第三十話〜未来は変えられる〜
灰原の叫ぶ声も意味無くナイフは勢いよくコナンへと向かった。
コナンは間一髪のところで避け素早く麻酔銃を撃ち込んだ。
その針はギリギリ首に刺さり、部下は眠りに落ちた。
コナンは手首を動かし、無理矢理に縄をほどいた。痛みなど関係ないといった素早さで足をもほどいていった。その早さに皆が驚いた。
「ちっ!」
スコッチはジョディ先生に向けていた銃を灰原に向けて撃ち付けた。
「灰原避けろ!!!」
その言葉と共に、コナンが灰原の上へと被さり、弾は背中から腹部へと入った。
スコッチはジョディ先生から灰原へと銃を放った時、ジョディが撃った弾が足へと貫通し、確保されていた。
「工藤君。工藤君!」
「クールキッド!」
「工藤!」
皆は灰原の声でコナンの周りに集まった。
その隙に部下達が、走りだした。しかし、服部によって阻止され、見事全員を気絶させた。
「ろくでもないやっちゃ!もし、工藤が死んだらーー」
「は、服部…人を勝手に殺すな…」
その声にコナンへと視線が向いた。
「工藤君!なんで庇ったりしたのよ!そんな体で!」
「守るって言っただろ…」
コナンはFBIが呼んだ救急車に載せられた。
「工藤君聞いて?アポトキシンの解毒剤できたの。後はもう一つの解毒剤作るだけよ。」
「そっか」
そう一言だけ返し、気を失った。
「工藤君!!」
「工藤!」
「落ち着いて下さい!彼は大丈夫ですから!命には別状ないですから!」
救急隊員は二人に言い聞かせた。
鳥矢病院
手術中の赤いランプが何時間も輝く。灰原にとって、トラウマになりそうな光景を服部と二人で待つ。ジョディ先生はスコッチの事で警察に呼ばれている。
「アホやなアイツ。見事に姉ちゃんの事守ったわ。」
服部がぼそりと呟いた。
「えぇ。ほんと馬鹿。私みたいな人助けるんだもの。馬鹿よ…」
灰原もまた小さな声で呟いた。二人の会話をしながら待つ。大切な人を一生懸命願った。無事であるようにと。
あれから何時間が経っただろう。やっと赤いランプが消え中から大勢の人が出てきた。
「あの、江戸川君は大丈夫でしょうか?」
「えぇ。弾は見事摘出されました。大丈夫です。」
二人はホッとした。しかし、コナンの姿を見て絶句した。
まるでミイラの様になってしまったコナンをみてしまったからである。顔から下、首・肩・胴・手・右足にと包帯が巻き付けてあった。
〜〜病室〜〜
「ねぇ、私てどうして守ってくれるの? そこまでして、どうして?私生きてる価値ないのよ?」
目を覚まさないコナンに真剣に問いかける。その質問に答えたのは服部だった。
「なぁ、姉ちゃん? あんたにも、生きる価値あると思うんやわ。」
灰原と服部はコナンを挟むように会話をかわした。
「どうして!? 私は多くの人を殺したのよ!?」
「そやから、生きて工藤を助けんかい!!過去の思いは捨てられへん。けど、未来は変えられるやろ? さっきやて、スコッチの仲間にならんってちゃんとスコッチにいったやん! 」
「でも…」
「でもも、なんもあらん!命助けてもろたんやろ! お祖母ちゃんになるまで、生き!せやないとあんた死んだら工藤は、どれほど、苦しみながら生きるんや? こいつがお人好しって事知ってるやろ? あんた死んだら工藤は工藤自身を責めるで!」
服部の言葉に言い返しが出来ず、下を向く。
「あんたは精一杯生きたらええねん。」
服部はコナンを見た後、灰原に視線を向けた。
二人の会話から二時間が経った。
「う…」
コナンの微かな声三人が一気にコナンの周りに集まった。
そして、コナンはうっすら目を開けた。
「おぉ、新一!」
博士は涙を流しながら言った。コナンは少しの間周りをみて、今自分がどこに居るのか確かめた。
「助かったんだな…」
一言呟いて、みんなから目を反らし窓の景色を見た。
「工藤!助かったで!怪我大丈夫か?」
「あぁ。」
「何むちゃいってんのよ!ミイラみたいな格好になって、なにが『ああ』よ!」
「それより、おまえは大丈夫か? 前みたいに怪我してねぇか…?」
「大丈夫よ。どこもなんともないわ。でもーー」
「そっか。良かった」
灰原の言葉を断ち切ってコナンは笑いかけた。
「んで、服部お前は?」
「心配せんでもええ!頬だけや!工藤に比べたらなんともあらへん。」
「そっか…」
「なんや? その残念そうな顔は? 姉ちゃん時みたいに笑えや!」
「ハハハ…」
「顔思いっきりつってるやん!」
「まあまあ服部君。漫才は其処までにして。先生に診てもらうんじゃから。」
博士の後ろには先生が立っていた。
「無事だったのですね。また、怪我を増やしたようですけど。」
先生が苦笑いしながらコナンに近づいた。
「うん。大丈夫!後は、君次第!お大事に。」
先生が出ていく姿に灰原は睨み付けた。
「ねぇ、あの人から何か感じない?」
「あぁ。感じると言うより殺気があったんだ…あいつも組織の一員かもしれねぇな。」
「そうね、そしたら、スコッチが此処に来たのも不思議じゃないわ。」
二人の会話を聞いていた服部が立ち上がった。「よっしゃ!じゃぁ、姉ちゃん確かめに行きますか!」
服部の声に二人が驚いた。
「お、おまえ突然すぎんだよ!!」
「すまんすまん。じゃぁ!じいさん、工藤の事宜しく頼むわな。」
阿笠博士の返事を聞く前に服部は灰原を引っ張りながらも廊下にでた。
病室が一気に、静まりかえった。静寂をやぶったのはコナンだった。
「なぁ、博士一つ聞いていいか?」
「なんじゃ?」
真剣な顔でコナンは博士を見た。 |