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女勇者セレス 作者:松宮星

ケルティの闇と光

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極光の剣 12話

 目を開くと……
 シャオロンの寝顔が見えた。少年は両の瞼を閉じ、やすらかな顔で、仰向けに眠っている。
 シャオロンの向こうには、ガルバが居た。眠っているようだが、老忍者はいつも息を潜めているので判別がつきがたい。微かに寝息を立てているような感じはするのだが、いびきがうるさくて寝息が聞こえない。
 いびき……?
 誰の……?
「私……生きてるの……?」
 醒めきれない頭で、いぶかしく思う。雷の魔法に襲われたはずだ。それに、シャオロンとガルバはひどい怪我をしていたはずなのに、穏やかな顔で眠っている。掛け布団をかけて。
「……布団?」
「お目覚めですか? 二人とも無事ですから、ご心配なく。あなたが眠っている間に癒しておきました」
 ナーダの声だわ……
 ナーダが助けてくれたのね……
 そう思い、体を起こしたセレスは、まず自分が居る場所に驚いた。彼女もシャオロンもガルバも、湿っぽい地面の上に敷かれたジャポネ風の布団に眠っていたのだ。その上、天を隠すように周囲に聳えているのは竹なのだ。竹林の中に居るのだ。ケルティに竹林? しかも、辺りには雪がない。
 セレスの右側には、ハリ族の戦士ハリハールブダンがいびきをかいて眠っていた。
 そして……
 今まで足を向けて眠っていた方向には……
 判読不可能な魔の文字で彩られた魔法陣があり……
 魔法陣の中央には……
 地面に届きそうなほど長い、夜の河のような黒髪の人物が居た。右手に魔術師の杖を大事そうに抱え、黒のローブをまとい、女性のように美しい顔に微笑をたたえて。
「あなた様は!」
 セレスの顔に笑みが浮かんだ。
「魔法使いのナーダ様!」
「お久しぶりですね、女勇者セレス様」
 魔法陣の人物は、トゥルクでセレスの窮地を救ってくれた魔法使い、カルヴェルの知己だ。魔法使い本人が語った身の上話によると、魔法使いの体は何十年も前に魔族の魔法陣に囚われ異次元に封印されてしまったのだそうだ。カルヴェルの術によって影(精神?)だけこの世に呼び戻されているものの、不安定な存在の為、魔法陣ごと世界中を彷徨っているのだとか。
 奇しくもセレスの仲間の武闘僧と同じ名前で、不思議な事に話し方や物の考え方まで武闘僧に似ており、声まで似ているのだ。だから、先ほどはナーダに話しかけられているのだと勘違いしてしまったのだ。
「あなた様が私達を救ってくださったんですか?」
「それは違います」
 魔法陣の人物は、杖の頭をセレスの頭の先に向けた。
 セレスは肩越しに振り返り、視線をそちらへと向け……驚いて背後へと向き直った。
 セレスが眠っていた布団の先の地面には……『勇者の剣』が静かに横たわっていた。ホルムの王宮に置いてきたはずの『勇者の剣』が! 背負う為のバンドも鞘も共にそこにあった。
「女勇者様の危機を救ったのは、そこな魔法剣です。私は、ただ、癒しただけです。『勇者の剣』の移動魔法であなたと共に運ばれてきた怪我人を、ね。ああ、ついでに布団も物質転送魔法で運びました、みなさん、気を失っていたので」
「『勇者の剣』が……」
 移動魔法でセレスの元へ駆けつけ、防御結界で雷魔法を防いでくれ、そしてその場に居た者全てを移動魔法で魔法使いナーダの元へ送ってくれたのだ。怪我人を案じていたセレスの為に……
――『勇者の剣』は、持ち手が呼べば遠方より飛来し、持ち手が危機とあらば自ら魔法さえ使う、魔法剣じゃ。
 カルヴェルの言葉が心に甦る。
