第四十五話〜元の体・志保の思い〜
先に目を覚ましたのは宮野志保だった。
「あ、哀ちゃん目覚めたんだね!!」
歩美は嬉しそうな声をだし、寝てしまっていた元太を起こした。
「工藤君は?」
“まだや”っと遠くの方で声がした。その声は紛れもなく服部だった。
「あら、貴方いたのね。それで、何時間位たったの?」
「五時間くらいやったけな」
少し考えながら答えたが志保は疑いの目で服部をみた。
「大丈夫。合ってるわよ」
服部の後ろから有希子が笑いながらやってきた。
「体は大丈夫?」
「ええ」
「良かったわ。後は新ちゃんね」
有希子は心配そうに新一の姿を見た。
(工藤君……)
志保は心の中で願い続けた。
〜一時間後〜
新一はゆっくりと目を開けた。そして真っ先に自分自身の手を見た。自分の体が戻っていること心の底から喜んだ。
「工藤大丈夫か?」
服部の心配そうな顔が新一を見た。
「ああ、大丈夫だ」
答えながらキョロキョロ周りを見渡した。
「わたしはここよ……」
新一が志保を捉え安心した顔になった。
「新ちゃん良かった……」
有希子は嬉し涙を流し新一に抱きついた。
「ちょっ、母さん!」
嫌がる新一に容赦なく、力をいれる。
「良かったね!コナン君」
新一や志保だと解っていても探偵団は偽りの名前を呼ぶ。自分達が親しんだ名前を忘れないようにしてほしいと目で訴える。新一や志保も大丈夫っと目で語った。
「じゃぁ二人助かったことだし、パーティーやろうぜ!!」
元太がはしゃいで博士に言った。二人も賛成と博士のところに寄った。
「じゃ、二人の記念日としてパーティーの準備じゃ!」
元太の提案に皆が賛成した。
「俺、蘭のとこいくよ」
盛り上がっていた空気が一気に静まった。
「そんな体で大丈夫なんか?」
皆が思っていたことを代表して服部が問いかけた。
「大丈夫だ。それにコナンとして離れたのは昨日の晩。多分今ごろ泣いてるかもしれねぇ」
苦笑気味に言う新一の頬は林檎のように赤くなっていた。
「行ってこれば? まだ準備に時間かかると思うしね」
志保の言葉は皆が驚いた。
「ありがとう。宮野」
新一は起き上がり、早々と博士の家を出た。
(やっぱり背中を押してしまうのね……告白はしたけど気付いてない。もし気付いてくれていたら蘭さんに本気で立ち向かう気でいた。だって工藤君が好きなのは確か……でも工藤君の幸せを祈っているのも確か……二人の仲を裂いてまで、工藤君をとる気はないわ……私の初恋は片想いで幕をとじた……のね。でも感謝してる。ありがとう工藤君)
志保は新一が出ていった玄関を複雑な表情で追った。
〜探偵事務所〜
蘭の携帯の着信が鳴り響いた。液晶画面には“新一”とかいてあった。
慌てて蘭は電話をとった。
「新一!? 新一でしょ!! ね! 答えて!!」
蘭は何度も新一の名をよんだ。その勢いに圧倒されながら答えた。
「ああ……今から下に降りてきてくれねぇか?」
蘭は慌てて事務所の階段をかけ降りる。その途中で足が絡まり転けそうになった。しかし、蘭は地面に叩きつけられず、無傷であった。蘭は恐る恐る目をあけた。其処はガッチリした体の中だった。
「オイオイ……足絡まるほどーー」
最後まで言う前に新一は蘭をそのまま抱き締めた。
「……ごめんな蘭。今までほんとにごめん」
力一杯抱き締めた。
「バカ! バカ。会いたかった……会いたかったよ新一」
蘭は確り、新一を抱き締めた。
「蘭? いまから公園に付き合ってくれねぇか?」
蘭だけに聞こえるよう囁いた。蘭はコクりと頷いた。
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