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ご近所トラブル@殺人鬼 作者:omg
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10/10

10話

「ありがとう。少々風邪気味でな」
優が帰って来たのは結局、朝になってからだった。彼は帰って来るなり佳子の部屋を訪れた。

「お礼はいいわ。こっちも金を貰ってるわけだしね」
佳子はお札をヒラヒラと振っている。その姿を怪訝な目で見る元と美樹。その視線に気付かなかったわけではないが、あえて何も言わなかった。

「いやいや、この薬は凄いものなのだろう?対価を払うのは当然だ」
優の見た目はそれほど悪くない。女性にもモテるだろう。胸に「大阪城」と大きく書かれているTシャツを外出でも着るような性格とファッションセンスの持ち主で無ければ。彼は漢字Tシャツを愛する、20代の男だ。20代の男と、年齢がはっきりしないのは彼自身も覚えていないからだそうだ。いわゆる記憶喪失である。幼い頃はおろか、数年前まで自分が何をしていたのかすら覚えていないという。

「優...........」
元は憐れむような目を向けた。

「............いいじゃないですか。知らない方が良い事もありますし」

「なんだ。俺はまた何か忘れてるか?」
優は二人の生暖かい視線に気付き、首をかしげた。

 佳子の部屋にいるのは現在4人。家主の佳子。そして元。美樹と優だ。皆それぞれ自分の部屋を持っているが、何となくここに長居している。

 元と佳子は元々知り合いだったそうで、美樹と優は後からこの二人と知り合いになった。出会いはシンプルだ。ご近所付き合いをしている内に偶然仲良くなったのが、この4人というだけである。

それでもこの4人はそれぞれ普通ではない。元は超人の殺人鬼。佳子は医者で、特別な力を持っている。美樹は金を沢山持っている。更に、優も普通ではない。彼はそう、超能力者だ。

物を触れずに動かしたり、消したり、増やしたり。超能力者っぽい事は大抵出来る。ただ、元が出会った時に頼んでいたスプーン曲げは苦手らしい。鉄の感じが嫌いなのだそうだ。

「そういえば皆さん今日は暇ですか?」

「なにー?どっか行く予定でもあるのー?」
元はソファーに寝そべり、腹を掻きながらだるそうに答える。

「平日の昼間から暇そうにしているので暇なのかと思って聞いただけです」

「..............どうせ診療所には誰も来ないわ」
「でも私は定職についているわよ。元や優と違ってね」

「俺は仕事をしているだろう」

「アンタは路上でヘタなマジック披露してるだけじゃない」

「マジックではなく...........」

「はいはい。超能力ね。知ってるわ」

「俺は働いたら駄目って佳子が言ったんじゃないかよー」

「そりゃそうよ。上司を殺しかねないわ」
「でも働いていない事には変わりない」

「自分で食う分の金くらいわ用意するさー」

「盗み以外でやりなさいよ」

「嫌だなー。俺は借りてるだけだよー。ここからね」
元は黒い財布をポッケから出した。佳子の財布だ。

「..................」
「私が知らないならそれは盗んでるのと変わんないわよ」

「今しったろ?」

「ええ。返しなさい」

「じゃあ、俺はどうやって飯を買ったらいいのさー」

「アンタは美樹や私のご飯を勝手に食べてるじゃない」

「遊ぶ金くらいは欲しいよー」

「アンタに遊ぶ金なんてないのよ」
「自由に使える金が欲しかったら収入を得なさい。盗み以外でね」

「働けない。盗めない。どうやって金を得ればいいのさー?」

「暇なんでしょ?それを考える時間はたっぷりあるんじゃない?」

「んな無茶な」

「なら俺と一緒に大道芸をやるか?」
「簡単だ。何か凄い事をしながら目の前に金を入れる箱を置いておけばいい」
「ただ、如何に人通りの多い場所を選ぶかが重要だ」

「元をそんな危険な場所に行かせられるわけないでしょうに」

「..........お金を得るって大変なんだね」

「まさかアンタの口からそんな言葉が出て来るとはね」
「...........まあ、しばらく考えなさい。そのうち案も出て来るでしょう」

「.............そろそろ大学行きますね」
美樹は時計をチラッと見ると、そう言った。

「いいねー、大学生は働かなくてさー」

「私はそもそももう一生生きていけるだけのお金を持ってますから」

「..............」

「そんなに殺気を飛ばさないでくださいよ」

「これは至って正しい怒りだよね?」

「...........悪いけど、これは元に同意ね」
「美樹早く大学に行きなさい。それでレポートの期限に追われたり、単位が危なくなったりしなさい。そうしないと、全国の富裕層以外の全てを敵にまわすわよ」

「構いませんよ。敵が全く居ない人生なんてつまらないだけですからね」

「........................」
美樹の何気ない一言は、大人たちの何かを動揺させるのに充分な破壊力だった。


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