僕たちが恋する理由。(17/83)縦書き表示RDF



 1日遅れの更新です><
 ダラダラと本日もよろしくお願いいたしますv
僕たちが恋する理由。
作:美月みゅん



☆16☆ 歌をうたいます


 
 そもそも、全校生徒を相手にマイク片手で司会進行をしている人が、なんであたしなんかを選んだんだろう・・・・・・。

 あらためて見ていると緑川 すいという人間は真実はともかくとして外ヅラはすばらしくいいのでは・・・・・・。

 全校集会のときと同じく、体育館のステージに向かって前から1学年、2学年、3学年の順番で整列して生徒は皆、座っている。
 全生徒が見ているかはともかくとして、ステージ上で余裕たっぷりに音楽祭の説明をしている緑川君はとても遠い人にみえた。

 「な〜に乙女しちゃってるの?」
 
 どうやって隣へきたのか優ちゃんがいる。
 
 「ちょっと、先生に見つかったら怒られるよ」

 「大丈夫、大丈夫、みんな一緒だよ」

 気がつけば、クラスメイトのほとんどが場所を移動して好きなところに座っている。
 
 いつのまに・・・・・・。

 「先生もあきれちゃうね」

 「うるさくしなければ大丈夫でしょ」

 優ちゃんは膝を抱えて笑う。
 
 「知らないからね」

 あたしは小さくため息をもらして前を向く。

 「さーちゃん、あたし告白するよ」

 ――――えっ!!

 ボソッと突然、言われた言葉に異常に反応してしまった。
 
 告白するっ?
 そういえば、この前そんな事を言ってたような。
 誰に?誰に?誰によっ!
 
 「そんな顔しないで、あたしも迷ったんだから」

 優ちゃんは恥ずかしそうで、嬉しそうでかわいいと思った。
 
 「雪ちゃんと久美にはもう言ったんだけどね。ほら、さーちゃん、昨日は一緒に帰らなかったから」

 「あ、うっうん・・・・・・だね」
 
 昨日という言葉にヒヤッとした。
 「あの事」は言えない。
 なぜか「あの事」を言ってしまうと自分だけ別世界の人間になってしまうような気がした。

 男の子に抱きしめられるなんて・・・・・・あんな事・・・・・・。

 自分だけというのがこんなにも怖いものだとは思わなかった。
 絶対に知られてはいけない。

 「熊田に聞いたんだけど、ひとりで帰ったの?」
 
 おかしな顔をしていたのか心配そうに優ちゃんがあたしを見ていた。
 熊田君がどこからどこまでを話したのかは不明だけど、どうやら正確に伝わってないみたいだ。

 「雨が降ってたからやむかな〜と思ったんだけどね」

 「バカだな〜、一緒に帰れば傘にいれてあげられたのに」

 な〜んだと優ちゃんは笑う。

 「そうだよね、モタモタしないで帰ればよかったよ」

 嘘をついてしまった?
 ちがう、言葉を少なくしただけ。
 心の中で言い訳をしながら必死に秘密を守ろうとしていた。
 
 みんなと違うこと。
 一緒でいたい。
 先になんか進みたくない。

 「もしさ・・・・・・」

 優ちゃんの不安そうで小さな声がハッとさせる。

 「もしも、ふられちゃったら・・・・・・どうしよう」

 膝に顔をうずめてしまって最後の方はよく聞こえない。
 音楽祭のプログラムは2学年の合唱が終わろうとしているところだった。

 「そんな・・・・・・」

 どう答えていいのかわからなかった。
 そもそも、この手の話題は苦手で、まったく興味の無しで通してきた。
 修学旅行の時ですら怖い話チームの部屋へ混ざっていたくらいだ。
 それなのに、告白うんぬんの相談を受けるようになってしまうとは。
 あたしは恋愛について先輩に見えるんだろうか・・・・・・。

 「まさか、さーちゃんとこんな話ができるようになるなんてね」

 うれしそうな声がいっそうあたしを困らせる。

 「そ、だね・・・・・・」

 つまづきながらも言葉をなんとか押しだすと同時に2学年最後のクラスの発表が終わって一斉に拍手がおこる。
 あわてて正面を向き、拍手をするとステージ脇に立つ緑川君と田巻さんの姿が見えた。
 相変わらず田巻さんは緑川君にあーでもないこーでもないと注文をつけているように見えた。

 なんで見えちゃうんだろう。
 こんなに遠いのに・・・・・・。

 「もう2年が終わったんだ、あとどのくらいかな」

 拍手をしながら優ちゃんはプログラム確認をしていた。
 クラス順の発表なのだから、順調にいけばあと4クラス後には順番がやってくる。
 ここ数ヶ月、音楽の授業で練習をしてきた課題曲を歌う。
 歌うことが大好きな優ちゃんは音楽祭が好きだと言っていた。
 中学最後。
 いろいろな場面でこの言葉は3年生になってから使われていたけれど、あまり実感はない。
 中学が終わってもその先があたしたちには待っている。
 だから、最後という言葉はあまりにもおかしな感じがした。

