よく晴れた青空の下、深刻そうな顔をした二人の男女が、町の隅の寂れた喫茶店に入っていった。
邦夫と恵美の二人は、いわゆる恋人という関係だった……今、この瞬間までは。
二人は喫茶店の端の席に腰をおろすと、コーヒーを注文した。
邦夫は相手の顔を見ないようテーブルを眺める。そんな二人の視界に、湯気と共にコーヒーが静かに置かれた。
邦夫は数分の間、黒く底の見えないコーヒーの表面を眺めた後、意を決したように顔を上げ、恵美の下を向いた顔を見つめる。
邦夫は乾いた唇を湿らせるように、舌で2、3度なぞると口を開いた。
「もう別れよう……」
恵美が弾かれたように頭を上げ、邦夫の顔を見つめる。
「えっ……どうして? どうしてなの?」
邦夫は眉間に皺を寄せ、何かを振り払うように目をそらし、窓の外の風景を眺めた。
「もう……僕らは終わったんだ」
恵美はテーブルの上に置いた手を、白く変色するほど握り締める。
「そんな……嘘……」
呆然とする恵美から顔をそらしたまま、邦夫は席を立った。
「じゃあ、元気で」
邦夫の言葉に恵美も立ち上がる。その拍子にテーブルにぶつかりコーヒーカップがガチャンと音を立てた。
恵美はすがるように邦夫の腕を両手で掴んで涙ながらに叫ぶ。
「そんなの嫌! どうして急にそんなこと言うの? 私のどこがいけなかったの? こないだ貸した4万返して? もうやり直せないの?」
邦夫は何かを断ち切るように口を開いた。
「もう、終わったんだ」
それから邦夫は小さく呟いた。
「それと4万は後一週間待ってください……」
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