 助けてくれたのだ……『勇者の剣』が……
 持ち手である自分を……
 セレスの胸は熱くなった。
(ありがとう……)
 セレスは感謝の気持ちをこめて鞘に収まった愛剣を胸に抱こうとして、かなわずその場にへたりと倒れてしまった。
(おっ、重い……)
『勇者の剣』の重量は最大となっていた。成人男性の中でもかなり体格のよい人間の重さ……カルヴェルにかけられた重量抑制の魔法の中でとれる最大級の重さなのだ。これほどとことん重たくなったのは久しぶりだった。
『勇者の剣』は話す事こそできないものの、思考能力や感情がある。しかも、好き嫌いが激しいかなりの気分屋らしい。今、『勇者の剣』は怒っているのだろう。
(ごめんなさい、『勇者の剣』……不用意に敵の罠にはまって……わざわざ雷魔法が届く場所に移動したんですものね、私。あなたが救ってくれなかったら、死んでたわ。考えなしの馬鹿でごめんなさい)
 セレスは心からの謝罪を思いにこめ、地面から持ち上がりたがらない『勇者の剣』の鞘に額をつけた。しかし、剣の重量は変わらない。相当、怒っているのだろう。
「女勇者様、謝る理由が間違ってますよ」
 明るい楽しそうな口調だ。振り返ると、魔法使いナーダが微笑んでいた。
「あ、すみません、ついつい、あなた方の心を他心通(テレパシー)で読んでしまったので」
「あなた方?」
「あなたと『勇者の剣』です。魔法剣の心は人間とは異質なのでちょっと読みづらいんですが、何となくわかります。その剣はですね……あなたに王宮に置いていかれた事を、ずっとず〜と拗ねていたんですよ」
 その刹那!
 天より雷が落ちる。
 雷が幾筋も走り、周囲の竹を次々に貫き、真っ二つに裂いていった。
 セレス達の周囲には結界が張られているようで、竹の破片も火も飛んではこなかった。だが、まばゆい光は防げない。セレスは顔を伏せ、両目を閉じた。
 遅れて、雷鳴と竹がはぜる音が響き渡る。
 セレスは顔をあげ、眠っていた三人も音に驚きガバッと体を起こした。が、魔法使いがパチンと指を鳴らすと、三人はパタンと布団に倒れてしまった。眠りの魔法をかけられたのだ。
 魔法使いは嘆息し、ほんの少し魔力を高めた。すると、周囲の火はたちどころに消えてしまった。
「顔があったら、あなた、今、真っ赤でしょうね。照れ隠しに雷魔法を連発するなんて、子供っぽいんだから」
 魔法使いの視線は『勇者の剣』に向いていた。セレスの腕の中の魔法剣は、小刻みに振動していた。わなわなと震えている人間のように。
「素直におなりなさいな。女勇者様が愛しいのでしょ? あなたが愛したラグヴェイの末裔……その血だけでも愛しいでしょうに、けなげで真面目で純粋で……女勇者様って可愛いですものね。あなた、女は大嫌いだったけれども、もうセレス様が女でも構わないのでしょ? ランツを失った後、あなたは十数年、孤独だった。誰のものにもなれず、主人の居なくなった部屋で過去を振り返り、思い出に浸るしかなかった……。でも、今は違う。女勇者様の物になれて嬉しいはずです。その気持ちを正直に表さないと、持ち手に伝わりませんよ」
 セレスの腕の中で魔法剣はしばらく振動を続け、やがてぴたりと止まった。辞書一冊分の重量となって。
「女勇者様、あなたはその剣に愛されています。あなたが心から望めば、その魔法剣、あなたを何処へなりとも運んでくれますよ。仲間も一緒に連れて行きたいと願えば、その通りにしてくれます。今、居るのはシャイナの竹林ですが、瞬く間にエウロペだろうが、ケルティだろうが好きな所に跳べますよ」
「好きな所へ……? じゃあ、アジャンの所へでも?」
「あなたが真剣に願い、仲間の居る場所を具体的にイメージできるのなら……」
