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カプリッチョシリーズ

革命カプリッチョ

作者:小宮山蘭子
いやもう、ホンマにかんべんしたって。
ギロチンて何それ、おいしいの?

って、言うてる場合かっ

そらな……あたしもそのう……ちょっと無駄遣いしすぎました。
それは、認めます、はい。
ここであたしが「なんも遣うてません」言うたかて、ドン引きやろうしな。
ここは、あたしも折れようやないか。
ちょっとハメはずしすぎました。どうもすんませんでした。
だからて、ギロチンてなに? 首斬るの?
うそーん。痛いやんっ 
一瞬で終わる? 
って、そんな、子供の注射みたいな言い方されたかて、
あたし、納得いきませんよ。
そもそも、なんやねん。
裁判とか牢獄とか引きずり回れて、それでのうてもクタクタやねん。
そのうえ、処刑って。
そのうえ、処刑って。
大切なことだから、二回言いました。
腹立つわ、ホンマに。
あー ベルサイユに帰りたいわー
懐かしいわー
あの頃はよかったわ。


別にな、あたしかてな、なりとうて王妃になったわけやないねん。
おかあちゃんに、「なんも言わず、とにかく行け!」言われて、
しぶしぶフランスくんだりまで嫁いできたんやで。
13の時や。まだ中2やがな。
そらもう、脳内、妄想バリバリやったわ。
小さい時分からかわいいかわいい言われて、
自分でも「あたし、なかなかイケてるやん?」て思うてきたからな。
どんなイケメンの王子さまと結婚したろうかて、どきどきわくわくしてたんやで。
それがなんとあんた、チビで小太りで、錠前作りが趣味のフランス皇太子。
ちょっとぉぉぉ、勘弁したってー 
騙しうちやないか。
あんまりや。大人はずるい。汚い。
「なんであたしが、こないなヤツと」
って、しばらくはふてくされてましたがな。
あたしはデブ専じゃないし、誰が好き好んでこんなイケてない男とメイクラブなんか。
メイクラブってオブラートに包んでも、結局、せなあかんかったからな。
あーあ、今さら感バリバリやけどな。まったく、ため息でるわ。
一生バージン言うのも、切ないしな。王妃やしな。
子供までできてもうたしな。
まあ、子供はあたしに似て、可愛かったけど。

しかしな、あんたも王様やら王妃様やらに、いっぺんなってみるとええわ。
ぎょうさん召使がおって、美味しいもの食べて、高いものばっかり身につけて、
毎晩毎晩、パーティやで〜
ここだけの話やけどな、ぶっちゃけ、イケメンとも遊び放題やで。
中でもフェルセンは一番のお気にやったけど、
最後もあたしら家族を逃がしてくれようと一生懸命になって助けてくれたなぁ。
人は、いざってときに、その人の器が見えるもんやな。
あの子は、心根の綺麗な、めっちゃええ子やったわ。
まあそんな感じでな、楽しゅうて楽しゅうて、年取るのも忘れたわ。
国のこととか民衆のこととか、二の次やで、実際。
そら誰でも、まともな大人にはならへんで。
権力の魔性いうやっちゃ。
……あ、なんか、ちょっと難しい言葉使ってもうた。
まあ、やればできる子やで、あたし。
だから、あたしも、「そんなもんかなー」って感じで、言われるままに
王妃稼業やってきただけやがな。
そもそも、国が傾くほど無駄遣いしたわけではないで。
首飾り事件かて、まるまる濡れ衣や。なんべんも言うてるやろ。
それをやいのやいの言われて、吊るし上げられて、全部あたしが悪いんかい?
あたしは生贄みたいなもんや。
贅沢三昧してたあたしをずっと妬んでたやつらが、あたしら家族をおとしめることで
「あーせいせいしたわ。これで幸せになれるわー」って、
ちっぽけな夢みてるだけや。

もう、好きなようにすればええがな。
あたしは牢獄で、「体弱いねん」みたいな感じてクネクネしてたけどな、
それで助かるなら思うて、小芝居してただけや。
嘘よねーん。
もう開き直ったわ。
ギロチンでもなんでも、やったらええねん。
こんな人生、さっさとおさらばして、生まれ変わってまた違う人生歩いてやるねん。
でももう、王妃は嫌やな。
普通の、中流家庭の子供でええわ。今度こそ、イケメンと結婚するんや。
フェルセンみたいな、性格のいいイケメンやったら、申し分ないわ。
お金もいらんわ。もう遣いあきたしな。


迎えが来た?

髪もばっさり切ってもろうて、スッキリしましたわ。
おおきに、カリスマ美容師……
って、皮肉やで? あんた、どんだけ適当な切り方やねん。
もうちょっとどうにかならんかったんかいな。
泣けてくるわ。

はいはい、行けばええんやろ、行けば。
って、なにこれ?
馬車じゃないやーん。
相方は馬車で処刑場に行ったて聞いてたから、あたしも馬車かと思うてたのに!
肥桶を運ぶ荷車?
うんこか。
あたしゃうんこと同じか。
最後まできっついな、自分ら。
人をへこますことにかけては、天下無敵やな。
やりすぎやねん。
さむいわ。

うわ、ぎょーさん人おるわー
なんや、みんなヒマ人やな。
あ、そうか。いじめっ子か、君ら。
それとも、ハパラッチ?
撮影は禁止ですよー 投稿とかせんどってよ。
貧乏人ども、こんなとこくるヒマあったら、働けちゅーねん。


あ、はいはい、この階段のぼるんやね。
あれで首ちょん斬られるんかー 
ギラギラしとるやないけ。
あれが落ちてくるんかー しゃれにならんわー 
でも、一瞬だけやろ、痛いの?
斬りそこなったら、恨みますでー マジやで。
おっと、足ふんだ。
「ごめんなさいね、わざとではありませんのよ。でも靴が汚れなくてよかった」
……って、これも皮肉やで、執行人のにいちゃん。
これが、あたしの最期の言葉でした。
ちゃんちゃん。

ほな、さいなら。






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