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女勇者セレス 作者:松宮星

勇者として

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彷徨う光 6話

「大丈夫、ナーダ?」
 貧血を起こして蹲っていた武闘僧は、微かに顔をあげた。
 セレスとシャオロンが、心配して駆け寄って来ている。気持ちは嬉しかったが、二人とも目に悪い踊り子姿だ。意図的に二人から顔をそむけ、ナーダは立ち上がろうとした。
「……大丈夫です」
「けど、ナーダ様、真っ青ですよ」
 シャオロンの手を拒み、武闘僧がよろよろと立ち上がる。
「全然、平気です。でも……魔法は開店休業しますね。ご用の方は、二、三日後にお申し付けください」
「そういうふざけた口がたたけるのなら、大丈夫だな」
 アジャンが意地の悪い笑みを浮かべ、近寄って来る。
「クソ坊主、肩ぐらい貸してやろうか?」
「……遠慮させていただきます」
 どうせならジライの肩を借りたいと思ったものの、忍者の姿は見当たらない。
「おや、ジライは?」
「ジライさん、情報収集に行きました。ハーレム以外の建物の中を調べてくるそうです」と、シャオロン。
「あ! そうだわ!」
 そこで、セレスがポンと手を叩く。
「ナーダ、歩ける? 歩けるようなら、みんなでハーレムに行きましょう」
「げっ」
 武闘僧と赤毛の傭兵の顔が青ざめる。
「この馬鹿女! 男の俺達がハーレムなんぞに行けるわきゃねえだろうが!」と、アジャン。
「大丈夫よ、今は。宦官警備兵は全員浄化しちゃたし、女性達はお部屋に籠られているもの。ね、行きましょ、地下室にお師匠様のお知り合いの、すごい魔法使い様がいらっしゃるの。その方が、私達をイグアスから守ってくださったのよ。ねえ、ナーダ、聞いて。その方ね、あなたと同じ名前なのよ。しかも、話し方までよく似ていて、声までちょっと似ているの。それで……」


 一行がハーレムの地下室の扉を開いた時……
 地上に太陽が落ちたかのような、光の洪水が扉の内より迸った。
 眩しさに目を細めつつ、セレスとシャオロンが急ぎ地下室へと飛び込む。その後を武闘僧と赤毛の戦士が続いた。
 螺旋階段から地下を見下ろすと……
 魔法陣からまばゆい光があふれているのが見えた。その中央に居る者の、床まで届きそうな黒の長髪、黒の魔法使いのローブが共に揺れ動いている。
 やがて、光が陰り出す。
 又、眩しさに慣れてきた事もあって、目を開く事ができた。
「!」
 武闘僧は愕然とし、手すりから身を乗り出して、魔法陣の人物を見つめた。その者の顔は……彼がこの世で唯一慕っていた女性に、あまりにも酷似していたのだ。
(母上!)
 ほんの一瞬だけ……魔法陣の者とナーダの視線が合う。魔法使いは涼しげな笑みを浮かべた。その表情は……二十数年前に亡くなった母が、幼い自分によく見せてくれた顔……
 光が消える。
 魔法陣と、そこにたたずんでいた人物を連れて。
 後には、ただ……
 岩で造られた堅固な地下室が残る。
 そして、螺旋階段の下には、長い白髪白髭の黒のローブの魔術師がたたずんでいた。
「お師匠様!」
 セレスが、螺旋階段を駆け下りる。
「お師匠様、どうして、ここに?」
「おお、セレスよ、なかなかそそる恰好をしておるのう」
 老魔術師は、いつものニコニコ顔だ。
「その踊り子スタイルでセクシー・ポーズをとると得点が高いぞ。どうじゃ、試してみんか?」
「ふざけないでください! お師匠様、魔法使いのナーダ様は一体、どうされたのですか?」
「あやつか? あやつは……」
 カルヴェルは首を傾け、背後を見やった。そこに、ほんの少し前まで魔法陣があったのだ。
「次の場所に行った。おそらくは、シルクドの砂漠のド真ん中じゃ。わしの計算が正しければ、そこに三日ほど居るはず」
「……旅立たれてしまったのですか」
 セレスは、がっくりと肩を落とした。
「まだ何もお伝えしていないのに……感謝の気持ちも何も……イグアスを倒せたのは、あのお方のご助力があったからなのに」
「礼の言葉なら、わしから伝えておこう」
 手にしていた杖に体重を預け、魔術師は明るく笑った。
「あやつも、若い者達と話せて楽しかったと言うておったわ。ここ数年、話相手はわししか居らんかったからのう、わしもあやつもお互い、顔も見飽きとる」
 ホホホホホと笑ってから、老魔術師は視線を螺旋階段の武闘僧に向けた。睨むようにカルヴェルを見つめるその顔は、物問いたげだった。
「ナーダよ、こっちに来い。無茶な魔法を使って、魔力が枯渇しておるのだろ? 元気の出る薬をやるから、ちょいと話し相手になれ」
 糸目を細め、武闘僧が階段を下りてゆく。
「セレスよ。間もなく、ハーレムのおなご達も日常に戻る。ここは再び、男子禁制の館になるのじゃ。騒ぎが起きる前に、赤毛の傭兵達をここより連れ出せ」
「あ、はい」
「ナーダはわしが後で移動魔法で送ってやるわ。ついでにおぬしとシャオロンの服と鎧も、の。わしは、まだ、ここで、ちとやる事があるでの。わしらに構わず、はよ出て行け」
「はあ」
「何、ふぬけた顔をしておる? はっきり言って、これからが大変なのじゃぞ。スルタンや大臣達を失ったこの国を、女勇者たるおまえが導いてやらねばならぬ。生き残りの官僚を集め、スルタンの血筋の者を探させ、国を建てなおす手助けをするのじゃ」
「う!……頑張ります」
「ま、そういう七面倒くさい事は、武闘僧が得意じゃ。後でいっぱい知恵をつけてもらえ。今はジライと合流し、王宮の現状を把握しておくべきじゃな」
「わかりました、それでは、お師匠様……又」
 ぺこりと頭を下げ、女勇者は東国の少年と赤毛の傭兵を伴って地下室を後にしようとした。
「おお、そうじゃ、赤毛の傭兵」
 声をかけられた男が肩越しに振り返る。
「今日は、たまたまうまくいった。魔法使いナーダ殿の助けもあったからの。じゃが、次もうまくいくとは限らぬ。忘れるな、おぬしは魔に好かれやすい。魔除けのペンダント、つけるべき時につけねば、魔に捕まるぞ」
 赤毛の傭兵は肩をすくめ、薄く笑う。
「つける時ぁ、つけるさ」
 それだけ言って、セレス達が廊下に出てから、赤毛の傭兵は扉を閉ざした。
 地下室には、武闘僧ナーダと大魔術師カルヴェルだけが残った。
 二人っきりになってから、ようやくナーダは口を開いた。
「……どういう事なのですか?」
「どうとは?」と、カルヴェル。
「魔法使いの装束でしたが、先程の方は伯父上でしょ? 伯父上は魔法陣に封印されているのですか? 私の部下のガルバは、大魔王との戦いの後、伯父上はインディラ寺院での生活を厭い出奔したのだと……そう信じているようですが?」
「伯父上? 僧侶ナラカか? ナラカが何処に居る?」
 魔術師はおどけて、肩をすくめた。
「ここに先程まで居ったのは『魔法使いナーダ』殿じゃ。本人がそう名乗っておったからの」
「カルヴェル様!」
「何ゆえ、昔、あやつが姿を消したのか知りたくば、本人に問え」
 にんまりと老魔術師が笑う。
「おぬしとて、前に言うていたではないか、『出奔についての弁解は本人から聞きたい』と」
「しかし……」
 武闘僧は、視線を床に落とした。
「伯父上が魔族の罠に囚われ、戻りたくても戻れない状態にあったのなら……私の憎悪はお門違いもはなはだしいです。ずっと母の死の遠因は伯父上にあるとお怨みしていた私は……」
 次期大僧正候補の地位を捨て、たった一人の身内である妹も忠義の部下のガルバも捨てて、出奔した僧侶ナラカ。
 大魔王との戦いで殉死したと世に信じられていた伯父が生きていると知った時……ナーダは伯父を憎んだのだった。ナラカが大僧正候補として寺院で確たる地位に就いていてくれれば、父も母を軽んじる事はできなかったであろうし、第二夫人アヌラーダやその一族が母や自分の命を狙う愚挙に出なかったろう。
 そう思い続けていたのだが……
 カルヴェルは、ホホホと愉快そうに笑った。
「あやつは不良坊主じゃったからなあ。『大魔王を倒したら、自由を求め、出奔します』が口癖であったし。あやつが行方不明となれば、皆、逃げたなと思うのも道理」
「……カルヴェル様」
「言っておくが、あの長髪も魔術師のローブも変装ではない。坊主のくせに、髪は伸ばすわ、僧衣は着ないわ、攻撃魔法は覚えるわ、酒は飲むわ、女は抱くわ、博打好きだわの、見事なまでの破戒坊主じゃった。色の道ではわしやランツと違って一般人じゃったが……あれは、わしとランツのかわいい義弟じゃ。今も、その気持ちに変わりはない」
「……何があったのです?大魔王を倒した時に、何かあったのでしょう?」
 カルヴェルはゆっくりとかぶりを振った。
「直接、本人に聞け。もう間もなく、あやつの封印は解ける」
「何時です?」
「セレスがケルベゾールドを倒した時に」
 ナーダは息をのんだ。
「……そういう封印なのですか」
「うむ」
 老人は遠方をみやるように顔を上げた。
「三十五年待った。もう間もなくじゃ。あやつが解放されるのは……」
 せつなそうな表情は、すぐに消えてしまう。いつものニコニコ笑いとなり、カルヴェルは右の二の指を口の前に立てた。
「良いか、ナーダ。ナラカが封印されておる事は、ガルバには内緒じゃぞ。知ればあの忠義者、まったく関係ないというのに、お守りできなかったのは自分の(とが)とか何とかわめいて自害しようとするに決まっておる。わしはナラカから真実をガルバには教えるなと頼まれていてな、それで、ナラカは自由を求め出奔したのだとガルバに嘘を教えたのだ」
「………」
「あの頃、ガルバには、インディラに愛妻と三つになる息子がいた。それゆえ、出奔するのなら何処までもついてゆくと言うていたガルバを置いて、ナラカは一人で出奔したのだと……もっともらしい理由まで添えてあやつを騙したのだ」
「………」
「つまり、おぬしがナラカに不当な憎悪を抱いたのは、わしのせいなのじゃ。ま、その事で幾らわしを責めてもかまわぬ。しかし、ガルバには」
「カルヴェル様」
 武闘僧は左手をスッとあげて、神獣の装甲と手首の間につけた腕輪を老人に見せた。
「……この腕輪、とても役に立ちました。結界魔法が不得手な私が、神の御力に満ちた高位の結界が張れたのですから」
 右の指先で腕輪を弾き、ナーダはにっこりと笑う。
「口止め料として、これ、貰っておきますね」
「………」
 しばしの無言の後、カルヴェルは体を揺すってホホホホと愉快そうに笑った。
