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  人間村 作者:六角オセロ
マイケルの家
「兄貴、炭って、どうやって焼くんだい?」
「あそこに屋根のあるかまが見えるだろう。あそこで焼くんだよ。」
「燃すの?燃したら灰になるじゃん。」
「燃すんじゃなくって、煙でいぶすんだよ。木の燻製だよ。」
「え~~、そうなの?じゃあ、大変だね~。」
「あ~~、作るのに時間が掛かるんだよ。」
「木の燻製か~~。肉だったらハムだね。」
「炭は温度で決まるんだよ。低くてもいけないし、高くてもよくない。ハムと同じだよ。」
「温度は、どうやって分かるの?」
「経験と勘だな。最近は温度計もあるけどな。」
「なんだか面倒くさいんだね~。」
「最近は、全自動の炭焼き窯ってのもあるらしいよ。」
「それはいいね~。」
「いのか、悪いのか…」
「えっ、どうして?」
「人間には、途中の工程を楽しむってのもあるだろう。結果さえよければいいってもんじゃないよ。」
「なるほどね。サッカーや野球だって、結果を見ればいいってもんじゃないもんな。」
「そうだ。なんでも炭焼きは、心の病気にいいんだってよ。」
「そう?」
「昔の人は、炭焼きは心の病気にいいって言ってたんだよ。」
「そぉお!じゃあ、うつ病なんかにはいいんだ。」
「そうだな。」
「うつ病は、炭焼きで治そう!で、下界の人間が、どんどんやって来るんじゃない?」
「そうだな。いい考えだな。」
「人間は、焚き火を見ると、心が和むって言うからな。」
「あ~、そうなの?」
「人間と火は長い付き合いだからな。そういうことでかも知れないな。」
「な~るほどね」
少し離れたところに背もたれのないベンチの上に七輪が載せてあった。その上にアルマイトの安っぽいヤカンが載せてあった。ベンチの前には、バーベキューコンロがあった。
「ここで肉でも焼いているのかな~?」
「炭があるからな。」
「創造すると食べたくなってきたよ。」
「こんなところで食べると美味しいかもな。」
ヤカンが蒸気を噴いていた。アキラは腕時計を見た。
「兄貴、もうすぐ十時だから、お茶でも飲むか。」
「そうだな。」
二人はベンチに座った。お盆の上に急須と湯飲みが二つ用意してあった。急須の中には、既に茶の葉が入れてあった。アキラはお湯を入れた。三十秒ほど待った。湯飲みに注いだ。
「はいよ、兄貴!」ショーケンの手前に置いた。
「おっ、ありがとう!」
ベンチの横には台があり、ステンレスの大きなバケツほどの容器があって、蓋をしてあった。その上に、ヒシャクが置いてあった。
「兄貴、水かな?」
「そうだな。近くに小川でもあるんだろう。」
「そこから、汲んで来るんだ?」
「水道が見あたらないからな~。」
二人は、周りを見た。後方には、一メートルほどの高床式の小屋があり、その前は屋根のついた炊事場になっていた。その周りは開けていた。開けたところに、ぽつんと小さな建物があった。トイレだった。
「ここ、なんかいいとこだね?」
「そうだな~。慣れたらいいとこかもな。」
木にペットボトルがぶらさがっていた。中に紫色の液体が入っていた。
「兄貴、あのペットボトル、何?」
「あれは、スズメ蜂取りのペットボトルだな。中に入れてあるのは、スズメ蜂の大好きなブドウジュースだよ。中に入って、溺れて死ぬんだよ。」
「へ~~、そうなんだ。スズメ蜂は何の役にも立たない嫌なやつだね。」
「そんなことないよ。害虫は退治してくれるし、食べても美味しいし。」
「食べるの!?」
「ああ、へぼ飯って言ってな、御飯に混ぜて炊くと美味しいよ。」
「へぼ飯?」
「蜂のことを、へぼって言うんだよ。から揚げにしても美味しいよ。バターでも美味しいよ。たんに焼いただけでも美味しいよ。」
「へ~~~~え!山の人は違うな~、やっぱ!」
「長野あたりでは、今でも売ってるよ。蜂の子という名前で。」
「え~~、そうなの~~!?」
大きな白い猫がやって来た。
「あっ、猫だ!」
「蛇避けだろう。」
「なるほど。猫は蛇より強いんだ?」
「猫は強いよ、犬より。小さいけど無鉄砲だから。鋭い爪で引っ掻くからな。」
猫は、人に馴れているのか、二人の近くに寄って来た。
「周りに白い線が引いてあるだろう?」
「なに、あれ?」
「石灰だよ。蛇が嫌うんだよ。」
「へ~~~え。」
「蛇は、よく雨上がりに出てくるんだよ。」
「そうなんだ。」
「用心深いな~、あちこちの木に空き缶までぶらさげて。」
よく見ると大きな木に、空き缶のたばがぶらさがっていた。
「あっ、ほんとだ!あれ何するの?」
「熊の接近を知らせるんだよ。それに、音でびっくりして逃げるだろう。」
「な~~るほど!」
「周りには、トウガラシも植えてあるし。」
「トウガラシ?」
「熊が嫌うんだよ。」
二人は、お茶を飲み終えると、ぶらぶらと歩き出した。
「兄貴、こっち側の屋根、ソーラーパネルだよ!」
小屋の南側の屋根だった。
「お~~、凄いな~~。」
「芸が細かいね~~。」
「充電して、夜の明かりに使っているんだろうな。」
「山で暮らすのは大変なんだね~。色々と頭使って!こりゃあ、頭の悪いやつには無理だね。」
「そういうことだな。」
「頭の悪いやつは、絶対に死ぬね!」
「だから、馬鹿はみんな都会に行くんだよ。」
「そういうことか!」
「兄貴、俺トイレに行ってくる!」
アキラは、トイレに向かって走り出した。トイレの上にも、ソーラーパネルが張ってあった。すぐに戻って来た。
「あのトイレ、凄いよ。ヒーターがついてるよ!」
「へ~~~ぇ!」




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あんた、頭が硬過ぎるよ!
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作画:11さん(どうもありがとう!)


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