50-船
蔵人とイライダ、雪白は昨夜酒を呑んだ門外の木の影に座っていた。
蔵人は口を開かないが、イライダはそれをじっと待っていた。
何もいわずに黙って自分を待つイライダを見ながら、蔵人は決めた。
根拠はない。
あるわけがない。
人は、絶対に裏切る。
そして、絶対に裏切らない。
禅問答みたいな話だが、そんなものだと考えていた。
イライダは裏切るだろうか、と今更なにくれとなく面倒を見てくれたイライダの人柄を疑っても、答えは出やしない。
マクシームは自分がハンターに誘った責任を感じて、全てをアカリのためと考えて行動した結果、嘘をつくことになった。オーフィアたちを連れてきたのも、そのせいだ。アカリはザウルに見つかってはならなかった。生きていると思われてもだめだし、場所を悟られてもだめなのだ。少しでも不審がられたなら、指名手配という大義名分の下に、数の暴力で蹂躙されただろう。いくらアレルドゥリア山脈が蜘蛛の巣だとしても、防ぎきれない。
オーフィアたちがいれば、あの変人集団ということで誤魔化せるし、万が一のとき問答無用で数に蹂躙されることもない。
オーフィアもそうである。怪物の襲撃が起こってしまった以上、怪物は草の根を分けてでも殲滅せねばならず、そこに勇者が協力を強硬に主張すればそれを退けることは難しい。おそらくオーフィアが拒否したとしても、勝手に山に入り、その加護の力からオーフィアたちより早くこちらと接触するのはわかりきっていた。せめて、そうするまいと、オーフィアは同行を許可したのだ。
裏切る理由などごまんとあるのだ。
それなら、あとは自分が信じたいかどうかにすぎない。
今回はなし崩しじゃない、自分が決めたことだ。後悔はすまい。
「……勇者のことだ」
ようやく口を開いた蔵人。
イライダは蔵人の言った勇者という一言に洞窟のことをすぐに思い出すも、蔵人の言葉を待つ。
「……勇者とは少し因縁があってな。それはあの勇者だけじゃない、アカリ以外全ての勇者とはできれば会いたくない、そんな関係だ。
出会ったら、最悪、殺しにくる。脅迫、誘拐、拷問もありえる。逆に放っておいてくれる可能性もあるし、協力してくれる可能性もあるが、悪い方に考えておいて間違いはない。
それに俺の素性が誰かに知られるのもまずい。だから、アレルドゥリア山脈に捨てられて、自力で生活していた流民の子どもといって、偽っているわけだ。
こんなわかりづらい話をしているのも、そのせいだ。サウランに行く約束をしといてなんだが、最悪、巻き込まれる恐れもある。……どうする?」
雪白は蔵人の後ろに陣取っていた。
威嚇するわけでもなく、油断しているわけでもない。蔵人に寄り添うように横たわり、ただイライダの反応を見つめていた。
イライダはようやく色々と合点がいった。
ハンターにこだわらないこと。秘密主義なこと。勇者から逃げるように去ったこと。
「一つ聞くが、あのエリカって勇者はなんだったんだい?」
「ああ、あれはあいつが覚えていないだけだ。あのときは心底助かったと思ったんだが、そのあとであの怪物の襲撃だ。結局、勇者と鉢合わせしたわけだが、そっちはこれから先、接触さえしなければ大丈夫だ。……不安な部分はあるがな」
クー、エリカ、アリスを思い出し、蔵人は断言が出来なかった。
だからこそ、この大陸から離れたいわけだが。
「……ふふ」
イライダが、笑った。
不敵に。
「アンタこそいいのかい?アタシは『女王蜂』なんて言われてるくらいだ、それなりに過去もあるし、今でもアタシを狙うような奴もいる、その巻き添えを食うかもしれない。まかり間違えば、アンタの素性だって調べられるかもしれない」
