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第一章~低層突破は難しい~ 攻略組side3

これで攻略組の話は一旦おわりです。

「ちょっと、どうしてアンタたちがいるのよ!」

さっきまで休憩をしていたはずじゃなかったの?

ジルとミィシャが待っていた場所。

そこには【青の円卓(ブルー・ラウンジ)】と【無形軍隊(アモルファス)】の面々がいた。

「僕たちは結構急いでるからね。もう二日もしたらログアウトする予定だし」

ソウタが言う。

「へっ! ガクがいればダンジョンなんて楽勝っすよ!」

「いや、流石にガク」

「お前ら病院送りにするぞ?」

「パヤオさんこわ! 病院送りかよー」

「マツカスはしゃべらない、いいね?」

「オルヤンだぜ、ひゃっほーい!」

「え? キチガイがいるんだけど」

「ロリコンは黙ってろよ」

「……………………ふふっ」

セイギ、デンセツ、パヤオ、マツカス、ケンジャ、オルヤン、トミショー、ガク、そしてハタチが盛り上がる。


「なにアンタたち…………頭おかしいんじゃないの?」

何言ってるかわからないし、と頭を抱えるフェルナ。

しかし、自分を見つめる視線を感じ顔を上げる。

「なによ? どうかしたの?」

その視線は目の前の女の子から発されていた。

フェルナを見つめるアイリ。

「い、いや、そのぉ、きれいな方だなぁとおもって…………」

「え? いやいや急にな、なななに言ってるのよ。そんな、アンタの方がその、か、可愛いし…………」

胸も大きいし、とこぼすフェルナ。

フェルナもアイリもお互いに赤くなる。

それを見てクスリと笑うシノ。


女子をおいてリーダーたちが話を始める。

「どうだい? 僕らと一緒に九層突破を目指すというのは?」

「一時的な共同戦線ということか」

ソウタの提案にジルが顎に手を当てる。

そしてパーティメンバーの方をみるジル。

「わたしはいいよー。アイリちゃんとシノちゃんとお話ししてみたいしー」

「ミーもオーケー。レッツゴー!」

「人数多いほうが効率いいのは確かっすね。九層はああなってるっすから」

「ついてきたいなら勝手についてくればいいじゃねえか。弱い奴はついてこれねえ、それだけだろ?」

最後にフェルナの方を見るジル。

「ったく、しょうがないわね」

こうして臨時の三パーティの九層突破チームが結成された。

無形軍隊(アモルファス)】の方は、戦えればそれでいい、と快諾。


八層を突破し九層にたどり着いたのは、ログインしてから五日目の昼だった。

洞窟の中にいるため時間間隔が狂うがメニューで確認することはできる。

未踏破階層である九層にたどり着いた18人の目の前に広がるのは広大な空間。

八層と同じ洞窟だが、ここ九階層にはこの一つの空間しかない。

広さ二百メートル四方の空間。

九層は八層からの入り口を入ってすぐ、十層への塔の中となっていた。

そしてそこに君臨するのは巨大なゴーレム。

洞窟の岩とは違う固さを感じさせる黒の皮膚。

そしてなにより…………。

体長およそ18メートル。

今までのモンスターとは比べ物にならない大きさに一同が瞠目する。

会うのは二度目だが、フェルナは体を押しつぶされるようなスサマジイプレッシャーを感じていた。

「こいつ相手には18人でも足りるかどうかっすね…………」


「では早速いこうとしようか」

全体の指揮はソウタがとることになった。

兵の狂宴(フィアフィスト)】の司令塔であるコルクスが辞退したためだ。

無形軍隊(アモルファス)】には司令塔はいない。

その名のとおり、各々がしたいように戦場を駆けまわるのだそう。

今回は複数パーティ混合の戦闘ということで、役割に徹してもらうが。

フェルナは即席パーティに一抹の不安を抱くが、その集中の矛先は全てゴーレムに向けることにした。


壁役(タンク)はゴーレムに近づいて! 敵の攻撃は今のところ巨腕によるものだけだ! 絶対に防げ!」

そしてその後は、攻撃役(アタッカー)が突貫。

遊撃役(ショート)は状況を見て、魔術師(ウィザード)の護衛と攻撃をしろ、とソウタの指示が飛ぶ。


壁役(タンク)にはソウタ、ジル、ハタチ、トミショーが。

攻撃役(アタッカー)にはセイギ、デンセツ、ミィシャ、ガク、オルヤン、マツカスが。

遊撃役(ショート)にはシノ、ギール、コルクス、レイモンド、パヤオが。

魔術師(ウィザード)にはアイリ、フェルナ、ケンジャが割り振られている。


青の円卓(ブルー・ラウンジ)】は二人の壁役(タンク)で守備の堅い戦いを【無形軍隊(アモルファス)】は攻撃任せのパーティのようだ。


「ぁああああああ!」

「ふんぬっ!」

「……………………うわ!」

「ギャッ!」

四人の壁役(タンク)が振り下ろされるゴーレムの右腕を受け止める。


「ナイスっ!」

「行くぜぇええええ!」

「ほいほいさー」

「ハッ!」

「ひゃっほーい!」

「うるさ! ってオルヤンがおるやん!」

叫びながらそれぞれの武器を奮う攻撃役(アタッカー)たち。

そして、それに混ざる遊撃役(ショート)

「序盤はまだ攻撃しててよさそうね」

「しゃべってねえで足動かせ!」

「ギール、仲良くっす」

「レッツゴー!」

「病院送りにしてやるよ!」

鳴り響く轟音。

プレイヤーたちの一斉攻撃。

かた!

なにこれ、刃が通らない!

と前線部隊が騒ぎ立てる。


「なんか向こうは楽しそうね」

「そうですね」

「いや魔術師(ウィザード)も楽しいよ。こんな美女と一緒にいられるんだから」

「じゃあ私もアイツらに混ざって魔法放つわ」

「私もそうします!」

「無視するってことはボクから話しかけてほしいってことかな?」

「「……………………」


「【炎波(えんぱ)】!!!」

「【光ノ槍(ライトニングランス)】!!!」

アイリは【光魔法】の【光ノ槍(ライトニングランス)】を放つ。

フェルナの業火がゴーレムの頭部を焼き、アイリの光槍が穿つ。

「しかたないなぁ。【雷帝の鉄槌(ミョルニル)】!!!」

ケンジャも高Lvの【雷魔法】を放つ。



その後も疲弊は溜まっていたが壁役(タンク)が耐えしのぎ、攻撃を重ねていく。

「このままいくぞ!」

ソウタの掛け声に皆が答える。

即興のチームだったが連携が取れていた。

フェルナも、これなら…………と感じるほどには。

しかし、九層は18人の大攻勢をもってしても簡単じゃなかった。



「ヴォオオオオオオオオオオオオオオ!」

順調にいくかのように思えたゴーレム討伐だが、HPを半分まで減らされたゴーレムが放った巨大な咆哮(ハウル)

18人全員が強制停止させられる。

「うそっ」

フェルナが顔を引きつらせる。


ゴーレムの巨腕が18人を叩き潰した。


******


次からはまたクレハ視点に戻ります。

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