アンティーク・オン・イグザミネーション(27/32)縦書き表示RDF



 
 寝ぼけて書いたので色々やばいかも
アンティーク・オン・イグザミネーション
作:留龍隆



CAPTURE + 25


 銀色のトンネルを通ると、周りは海洋生物の楽園、といった感じか。泳いでいって上を過ぎ去るマンタ。イソギンチャクのかげに隠れるカクレクマノミ。
 「やっぱり海の生き物ってかわいい」
 わたしはひとりで呟いたつもりだったのだが、慶介君はにっこりと笑ってこっちを見ている。聞かれたのかな。
 「なによー。わたしみたいのがこういう感想述べちゃ変ってわけ?」
 「べ、別にそういうので見てたわけじゃ・・・・・・いや、普段とは随分違うな、と思っていましたけど」
 じゃあ、わたしは普段はこういう台詞を言いそうもない、がさつな感じだとでも言いたいのか。そーかそーか、それはそれは・・・・・・・・・
 「慶介君、わたしだって女だよ。かわいいものも好きだし、別に人のこといぢめたりするのばっか好き好んでるわけじゃ、ないんだからね」
 「重々理解しております」
 「よろしい」
 わたしたちは笑いあい、トンネルを抜けていった。
 
 
 「和泉〜少しはわたしも相手してよ〜っ・・・・・・・」
 「一緒に居てやるだけ有難く思うんだな」
 ドS魔人。和泉のバカーっ!
 「愁お兄ちゃん、なにか食べない?」
 「うん、そろそろ小腹が空いて来たな。何か買いに行こうか?軽食屋が館内にあるって聞いたけど」
 すたすたと歩き去ろうとする二人。待ってよ〜っ・・・・・・・なんで置いていくの〜っ
 「フランクフルト三つ」
 「あいよ。九百円だ」
 あれ?三つ?
 「ほら、由紀」
 和泉・・・・・・・・・・いずみ〜〜っ!!!やっぱあんた、一応わたしのことも気にかけてくれてるんだねっ!!!嬉しいなあ、たった三百円の品だけど、今のわたしなら黄金の価値をこれに見出すことが出来そうだ・・・・・・・和泉、ありがとーっ!!!!
 
 「手切れ金な。もうついてくんな」
 
 いずみ〜〜〜〜〜っ・・・・・・・・・・もう、そんなとこすら好・き・・・・・・アハ、ホント、なんでこんなドSなのに好きになるんだろ・・・・・・わたし、Mなんだな・・・・・・・気づいてたけど今まで信じないフリしてたんだな・・・・・・・
 「愁お兄ちゃん、冷めてから食べていい?」
 「うん、ほおばって冷ますといいんじゃないかな?絵的に」
 アハハ、あんた、その子には優しいよね・・・・・・どっちの和泉も本物か・・・・・・?
 
 
 麻衣子、どこ行ったんだか。全然見当たらない。おーい、どこ行った〜。・・・・・・あ、慶介と実だ。何やってんだろ、というか麻衣子は尾行してるから近くにいるかな。ちょっと近くに行ってみるか。気配を薄く、足音を最小にして・・・・・・・よし、OK。行くか。そういえば、シーフはどうしたんだろう。・・・・・・まあいいか。大人だし。
 
 
 「わー、すげえなあ」
 一人でも水族館ってのは楽しめるなあ。ホント楽しいなあ。石垣クンたちどこ行ったのかなあ。まあいいかあ一人でも楽しいからなあ・・・・・私本当に店長かなあ。みんな私を大事にしてくれない気がするんだが・・・・・・あれ?今私を無視した考えが聞こえたような・・・・・・石垣クンか?いや・・・・・・・気の、せい、だよ、な・・・・・・?
 
