◆BOYS LIFE◆(29/33)縦書き表示RDF


疾風視点。
◆BOYS LIFE◆
作:春蘭



第29話 仲間はずれ





 時おり、無力な自分に泣きたくなる。

 思えば俺は、ひとり蚊帳の外だった。


 そう、いつだって。






 PiPiPiPi…♪

 鳴り響くのは、聞き慣れたアラーム。耳をつんざくそれに、脳が少しずつ覚めてゆく。俺は枕元にある目覚まし時計を、やや乱暴に掴み、音をとめた。
 気だるい身体をゆっくりと起こし、手のなかにある時計を見る。短針は7を指していた。

「……なんで休日にこんな早く起きなきゃいけないんだ」

 セットしたのは自分なのに、文句をこぼす。出てきた声は掠れていた。そういえば、喉がカラカラである。だけど動くのがひどく億劫で、俺は再び枕に顔を埋めた。
 カーテンの隙間から入る陽射しが眩しい。柔らかくて、穏やかで。また眠りに誘われる。

 ───夢を見た。

 あまりに朧げな夢。覚えていないのに、胸が哀しみと孤独感に蝕まれている。どうして、こんなにも。

「……遥、どうなったかな」

 小さくこぼす。
 結局昨日、彼は戻ってこなかった。追い掛けることは、しなかった。
 来斗のもとに行ったのだろうか。話せただろうか。昨夜はどこで寝たのだろうか。
 疑問が頭をかけめぐる。どうして朝から脳を働かせなきゃいけないんだ。
 ――面倒なやつら。
 なんだかムカついたので、頭のなかで殴っておく。ちょっとスッキリした。

「喉痛ぇ…」

 渇きを訴える喉。いつもならルームメイトに頼んで水でも持ってきた貰うが、生憎彼の姿はなかった。
 ――なんでいないんだよ。
 理不尽な怒り。矛先はいつも相手に向かう。そう、いつだって。


(もう、縁切りだ)

 病室でそれだけ言って、来斗は踵を返した。離れてゆく背中。追い掛けることも止まることも罪のよう。

(ちょっ、来斗)
(疾風、お前もそうしたほうがいいぜ)
(タケ……)

 痛々しく赤い頬。包帯が巻かれた左足。理由なんて、聞かなくても分かる。

(人殺しと一緒にいたいか?しかも寄りによって親友の妹だぜ)
(殺しって、違うだろ。お前は……)
(俺のせいだよ。俺が佳奈を盾にしたんだから)
(ッ!)

 そんな訳ないって、分かってたのに。タケがそんな奴じゃないと知ってたのに。
 どうして俺は、気付けなかったんだろう。彼の瞳の哀しみに。

(お前は殴らないんだな。まぁ佳奈と直接的な関係はないから、それほど悲しくないか?)
(うるせぇ!)

 笑うタケに感じたのは怒りだった。その神経に、多分かなりキレていたと思う。
 病室から去ろうとする俺に、タケが最後に言った言葉。

(本当に、馬鹿だよお前等)

 その意味を俺は掬えなかった。
 何も言わない来斗。
 嘘ばかりつくタケ。
 二人が溺愛してた佳奈。

 じゃあ俺は、なに?
 俺はどこにいて、何してるんだ?

 気付いてなかった孤独を知ってしまった。
 俺はいつも、後ろにいた。

 並んでなんかなかったんだ。





「なんで今、思い出すかな」

 このせいで、今日は丸々憂鬱だ。俺は盛大なため息を吐きだす。チクショー、夢の内容もこれか?

 俺は卑怯だ。だって三人バラバラになんてなっていない。二人が引き裂かれただけだ。
 独りが怖くて、俺は来斗に寄りそった。タケと、距離をつくった。
 あの時するべき行動は、他にあったのに。



(重さなんて関係ないよ)


 そう言った遥の顔が、何故かいま脳裏に描かれる。欲しかったのは、そんな言葉だったのかもしれない。
 普段こんなに頭使わないから、余計に苦しくなる。だけど、こんなにも涙腺が緩むのは

「…頭痛ぇ……」

 きっと、寝起きのせいだ。


本当は知ってたんだ。気付かないふりをしていただけで











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