 「優ちゃんと一緒に歌うのはあと何回なのかな」

 「やだ、そんな寂しいこと言わない!」

 背中を少し強めにたたかれて前へ崩れそうになる。

 「痛いな〜、きっと歌う前のスピーチで言われるんだから、中学最後の音楽祭って〜」

 「確かに、言うよね」

 あたし達は拍手にまぎれて大笑いした。
 すぐにマイクを通した田巻さんの声で体育館が静まる。

 『それでは、これより3年生の部へうつります。3年生は準備をお願いいたします。これより15分の休憩をいたしますが、5分前に集合の放送しますので各クラス委員は整列をお願いいたします』
 
 田巻さんが休憩の合図をするや否や体育館は騒音の渦になる。
 生徒たちが好き勝手に動きだす。

 「さ〜て、どうする?トイレいく?」

 優ちゃんは立ち上がって背伸びをする。

 「そうだね、15分あるしね」

 あたしもスカートの埃をはらいながら立ち上がる。
 ステージ上では委員会のみなさまが忙しそうに動き回っている。
 田巻さんの姿がステージ脇のピアノのところで見えた。
 その隣には・・・・・・。

 あれ?いない。

 いるだろうと思っていたのに緑川君の姿はなかった。
 
 「ま、いつもいるわけじゃないか」

 「え?」

 ひとりごとを優ちゃんに聞かれて慌ててごまかし笑う。

 「へんなのー、トイレいくよ?」

 「うん、いこ〜」

 優ちゃんの背を追う。
  
 「おーい、待てよー」

 「待ってくださ〜い」

 後ろから雪ちゃんと久美がひとごみをかきわけてくる。。

 「おーっ忘れてた〜」

 優ちゃんが2人を見て両手を広げる。
 
 「ひどいなーっおまえひとりで場所移動するからなー」

 久美は優ちゃんに向かって足を強く踏む。

 「そうですよ〜、久美ちゃんと私と2人で取り残されちゃいましたよ〜」

 雪ちゃんは手で泣くジェスチャーをしてみせる。

 「動いちゃダメなんだよ・・・・・・優ちゃんが悪いんだし、マネしないでいいんだよ」

 「そうそう、あたしだけでいいの」

 「おまえが言うなーっ」

 久美が手を上にあげて優ちゃんに襲いかかる。
 いつもは止めにはいる雪ちゃんも今日ばかりは動かない。

 「ほら、トイレ行けなくなっちゃうよ」

 あたしは3人の背中を後ろから押す。
 
 「わっ、押さないでよ」

 3人はあたしに押されながらゆっくりと体育館を出る。
 
 「澤田さん」

 後ろから呼ばれて振り向くと緑川君が生徒の隙間からあらわれた。
 一瞬、音が聞こえなかった。
 目が一点しか見ていないようなそんな感じ。

 「ごめん、大丈夫?・・・・・・澤田さん?」

 目の前まできて緑川君が覗きこむ。
 ハッとして周りを確認。
 優ちゃんたちを振りかえる。
 3人は何も気がつかないで廊下を歩いていた。

 「澤田さん?」

 もう一度呼ばれて慌てる。

 「な、なに?どうしたの?」

 最近は学校ではあまり話をしなくなっていたのに、こんなに堂々と人前で話しかけてくるとは。
 
 「時間がきたら整列させる役目になったから」

 「あ、そうか、そうだね」

 まだキョロキョロと周りを気にしているあたしを見て緑川君は苦笑する。

 「そんなに嫌なんだ」

 「え、そんな事ないけど、ほら変に誤解されると」

 「誤解じゃないのに?」

 「あ、うん。誤解じゃないんだけど誤解っていうか面倒になるし」

 「わかってる」
 
 小さく言うと緑川君は少し真顔になって時計を見る。

 「大変だね、これから歌もうたうのに委員だもんね・・・・・・」

 委員長モードの横顔にドキドキしながら、あたりさわりのない会話を選ぶ。

 「別に大変じゃないよ、これが終わればあとは片づけて帰るだけだし、来月の期末テストのほうが大変だよね」

 期末テスト・・・・・・。
 すっかり忘れてました。
 2学期が終わるってことはソレが待っていたな。

 「忘れてた?」

 やっぱりねと緑川君は笑った。

 「もう時間かな、整列する?」

 必殺、緑川スマイルであたしに聞いてくる。

 「する?じゃないでしょ、してくださいでしょ」

 「そうなんだけど、まだ放送ないしね、田巻さん忘れてるのかな」

 心配そうな緑川君の目がステージへ向けられる。
 なんとなく面白くなかった。
 だから思わず言葉が飛び出した。

 「今日、一緒に帰る?」

 「・・・・・・え?」

 ものすごく驚いた顔であたしを見ている。
 まるで天変地異でもあったように。

 「あ、ごめ。忙しいよね、いいのいいの、忘れちゃって」

 恥ずかしくて穴があったらはいりたい。
 まさにそんな感じ。

 あたしってあたしって・・・・・・。
 何て事をっ!
 