 
 「慶介君、やっぱりこういうのって楽しいわね」
 ジュゴンの泳ぐ姿を見ながら、そう言ったわたし。水族館というのはこうもロマンのあるものだったとは、思いもよらなかった。
 「俺は実さんと一緒ならどこだって楽しいですけど」
 茶髪をぽりぽりと掻きながら、恥ずかしそうに言う。
 「それはわたしも同じだけどね。でも、こうやってデートするっていうのは、やっぱり特別な感じがするよ。普段見えない相手が見える、っていうか、見せられない自分も見せられる気がする」
 「気分の良さが気持ちを出しやすくするんですかね」
 「かもね」
 
 
 二人共、なんか楽しそうにしてるけど・・・・・・麻衣子はいないな。どこ行ったんだか、全く。・・・・・・実も慶介も楽しんでるみたいなのに、俺一人だけここを楽しめてないよ。思えば実と付き合ってた頃は、よくどこかに連れて行かれることがあったな。こうやって水族館だったり、映画だったり、ショッピングだったり。今みたいに一人で行動することは少なかった気さえする。
 でも、実の表情は俺といたときとは全然違う。慶介と居るときはあいつの顔は嬉しそうで、のんびり出来てる。それが、必要なんだろうな。あいつにはそれが合ってるんだろうな。
 「あ、お兄さん。ごめん、ちょっとはずしてて」
 「もう監視する気も必要性もないんじゃないか・・・・・・?」
 「ははは、そうみたいね。もう帰ろうかな」
 麻衣子はコートの裾を弄び、退屈そうに二人を見た。実と慶介は見られていることにも気づかず、楽しそうに談笑している。
 「なら、このまま俺らもどこかに遊びに行くか?」
 俺がこう提案すると、麻衣子は『エ?!』と驚き慌てふためき、それから顔を上げると嬉しそうに笑いかけた。
 「じゃ、買い物に付き合ってくれるかな?お兄さん」
 「いいぞ。どうせ今日は勉強する気がしないし」
 水族館を出て近くの駅に向かう麻衣子と俺。とりあえず手をつなぎ、服などを売っている店の多いショッピングモールのある最寄の駅まで行くことにした。
 「でも以外だなー。お兄さんが提案してくれるなんて」
 「おまえ暇そうだったしな。実と違って尾行とか向いてないんだろ」
 「そうかなー?こういうのを楽しめるところは、みーちゃんにもひけをとらないんだけど」
 もっといいところで実を超えろ、と俺が思っていると、電車は動き始めた。
 
 
 「・・・・・・・・樹ちゃーん」
 「なに?愁お兄ちゃん」
 「しっ、小声で・・・・・・由紀から逃げるよ。こんなんじゃ全然楽しめない」
 愁お兄ちゃん、なんだか鬼気迫る、って感じがするなあ・・・・・・なんか怖いよう。
 「でも、由紀さんそれじゃかわいそう。愁お兄ちゃん、ひどいよう・・・・・・」
 樹がこう言うと愁お兄ちゃんはあはは、と笑って、「フォローはあとでする」って言った。それで由紀さんは満足するのかなあ・・・・・・でも、樹も愁お兄ちゃんのこと好きだから、由紀さんに付いてまわられるのはちょっと、嫌だから・・・・・・
 「わかった。愁お兄ちゃん、でもどうやって逃げるの?」
 「次の角を曲がったら柱の陰に隠れて。あいつをやり過ごしたらすぐに逃げる。入り口まで走れるよね?」
 「がんばるから、大丈夫」
 「ようし・・・・・・・隠れて!」
 曲がり角で樹たちは柱の陰に隠れた。由紀さんは後ろからついてきてたけど、樹たちがいなくなったのに気づくと先の方に走って行っちゃった。
 「アハハ、これで安心。じゃ、行こうか樹ちゃん。このままデートだ」
 デート、かあ・・・・・・何回やってもこの言い方は、照れくさい。
 「うん。どこに行く?愁お兄ちゃん」
 「じゃ、映画見に行こうか。近くの駅から二駅くらいで、映画館があったはずだから。勿論おごるよ。さあ行こうすぐ行こう!」
 愁お兄ちゃんはそう言うと樹の手を握って走った。・・・・・・・ごめん、由紀さん。
 
