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命燃え尽きて
作:朝霧弥生



五ノ舞「死の覚悟」


気づいたらこうだ。
目の前には武士のような格好をした男たちが、俺に向かって銃刀法違反もいいところな刀を首元に当てて俺を尋問している。
……いや、拷問といったほうがいいだろうか。

ただでさえ理解できないのに、意味不明な言葉を連呼している。
長州だとか、不逞浪士だとか。

意味が分からん。


極めつけが、「新選組」。
それに……刀を、振り下ろして俺を斬ろうとしている。

「(あぁ……、死ぬのだな)」

極めて冷静にそう考えた。
考えなくては、またあの記憶が蘇ってしまう。
死は――覚悟できた。

刀が、振り下ろされる。

「(この程度の人生か……、まぁ楽しかったかな)」

俺を一生懸命励ましてくれた義兄である健二。
健二さんの恋人で、俺にいつも優しく、親切に接してくれた将来俺の義姉になるであろう、尚子さん。
そして――俺に愛情をくれた、本当の家族より大切な里親の二人。
お母さん、お父さん。


ありがとう。
こんな死に方でごめんなさい。





目を、静かに閉じた。
ゆっくり、目の前の光景を確かめるかのように。


死の覚悟はできた。


が、体が横に素早く移動する。

目を、ゆっくり開けてみる。
そこには男たちの顔はなく、背後には男たちの気配。

後ろを振り返ってみる。
男たちが、前を向いたまま立っていた。

「どこだ!どこへ行った!?」

一人の男が声を荒げる。
他の男も、俺がどこへ行ったのか理解できないようだった。

「(どういうことだ?死の覚悟はできたというのに。何故体が動く?それに、何だ?誰かに操られたような浮遊感……)」

いくら心が決まったとはいえ、体は生命を意地するために動いたのだ。
火事場の馬鹿力……といったところか。

この行動が、俺の心を大きく変えた。

生きたい。
まだ、生きたい。
またみんなと会いたい。




ここで死ぬわけにはいかない……!!








これは対極の気持ち。
心と体の気持ち。

己の意志と
――神の意志。












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