 セレスの脳裏に、夢で見た光景が甦った。夢の中でセレスは風となり、深い雪の森の中を走っていた。森の奥には洞窟があった。入口が不思議な文字が刻まれた大岩に塞がれている洞窟。アジャンはあの洞窟のそばにいる。鞘ごと岩に刺さっている大剣『極光の剣』を手に入れるべく。
「……できます」
「では、すぐに目的地へ行けますよ。女勇者様、あなたの剣は(たぐ)(まれ)なる魔法剣なのです。その事を忘れてはいけません。敵を浄化する以外にも、もっと剣を使ってあげなさいな。求められれば、その剣、喜びますよ」
「剣が喜ぶ?」
「ええ。『勇者の剣』は勇者の為に存在しているのです。今はあなたの為に働くのが、剣の生きがいなのですよ。あなたが剣と心を一つにすれば、剣はあなたに応えるべく無限の力を発揮します。剣は移動魔法を使えますし、防御結界も張れます。攻撃魔法も放てます。敵を弱体化する事と持ち手を癒す事やその能力を向上させる事はできませんが、それ以外の魔法は全て使えると考えて差し支えないです。勇者は地上最強の存在です。『勇者の剣』と心を一つにした時のランツは、それはもう、バカみたいに強かったですから。私とカルヴェルが二人がかりでも(かな)わないほどに、ね」
「え?」
「この地上の誰も、勇者と『勇者の剣』のコンピには(かな)いません。大魔王ですら、お二人の前では雑魚に過ぎないでしょう。剣を信じ、剣を愛しなさい。その愛に剣は応えます。道は開けますよ」
 セレスはポカーンと口を開き、ニコニコとカルヴェルのように笑っている人物を見つめた。
「……ありがとうございます、魔法使いナーダ様」
「いえいえ。ただ、旅立ちの前に、一つだけお願いがあるのですが……」
「何でしょう?」
 魔法使いは、セレスでも『勇者の剣』でもないものに、チラリと視線を走らせる。
「今日、私に会った事を内緒にして欲しいのです。あなた方のピンチを救った『勇者の剣』が、そこの重傷の二人も助けたって事にしてほしいのです。『勇者の剣』には治癒能力はないから……そうですね、『勇者の剣』がインディラ寺院に一同を運んでくれて、そこの僧侶に癒してもらったという事にしておいてくれませんか?」
「え? どうしてです?」
 魔法使いは、困ったように笑みを浮かべた。
「私にもちょっと複雑な事情がありましてね……あまり今世に介入すべきじゃないんですよ」
「はあ」
 セレスは頷いた。
「わかりました、『勇者の剣』が全て助けてくれたんだって、シャオロン達には話します」
「すみませんね」
「いいえ、こちらこそご助力、ご助言、感謝いたします」
「シャオロン君達は移動魔法で運ばれれば、じきに目を覚まします。そういう風に、眠りの魔法をかけてありますから」
「はい」
「女勇者様、迷わず勇者としての道をお進みなさい。剣があなたを光へと導きます」
「はい! 魔法使いナーダ様もお元気で……」
 セレスは腕の中の『勇者の剣』に、まず、もう二度と置いて行かないと詫びた。勇者として生きる自分は常に剣と共にあり、剣に恥じぬ生き方を選ぶよう心がける。
 だから……
 力を貸して欲しいと願った。
 シャオロン達と一緒に、『極光の剣』が眠る洞窟に送ってもらいたい……
 仲間(アジャン)を救う為に……共に戦って欲しい……
 剣に、切にそう願った。
『勇者の剣』が魔法の波動を発する。
 剣の発する魔法の力が、セレスや今は眠っている男達を、包み込んでゆく。
 移動魔法で運ばれる前に、セレスの視界の端に寂しそうに微笑む魔法使いナーダが映った。魔法使いはセレスの左側で眠っている者――シャオロンかガルバを見ていた。
 そういえば、何故、『勇者の剣』は魔法使いナーダの元へ一同を送ったのだろう? 魔法使いの口ぶりからすると、魔法使いは祖父ランツの事も『勇者の剣』の事も、よく知っているようだが……?
