第四十二話〜蘭と灰原〜
〜昼過ぎ〜
「……う」
小さなうめき声を上げてコナンは目覚めた。体を動かしてみたけど前みたいには麻痺はしていなかった。
(あの時みたいに、すぐ気を失ったから症状が一緒かと思っていたぜ)
コナンは少し笑ってベットから起き上がった。
「あら、起きたのね」
起きて顔をあげたら、扉にもたれかかっている灰原がいた。
「あれから何時間たった?」
「十時十二分だったから約三時間ね」
「そっか」
時計に目をやると一時五分を少し回っていた。
「多分だけど、一週間なにもなかったら大丈夫だと思うわ」
「サンキューな、灰原」
「喜ぶのはまだ早いわよ。貴方が工藤新一に戻れて、何もなかったら、喜んでくれる!?」
その目は睨んでるような目でなくホッとしたようなやさしい目だった。コナンも強く深く頷いた。
「じゃぁもう事務所に帰っていいわよ」
灰原の言葉にコナンは詰まった。その顔は驚いた顔をしていた。
「何驚いてるのよ。ここにいてもしょうがないでしょ?」
「ああ……」
躊躇うコナンに灰原はコナンの背中を押した。コナンはそれとは違う違和感を感じた。
「彼女が待ってるわよ! 私は大丈夫だから……」
コナンを追い出すような形で玄関をしめた。その時扉の向こうで倒れる音がコナンの耳に聞こえた。
コナンはおもいっきりドアを開けた。その倒れた音は紛れもなく灰原だった。コナンが感じた違和感は灰原の体調だと確信した。
「無茶すんなって言ったじゃねぇか! そこまでやっても俺自身嬉しかねぇよ! 自分自身が優先だろ!?」
コナンは灰原を抱えて自室へと運んだ。博士が学会の発表で居ない事をリビングに置いてあった手紙でしった。
「こう言う時に限って居ねぇのかよ」
コナンはタオルに水を浸して灰原の額においた。
熱は三十八・二度だった。
「ごめな。灰原……無理させたの俺の為なんだよな。ただただ一生懸命だったんだよなお前……俺を助ける為に……自分自身を償う為に。でも、ちっとま休んでていいぜ? 無理しなくていいからな。もう少し『コナン』でいるからよ」
「……ありがとう……」
コナンの言葉は一部始終灰原に届いていた。コナンはばつの悪そうな顔をして一言ああっと答えた。
夕方蘭が博士の家へと訪れた。呼び鈴をならすとコナンが出てきた事に少し驚いた。
「コ、コナン君? もう大丈夫なの?」
「僕の方は大丈夫。灰原のお陰で、治ったから!」
「そう。『僕の方は』ってまさか哀ちゃん!?」
「ごめんね。蘭ねぇちゃん……僕のせいで灰原風邪ひかしたみたい」
コナンは下を向き拳に力を入れた。
「コナン君のせいじゃないよ! ただホッとしたのよ。コナン君が元気になってくれたから!ほら、元気だして!でないと哀ちゃんの元気が戻らないよ!」
下を向いてるコナンに目線を合わせ蘭はニコっと笑った。コナンの手を引っ張り博士の家に入り台所へと向かった。
「な、何かつくるの?」
一緒に連れてこられたところが台所だったので驚いた。
「玉子粥よ。野菜も揃ってるしね。風邪には此が一番!」
コナンにウインクをして支度を始めた。
「あーいちゃん。大丈夫?」
蘭は晩御飯として、お粥を運んで来てくれた。灰原は少し驚いた顔をし小さな返事をかえした。
そのムードを壊さぬようにコナンはリビングへと行った。
「ねぇ哀ちゃんってコナン君の事好き?」
突然の言葉に戸惑い顔が赤くなってしまった。
「やっぱり」
「でも……どうして?」
やっとの思いで声を出した。自分がここまで彼が好きだった事に今更ながら気付いたっと灰原は思った。
「だって……哀ちゃんコナン君を必死に治そうとしてくれたじゃない」
「そ、それは……」
「今も顔赤いよ哀ちゃん?」
もう言い逃れできないっと灰原は思った。
「凄いわね……」
その言葉しか見つからなかった。
「ちゃんとコナン君に言うのよ。多分あの子そう言うのに鈍いから」
笑顔に蘭は部屋から出ていった。
〜次の日〜
灰原の体調は平常に戻っていた。大事をとって一日休む事にした。
「あ、そうだ灰原。俺昨日お前に怒鳴ったけど、体に異変なかったぜ!」
コナンは笑いながら報告した。
「あらそう。あの時はうるさかったわ」
「オメーがぶっ倒れるからだろ? 今度から気を付けるんだせ?」
「はいはい。貴方から言われたくないけどね」
そのまま地下へと向かった。
コナンは少し微笑み地下に行く灰原を見送った。 |