「調べたって、出てきやしない。勇者に聞けばわかるかもしれないが、勇者は答えないだろうし、まず勇者に聞くという発想すら浮かばないだろうな。勇者にしてもクランドの名で気づく奴が何人いるか」
「それにしたって、ばれる可能性は否定できないだろ?」
そこは蔵人も否定できなかった。
「そんなもんさ。絶対に隠し通したいなら、誰も人のいないところで生きていくしかない。だけど、そんなところがどこにある?最前線の先かい?どうやって生きていくのさ。魔獣に食われて終わりだよ」
アレルドゥリア山脈とて縄張りの主である雪白がいたからこそ、蔵人は生活できていたわけで、いちから縄張りを探すとなると、たとえ雪白がいたとしても難しいだろうことは蔵人にもわかっていた。
「旅の道連れの過去なんて気にしていたら、キリがない。そんときになったら、自分の才覚でなんとかするのがハンターってもんさ、あまったれんじゃないよ」
いかにもイライダらしい言葉である。
蔵人もそれがわかっていたからこそ、信じてみたわけだが。
「まあ、なんだ、これからよろしく」
「なんだい、いまさら。で、これだけかい?」
秘密主義の蔵人のことだから、ということでイライダはなんとなく言ってみただけだった。
そして次の瞬間、まさしく狐に化かされたような気持ちになる。
蔵人はまず雪白の幻影をといた。
そしてついでに自分の髪の幻影もとく。
「……何から驚いていいかわからないね」
イライダは驚き、苦笑した。
とかく秘密主義な男だから、何を明かす気なのかと思ってみたら、本当にいわくのあるものがでてきたわけだ。
「雪白が、イルニークとはね」
「これからしばらく旅に同行するわけだから、さすがに隠しておくわけにもいかないだろ?」
イライダはしゃがみ込み、至近距離で雪白と向きあう。
「ただの呑んべぇじゃないとは思ってたけどね。……いいかい?」
イライダは昨夜一緒に飲み明かしたとき、この魔獣がほとんど人とかわらないくらいの知能を有していると気づいていた。
だから、イライダは雪白に直接尋ねた。
雪白も珍しく素直に了承する。呑んべぇ同士、気が合ったのかもしれない。
イライダが雪白の首から頬にかけてを撫でる。
「これが白幻かい、これからよろしく頼むよ」
――ぐぁう
雪白もよろしくなとでもいうように一声かけた。
イライダはそのまま蔵人を見上げる。
イライダの大きな胸の谷間が蔵人の目に飛び込んでくる。
「で、アンタは原典持ちか、それとも魔法具持ちか。どちらにしても、どうりで魔法具に食いつかないわけだ」
「……それは秘密だ」
蔵人はわずかに目をそらす。
「これだよ」
アンタのご主人はかわらないねと雪白に話しかけるイライダ。
――ぐあうがう
雪白はわたしが保護者だ、とでもいいたげに不満そうだった。
そして翌日。
イライダは宿を引き払って、門の外で蔵人を待っていた。
とはいっても、門から見える位置に蔵人はいるのだから、蔵人のほうもすぐに気づく。
買ったばかりの革張りのトランクと食料リュックを背負い、蔵人はイライダと合流した。
「おはよう」
「おはよう。じゃあ、行くよ」
そういってイライダは門には向かわず、石壁沿いに歩きだす。
「ん?どこに行くんだ?」
蔵人の疑問にイライダはいつものように溜息をつく。
「どうやって雪白を連れて街に入るつもりさ?」
蔵人は今更ながら、その点に気づかされる。
「……港だけなら、石壁沿いに行けば入れるところがあるんだ。ほら、行くよ」
そういってイライダは歩き出した。
蔵人と雪白はそれにカルガモの子どものようについていく他なかった。
船に乗る際、ひと悶着あったが、蔵人、イライダ、雪白は無事、船に乗ることができた。