(まさか……)
 ある疑念が生まれた。しかし、それを口にする間はなかった。すぐに、セレス達は魔法剣の力によって竹林から別の場所へと跳んでしまった。


「アレクセイ様……」
 声が聞こえる……
「アレクセイ様……お目覚めになって」
 耳に心地よい可憐な声が聞こえる……
「教えてください、何があったのです? どうして、私を襲ったのですか?」
 近衛少尉アレクセイは、重たい瞼を開いた。
「セレス様……」
 周囲は闇だったが、すぐそばに金の髪の乙女がいた。この十日、彼女の眼を覆っていた包帯が解かれている。美しいサファイアの瞳が、悲しそうにこちらを見ている。
「セレス様、お目が?」
「そんな事よりも教えて、アレクセイ様、一体何があったの? 何故、私の命を狙われたのです?」
「すみません、セレス様、私にも何が何やらわからぬのでござりまするが」
 古語まじりの共通語で、近衛士官は答えた。
「突如、頭の中に声が聞こえたのでございます」
「声が?」
「『女勇者とその仲間を殺せ!』と、それだけが繰り返し……。最初は小声だったのですが、だんだん大きくなり、最後には耳元で怒鳴られているかのような大声となり、その言葉しか聞こえなくなったのです。『殺せ!』、『殺せ!』、『殺せ!』と。そんな命令に従うわけにはまいりません。頭を抱えて声に抗っていたですが、そのうち体が勝手に動き出して……ああなってしまった次第で」
「あなただけではなく、王宮中の人間が狂っていたわ。皆、武器を手に私を殺しに来てたの。料理人や女官までもよ。どうしてなのかしら?」
「わかりませぬ。が、多分、皆、あの声に踊らされたのでしょう」
「アレクセイ様、その声が聞こえた時、何をなさってたの? 私の警護?」
「いいえ、その時間は私は休憩時間でしたので、王宮内の大聖堂に居りました。特別ミサの時間でしたし……大司教様は残念ながら病とのことでご欠席でしたが、聖誕祭の恒例のミサでございましたから、王宮中の多くの者が出席しておりました」
「ミサ……」
「司教様のお話を伺っていました」


 それやもしれぬな……


「え? セレス様、今、何かおっしゃいました?」
「いいえ。でも、アレクセイ様、ミサに参加できる方って、ご身分の高い方々だけでしょ?」
「ええ、当然です。王宮内の教会ですから」
「料理人や女官とか……召使のケルティ人のシベルア教徒はミサの時間、どうしていたのでしょう?」
「むろん、仕事をしていたでしょう」
「彼等には大聖堂内の司教様のありがたいお話を耳にする機会すらなかったというわけですね?」
「はい。しかし、本日のミサは聖誕祭前の特別ミサです。神の恵みと祈りがこの王宮中に満ちるよう、司祭様方のお心づかいで、鐘や鈴が鳴らされました。その神の国の音色を聞けば、ミサに参加できなかった者も、祈りに参加した事と同じになりますゆえ」
「鐘の音……? 教会の鐘楼の?」
「ええ」
「鳴ったのですか? 今日?」
「はい。聞こえませんでしたか? 五分ぐらい続けて鳴っておりましたが?」
「聞こえなかったわ」
「さようにござりまするか? では、眠っておられたのですね。セレス様のご寝室からならば、とてもはっきり聞こえたはずですから。王宮中が鐘の音に包まれておりました。鐘の音が届かぬ離れの建物内でも、司祭様達がその時刻に鈴を鳴らしてくださったはずです。皆が共に天の国の音楽を聞けるように」


 忍者ジライは眉をしかめ、半睡している近衛少尉を睨みつけた。幻術にかかっている士官は、ジライではなく、幻のセレスを見つめていた。幸せそうに微笑んでもいる。
