発進
SDF(空間鉄道警備隊)の車両は出場の際はホームからではなく、地下の専用車両整備場から一端引き上げられて、それから発進用線路を使って出場する。そして今、出場命令を受けたシリウス小隊専用警邏車両、車両ナンバー001、ビッグワンが出場準備にかかっていた。
車内には既に隊員たちが乗り込み、出場準備に入っていた。ちなみに、銀河鉄道の車両は全て機関車が牽引する方式なので、常時決まった隊員が乗り込むのは機関車だけだ。
隊長
「システムチェック!」
隊長のシュワンヘルト・バルジが隊長席で言う。彼は勤続16年、そして最年少で隊長になった経歴を持つベテランだ。普段は真面目だが、いざとなったら規則も上層部からの命令も無視し、己の正しい道を行く事から、実直な詐欺師というあだ名がある。
デビット
「システムチェック、スタンバイ!」
運転パートのデビット・ヤング。シリウス小隊では隊長に次ぐ年長者。酒と女、そして賭けが好きと問題は多いが、操縦技術はピカイチだ。
ルイ
「軌道通信レーダー異常なし。」
レーダーパートのルイ・フォード・ドレイク。クラリオス星団共和国大統領の一人娘。束縛された生活が嫌でSDFに入った変り種だ。
ユキ
「ミッションデータダウンロード完了。」
そう告げるのはユキだ。ユキは人間ではない。人間の体を元に作られた医療用アンドロイド、つまりセクサロイドだ。なんでも、かつて地球で生きていた女性がモデルだという。
学
「素粒子ワープ走行発生機関異常なし。」
そして有紀学。武装パート担当で、ルイとは訓練学校の同期生だ。曲がった事が嫌いで、命令を無視し、無茶な行動に出ることがやたら多いが、隊員の信頼は厚い。
閑話休題。
ビッグワンの出場準備は進む。
ユキ
「人工重力発生開始。」
オペレーター
「ビッグワン、第5装備で出場。」
任務によって、繋がれる車両は違う。
オペレーター
「第5装備、異常なし。」
第5装備用の客車が連結される。
ユキ
「上昇フロート固定確認。」
宇宙空間を走行するには欠かせない装備が、各車両に装着された。
隊長
「微速進行、発進位置へ。」
デビット
「微速進行。」
そして、ビッグワンはゆっくりと進み、発進位置へとつく。
デビット
「ボイラー内圧力上昇、シリンダーへの閉鎖弁オープン。」
隊長
「メイン回路接続。」
デビット
「接続。」
学
「システム、オールグリーン。」
発進準備完了である。
オペレーター
「38番線よりの発進を許可します。」
ルイ
「発進許可、確認。」
発進許可が降りた。
バルジ
「ビッグワン、発進!!」
デビット
「ボイラー内出力120%!!」
命令とともに、汽笛が鳴り、巨大な動輪が動きだす。ビッグワンは有名な999号と同じ、SLがモデルの車両である。機関車のナンバーはG8001.片側に8つの動輪を持つ巨大機関車だ。そして、その汽車に引かれた12両編成の列車が、今大空へと旅立っていく。
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