 「和泉――――――――――――っ!!!!!!!!!!!」
 
 遠くから由紀さんの声が聞こえる。本当に、ごめんなさい。
 
 
 「じゃ、慶介君、これで大体見て回ったし、そろそろ次の場所に行こうか?」
 「そうですね。じゃ、とりあえず食事でも」
 わたしたちは水族館を出ると、すたすたと歩いてどこかいい店はないか探した。近くに良さそうな雰囲気の店を見つけ、そこに入る。
 「美味しいわね」「そうですね」
 互いに料理を食べあったりして楽しい時を過ごし、わたしたちは店を出た。
 
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 
 「今日一日楽しかったよ。どうもありがとう」
 「いえ、こちらこそ」
 日が暮れる前にわたしたちは店の方に戻ってきていた。しかし店はもぬけのカラ、みんなの姿はなかった。まあ、その方が都合はいいのだが。
 「じゃあね、慶介君」
 「じゃ、また」
 わたしたちは口付けだけして別れた。そして、静かな店内に戻って椅子に座り込む。
 「今日は楽しかったな」
 拓と一緒に昔デートしたことがあったが、そのときはこんなに楽しくなかった。拓のコースはめちゃくちゃで、時間ばかりすぎてゆく。どうにも、楽しめなかった。
 「あんな奴とよく一緒に居られたなあ」 
 ふふっと笑い、わたしは今日一日を追想した。しかし、だ。
 「あれ・・・・・・・・・・?」
 楽しい、楽しくて仕方ない一日だったのに、何か足りない気がする、どこか抜けてる気がする。どこかもわからない、いや、むしろあるかどうかすらわからないのに、「なにか」パーツが抜け落ちたような、そんな喪失感にも似たものを感じた。
 「なんで・・・・・・・・・・・・・・・」
 夢のようなときだった、という表現がある。しかし、今わたしがこの言葉を使ったとしても、おそらく違う意味となるだろう。「夢」それは楽しいこと。そしてもう一つの意味。「夢」それは儚いこと。こちらの意味になる気が・・・・・・・違う。儚い、なんて、まるで先が見えてるみたいじゃないの。そういうものじゃない、そういうものじゃ・・・・・・
 
 「『夢想』」
 
 ふと口を突いて出た言葉。夢想?じゃあこれは全て夢だとでも?―――違う。ただ、わたしは夢のような、と形容したとき、普通とは違うことを思い描くのかもしれない。
 「儚くて、そして・・・・・・覚えてない・・・・・・?」
 昔テレビで見た気がする。人間は毎晩夢を見るが、忘れているだけだと。
 「忘れる・・・・・・・・・・・・・」
 わたしは、忘れている?いや、今日のことは細部まで話せる。儚いことなども何もない。悪いことなんてない。わたしだって・・・・・・・・・・・・
 「夢なんかじゃないでしょ・・・・・・」
 そう言って肯定させたつもりなのに・・・・・・なんで?この空しさというか、湧き上がってくる何かわからない喪失感・・・・・・・
 「わたしは、幸せなはず・・・・・・・・・・・・・・・」
 言って、自分が嫌になる。わたしは・・・・・・


 実はもうすぐPCが使えなくなるのでしばらく更新が滞ります。もともと滞りまくりですが・・・・・・回線が復活したらまた書きます。その日まではさよーなら〜。・・・・・・ふう、とはいえ、その間に話練らないとな・・・・・・次から最終章に入る予定。あと十話くらいで終わるかな?いや、でも義理シスターズの過去も書かなきゃ・・・・・・えー、とりあえず言えることは・・・・・・
 
 絶対三十話じゃ終わんないです











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう