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くま クマ 熊 ベアー 作者:くまなの

クマさん、海に行く

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94 クマさん、宴に参加する

申し訳ありません。前回の話、一部修正しました。

クラーケンの皮、水着の会話部分削除。
始めは水を弾くから良いと思ったけど。やっぱり、皮だと違和感があったので削除させてもらいました。

近いうち(未定)に水着が作れる素材を持つ、魔物(植物?)を出しますのでご了承ください。
 わたしは一人でクラーケンの場所に戻ってくる。
 クラーケンは砂浜に横たわっている。
 どっから見ても巨大なイカだ。
 本当に食べられるのかが疑問だ。
 まあ、地球とは生態系も違うだろうし、食べられるのだろう。
 でも、その横に並ぶワームだけは駄目だ。
 ミミズや幼虫を食べる習慣は、わたしには無い。食わず嫌いと言われても食べるつもりはない。

 わたしが一人で待っていると、馬車が3台ほどやってくる。
 流石に砂浜まで馬車は入って来れないので、途中で止まる。
 馬車からクロのお爺さんを筆頭に数人の男たちが降りてくる。

「嬢ちゃん、ここにいたのか」

 クロのお爺さんがやってくる。

「大人数だね」
「早く解体をして、海鮮の宴に参加したいからのう」

 クロのお爺さんは男衆に声を掛けて解体の準備をするように指示を出す。
 男たちは大きな声で返事をしてクラーケンに向かう。
 クラーケンの向かう途中にいるわたしにすれ違うときに。

「ありがとうな」

 と、一言、お礼を言われる。
 少し、気恥ずかしいものがある。
 クラーケンは大きいので、男衆は三ヶ所に分かれて分担作業を始める。
 お爺さんが的確な指示を出す。男衆は指示に従い解体していく。お爺さん、相当偉いんだね。
 クラーケンの解体作業を見ていると、馬車がやってくる。
 降りて来たのはアトラさんと冒険者ギルドの職員。

「ユナのクマと比べると馬車は遅いわね」

 そんなことを言いながらアトラさんがやってくる。
 うちのクマと馬を比べないで下さい。
 どう考えてもクマの方が速いでしょう。
 一般常識ですよ。

「ユナ、本当にワームの素材を貰っていいの?」
「売るなり、食べるなり好きにしていいよ。でも、絶対にわたしが食べる料理に入れないでよ。冗談でもそんなことをしたら、暴れるからね」
「そんな、命をかけたイタズラしないわよ」
「でも、本当にこんなゲテモノが美味しいの?」
「さあ、わたしも話で聞いただけだし」
「アトラさんはこれを口に入れるのに、何も抵抗は無いの?」
「特に無いわね。わたしはユナがそこまで嫌う理由が分からないけど」

 これが食文化の違いか。
 そう考えるとフィナはどっち側の人間なのかな。
 できれば、こっち側の人間でいて欲しいものだ。

 アトラさんとギルド職員はワームの解体作業に入る。
 ギルド職員は慣れているのか、ナイフを突き刺して解体を始める。
 少し離れて2つに解体作業を見ていると、ラーニャさんが女衆を連れてやって来た。

「昨日も見たけど、改めて見ると大きいね」
「ラーニャさんも解体をするの?」
「専門家よりは下手だけど、クラーケンなら、大きなイカでしょう。この町で育ってきた者なら誰でも解体ぐらい出来るよ。でも、流石にあっちは経験不足で出来ないけどね」

 ワームを見て答える。
 とは言え、女衆もクラーケンとワームの解体作業に加わる。
 その事によって、解体作業の速度は上がっていく。

「嬢ちゃん、ちょっといいか?」

 クロのお爺さんに呼ばれる。

「これは、流石に貰えないから受け取ってくれ」

 渡してくれたのは綺麗な青色の魔石。クラーケンの魔石だ。
 ウルフの魔石と比べても数倍大きい。

「この年になるまで生きてきたが、こんなに大きな魔石を見たのは始めてじゃよ。それだけ、この魔物が大きいってことじゃな」
「もらっていいの?」
「町でそんな大きな魔石を持っていても役には立たない。売るよりも、冒険者の嬢ちゃんに渡した方が、役に立つだろう」