ひと悶着といっても、雪白を見た水夫が驚いて、船長室に駆けこんだというだけのことだ。
さすがに屈強な水夫といえど、大きな黒豹の姿をした雪白を腕づくでどうにかしようとは考えなかったらしく、きっと船賃も頭にちらついたのだろう、わずかな葛藤の末、船長室に駆けこんだというわけだ。
だが意外にも船長は、雪白を見ても少し驚いただけで船に乗せてくれた。
雪白がすんなりと船に乗れた理由はいくつかあった。
蔵人と合わせて二人分の二万ロドを払う意思があるということ。
雪白が非常に賢く、しつけができていること。
それに、なにより、深緑の環が効いていた。
辺境であればあるほど、月の女神の信仰、尊敬は強い。
なにも『月の女神の付き人』はオーフィアたちだけではなく、いくつものグループが女官長を中心にして、世界各地の辺境を回っている。
それはサウランとて例外ではない。
その『月の女神の付き人』の恩恵と信義を詳しく知っている船長は彼女らが保障する人種と魔獣ならば問題あるまいと判断したのだ。
雪白は黒豹の幻影を纏っているが、前脚の深緑の環は見えるようにしているし、蔵人も袖に隠してはいるが、いつでも見せられるようにしていた。
それが功を奏したようだ。
船は帆に風を受け、軽快に海面を進んでいる。
陸はもうずいぶんと離れ、小さくなっていた。
甲板で緩やかに吹く風と朝日を堪能しているのは、蔵人と雪白だ。
波が荒くないせいか、船はそれほど揺れない。
実をいえば、蔵人は心底、安堵していた。
そして珍しく、祈っていた。このままずっと、荒れてくれるなと。
蔵人は勇者と同じくらい、船酔いを恐れていたのだ。
蔵人の乗る船、アル・メード号は三本のマストにいくつもの大きな帆を持つ、ずんぐりむっくりしたガレー船といった姿をしている。
帆の出し入れといった部分では人力のようだが、それでもアル・メード号は決して遅くない。
今も数人の風精使いの水夫が、その大きな帆に向けて、付近に流れている風をゆるやかに集めている。 船の両脇に突き出ている長いオールは、ゆっくりと稼働し、船にさらなる速度を与えていた。むろん、オールを動かすのは奴隷ではなく、自律魔法具である。
これなら、船酔いになる前につくかもしれない。
だが、そんな蔵人の希望的観測、現実逃避にも似た想定は、背後に現れたイライダに、砕かれる。
「この調子だと、中月を過ぎた頃には到着するってさ。船長が風も潮もいいと喜んでたよ」
中月とは五十一日目、ちょうど月の真ん中の日を指していた。
蔵人は絶望した。
五十日弱も海が荒れない。さすがにそれはありえない。
「……なんでそんなこの世の終わりみたいな顏をしてるんだい」
蔵人はイライダに答えることも忘れ、雪白に全体重を預けて、ぐんにゃりしてしまった。
イライダの言葉をきいただけで、蔵人は軽い船酔いになった気分だ。
体重を預けられた雪白は、しょうがない奴だとでもいいたげな顔をし、そのまま蔵人を尻尾で背中に乗せると、船室に向かって歩き出した。
「これじゃあ、どっちが保護者かわからないじゃないか」
イライダはため息をついた。
「……船酔いかい」
しばらくしてから、イライダは何度目かわからないため息をついた。
「船酔いするのに、なんでわざわざ船で砂漠に行こうとするかね。勇者から逃げたいってだけじゃないんだろ?そもそも数人だけどサウランにも勇者はいるって聞くしね」
蔵人は吐き気に苛まれながら、船室に横たわっていたが、その言葉にピクリと反応する。
「……いるのか?」
「いるに決まってるだろう?というかいない大陸はないんじゃないか?」
蔵人の吐き気はさらに増した。
