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ご近所トラブル@殺人鬼 作者:omg
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2/10

2話

 ソファーに寝そべり、テレビを付ける。仕事が無い時は基本的には暇だ。こうしてニュースを見るくらいしかやる事が無い。

「今日はカリフォルニアで強盗事件が発生しました。しかし、そこに駆けつけたネイキッドマンの活躍により、無事、鎮圧された模様です」
テレビの中では股間部分に貝殻を付け、目の部分には蝶をモチーフとしたアイマスクのムキムキ男が、大勢のマスコミやファンに囲まれている。今はブロンドの女性がブラにサインを求めている最中だ。

「あんな変態のどこが良いのよ」
リサはテレビを見ながら愚痴を言った。今や世界各国に存在する、いわゆるスーパーヒーローの類は著名なものとなっていた。それもここ最近の事だ。しかし、映画のような悪役が居るわけもなく、解決する事件は殺人や強盗、ひったくりがそのほとんどを占める。

 リサもまた、そのスーパーヒーローの一人、忍者なのだ。だが日本という国は想像していたよりも遥かに平和な国のようで、彼女が請け負う仕事といえば、ストーカーを追い払う仕事や、酔っ払いの鎮圧、飼い猫の捜索なんてのもあった。そのためテレビの報道なんてものは無い。

 彼女は片手で船を持ち上げる。その体は銃弾を通さない。だが、彼女がその力や才能を発揮する場所は無い。要するに平和で、退屈なのだ。だが最近は退屈にも慣れてしまったのか、退屈だと感じる事も少なくなってきた。

「............ふあーぁ」
欠伸をし、ソファーに寝転がる。
「...............ん?」
外から男女の怒鳴り声のようなものが聞こえた。ゴミ捨て場付近で何やら言い争っている。
「............」
リサはベランダに向かうと、窓を開け、ベランダに出る。すると、僅かに臭いが漂っていた。手すりに肘を付き、想像通りの二人がそこに居る事を確認する。天使と悪魔の住人だ。

「ルー!アンタまた!煙草はやめろって言ったじゃない!」
金髪の女性が黒髪の男を叱り付けている。黒髪の男、ルーと呼ばれたそれは、聞く耳持たずといった様子で、うんこ座りをし、煙草を咥えている。

「別にいいだろ、俺の勝手だし」
ルーは煙を吐くと、人差し指をくるくるッと動かした。その煙は女性の頭の上で輪の形をとって、消える。
「ハハハハッ!!」
その様子を見て、ルーは笑ったが、女性の方は怒り心頭の表情だ。

「あ、アンタねッ.............」
「そんなんだから!天界から追放されるのよ!!」

「吸いだしたのは追放されたからだ!!」
「それにあれはお前のせいでもあるんだぞ!!」

「まだそんな事言ってるわけ?あれはアンタ一人でやったことじゃない」

「元はといえばお前が親父の浮気をバラしたからだろうが!」

「そりゃバラしたくもなるわ!アンタの馬鹿親父は私の母さんと付き合ってたのよ!?」
「おまけに母さんは私に彼女が居るんじゃないかとも疑ってたわ!」

「え?お前彼女居なかったの?」

「居るわけないだろうが!!殺すわよ!」

見かねたリサが口を開く。
「アンタ達、また同じ喧嘩してるの?ホント飽きないわね」

二人はようやくずっと見ていたリサに気付いたようで、女性の方がリサに助けを求めた。
「あ、リサ。おはよう」
「それでね?聞いてよ。ルーの奴また煙草吸ってるのよ?」

「知ってるわ。ここで見てたから」
「火を人類に与えたり、それで喧嘩したり、忙しい人達だこと」

「なぁ、お前からもアンジーに言ってくれよ。煙草は20歳から吸って良いってさぁ」

「20歳どころか、アンタら2000歳でしょうに」

「歳の事は言わないで!」
アンジーと呼ばれた女性は耳を塞いで、青ざめる。

「今更何言ってるの?てかいい加減にしないと、通報されるわよ?」
「頭のおかしなカップルが路上で言い争ってるって」
「そうなったら私がアンタらを捕まえなきゃいけないんだから」

