第四十四話〜命の大切さ〜
文代は変装を解いて有希子になった。
「もうすぐ、新ちゃんの本当の姿がみれるわね」
ワクワクしながら自分の家の鍵を開けた。
「さぁて。コナンちゃん一緒に寝ましょうね」
有希子は嬉しそうにコナンを抱き上げた。
「ちょっ!待てって!おい!!」
コナンの声を無視をしてそのままニコニコ顔で家に入った。
何時だったか初めてコナンに会った時と同様コナンはジタバタ足をばたつかせた。
「良いじゃない。最後なんだから」
そんな声がコナンに届くわけもなく必死で抵抗した。しかし、全く有希子には無意味だった。
〜次の日〜
コナンは博士の家の呼び鈴を鳴らし、灰原が顔を出した。コナンを招き入れリビングに誘導した。博士は、あの時買ってきたコーヒーをコナンの前に出した。
「サンキュー博士」
そのコーヒーを一口飲んだ。
「美味しいじゃねぇか」
思わずコナンは声に出した。
その言葉を聞き灰原はフワっと笑った。
「良かっのぉ哀君。新一!それ哀君が作ったんじゃ」
「へー。灰原がね……」
マジマジとコナンが灰原を見るから灰原はコナンに“文句ある?”といった目付きを送った。
「それで? 今日来た理由薬のためでしょ?」
「あ、ああ」
「さっさと地下にいくわよ?」
灰原はスタスタ地下へと向かった。
「なんだよ。あいつ」
「うれしんじゃよ」
博士はニコニコしながらコーヒーカップを台所に持って行った。
〜地下室〜
「はい、これ……」
灰原の掌には今まで厳重に保管されてた小さな箱がありその中には解毒剤が二個入っていた。
「ありがとうな。灰原」
「私、礼を言われる筋合いないわ。だって私がこの薬作らなきゃ、あなたはこんな事にはならなかったもの」
渡しかけた解毒剤の箱を握って自分の胸へと引き寄せた。
コナンはフッと笑い優しい目で灰原を見た。
「俺さぁお前に感謝してんだぜ? こんな経験他の誰にもできねぇ。蘭には心配かけまくってるけど、大切なダチ作れたし……それに、“命の大切さ”を改めて知ったんだ」
「命の……大切さ?」
座り込んでた灰原が顔を上げた。コナンはしゃがみ灰原と目線を合わせた。
「ああ、俺今まで好奇心だけで、事件に首突っ込んで危ねぇ事してた。周り見ずにいろんな人に心配も迷惑もかけてた。
そんな事に気付いたのコナンになってからだ。
コナンになってなきゃこのまま後先考えずに首突っ込んで死んでいたかもしれない。
組織と戦ってあいつらに命操られて余命三年って聞かされたとき正直ショックだった。三年しかいきられねぇなら殺してくれっておもった。でも、解毒剤が出来るなら“これからも命あるかぎり生きたい”って思えるようになった。それにお前が必死だったから解毒剤の望みは確信になったんだ。だからお前には感謝してる。まだ三年経ってねぇけどお前を信じるよ」
「バカ……」
聞こえているのかいないのかコナンは手を差し伸べ、灰原は掴み立ち上がった。
「ほら、博士のとこ行くぞ」
コナンは灰原の手を握ったまま、リビングへと向かった。
「待って」
灰原はコナンを呼び止めた。リビングへ続く薄暗い階段で二人は足を止めた。
「何も言わないで聞いて……私……貴方を追いかける。負けない。高校生に戻って互角に蘭さんと戦うわ」
コナンはキョトンとした顔で灰原を見た。
「呼び止めた話しはこれで終わり……」
灰原は先にリビングへと向かった。コナンも何やら考えながら階段を上りリビングに入った。
そこには博士はてもちろん有希子と歩美、光彦、元太そして服部までもが居た。
「なんでオメーがいんだよ!?」
コナンの驚いた顔に服部は笑った。
「ええリアクションやで工藤。昨日電話があってん」
「電話!? まさか!!」
「ああ、そうや」
一同は有希子の方に視線をむけた。
「そう。私よ。電話しちゃった」
笑いながら答える有希子にコナンは溜め息を漏らした。コナン以外の皆は笑い合っていた。
「じゃぁ、そろそろ戻りますか」
その声で笑い合っていた空気から静かな空気へと変わった。緊張だけが残った。
「コナン君バイバイありがとう。哀ちゃんバイバイありがとう」
歩美の消えそうな声は二人に確りと伝わった。
二人はほぼ同時に薬を飲んだ。
数分も経たないうちに二人は苦しみ出した。
その苦しそうな姿を見て探偵団はお祈りをするかのように手を合わせお経のように“大丈夫”と繰り返した。
二人が気を失った後、江戸川コナンは工藤新一に灰原哀は宮野志保に戻った。
その後、志保は有希子が抱き上げ新一は服部に抱かれる形で博士達が使ってた寝室に運んだ。皆ベットの周りから一方も離れず二人が起きるのを待ち続けた。
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