「知らなかったのかい?アルバウムが半分ほど抱えてるみたいけどね。建前上は友好の証としての、人道的支援。本当のところはたぶん、他の国から勇者を独占するなと集中砲火を受けたってところじゃないか。いくら、アルバウムが大国でも大陸中の国とは戦争できないからね」
「……それでもアルバウムの近くにいるよりはましだ」
そんなもんかね、と言いながらイライダは蔵人の背中をさする。
「すまんな。まあ、あとは絵を描いたり、笛を吹いたりしたいんだろうな」
「……アタシはもうアンタをハンターと思わないことにするよ。…そういやアンタの絵、見たことないね」
蔵人は船室を這うように荷物に近づくと、雑記帳を取り出し、イライダに渡す。
「……アンタ、アレルドゥリア山脈にいたんだよな?」
「そうだが」
「……なんで、どの絵にも女がいるんだい?」
「男なんて描いてなにが楽しいんだ?男なんてほっといても生きていくんだ、面白くもなんともない」
さも不思議そうな顔をする蔵人。
「それに景色だけっていうのはなんとも味気ないだろ。俺にとっては、人がいてこそ世界があって、その時の、その世界の意味を考えるのが楽しいんだ」
「人が嫌いってわけじゃないようだね」
「自分も人だぞ?嫌えるわけがない」
蔵人は決して人が嫌いなわけではない。
嫌いだったら誰も助けないし、誰とも関わらない。
ただ、社会と上手く折り合いをつけられなかっただけだ。
船がオスロンから南東に舵をとって、十日ほど経っていた。
蔵人はというと、すでに青白いスライムと化して、ぐったりしていた。
今も甲板から海に顔を突き出して項垂れている。
雪白は一度イライダが蔵人の背中をさするのを見てからは、それを真似するようになった。
無論、尻尾で。
今も、手のかかる奴めといった様子で、蔵人の背中をさすっていた。
「……うぇっぷ」
朝食の残骸だけが、海に流れていく。
雪白のぬくもりを背中に感じながら、蔵人はそれを眺めることしかできなかった。
――それゆえに、気づけた。
胃の内容物が、不自然に流れていくのだ。
「……イライダ」
蔵人が死にそうな声でイライダを呼ぶ。
「なんだい、まったく。アタシにそんなもん、みせ、て……」
イライダの顔色が変わっていく。
そして、瞬時に周囲を見渡す。
周囲が、妙に慌ただしくなっていた。
魔獣だろうか、とイライダは護衛を見るが、護衛も状況は把握していないようで、イライダと同じように油断なく周囲を警戒し、水夫たちと何事かを話し合っていた。
船には海の魔獣の専門家といってもいい、対魔獣戦を得意とする傭兵やハンターが雇われているが、そんな彼らもわからないとなると、魔獣ではないのか。
イライダは船長を探す。
「――待て」
青白い顔をした蔵人が、イライダの腰を引きよせた。
「な、なにするんだいっ、こんなときに」
そういって見下ろした蔵人の顔は真剣だった。
見ると雪白もその尾を蔵人、そして自分に巻きつけ、蔵人と密着している。
くるぞっと蔵人が小さく言った。この時、蔵人はすでに水精で海を探り、気づいていた。
無軌道な水精の動きを、精霊の悪戯を。
そして、船が、真っ二つになる。
まるで東洋の龍のように、唸りを上げる海流が船を覆う物理障壁ごと船腹を喰い破った。
オールが折れ飛び、マストがへし折れる。
船尾にいた蔵人たちはあまりの衝撃に、船にしがみつくことしかできない。
かすかな怒号と船の破壊音。
轟々と蠢く、いくつもの海流。
飢えた狼がついに見つけた屍肉に飛び付くように、
数匹の龍が、船に喰いついた。
なんと馬鹿げた海だろうか。
蔵人は海にぷかぷか浮かびながら、苦笑しかできなかった。