 ありがたく、受け取っておく。

「それじゃ、ユナ。こっちも渡しておくわ」

 ワームの魔石を受け取る。
 茶色?
 土の魔石。
 土に潜るからかな?
 これもウルフの魔石と比べても数倍大きい。

 魔石も貰い、解体作業も進んでいく。
 解体された物は馬車に積まれ、町に運ばれていく。

「嬢ちゃん、ここはわしらに任せてくれていい。だから、嬢ちゃんは町に戻って宴を楽しんでくれ。今頃、朝一で捕れた魚が調理されている頃じゃ。嬢ちゃんには一番に楽しんで欲しいからな」
「主役のあなたがいなくちゃ意味が無いからね。わたしも町に戻るから一緒に行きましょう。中央広場で先に運んだクラーケンとワームの料理が作られているはずだから」

 アトラさんと一緒に町に戻ってくると、町はあっちこっちで魚介類が焼かれている。
 あれはハマグリ? 貝もいいね。エビとかカニは無いのかな。
 町で調理されている魚介類を見ながら歩いていると、皆がわたしを見ていることに気づく。

「クラーケンを倒してくれたクマの嬢ちゃんだね。これを持っていきな。おいしいよ」

 おばちゃんが小皿に乗せてくれた、料理を渡してくれる。
 貝やエビなどが入った料理だ。
 一口食べると、美味しい。白いご飯が欲しくなってくる。

「嬢ちゃん、こっちも美味しいぞ」

 焼き魚を渡してくれる。
 ちゃんと醤油が掛けられている。
 焼き魚には醤油だよね。
 他にもポン酢があれば最高だったんだけど、異世界にそれを求めるのは無理がある。

「ありがとう」

 それを切っ掛けに町の人は礼と料理を持ってくる。
 そんなに持って来られても持てない。
 持てない分はアトラさんが受け取る。

「みんな、そんなに持ってこられても、ユナが困るわよ」

 アトラさんが住民を止めてくれる。
 まあ、食べきれなかったら、クマボックスに仕舞うからいいんだけど。 
 とりあえず、持ってきてくれた物はクマボックスに仕舞い。

「あとで、ちゃんと食べるから。みんな、ありがとうね」

 礼を言って、その場を離れる。

「人気者ね」
「料理を貰えるには嬉しいけど、騒がれるのは面倒だね」
「なら、そのクマを脱げば? そうすれば、みんな気付かないわよ」

 ごもっともな意見です。
 でも、危険があるかもと思うと脱げません。

「これは、呪いのアイテムで脱げないのよ」
「そうなの? それじゃ、ユナって臭いの?」
「どうして?」

 ちゃんとお風呂には入ってます。

「だって、お風呂も水浴びも出来ないじゃない」
「嘘に決まっているでしょう」


 食べ歩きをしながら、目的の中央広場に向かう。
 中央広場では人だかりができ、クラーケンが焼かれている。
 大きさを住人に見せるためなのか、クラーケンの足が一本飾られている。
 長いね。


 醤油を使っているため、香ばしい匂いが漂ってくる。
 それを、いろんな人たちが食べている。
 料理人が焼くたびに順番待ちの人に渡されていく。
 子供も大人も山盛りの料理を食べている。
 たぶん、久しぶりにお腹一杯に食べることが出来たのだろう。
 わたしたちが中央広場を見ていると、住人がわたしの存在に気づく。
 でも、見ているだけで誰も近づいてこない。

