身代わり地蔵
龍次が、人間村の門を点検に行くと、門の近くにある身代わり地蔵の前で、二人が同じように手を合わせて祈っていた。
オンカカカ ビサンマエイソワカ
中年の夫婦だった。龍次に気づき挨拶した。
「こんばんわ。」
龍次も挨拶した。
「こんばんわ。」
女性は、少し脚を引きずっていた。
「脚をどうかされたんですか?」
女性が答えた。
「糖尿病を患ってて、脚を痛めて悪くしてしまったんです。」
「あ~、そうですか。糖尿病、最近多いんですってねえ。」
「そうなんですか。」
「日本人成人の、五人に一人は糖尿病予備群なんだそうです。」
「そんなにいるんですか。」
夫は、懐中電灯を持っていた。
「さすがに、保土ヶ谷さんは、いろいろと詳しいですねえ。」
「分からないことがあったら、すぐにインターネットで調べるんです。」
「あ~~、そうか。病気になったら、頭もにぶるんですよ。困ったものです。」
「何事も無理はしないほうがいいです。」
「私も糖尿病でして。夫婦そろって、まったく情けない有様です。」
「それはそれは、大変ですねえ~。」
「お医者さんに、適度な運動が大切って言われましてねえ。夫婦で夜に散歩してるんですよ。」
「夜にですか?」
「昼間は、人が多いもんですから。」
「運動は大切です。動物は、動く物と書きますから。」
「あ~~、医者も同じことを言ってました。」
いつもの、背番号13の男が走り過ぎて行った。細くて筋肉質の若い男だった。
「あ~~、若い人はいいなあ~。」
夫婦は、通り過ぎて行った男を、羨ましい目で、懐かしそうに見ていた。
「昔のように、ああやって溌剌と走ってみたいもんです。」
「頑張れば、きっとよくなりますよ。」
「実は、心臓も悪いんですよ。」
「…太ももは、第二の心臓です。太ももが弱ると、心臓も弱ります。」
「太ももは、第二の心臓なんですか?」
「太ももの筋肉で、血液を送って、心臓を助けているんですよ。」
「保土ヶ谷さんは、いろいろと詳しいんですね~。」
「いやあ、インターネットの知識ですよ。」
「あ~あ、人間は健康を失って、初めて健康の大切さに気づくんですねえ。実に悲しいです。」
「最近は、若い人も多いんですよ、糖尿病は。この前、歩行異常の子供のニュースをやってました。」
「そうなんですか?怖い世の中になってきたもんですねえ~。」
「なるべく動かないで、楽してるからなんでしょうねえ。」
「そういえば、私の息子も運動しないなあ~、最近は。」
「また転んだら大変です。気をつけて帰られたほうがいいですよ。」
夫は軽く頭を下げた。
「ありがとうございます。」
夫婦は歩き出した。
龍次は、弘法大師の眠る天軸山の向こうの御廟に向かって、静かに手を合わせた。
「南無大師遍照金剛!今日も無事に過ごせました。ありがとうございます!」
ドラゴンルーレットをやってみる 六角オセロの掲示板
六角オセロにメール あんた、頭が硬過ぎるよ!

">
作画:11さん(どうもありがとう!)
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。