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アンティーク・オン・イグザミネーション
作:留龍隆



CAPTURE + 13


CAPTURE + 13
 
 「さて、ケアンズは街の中なら自由に歩き回っていいぞ」
 店長が師匠探索から帰ってきた。しかし、自由、と言われても。
 「英語得意じゃないんですよ。外国の方には通用しないと思うんです」
 「ああ、ケアンズは日本人多いから。多分ほとんどの店で日本語通じるぞ。おまけに日本円でも使えることが多い。と、いうわけで・・・和泉クン、樹ちゃんと麻衣子ちゃん、頼んだぞ。」
 「どっか行くんですか?僕らもついていきますよ」
 和泉君がそう言ったが、店長はふふふ、と笑ったきりしばらく何も言わなかった。ああ、なるほど。行き先は年齢制限があったか。
 「さて、18禁の世界に行くかな」

 「・・・へんな言い方しといて、カジノだろ?」
 拓は夢がないね。ああいう言い方しておけば、三人ともついて来れないでしょうよ。ああ、今日ばかりは和泉君に樹ちゃんたちを任せるのも仕方ない。賭博。ギャンブル。心ときめく最高のひと時。
 「俺はともかく、兄貴を連れてきたのは失策だったような気もしますね」
 慶介君の言うとおりかもしれない。拓は運が悪い。ここは運のみが全て、絶対の掟。そういう世界に、ハズレは似合わない。
 「つまりわたしの天下だー!!ヤッホー!!」
 スロット。「BAR」が出て、コインジャラららら〜。少しは減ったが好調なスタート。嗚呼、懐かしいスロットの感覚。ちょっと違うけど、十八になったその日にパチスロに行ったのを思い出す。
 「兄貴、調子はどうだ?」
 慶介君はルーレット。倍、倍、倍、と三連続で当たり、百枚だったコインは八倍になった。大体、確証もなしで全額賭けられるその精神こそがギャンブラーだ。一方、拓はやはりダメなようだった。十枚、二十枚、とちまちま賭けては負ける。負ける。負ける・・・
 「・・・・・実、ちょっとコイン貸してく「いや」
 拓、入店から三十分で退場。店長はというと、ブラックジャックに精を出す。
 「・・・19だ」
 「18です。お客様の勝ちのようで」
 じゃらり、とコインを滑らせ、店長は葉巻をふかしている。わたしもポーカーで一発、ロイヤルストレートフラッシュでも狙ってみますか。
 「じゃ、賭けるのは、百枚で」

 「俺、運に見放されているなー・・・」
 とほほ、な帰り道。思えば今までの人生、当たったことがあるのはサバ、牡蠣、電柱、硬式野球ボール・・・嫌な人生だ。
 「このケアンズの暖かい風すら腹が立つ」
 精神の荒みは表面に現れるらしい。道行く人が俺を避けている気さえする。もっと明るく構えた方がいいかもしれないな。そうだ、パパッとホテルに戻って寝よう。俺は明日に備えた方が
 「あ、石垣さん。もう負けたんですか」
 「・・・何やってんだおまえ。ここ、俺の部屋だぞ」
 「そして、麻衣子ちゃんの部屋でもある。入れてくれるのを許可されたんですから文句を言われる筋合いはありません」
 部屋に入ったときに嫌な感じの暖かさを感じたのは気のせいだったのか。なら、いいけど・・・臭い。何か臭う。
 「おい、この酒瓶はなんだ」
 「ボトル、といって下さい。ワインが入ってたんですよ」
 過去形。そうかなるほど。
 「二人に飲ませたな?そうなんだな?」
 俺が詰め寄ると、愁は半分脱いだオーバーオールで顔を仰いでいる。ふてぶてしい態度だ。妹二人を見てみれば、麻衣子は白いレースつきのブラウスを袖まくりして、ボタンもいくつか開けている。酒を飲んで暑いのだろう。樹も着ている緋色のワンピースと変わらないくらいに真っ赤な顔だ。
 「おまえ。酒飲ませて何する気だったんだ」
 「別に何も。僕はただ酒がある、みんなで飲もう、イエーとなっただけですよん」
 「おまえも飲んでるのか!!」
 かなり酒の匂いがする、にしては顔は普段と変わらない。酒に強い体質なのだろう。
 「おまえな〜・・・・」
 俺が怒りを露にしようとした、その瞬間。
 「おにいちゃーん!!ど〜こ行ってたの〜???」
 切れた麻衣子が襲い掛かってきた!!
 「おい、またこれか!!おい!ちょっと引き剥がしてくれよ!!」
 「じゃ、樹ちゃん。僕らも部屋に戻りますか〜。石垣さん、明日の朝、腰が立たなくなるんじゃないですか?使いすぎないようにしてくださいね」
 「やるか!!ふざけやがって、おい、麻衣子!!離れろ!!!」
 「愛は引き裂けぬ最強の鎖〜〜♪ちょっとやそっとじゃ切れやしな〜〜い♪あたしの心が疼いてる〜〜♪あ〜にを捕らえて離すなと〜!♪」
 恐ろしい。前回の再現をするつもりか!!
「歌ってる場合かああああ!!!」
 俺の叫びは空に吸い込まれて消え行く。そして愁と樹の姿も消えていく。
 
 「かつてない好機?その通りだ!!今日という日に感謝♪酒を置いてくれた神にね♪」
 こんな良い気分なのは久々だ♪樹ちゃんは横で目を擦りながら付いてくる。後は部屋まで行けばいい!
 「ホント、誰だろーなぁ僕の前にお酒を置いてくれたのは!素晴らしい奇跡!なんという幸運!僕は恵まれてるな〜」
 
酒を置いてくれた愁にとっての神。麻衣子がああなることを予期していた実のこと。

「さて、樹ちゃん、もう眠たくないかな?うんそうだろうそうしよう!もう寝た方が良い!明日もまた観光だからね。体力は温存しとかなくちゃ!」
「え?樹、まだ大丈夫だよう・・・お兄ちゃんもいたけど、もう寝るの?」
見かけよりは酔いつぶれていないみたいだな。ま、別に関係ない♪
「うん!明日はカンガルーとコアラを見に行くって言ってたからさ、歩き回ることが多いと思うよ。今のうちに樹ちゃんは寝よう!」
「ふーん、・・わかった。じゃあ寝る」
おやすみい〜〜。そして、ハハハハハハハハハハ!!!
「僕はテレビでも見てるから。じゃ、おやすみ」
「うん。おやすみなさい」
平静を装ってる辺り、僕は役者だな。あとは鍵をかけて、手洗いうがいもして・・・・さてさて、酒の効果で体が火照っていたのがもう冷めてきたよ。冬山でもよくあるシーンさ。寒いときに一番あったまるのは・・・
「人肌だ♪」

「フルハウス!!残念でしたねディーラーさん♪わたしの勝ちぃ〜!!」
がっくりと肩を落としそうなディーラー。親が負けるなどギャンブルにおいてはどうだろう?わたしは最強!!今のところ、スロットでプラス二百枚、このポーカーで負けたり勝ったりでプラス三十枚。合わせて二百三十枚の儲け!!
「どうも実さん。ちょっと儲かりましたよ」
慶介君が近づいてくる・・・その手にはコインがどっさり。彼は差し引き五百だそうだ。
「ギャンブルってのはね、余った時間と余ったお金を、余すところなく使うと勝つんですよ」
最早ギャンブル道を極めたな、慶介君。
「店長はどうよ?」
すると慶介君は親指で自分の後ろを指差した。
「あれが、ダメなギャンブラーの見本でしょうね」
負けても負けても金を出し、予算を少しずつ削っていく店長。ああいう捨て鉢なギャンブルは負ける。なのに次にくる偶然を信じてしまう。
「俺は三回以上連続で負けたら切り上げますからね。他のゲームをやって気分転換したほうが負けを取り戻せますよ」
「・・・店長に教えてあげないと」
「こればっかりは自分で経験しないと学習出来ないんですよ。店長さんはもう負けを取り戻すことも勝ち越しにすることも考えていない目です。ただただ、ディーラーに負けたくない、って顔です」
店長、トイレ行って鏡見て来い。左目で自分の金への執着心を見てハッとしろ。
「そういえば慶介君、拓見たでしょ」
「兄貴ですか?俺のところにコイン借りに来てたってことは・・・」
「わたしにも頼ってきたわ」
二人して拓のことをアッハッハ、と笑うと、わたしが言った。
「実はさ、麻衣子ちゃんと拓の部屋に、酒を置いてきたのよ・・・・・麻衣子ちゃん、酒乱の気があるからね。飲むと、超ブラコンになるのよ!慶介君にもそうなるかもね」
すると慶介君はまた笑い、
「今頃、戻った兄貴を襲ってるでしょうね」
と言った。また、二人でアハハハ、と笑った。

「キャハハハハハハ!!おにいちゃーん♪」
「笑い事じゃ、ねえーーー!!」
 酔った麻衣子の猛襲。馬乗りにされて妙に上手い体重のかけ方で動けなくされている。畜生、このままじゃ、このままじゃ樹が愁に、
 「まて、麻衣子!!」
 「なーに?おにいちゃん♪」
 「樹が危ないんだよ!!!だからどいてくれ!!!」
 しかし麻衣子は首を傾げ、今度は腕に関節技をかけてきた!!
 「いででででででででででで!!!!たんま!たんんまあ!!!」
 俺が叫んでも麻衣子は一向に力を緩める気配はない。万力のようにギリギリと、俺の腕を弄ぶ。
 「樹がどうなってもしらないもーん!あたしは今が大事なの!おにいちゃん♪」
 対処の仕様がない。己の欲しか頭にないのか!!Sに目覚めやがって。くう、身内に本気を出すわけにはいかない、かといってこのままじゃ樹の貞操が・・・・ピンとひらめき。
 「おい、麻衣子!!!」
 「なーに?おにいちゃん?」
 「離さないとおまえを嫌いになる!!!」
 もしも麻衣子の思考回路が現実に目の前にあったなら、ビシ、とヒビが入ったのが見えただろう。案の定(というか予想通り)、麻衣子はじたばた暴れ始めた。
 「いーやー!!!だって離したらおにいちゃんどっか行っちゃうもん!!あたしだけの物なのー!!でも嫌いにならないでーー!!!」
 「もし離してくれたらあとからちゃんと相手するから!!だから離せ!!」
 またも麻衣子は逡巡し、そして、制約つきで結論を出した。
 「うー、じゃあ、約束して。終わったら朝まで相手するって」
 とんでもない!朝まで、って何をさせられるんだ!!
 「・・・もう少し抑えたお願いにしてくれよ・・・・」
 「いーーやーーーなーーのー!!!約束してーー!!」
 勝ち目ゼロ。仕方ない。口約束はしよう。
 「・・・・わかった。約束する」
 すると麻衣子はころりと態度を変え、ぱあっと顔を輝かせた。
 「やったー!!じゃあ、約束!」
 しかし離さない。
 「おい、離してくれ。助けにいけない」
 麻衣子は腕を締めたままふふふ、と笑い、さらにとんでもないことを言い出した!
 「約束、は、行為で示すものなの!!」
 行為、って何を・・・・・・・・前回。媚薬のとき。今回。状況的にも変わらない。
 「ま、さか・・・・・・」
 「接吻。きーすーしーてー!!」
 
 「・・・・・寝たかな?」
 そろそろと椅子から腰を上げ、樹ちゃんの様子をうかがう。小さな体にかけられたブランケットは、静かに上下して息遣いのテンポを伝えてくれる。
 「・・・・・・・おーい」
 呼びかけても起きない。僕は椅子を持ち上げてつつつ、と近づいた。ベッドの真ん中あたりで布にくるまり、髪がその布の端から覗いている。寝てる。
 「・・・・・・・・・・・・」
 そろ〜っと手を伸ばし、額に触れる。アルコールのせいで火照った体は熱を放ち、汗をかかせている。髪が濡れて額に張り付き、十二歳とは思えない、艶やかさというか、色っぽさというか・・・・
 「犯罪レベルだな・・・・」
 自覚はしてても止まらない本能が、事件というものを引き起こすに違いない。人間としてのレベルとは、その本能の抑止力の強さに比例してつくものだ。
 「でも、本能に忠実なのも美徳の一つ、と僕は思ってしまうわけだ・・・・」
 じとっと汗で濡れた掌。しかし樹ちゃんは目を覚まさない。起きたときの言い訳は考えてある。『あ、ごめん。汗かいてるから熱でもあったのかと思ってさ』怪しまれない。少なくとも樹ちゃんは僕を信頼してくれているから、これで納得するだろう。
 「・・・僕はその信頼を裏切っているぞ」
 犯罪は大嫌いなはずなんだけどね。でもこの手は止まらないんだ。信頼は信頼。僕は、
 「・・僕が一番怖いのはこの人の信頼を失くすことだな・・・もう守るとかなくなっちゃうぞ・・」
 じゃあここで手を止めればいい。さあ、いちに、さん、はい。・・・手の位置は喉に移ってる・・・樹ちゃんの、血管の動きが指先に伝わってくる。脈打つその命が伝わる。
 「なにやってんだ僕は・・・・」
 一瞬、背筋にビリッとしたものを感じた。それは何よりも尊いもので、触っていてもいいはずだけど、守らなくちゃならないものだった。故に、僕は手を引っ込めた。もうこれ以上は踏み込んではいけない。
 「・・・・・おやすみ、樹ちゃん」
 返事はないが、それでもよかった。何か大事なものを感じることができた。樹ちゃんのおかげだ。だから、いい。僕も寝よう。
 「焦ることはないよな。あと六、七年もすればいろいろ変わるだろ」
 
 「ここです、ここの部屋!!さああ、開けてください!!!」
 決死の覚悟で『約束の行為』に挑み、ロビーに行って男の人を連れてきた。が、マスターキーがロックを解除するまでに、ずいぶんかかってしまった。何故開けなくてはならないのか、本当に妹がいるのか、などと、いろいろ説明が必要だったからだ。
 「愁!!!樹を返せ!!!」
 戸を開くと、そこには返して欲しかった当の本人が、ちょこんと立って、きょとんとこっちを見ていた。
 「樹!!大丈夫か!!無事か!!!」
 「・・・・・え?・・」
 部屋の奥では愁がぐーすか寝ている。あの野郎、樹をよくも!!
 「おい、起きろ」
 「うえ?樹ちゃん、まだ朝じゃないでしょ・・・・」
 すっとぼけやがってこの野郎!想像しただけで吐き気のするような必殺技を生きてる限り喰らわせ続けてやる!!
 「シーフ直伝、ナイフ格闘アレンジ技。“獄門張誅撃”イイぃ!!!」
 ごくもんちょうちゅうげき。とにかく痛い。痛すぎて気絶も出来ない。でも生きていてしまう。これ以上の説明は成人指定だろう。
 
 「えー・・・・大変申し訳ございませんで・・・・何もしていなかった、と」
 愁お兄ちゃんはカクカクとうなずいてる。お兄ちゃんが変な技をかけたせいで動けないみたい・・・いたそう。ほうたいを巻いてあげたけど、つらそう・・・
 「ふがふごご、ふげがぎがががふぁひふぇぐが」
 「・・・あなたこそ、何かしたんじゃないですか、って言ってるよ」
 「いや、あれだ・・・そこまで何もしてない。」
 「ふぉごがへ、っへごごぐわ、ふぁぎがぎがんでぐは」
 「そこまで、ってことは、何かしたんですか、だって」
 「・・・・・・・・・はい」
 「つかれるなあ・・・お兄ちゃん、なんで愁お兄ちゃんにこんなひどいことしたの?」
 お兄ちゃんは黙った。ズルい。にげないでほしい。
 「いや、あー・・・・あと数年したらわかると思う。うん」
 「・・・どういうこと?」
 「つまり、和泉君が危うく樹ちゃんを襲うところだった、と」
・・実さん?別に愁お兄ちゃんはおそってきてなんか、いないけど・・・
 「帰ってきてみればわたしの計画はダメになって、酒瓶もからっぽ。和泉君、ひどいじゃないの・・・」
 「いや、違いますって。何も樹ちゃんにはしてないですって」
 「?・・・何もしてない、って何かする気だったの・・?」
 愁お兄ちゃんは動かなくなった。・・・訊いちゃいけなかったのかな・・・
 「つーまりっ、愁さんが樹にいろいろしようとしてたんだよっ♪ねーおにいちゃん、もう一回、もう一回!」
 もう、一回・・・?
 「なんの話だ!!もう一回って!!」
 「やーだなーもー。二人の約束でしょ?続きは、あとって言ったのにー!!」
 みんなは、樹がそういう言葉がさっぱりだと思ってるみたいだけど、女の子だって興味がないわけじゃないから分かる。・・・つまりお兄ちゃんは、麻衣姉ちゃんと・・・・
 「・・・あれ?なんで!?なんで樹ちゃん泣いてるの!?やっぱ、あのとき起きてたの!?ご、ゴメン!!ホントにごめんなさい!!」
 「イズミイイィ・・・・コノヨカラデリートシテヤロウカアア!!!!」
 「違う!!!樹ちゃん、誤解だよね!?寝てる間に、なんて・・・あ」
 愁お兄ちゃん、まさか、樹が、寝てる間に・・・?・・・え?・・・
 「和泉君、まさか君、そういう人だったか・・・・」
 「慶介さん、ちょっと、なんで傍観者気取ってんですか!!僕は無実です!・・そりゃ、ちょっとはアレでしたけど・・・違います!!!僕は樹ちゃんにそういう欲求を出したんじゃあなくてですね、僕は!!!」
・・・っ!!愁お兄ちゃんが、愁お兄ちゃんが・・・・・樹に何かしたんだ・・・・
 「おにいちゃーん!早く部屋に来てよ!!待ってるからねー!!」
 「うーん・・・まあ、麻衣子ちゃんは幸せそうだからいいわ。許す。でも、和泉は殺す。ここで亡き者にしてこの先生まれ来る幼い子たちを守るわ」
 「違うって言ってんでしょ!!僕はね、もうロリコンじゃないんですよ!!純粋に樹ちゃんをですね!!あ、ちょっと、樹ちゃん、どこに、ちょっと!!」
 「実さんが傍観者に成りたがる理由がわかるなー。俺、ここのポジション好きだよ。周りが一番よく見えるよ」
 「慶介!!俺を救ってくれ!!麻衣子が!!!麻衣子が俺を!!!!」
 「幸せいっぱいだな、兄貴。さいならっ」
 「イズミイイィトコトンキガスムマデイタメツケテコロシテヤル!!!!」
 「ひいいいいい!!!」
 
 「・・・・負け通しだったな。ふっ、私はこんなもんだ・・・?妙に部屋が騒がしいな?っと、樹ちゃん、どうして走ってきて、あ、行っちまった・・・おい、何があったんだよー?訳がわからん」
 
 このあと一時間かけて互いに起こったことを話し合い、全部にケリがついた、らしい。和泉は樹に謝り(何をしたかも話したが許してくれた)、麻衣子は(酔いが醒めたあとで)、拓に謝った。事態の火付け役となった実も叱られ、店長は持ち金をスッてすっからかん。無事ですんだのは慶介のみ。傍観者は楽しい。












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