「さすがナラカの甥じゃ! 性格の悪いところが、ほんにそっくりじゃ。おぬし、見た目はムサイがの」
「ほっといてください」
「よい、よい。それはやる。ナラカの甥ならば、義兄のわしの甥でもある。かわゆい甥にプレゼントする」
「気持ち悪い事を言わないでください。あなたが伯父だなんて、まっぴらです」
「ホホホ。おぬし、だいぶ元気になったようじゃの? そろそろセレスの元へ戻るか?」
「あ、戻る前に二つ質問があります」
「何じゃ? ナラカのことはもう教えぬぞ」
「いえ、その事ではありません。一つ目は、アジャンにカルヴェル様が与えた祝福の魔法についてです。アレ、どれぐらい効果がもつものなのですか?」
「半日じゃ。その魔法を十回分、あやつにやった」
「半日ですか……たいしたものですね。私の魔法では五分ぐらいしかもたないのに」
「わしは大魔法使いじゃからの」
 えっへんと、老人が胸をそらせる。
「ついでに教えてください。アジャン、その魔法を、何を代償にして買ったのですか?」
「『聖王の剣』を貸した時と同じよ。わしが願った時、あやつはわしの願いを何でも聞く。そう約束した。これで二度、わしは好きな時にあやつを思うままに使える」
 カルヴェルとそんな約束をするなんて、アジャンも命知らずな……と、ナーダは思った。
 次に、武闘僧は二の指と三の指を立てて、真剣な表情となってカルヴェルに顔を近づけた。
「お尋ねしたいことの二つ目は……非常に重要な事です。おちゃらけないで正直にお答えください」
「わかった」
「カルヴェル様、ご所有の聖なる武器……『エルフの弓』をご使用になれますか?」
 老人はあっ軽く、ニカッと笑った。
「使えるわけなかろうが、このわしが! あの弓の装備条件は『心の美しさ』じゃぞ」
 ナーダの顔が、パッと明るくなる。
「そ――ですよね、カルヴェル様は、かなり(よこしま)な性格なさってますものねえ」
「おぬしには負けるがの」
「いえいえ、私ごとき若輩、カルヴェル様の足元にも及びません」
 あ〜良かったと、胸を撫で下ろす武闘僧。ほんの少し、カルヴェルの事が好きになりそうな気分だった。
「聖なる武器の持ち手選びの基準は、人間の基準からかけ離れることがままある。ジライは、まあ、表面こそ邪悪じゃが、その実、中身はからっぽ。それ故、『エルフの弓』に嫌われずにすんだのじゃ」
「カルヴェル様……」
「『エルフの弓』が厭うのは、他を押し退けて己の利を求める心よ。競争心、羨望、憎悪、支配欲、など。他人を陥れる陰謀が大好きなわしやおぬしでは、とてもあの弓、持てんな」
 武闘僧は、ジロッと魔術師を睨んだ。
「私が『エルフの弓』を使うジライにショックを受けたのをご存じって事は……覗いてましたね? 私達の戦いを、千里眼で見てたんでしょ?」
「覗くも何も」
 カルヴェルはホホホと笑う。
「今回の戦い、お膳立てしたのはわしじゃ」
「は?」
「セレスをシャオロンやジライと共にハーレムに送り込んだのはわしなのよ」
「何ですって?」
「今日の昼間、ナラカ……おっと、そうではない、魔法使いナーダ殿がハーレムに現れる事はわかっておった。セレス達をハーレムに送り込んで、魔法使いナーダ殿と合流させておけば、セレスを救出する為、おぬしがハーレムのイグアスの結界を壊すであろうと読んでな」
「………」
「外から結界を壊してもらえれば、ハーレムより魔法使いナーダ殿も外に向けて魔法が放てるようになる。セレスに加勢ができる。そう思っての策じゃ」
「………」
「魔法使いナーダ殿が居らねば、今日、おぬし達は負けていた。イグアスの魔力は……このわしには及ばぬが、この世界の基準でいけば最高位じゃ。魔法使いナーダ殿がイグアスの内面に魔法攻撃を仕掛け続けて助力せねば、強力な魔法を連発され、おぬし達は全滅しておった。仲良くあの世に逝っていたであろうよ」