雪白も初めての海で、これだけ馬鹿げた現象に直面したにも関わらず、気楽に寝そべっている。
「……意外と余裕じゃないか」
イライダは少しやつれた顔をしていたが、声はいつもの調子である。
「いや、あんなのもう笑うしかないだろ。本で読んだことしかないが、あれが精霊の悪戯って奴なんだろ」
「みたいだね。アタシも海では初めてだよ」
「こんなのが頻繁にあるようなら、水精使いの水夫もどうにもできないだろうな」
「あんなのが毎回あってたまるかい。せいぜい月に一回くらいさ」
ひと月百日なので、年に四回ほどということになる。
それが多いか、少ないかは蔵人にはわからないが。
蔵人たちは今、海の真ん中で、歪な氷の球体に包まれ、海に浮いていた。
あの時、船が完全に破壊されて海に投げ出される直前に、蔵人が氷戦士の丸盾にまとわりついていた氷精を使って、作りだしたものだ。
海に氷精がいなかったために、蔵人は盾の氷精を使ったのだが、自分たちを覆うので精一杯だった。他の水夫やハンターを助ける余裕などなかった。
海には水精ならばそれこそ最上級精霊魔法を使えるほどいるのだが、氷精はいなかった。
水精と氷精はコインの裏表のような関係にある。
矛盾を承知で表現するなら、水精の凍ったものが氷精で、氷精の溶けたものが水精といえる。ゆえに水精が多いと氷精は少なくなり、氷精が多いと水精が少なくなる。
そうなると、水精が先か、氷精が先か、という問題がでてくるのだが、それは二百年前から精霊学者たちが論争している。さらに水が先か、水精が先かという問題まであり、どちらもいまだに決着はついていなかった。
それはともかく、海に放り出された蔵人たちだったが、幸いにも食料に困ることはなかった。
船室に置く荷物は、盗まれてもいいものだけだとイライダに言われて、甲板に荷物を持ちこんでいたが、そのお陰で船が砕けても、荷物を失うことにはならなかった。
丸一日、蔵人たちは大波と海流にもみくちゃにされ、今に至るわけだが、いまもぐんぐんと恐ろしいほどのスピードでどこかに運ばれていた。
というよりも、今も龍の如き海流にバシバシ喰いつかれるたびに罅が入り、砕けそうになる氷の修復を続けている結果として、運ばれているだけで、氷の修復が間に合わなくなったとき、そこで海に放り出されることになる。
だが、周囲に島や大陸などはなかった。
「どこに運ばれてるか、わかるか?」
蔵人の言葉にイライダは首を振った。
「そうか。じゃあ、氷精の扱いは?」
「巨人種は寒いところの出身が多いんだけどね、アタシは生まれつきなぜか氷精との相性が悪い。風や炎とは相性がいいんだけどね」
「ということは、俺と雪白の魔力が切れたら、ボチャンだな」
「……どれくらいいけそうだい?」
「この調子だと、十日がギリギリだろうな。それ以上になると身体がもたない」
「アンタと雪白が交代でやっても十日かい。それを考えるとアタシの分の魔力をいれても十一日くらいかね」
「それまでに水精が俺たちに飽きてくれるか、それともどこかに流れつくか、だな」
蔵人とイライダはため息をつく。
「まあ、万が一バラバラになって、どこかに流れついたら、近くの協会に連絡を残すようにしようか」
「へぇ、そんなこともできるんだな」
「緊急時だけさ。そうしたら、どこの協会にいてもいつかは連絡がつく。……よっぽど離れてなければね」
そんな風にイライダと示し合わせたあと、十一日が過ぎ去った。
すでにイライダは気絶し、誰よりも頑張った雪白もぐったりしている。
蔵人も、もうすぐだな、という自覚があった。
ふと、氷の外に黒い影が見える。
「――陸かっ」
そう叫んだ瞬間、氷が完全にぶち抜かれ、三人は海に呑まれていった。