 「あーっ!もうっ!すっごいうれしいのにっ!」

 大きな声でビクッと身体が飛び上がる。

 「なっ、声大きいっ!」

 「だって〜、はじめて誘ってくれたのに〜っ」

 情けない顔をして、その場ヘナヘナとしゃがみこむ。
 
 「ちょっ、ちょっと」

 慌てて立ち上がらせようと緑川君の腕を持ち上げる。
 腕だけが持ち上がり、身体は動かない。
 持ち上げるのをあきらめると、その場にあたしもしゃがみこむ。

 「立ってよっ、目立つでしょっ」

 「あ〜っ何でこんな日に限って片づけなんかあるんだろ〜」

 「ダメならダメでいいんだって、ほら、また今度だってあるんだし」

 とにかくなんでもいいから立ちあがらせたかった。
 一緒にしゃがみこんでる事のほうが目立つかと思いひとりで立ち上がる。

 「澤田さんっ」

 決意をかためたように勢いよく立ち上がってきた。

 「ごめんっ。今日は片づけが遅くなりそうだから帰れない・・・・・・と思う」

 言い切れないところが未練を感じる。
 それだけで先ほどの面白くない気分は消えていた。

 「いいって、ちょっとどうかしてたよ、やだな〜ナシナシ。全部ナシね」

 ポンポンと肩をたたいて笑ってみた。

 「さーちゃんっどこにいったかと・・・・・・」
 
 優ちゃんが突然、間に立ち、空気を読んだのかあちゃ〜っとあからさまに渋い顔をするものだからこっちがあちゃ〜と顔を抑えてしまった。

 「おっ、緑川だ」

 久美も容赦なく間にはいってきた。

 「お邪魔するつもりはなかったんだけどね〜・・・・・・」

 優ちゃんが一歩さがる。

 「松田さんが邪魔なのは今に始まったことじゃないしね」

 にっこりと毒を吐く。
 さすがの優ちゃんの顔も笑顔ではいられなくなっていた。

 「なっ、壊してやるっ!本気で邪魔するぞっ」

 「優ちゃんだめですよっだめですっ」

 雪ちゃんが優ちゃんの腕をひっぱり止める。

 「緑川君も優ちゃんも声大きいっ!」

 そう言ったあたしの声が一番大きかった。

 ブーッピーッ。
 スピーカーから嫌な音。
 
 『すみません、放送がおくれましたので各クラス委員は整列を速やかにおこなってください、3年1組はステージ脇へ整列をお願いいたします』

 突然、田巻さんの慌てた放送が体育館に響く。
 散らばっていた生徒が体育館に集まり始めた。

 「じゃ、整列してくれる?」

 緑川君は何事もなかったように整列すべき場所へあたしたちを誘導する。
 的確に指示をだして、みんなをすばやく整列させる。
 
 「よし、じゃあ、出番がくるまではこのままで」

 そう言うと緑川君はステージへ戻っていってしまう。
 
 あたし、変かも・・・・・・。
 なんで帰ろうなんて言っちゃったんだろう。

 あたしはふぅ〜と一息つくと膝を抱えて座った。
 
 変なの。 

 あたしは聞こえ始めた歌に目を閉じて聴いた。
 出番はもうすぐだ。
 これで最後の音楽祭。
 
 「声だしていこうね」

 隣から優ちゃんの声が聞こえて目をあけると、今度は久美も雪ちゃんも近くにいた。

 「また・・・・・・怒られるって」

 「こういうのは楽しまないとな」

 久美は身体を丸めて小声で言う。

 「ですよね、みんなで楽しく歌いましょうね」

 雪ちゃんも嬉しそうに笑う。

 「男なんて腹立つだけだけど、まぁ今は忘れるよ。今は歌に集中だ〜」

 「優ちゃん・・・・・・」

 雪ちゃんが心配そうな顔をする。

 「歌・・・・・・好きだよね」

 あたしは呆れたように笑う。

 「大きい声で歌うとスッキリするからね」

 ニカッと白い歯をみせて笑う優ちゃんはさっぱりとしていた。
 その時、あたしには優ちゃんの変化に気がつかなかった。
 雪ちゃんと久美が妙に優ちゃんの顔色をうかがっていたのだけが妙にひっかかったけど、それもいつもの事だと流してしまった。


 ※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。
    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。
















    ■あとがきという名の懺悔■

 ごめんなさい>< 本日もご来場ありがとうございますっ><
 体調不良でなかなか進まず、おまけにゴタゴタが降りかかりましてとまりました。
 話もまとまってないのですが、完結後に手直しをしていきたいと考えております;;
 今は進行させるのを1番に考えていこうと思います。

 さて次回。☆17☆ 告白のあとで
 今回の話が土台で次が骨組みになる感じです。
 あっちもこっちも大忙しな感じをだせたらと・・・・・・自分で期待しています;;
 






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