「さっきは集まって来ちゃったけど。一応、ユナには近づいて来ないように伝令出したからね」

 それは助かるけど、みんなに見られて、動物園のクマになった気分だ。
 でも、その中、小さな男の子と女の子がやってくる。

「クマさん、魔物を倒してくれてありがとう」

 男の子が頭を下げる。

「お母さんが、ご飯食べられるようになったのは、クマさんのお陰だって」
「クマさん、ありがとう」

 わたしは膝を折り、子供たちの視線に合わせる。

「沢山、食べてる?」
「うん」

 二人は笑顔で頷く。
 わたしは二人の頭を撫でてあげる。

「いっぱい食べて、お母さんのお手伝いをするんだよ」

 子供たちは頷き、去っていく。

「子供に優しいのね」
「わたしに敵対心が無いからね。でも、子供でも敵対すれば容赦しないけど」

 わたしを嫌うなら、わたしも嫌う。嫌っている人間に好かれようとは思わない。

「ギルマス!」

 冒険者ギルドのセイがやってくる。

「料理を持ってきました」

 セイに手に持っている皿には沢山の料理が乗っている。

「これって、クラーケン?」
「はい、そうです」
「この料理の中にワームは入っていないよね」
「入ってません。町が滅びることはしません」

 持ってきたのは、いか焼き、炒め料理などだ。
 即席のテーブルで三人でイカ尽くしの料理を食べる。
 その横ではワームの料理を食べている二人の姿がある。

「美味しいわよ」
「絶対に食べないから」

 ワームは煮込まれ美味しそうに調理され、住人に配られている。
 元があれだと思うと口に入れる気は起きない。
 異世界人強し。
 宴は遅くまで行われ、途中でクロのお爺さんもやって来た。
 そして、酔っぱらったお爺さんに海の素晴らしさを長々と聴かさせることになった。
 アトラさんも酒を呑んで、酔っぱらい、騒いでいる。
 これって、お酒が呑めない、わたしは負け組?
 日も沈み始めた頃、わたしは逃げるように、宿に向かう。
 だが、そこも、酒盛りをしている男衆がいて、宿の中はお酒臭かった。

「ユナさん、お帰り」

 出迎えてくれたのは、マッチョさんの娘のアンズ。
 少し日に焼けた健康的な女の子だ。
 引きこもりだったわたしの色白とは対称的だ。 

「凄いことになってるわね」
「まあ、それだけ、皆さん、海に出れて嬉しかったんですよ。うちの兄も喜んでいましたから」
「それで、デーガさんは?」
「お父さん、酔いつぶれちゃって、奥で寝ています」
「それで、アンズがここにいるわけね」
「はい。それで、ユナさんは何か食べますか?」
「外で沢山食べてきたから、大丈夫」
「そうですよね。どこもかしこも料理がありますから」
「アンズは何をしているの?」
「一応、店番と自分の食事の準備をしているところです」
「食べてないの?」
「お父さんが、早々に酔いつぶれたので、わたしがみんなの料理を作っていたんです」
「それで、何を作っているの?」
「刺身です。魚を生で捌いて、和の国の醤油をかけて食べると美味しいんですよ」
「刺身あるの?」
「食べますか?」
「なら、白いごはん炊いてもらえる」
「実は、ユナさんのお米で炊いてあります。どうしても、お米で食べたかったから。ごめんなさい」
「いいよ。その気持ち分かるから。わたしの分が無かったら怒ったけど」
「もちろん、ありますよ」

 許しを貰えたアンズは魚を綺麗に捌いていく。中にはタコもイカもある。

「捌くの上手いね」
「お父さんに叩き込まれましたから。将来、自分の店を持つのが夢なんです」

 おっと、とても素晴らしい情報をゲット。
 クリモニアの街に魚を仕入れようと思うけど、魚を捌ける人がいない可能性がある。そう考えると、アンズの腕は申し分ない。

「もし、クリモニアの街にあるわたしの店で働かないと言ったら来てくれる?」
「ユナさん。お店持っているんですか?」
「一応ね。わたしは何もしていないけど。クリモニアの街でも海鮮料理を食べたいから、アンズが来てくれると嬉しいかも」
「本当に行けたら、行きたいですね。でも、遠いし、家族に会えなくなるのは寂しいですから」

 つまり、近ければいいんだね。
 わたしは笑みを浮かべる。
 アンズはわたしの笑みの理由に気付かずに海鮮丼を食べている。
+注意+
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