 煙幕をはって暗殺者達から逃げる時、ジライはこの近衛少尉も共に運んでいた。情報収集の為だ。
 アレクセイと共に屋根裏に移動してから、ジライは包帯を捨て、隠しておいた忍装束に着替えた。気絶していたアレクセイをその場に残し、忍の技で身を潜めつつ王宮中を渡り歩いたのだが……
 王宮中の人間が狂っていた。 
 武器を手に練り歩く彼等は、甲高い声でヒステリックに笑ったり、挨拶するかのようにそこかしこで殺し合いを始めたりしていた。貴族対召使の対戦が多かったが、必ずしもそうではなく、貴族同士で互いを刺し合っている組み合わせもあった。
 血みどろの争いは、どちらかが絶命すれば終わる。しかし、中にはどんなに斬られても血の一滴も流さない者もいた。残虐な衝動のまま対戦相手を切り刻むその者らは、もはや人ではなかった。黒の気の誘惑に己の心を明け渡したもの……魔人となり果てていた。
 そして、嫌な予感は的中していた。扉や窓など外界と建物の境には、逃亡防止用の攻撃魔法が仕掛けられており、壁や床や天井には結界が張られていた。トゥルクでハーレムに閉じ込められた時と同じだ。内側から外へ向けたあらゆる攻撃・魔法は全て結界にはじかれてしまう。
 ナーダの部下のうち、ジライ役とシャオロン役の二人の忍の死は確認した。女勇者を狙い現れた暗殺者達に、殺されたのだろう。残りの忍は襲撃を受けた時に変装して難を逃れたのか……さもなくば王宮の他のの人間同様、心の声に踊らされ、殺戮の輪に加わったのだろう。
 逃亡の(すべ)はなく、ナーダの部下達の行方はわからない。
 ジライは来た道を戻り、ちょうど覚醒しかけていたアレクセイに幻術をかけた。セレスの幻を見せ、セレスの声で質問したのだ。セレスに好意を抱いている近衛将校の口は軽く、知っている限りの情報を教えてくれたのだが……
(鐘の音など、我には聞こえなかった……妙だな、我は眠ってはいなかったのだが)
 ジライは何気なく体をかがめ……すばやく腰の『小夜時雨(ムラクモ)』を抜刀し、背後の空を斬った。刀身から雨が降る……
「きゃあ!」
 神秘の水を浴びた者が、ばったりとその場に倒れた。くノ一のローラだ。その体に巣くわせていた黒の気を浄化された衝撃は激しく、ナーダの部下は意識を失っていた。
 続いてジライは、その場で『小夜時雨(ムラクモ)』を振るい、四方より飛来する手裏剣を弾いた。
 周囲に忍が潜んでいる。
 ナーダの部下は全部で十二人、王宮に居た。死亡した二人、倒したローラを除いて、後九人。九人全員が敵に回っている可能性がある。ナーダと共にいるムジャとヤルーは乱心した場合、まずはナーダを狙うだろう。その二人をとりあえず除いて考えても、忍者は後七人。現在、ジライを取り巻いている殺気は四つ……
(殺すのなら易いのだが……)
 北方諸国に居る間は、ナーダの忍を部下として使える。今後も手足として使える彼等を、殺したくはない。
 と、なれば、手は一つだ。接近戦をしかけ、『小夜時雨(ムラクモ)』の浄化の水を浴びせて、魔族の呪縛から解放してやるのだ。
(真に魔に憑依され体を奪われたのならば、一握の塩を残し消滅する。だが、魔の瘴気にあてられ、操られているだけなのであれば……)
『小夜時雨(ムラクモ)』を右手に、ジライは狭い屋根裏を風のように駆け、己の命を狙っているインディラ忍者に刃を向けた。
+注意+
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