 部屋の暖房のせいなのかな。
 あったかい・・・・・・。
 どうしよう、目が開かないや。
 ダメダメっ。
 起きて、ちゃんと・・・・・・。

 「・・・・・・澤田さん?」

 「ごめん・・・・・・なさい、昨日・・・・・・寝て、な・・・・・・くて」

 ぷっ。
 緑川君は楽しそうに笑い出す。
 
 「寝てもいいけど、責任とれないよ」

 意味不明な事を言う。
 でも、もう半分寝ているようなものだった。

 「な、に・・・・・・?」
 
 聞き返しているのに声が遠くに聞こえる。

 「だから、言ってよ、一度でいいから」

 耳元で囁く言葉が子守唄のようだった。

 「やだ・・・・・・」

 「ケチ」

 フッと笑うのと同時に意識が沈んでいくのを感じた。

 「好きだよ、どうしてこんなに好きなのかな・・・・・・」

 本当にその言葉だったかどうかはわからない。
 でも、そう言われた様な気がした。

 


※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。
    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。

















  ■あとがきという名の懺悔■

 本日もご来場ありがとうございます!!
 えー!なんでこんな展開?ってか寝るなよー!非常識!
 一番、あたしがおもっております。
 中学生なのにそ、そんなーって。
 好きだ好きだってそれ本物?すぐだめになるって〜って
 大人意見が邪魔をする今日このごろです。

 さて次回。 ☆20☆ 教えてほしいこと。
 なんていうかダラダラ?恋愛なんて同じことの繰り返しですかね・・・・・・。
 というかラブラブ?それもまた嫌。

*******
 ぎゃーース!!upして読み返してたまげた。
 疲れているせいなのか本当にこれは・・・・・・おかしい話だ!!
 少し頭を冷やすために旅にでます;;

 「っ」って便利ですね。(ありがとうございます!←かわいい文同盟様あて。






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