 ホホホと笑う老人を、武闘僧が糸目で睨む。
「……魔法使いナーダ殿の役目を、カルヴェル様がなさっても良かったのではありませんか?」
「わしは駄目じゃ」
 チッ、チッ、チッと、老人は指を振る。
「今のわしは隠居の身。面倒な戦闘など、馬鹿らしくやっておれんわい」
 声を上げて笑う老人を見つめ、ナーダは溜息をついた。
 不真面目で、物事をおもしろおかしくしようとする老人。その本心が何処にあるのか探るのは、砂地に水を流すような……むなしい行動のように思われた。


 王宮中に死骸があふれていた。
 国の要であった大臣はほぼ全員、高官達も半数近く殺され、魔に堕ちていた宦官達は全員死亡。ハーレムには国を継ぐべき王子も居ない。惨憺たる有様だった。
 セレス達は国内から人材を探し、隣国の同じ宗教圏ペリシャと宮廷魔術師の心話を通じて密に連絡を取り合った。慣れぬ習慣、慣れぬ宗教にとまどいながらも、セレスは祖母の国の為に懸命に働き、従者達も協力した。あの赤毛の傭兵ですら既知の傭兵長を通じて軍隊の建て直しの指揮にあたったのだ(それ以外は手伝おうともしなかったが)。
 一ヶ月半後、先々代のスルタンの血を引く王子をペリシャより迎え、(後宮で生き残っていた)トゥルクの姫と娶わせる事で、国の体裁を整える手筈は整った。後は仮即位式(本当の即位式はスルタンの喪の明けた一年後に行われる)を見届けるだけとなった。


「このペリシャ語の式辞を暗記しろって言うの?」
 セレスは真っ青になった。
「共通語じゃだめ? じゃなかったら、トゥルク語。トゥルク語なら、どうにか……」
「いけません」
 武闘僧は、にべもない。
「本来、ペリシャ教圏で女性が人前に立つ事はないのです。その禁忌をあえて犯し、新政府は国を救った女勇者を式典に招いてくださるんですよ。トゥルクでは公式の場ではペリシャ語が公用語なのですから、しっかり覚えてください」
「無理よ〜」
 ナーの渡した紙には、びっしりとペリシャ語が書かれていた。千文字はありそうだ。
「ならば、セレス様、私めが代わりに述べましょう」
 いつものように背後から忍者が話しかけてくる。しかし、今日ばかりは殴る気になれない。忍者の声がコロッと女性のものに変わったからだ。
「頑張って練習してみたの。ちょっと聞き苦しいけど、どうかしら、シャオロン?」
「わ! すごいです、ジライさん! セレス様の声に聞こえます! 風邪気味っぽいけど!」と、シャオロン。
「ね、セレス様、私が隠れてこれを読むわ。私、忍者ですもの、ペリシャ語もペラペラよ。セレス様は式典でしゃべるフリだけしてくださればいいわ」
「ああああ、ありがとう……ジライ。今日は、あなたの背中に天使の翼が見えるわ……」
 セレスは目をきらきらと輝かせ、しっかりと忍者の両手を握り締めた。
 しかし……
「駄目に決まってるでしょ! ズルはいけません、セレス! 勇者のくせに、そんな不誠実な態度が許されるとでも思ってるのですか!」
「ナーダの意地悪!」
「そうよ、そうよ、横暴だわ、ナーダ!」
「気持ち悪いから、セレスの声真似はやめてください、ジライ! 式典まで後二日! セレス、しっかりペリシャ語のお勉強をしましょうね! 私が見てあげます!」


 泣き言を漏らすセレス。
 怒鳴るナーダ。
 茶々を入れて勉強を妨げるジライ。
 何でも感心するシャオロン。
 彼等から離れ、赤毛の傭兵は昼寝をしていた。大剣をすぐそばの壁にたてかけ、魔除けのペンダントをつけて眠る彼は穏やかな顔をしていた。その腰には、魔法を封じた小瓶入りの袋がぶら下がっていた。
『彷徨う光』 完。

次回は『新盆』。舞台はトゥルク。
邪法を用いる新盆をしたいと願うジライ。セレスは彼の為にナーダに……
+注意+
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