第2話:願い
彼が亡くなって1週間が過ぎた。彼が亡くなってからというもの、私は部屋から一度も出ていなかった。親や友人が私を心配して来るが、私は一言も喋らなかった。今でも言葉を忘れてしまったかのように、誰とも話していない。ただ私は泣いていた。泣いていないときはなかった。
私は食べるコトもしなかった。食事を出されてもぼんやり見るだけで、決して口に入れるコトはない。
あの日から私は自分を責め続けていた。周りがいくら私の所為じゃないと言っても、私は逆に自分を責めていた。彼の最後の瞬間が頭から離れなくて、私は夜もまともに寝ていない。
(もう彼はいないんだ……私の所為で。逢いたい……彼にもう一度逢いたい)
彼と今まで撮った写真を部屋で眺めながら彼に逢いたいと願い続けた。目を閉じると彼の笑顔が思い浮かぶ。彼の優しい声が聞こえてくる。
「どうすれば逢えるの?」
私以外に誰もいない部屋で天井を眺めながら小さく呟く。
「そんなに逢いたい?」
誰もいないはずの部屋に声が聞えた。とうとう声も聞えてきたんだと、私は自分がおかしくなったと感じていた。
「ねぇ、そんなに逢いたい?」
また声が聞こえた。私は何かおかしいと感じた。
(何で?どこから声が聞こえるの?)
少し恐くなった私は辺りを見回した。でもやっぱり誰もいるはずがない。
「ダメ、ダメ。探しても見つからないよ。ねぇ、そんなに彼に逢いたい?逢いたいなら逢わせてあげる」
そんな簡単に彼に逢えるなら逢いたい。そう思った私は姿の見えない声に向かって縋るように言った。
「逢いたい……彼にもう一度だけでいいから逢いたい」
「じゃあ逢わせてあげる。でも一日だけだよ」
声がそういうと、視界がいきなり歪み、私は深い眠りに就いていった。 |