「それは勘弁してくれ。天界からも追放され、ここも退去させられたら行くところが無い」

「だったら頭を冷やして、火も消す事ね」

ルーはしばらく黙り込むと、携帯灰皿に吸い殻を入れ、アパートへと戻って行く。アンジーも少し冷静になったのか、続いて戻って行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「............ふぅ」
見世物が終わってしまい、残念そうな顔でリビングに戻って行くと、玄関のドアが開けられる。入って来たのは、アンジーだ。
「............いらっしゃい」

「............お邪魔します」
彼女は何故だか浮かない顔をしている。どうやらリサにどうしたの?と聞いてほしいらしい。

「...............」

「...............」

「...............」

「...............」

「はぁ...........何よ。どうしたの」

「アタシって........もう歳なのかな?」
満を持して、彼女の口からはそんな疑問が出てきた。

「.............大丈夫よ。20代のような顔をしているわ」

「10代じゃなくて?」

「..............じゃあ、10代で」

「そんな感じなんだね..........」

「どうすりゃいいってのよ.............」
「そうだ。お昼はまだ?」

「..........まだ」

「じゃあ、食べに行きましょうよ。希望は?」

「ラーメン!!」

「OK。じゃ、行きましょ」

「奢り?」
アンジーは目を輝かせ、リサに聞いた。

「.............ええ。奢りよ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 お昼時からは少し時間が経っているので、ピークは過ぎていたようだ。すんなり店に入る事が出来た。

「大将!アタシ、チャーシュー麺ね!」
カウンター席に着くと、アンジーは我先にと注文する。

「私はつけ麺を」

「あいよ」
不愛想な店主だ。アンジーはここの店を気に入っているらしく、週に1度は来るという。

周囲の見回すと、スーツを着たサラリーマンが数人座っている。中には大学生のような若者も座って、リサ達の方をチラチラと見ていた。

「..............」
「どう?元気は出た?」

「それは食べないと分からないなぁ」

「.........アンタってホント、いい天使よね」

「なにー?褒めても何も出ないよー?」
満更でもない表情をアンジーは浮かべた。

「.........アンタってホントに天使よね?」

「?そうだけど?」
「まあ、ここに来て長いから、ちょっとは人間っぽくなったかもしれないけど」
そう言うと、アンジーはスマホを弄り始めた。彼女は飲食店に来ると、その様子を必ずSNSに投稿するのだ。SNSでの彼女の名前はアンジー@天使。ダブルミーニングになりかけている、かつ痛々しくなっている事に彼女は気付いていない。

「なんで降りてきたわけ?」

「何でも何も、人間の皆は勝手にどんどん進化していっちゃったし、もう天界じゃあ、何もする事が無いんだよ。だから視察っていう名目で遊びに来てるの」

「遊びに来たっていうか、もう永住する気にしか見えないけど」

「それも良いかもね」

「...........その気ならもう喧嘩するのやめたら?」
「仮にもアンタら昔付き合ってたんでしょ?木の槍で戦ってた時代に」

「昔の話だよ」

「............ええ。そうね。ホントに」

「それにルーはもう追放された身だし、アタシはそれなりの役職についているから」

「彼だって、それなりの役職についているでしょ?地獄とか.......冥界とかで」
「何でもナントカ世界の魔界を支配したとか」

「そ、天界の王子なんて言われてた彼も今じゃ、魔界のトップだってさ........」

「じゃあ、階級は向こうの方が上ね」

「..........もうこの話はやめやめ」
「そうだ、ねえリサ。この後買い物行かない?夏物のワンピースが欲しくてさー」

「............人間界は安泰ね」

「?どういう事?」

「天使は夏物の心配をしてるし、魔界のトップは煙草を吸って、元カノに怒られてるようじゃあ、この世界は安泰って事よ」













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